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BRAZIL


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Bacamarte / Lo Borges / Marcus Viana / O Terco / Quaterna Requiem / Sagrado Coracao da Terra




BACAMARTE / DEPOIS DO FIM (1983)
 一部ファンのあいだで「ブラジルの宝石」と愛されているシンフォニック・プログレッシヴ・グループ。クラシカルで哀愁度の高い楽曲を演奏しますが、その音楽はイタリアに通じる肌触りを持っています。ラテンの魂でつながっているからでしょうか。
 ただ、このグループに限ったことではありませんが、中南米のこういうタイプのグループって、楽曲的には自分の好みのはずなのに、もうひとつ世界に入りきれません。聴いた感じはヨーロッパのものと非常に近いのだけれど、それを裏付ける重み、深みといったものがたりないのかもしれません。ヴォーカルが弱いのも、楽しみきれない原因かな。(1999.05.08)



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LO BORGES / SOLO (1997)   alla "Musica"
とてもなめらかで美しいメロディが満載です。声も優しげで、あたたかい感じ。聴いててとても心地いいです。あまりに心地よくて、ゆるゆると音と時間が流れていってしまい、気合を入れて聴こう、スピーカーから流れてくる音楽に負けない心構えをしよう、音楽が映し出す映像の中に自分を投げ込もう、といった感じにはなりません。ぼんやりと聴く分にはいいかなぁ。 (EMI MUSIC: 793499 2 / ブラジル盤CD) (2005.07.18)



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MARCUS VIANA / FRANCISCO DE ASSIS (2001)
ブラジルのプログレッシヴ・ロック・グループ、Sgrado Coracao da Terra(サグラド・コラソン・ダ・テッラ)のヴァイオリニスト、Marcus Viana(マーカス・ヴィアナ)によるソロ・アルバムです。
Marcusはほかにも数多くのソロ・アルバムをリリースしているようですが、この作品はタイトルのとおり、アッシジの聖フランチェスコをテーマにしたコンセプト・アルバムのようで、そのせいもあってか、クラシックや聖歌的な色彩が強く感じられます。
彼の他のアルバムを聴いたことがないので、標準的な彼の作風がどういうものかはわからないのですが、このアルバムで聴ける聖歌的な趣きは、おそらくこのアルバム独特のものでしょう。といっても全体が聖歌的・宗教的な要素に包み込まれているわけではなく、やわらかなメロディのあたたかい曲が多く収録されています。
Marcusのたおやかなヴァイオリンや美しい女性ヴォーカルが心地よく響きます。曲によっては子供のヴォーカルやコーラスも入り、自然を愛し小鳥にも教えを説いたといわれる(のでしたよね?)聖人フランチェスコをイメージさせるに充分です。またグレゴリアン・チャント風の男声単旋律コーラスは慈悲深さと敬虔な雰囲気をかもし出します。
奥行きと広がりのある曲想で、宗教的シンフォニック・プログレッシヴとしてなかなかのレベルにある作品でしょう。個人的な好みとしては、エレキ・ヴァイオリンではなくアコースティックのヴァイオリンだったら、もっとよかったのだけどなぁ。(2003.07.20)



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O TERCO / CRIATURAS DA NOITE (1975)   alla "Musica"
アルバムの1曲目でいきなり古臭いグループ・サウンズみたいな歌が聞こえてきたときはどうしようかと思いましたが、全部が全部そんな曲なわけではなく、軽やかなジャズ風味を持った曲や、地中海音楽を思い出させるようなきらきらしたアコースティック・ギターが印象的な曲などもあり、そのどちらもけっこうシンフォニック。そんな曲たちの合間にほんのりサイケがかったニュアンスのあるオールド・スタイルなグループ・サウンズ風がまぎれてる、といった印象でしょうか。 (VINYL MAGIC: VM023 / イタリア盤CD) (2005.07.18)

O TERCO / CASA ENCANTADA (1976)   alla "Musica"
ヨーロッパとはちょっと違う丸くてあたたかいシンフォニック・ロックが収録されてます。アルバム冒頭のコーラスは、いかにも南米のラテン・ミュージックな感じです。一瞬、映画『Buena Vista Social Club (ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ)』の映像が頭をよぎりました。この雰囲気を保ったまま怒涛のシンフォニック・プログレッシヴに突入してくれたらいいなぁと、ちょっと期待したのですが、それ以後はほとんどラテン・ミュージックを感じることはなくて残念。全体にけっこう牧歌的な印象があり、なんだか平和な感じのする、なかなか気分のいいアルバムでした。 (VINYL MAGIC: VM024 / イタリア盤CD) (2005.06.04)



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QUATERNA REQUIEM / QUASIMODO (1994)
Quaterna Requiem(カテルナ・レクイエム)はブラジルのプログレッシヴ・グループらしいです。シンフォニック系グループとして日本でもそれなりに人気があるようで、なかでも『ノートルダムのせむし男』をテーマにしたこの『Quasimodo』はなかなかの力作と評判です。たしかに大仰なシンフォニック・アレンジとキーボードの渦は、なかなか聴きごたえがあります。聴きごたえはあるんですが、あまり重厚にならず「薄さ」を感じてしまうあたりは、やはり年代の差でしょうか。
すっきりとした音色のキーボードからは、ドラマティックさよりもさわやかさを感じてしまいます。また、このキーボーディストの演奏技術がなんか微妙で、ヘタというわけじゃないんだけどうまくもない、ときどきフィンガリングが怪しい、ある意味ハラハラさせるものになっています。キーボード・メインにギターが入るインスト曲が中心のアルバムだけに、キーボーディストの微妙な演奏技術はちょっといたいです。
曲的にも、ポンプ・ロック以降という感じで、往年のユーロピアン・プログレッシヴのような重厚長大さは求めるべくもないのですが、それでも一生懸命「ドラマ」と「厚み」を曲に与えようとしているんだろうなということは感じられますし、それは好ましいです。アメリカのシャープで乾いた明るさとは違う、なんとなくぽわ〜んとしたあたたかみも南米ぽくて(?)いい感じです。曲も演奏も録音も、どうも素人くさい感じがあって、1980年代のジャパニーズ・プログレッシヴ作品をちょっと思い出してしまいましたが、それも含めて「がんばっているな」というあたたかい目で見つめてあげることにしましょう。
アルバムのタイトル曲になっている「Quasimodo」ではグレゴリアン・チャントを導入するなど、ヨーロッパ的な美しさにも挑戦してます。でもやっぱり深遠にはならないところがかわいい(笑)です。 (QUATERNA REQUIEM/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: 107.249 / ブラジル盤CD) (2004.01.04)



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SAGRADO CORACAO DA TERRA / FAROL DA LIBERDADE (1991)   alla "Musica"
エレクトリック・ヴァイオリンの美旋律を中心に、しなやかで流れるようなシンフォニック・ロックが展開されます。ところどころフルートも加わり、ときにはPFMを思わせるようなきらびやかなアコースティック・ギターのアレンジなどもあり、聴きどころの多いアルバムといえるでしょう。けっこう演奏はテクニカルなんだけど、あまりそれを感じさせず、おおらかで暖かい印象を受けるのは、ブラジルだからなんでしょうか。ほどよく哀愁もあるのだけど、それがあまりシリアスな感じにならないのも、ヨーロッパとはちょっと違った肌触り。背景にある種の暗さとか重さとか湿りけといったもの、光と影の強いコントラストが感じられないところがヨーロッパのシンフォニック・ロックとは違う、ブラジリアン・シンフォニックの味わいなんでしょう。 (SONHOS & SONS / CRIME / KING RECORD: KICP 2726 / 日本盤CD) (2005.04.03)



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