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B


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Benito Merlino / Biagio Antonacci / Bungaro

*** gruppo ***
Babalot / Banco del Mutuo Soccorso / Barrock / Bluvertigo / la Bottega dell'Arte





BANCO DEL MUTUO SOCCORSO / BANCO (1975)   alla "Musica"
 イギリスのマンティコア・レーベルからリリースされた、英語詞による世界進出盤。非常にテクニカルでダイナミックな、クオリティの高いプログレッシヴ・ロック作品になっています。ただし、世界市場を意識したためか、彼らの魅力のひとつであるイタリア臭さは薄いです。(2000.01.10)

BANCO DEL MUTUO SOCCORSO / GAROFANO ROSSO (1975)   alla "Musica"
『Garofano rosso』という映画のサントラなんだそうです。完全なインストゥルメンタル作品。というわけで、Banco(バンコ)のオリジナル・アルバム群からすると少し異端の作品なんだろうと思いますが、しかしそこはさすがBanco。サントラだからとあなどれないのですよ。キーボード群の音づくり、アレンジ、バッキング・リフなどに、いつものBancoの姿がくっきりと浮かび上がってきます。サントラとはいえサントラの枠に収まりきれていない、プログレッシヴ・ロックとしての魅力が存分に感じられます。 (VIRGIN DISCHI: 7866172 / イタリア盤CD) (2005.07.18)

BANCO DEL MUTUO SOCCORSO / CANTO DI PRIMAVERA (1979)   alla "Musica"
 『春の歌』と題されたこのアルバムは、音色もアンサンブルも非常に軽やかで、明るい陽射しに満ちています。インストゥルメンタルによるオープニングから、地中海音楽的なおだやかさ、さわやかに香る海風が感じられます。楽曲を支える演奏も非常にタイトで乾いた感じがし、テクニカルで音数が多いのに暑苦しさ、重さを感じさせません。このあたりは改めてメンバー個々の技量の高さを再認識します。(2000.09.16)

Banco presenta Francesco Di Giacomo / Non Mettere le Dita nel Naso (1989)
 1989年の作品ということで当然、プログレ黄金期にあったフレスコ画のような味わいの深さはありません。もちろんプログレじゃないけど、ポップスかというと、そうともいいきれないあたり、リスナー層を選びそうです。といっても、そこはバンコ(Banco)のこと、決して悪いものではありません。
 どことなく地中海風な印象もあったりして、イタリアを感じさせてくれる、イタリアならではのキラメキがちりばめられたポピュラー・ミュージックになっています。フランチェスコ・ディ・ジャコモ(Francesco Di Giacomo)の唄がたっぷり楽しめます。(1998.12.06)

BANCO DEL MUTUO SOCCORSO / LIVE (1993)   alla "Musica"
 イタリアン・プログレッシヴのトップ・グループ、Banco del Mutuo Soccorso(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ)の発掘音源ライヴ。これはスゴイです。圧倒的な演奏力、ロックとしての凄まじいエナジー、イタリアならではのパッション、そして激しい緩急によるドラマとリリカルなフレーズ。どれをとっても1970年代イタリアン・プログレッシヴの魅力に満ち溢れています。録音クオリティはめちゃめちゃ悪いですが、それがかえって演奏のパワフルさと熱さを伝えています。コアなファン向けのアルバムですが、初期のBancoが持つ生々しい姿が感じられる好盤だと思います。(2001.10.20)

Banco del Mutuo Soccorso / Nudo (1997)
 まさか2年続けて来日するとは思わなかったバンコ(Banco del Mutuo Soccorso)『Nudo』イタリア盤を、やっと買いました。国内盤は1枚ものでしたが、イタリア盤は2枚組です。
 生のステージではほとんど気にならなかった(というか、フル・バンドよりもパワフルだったかも)アコースティック・セットのリズム隊ですが、アルバムで聴くと、やはりちょっと物足りなく思います。でもそれ以上に、熱い思いが届いてきます。
 やっぱりいいバンドですね、バンコって。(1998.03.01)



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Barrock / Oxian (1994)
 これは2nd になるのでしょうか? 以前、国内盤で1st(テープ作品の再録だったかな?)が出たことのあるバロック(Barrock)は、比較的オーソドックスなシンフォニック・ロック・グループです。(1998.04.29)



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BLUVERTIGO / ZERO (1999)   alla "Musica"
引きずるような重低音が、高校生の頃とかにたまに聴いていたニューウェーヴやオルタナティヴ・パンクを思い出させます。ベースを中心にした、このどっしりした重低音を屋台骨に、上に乗っかるシンセサイザーのわざと薄っぺらい音づくりとのコントラストが不思議にいい感じ。このぺらぺらしたシンセもあの頃のニューウェーヴ・パンク、Stranglers(ストラングラーズ)とか、あるいはSoft Cell(ソフト・セル)とかを思い出します。イタリアらしい感じはほとんどないのですが、全体にいかにもヨーロッパな雰囲気、歴史と伝統を背負った重さのようなものが感じられ、それが現代的なデジタル・サウンドとうまく調和している。そんな印象を受けました。 (NOYS/COLUMBIA/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: COL 495071 2 / オランダ盤CD) (2006.01.29)



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LA BOTTEGA DELL'ARTE / DENTRO (1977)   alla "Musica"
アルバム自体は4枚ほどしか出なかったようですが、多くのファンに愛されたグループです。1976年にはフェスティヴァルバールに参加して2位になり、1980年にはサンレモ音楽祭にも参加しています。甘くやさしく美しいメロディはとても魅力的で、それをどんどんふくらませるキーボードとオーケストラも、いかにもイタリアン・ラヴ・ソング的で素敵です。ギター、フルート、キーボード、ヴォーカルと大活躍のRomano Musumarra(ロマーノ・ムスマッラ)はその後、フランスなどでアレンジャーとして大活躍のようですが、その原点がここにあったりするのでしょう。 (CRIME/KING RECORD: 292E 2026 / 日本盤CD) (2006.07.02)



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Biagio Antonacci / Adagio Biagio (1991)   alla "Musica"
 ビアジオ・アントナッチ(Biagio Antonacci)のこのアルバムは、いわゆる普通のポップス・アルバムです。とくにどうということもありませんでした(1998.01.04)

BIAGIO ANTONACCI / LIBERATEMI (1992)
 いかにもハードロッカー的なジャケットは、アルバムの内容を考えるといかがなものでしょうか。たしかにBiagio Antonacci(ビアージォ・アントナッチ)の作風にはロック的な部分も多いけれど、メロウなメロディも多く持っていますし、ポップ・カンタウトーレ的な要素も少なくありません。
 彼のアルバムは、本作以外に1991年の『Adagio Biagio』と1994年の『Biagio Antonacci』しか自分は聴いたことがありませんが、この3枚のなかでは本作がもっともメロウだと思います。やわらかなメロディの曲が多く収録されています。
 他のアルバムでは、ところどころに「これは」と思わせるメロディがあるものの、それをひとつの曲のなかで上手に展開させてドラマにつなげていくことがうまくできておらず、曲づくりのあまり上手でない、どこか退屈に感じさせてしまうカンタウトーレという印象があったのですが、このアルバムではそういった部分が少ないように思います。メロウなフレーズを持った曲はきちんとメロウな曲として完成し、ポップなメロディを持った曲は軽快な曲として、そしてロックな曲は力強い曲としてまとめあげられています。そして、それぞれの曲に、イタリアらしいなめらかさが見え隠れしています。
 とくに強い個性などがあるわけではないのですが、バラード系のスローな曲の収録数も多く、またそういった曲にBiagioのちょっと枯れた声が合うこともあって、メロディアスなポップ・ロック作品になっています。(2001.08.19)

Biagio Antonacci / Biagio Antonacci (1994)
 すでに『Adagio Biagio』というアルバムを持っていて、とくにあらためて聴く必要を感じない、ありきたりなポップス歌手だと思っているビアジオ・アントナッチ(Biagio Antonacci)の1994年のアルバム『Biagio Antonacci』。中古で800円だったので、つい買ってしまいました(^^;)。
 で、印象は変わったかというと、やっぱり変わらない。『Adagio Biagio』よりもロック色が強くなったけど、たとえばジャンルカ・グリニャーニ(Gianluca Grignani)のようなカッコよさとか骨太さとかはないみたい。(1998.04.01)



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BUNGARO / CI PERDIAMO IN TANTI (1992)
 10曲中4曲のクレジットにGianni Morandi(ジャンニ・モランディ)の名前があります。Gianniはヴォーカルやコーラスでも参加しています。
 明るくのびのびとした曲想が中心となっています。イタリア的な哀愁といったものはほとんどありませんが、メロディアスなポップスとしては楽しめるアルバムだと思います。Bungaro(ブンガロ)の声はどことなくSteve Perry(スティーブ・ペリー。Journeyのヴォーカリスト)に似ているように思います。そういえば曲想も、Journeyからロック色を抜いたような感じかもしれません。(1999.05.08)

BUNGARO / L'ATTESA (2004)   alla "Musica"
アコースティック・ピアノとオーケストラによる演奏を中心にしたバラード系の作品になっています。少しひび割れ気味の声は、おだやかにうたうときのLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)とかにちょっと似てるかな。聴いててEduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)をちらちら思い出してしまうのは、やわらかでほんのり哀愁を帯びたメロディがEduardoに少し似てるからでしょうか。メロディも、アレンジも、オールド・スタイルといってしまえばそれまでですが、「メロディの国イタリア」を思い出させるに充分だといえるでしょう。おだやかな気分で楽しんで聴ける作品で、秋から冬にかけての夜のBGMとしてはよさそうです。 (EMI MUSIC-ALIANTE / DELTA DISCHI: AL 501 / イタリア盤CD) (2004.12.25)



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BENITO MERLINO / LETTRES D'AMOUR ET DE HAINE (1976)
BENITO MERLINO / HISTOIRES ET LEGENDES DE SICILE ET DES ILES EOLIENNES (1974)
 Benito Merlino(ベニート・メルリーノ)はシチリアのカンタウトーレのようです。このCDはフランスでリリースされたもので、1976年のアルバムと1974年のアルバムが1枚に収められています。どちらのアルバムもフランス語でタイトルがかかれているため、もともとのイタリア語のタイトルがわかりません。というか、イタリアでリリースされたことのあるアルバムなのかどうかもわかりません。
 収録されている曲は、ガット・ギターを中心にシンプルなアコースティック・セットで演奏された、素朴な音楽です。シチリアン・トラッドがどんなものなのか自分はよく知らないのですが、ここで聴かれる音楽は、フォーク・ソングというよりはトラッドぽいのではないかと思います。そのなかにナポレターナ的な味わいやカンツォーネ・イタリアーナ的な味わいも見え隠れしています。
 深く落ち着いた声には深みがあり、ときにシャンソン風でもあります。古いフランス映画やイタリア映画の挿入歌としてもよさそうな、趣のある歌が聴けます。
 とても地味で、軽やかさや明るさといた華やかな部分はないけれど、歌が精神(スピリッツ)と結びついていることが感じられるような、存在感のある作品です。(2002.03.17)



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BABALOT / CHE SUCCEDE QUANDO UNO MUORE (2003)   alla "Musica"
ローマ出身の、なんだか正体のよくわからないグループ(だと思うんですが)のミニ・アルバムです。ギター&ヴォーカルとしてBabalot(ババロット)というクレジットがあるので、もしかしたらBabalotさん(?)のソロ・アルバムなのかもしれません。
ちょっとブリティッシュ・ポップスぽい人懐こさを持ったメロディに、デジタル・ポップな演奏が重なります。引っかかりのあるヴォーカルや、フィルターをかけたコーラス、重いシンセ・ベースに伸びのあるノイジーなギター、現代ふうなようでいて懐かしい感じのあるメロディなど、にぎやかで雑多な印象を持ちつつもほのかに哀愁のある曲調が、なかなか個性的に思います。
演奏は一筋縄でいかない、素直じゃないものばかりで、どちらかというとやかましいというかうっとうしいというかウザったい感じになりそうなのですが、ヴォーカル・ラインがどれも淡々としていて、かつほのかにノスタルジックな柔らか味があるため、全体にそれほどやかましい感じがしません。なんか不思議な感じなのだけど、同時に懐かしくもあるような気がして、妙に心に残ってしまいます。(2003.07.20)



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