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CANADA


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Cirque du Soleil / Gino Vanelli / Saga




CIRQUE DU SOLEIL / SALTIMBANCO (1992)   alla "Musica"
 カナダのサーカス・パフォーマンス・アート集団、Cirque du Soleil(シルク・デュ・ソレイユ)は、全体のステージをテーマを持ったトータル・アートとして表現するために、舞台のセットも、そして音楽も、それぞれのステージごとに、テーマに合わせて自分たちでつくります。いわば、サーカスにおけるオペラのようなものといっていいのではないでしょうか。オペラが、舞台を見ないで音楽だけでも充分に楽しめるのと同様、トータル・パフォーマンス・アートであるCurque du Soleilの作品も、音楽だけを聴いても充分に楽しめるクオリティを備えています。
 Saltimbancoというのは古いイタリアの言葉で「大道芸」を意味するそうですが、ヨーロッパから中近東へかけて旅をする大道芸人たちがそれぞれの地で眺めたであろう沈む夕日や、生きていることへの感謝、仲間たちに対する愛情といったものが、音楽のなかに織り込まれているような気がします。ギターがメインとなったフュージョン風のインスト曲は多少、イージーな感じが強くありますが、Francine Poitras(フランシーネ・ポワトラ)による、どこの国の言葉でもない言葉で歌われる曲は、広大な母なる大地を慈しむ敬虔な人々の想いが風に乗って聴こえてくるような、そんな情景が浮かびます。(2000.11.12)

CIRQUE DU SOLEIL / QUIDAM (1996)
Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)5回目の来日公演となる「Quidam」は、それ以前の来日で演じられた「Alegria」「Saltimbanco」よりも(初来日の「Facination」は見ていないんです)物語性の強い、とても感動的なステージでした。エンディングではほんと、思わず涙ぐんでしまいました。
サーカス・パフォーミング・アート集団、Cirque du Soleilのステージは、肉体を駆使したそれぞれの演目はもちろん、それらの演目の組み合わせも含めてステージごとにコンセプトとストーリーを持たせてトータルな舞台をつくりあげるのですが、同時に音楽もステージごとにオリジナルのものをつくっています。そしてこの音楽が、とてもクオリティが高いんです。いわばステージ音楽のサウンドトラックなのですが、独立した音楽作品としても充分以上に楽しめます。
この『Quidam』も、オープニングのドラマティックなオーケストレーションとコーラスでいきなり感動できます。ヨーロッパ的なクラシカルな雰囲気には、ある種の神聖をも感じます。ほかにも、リズミックな曲、お祭り風の曲、センチメンタルなバラードなどもあり、バラエティ感がありますが、だからといってアルバムとしてバラけた印象にならないところがさすがです。また、この作品では東洋的な哀愁を漂わせるところもけっこうあり、彼らがもともと持つユーロ色とうまくあわさって、独特の情感を醸し出しています。
曲のインパクトや哀愁度では『Alegria』のほうが少し優るかなとも思いますが、舞台と同様に音楽でも「ストーリーを感じさせる」という点では『Quidam』も互角以上のクオリティの高さでしょう。アルバムの最後に収録されたテーマ曲「Quidam」を聴くと、ステージのフィナーレでの感情の高ぶりが思い出されます。(2003.06.15)

CIRQUE DU SOLEIL / DRALION (1999)   alla "Musica"
2007年に日本でも初上演された「Dralion」のサウンドトラックです。中国で幸運のシンボルとされる竜(ドラゴン)と西洋のライオンが合体したドラリオン(Dralion)がテーマだからか、音楽もどことなくエスニック。ただ、そのエスニックさが、東洋風というよりはアラブやエジプト、あるいはアフリカ風だったりするところに、西洋人らしいある種の誤解を感じます。アレンジも、演奏も、なんか、どこかとってつけた感があって、自分の好み的にはもうひとつでした。 (CIRQUE DU SOLEIL / RCA VICTOR / BMG CLASSICS: 09026-63559-2 / アメリカ盤CD) (2007.05.27)



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GINO VANELLI / CANTO (2002)   alla "Musica"
名前からしていかにもイタリア系ですが、カナダ人だったと思います。1980年ころにアメリカでAORブーム?があったときにけっこう人気があった気がします。以前はずっと英語で歌ってたように思うのですが、このアルバムでは半分くらいがイタリア語で歌われています。さらにM7「Mala luna」はスペイン語、M8「Joli coeur」はフランス語だそうです。ゆったりとした大きなメロディを持ったバラードにオーケストラを存分に配したアレンジという曲が多く、なかなかドラマティックではあります。メロディもきれいだし、曲の構成もそれなりにいいし、スケール感もあります。(VIK/BMG CANADA/BMG FUNHOUSE: BVCM-31106 / 日本盤CD) (2004.05.09)



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SAGA / FULL CIRCLE (1999)   alla "Musica"
カナダのヴェテラン・プログレッシヴ・ハード・グループだそうですが、ぜんぜんプログレッシヴな匂いがしません。普通の、ありきたりのハード・ロック。曲の構成が単純なのに、印象的なメロディがないから、記憶に残らない。リズム・パターンも単調で、曲のなかでのドラマ性が希薄。アレンジも演奏技術も並。ファンの方には申し訳ないけれど、自分には雰囲気だけのキーボード入りハード・ロックという印象しか残りませんでした。 (STEAMHAMMER/NIPPON CROWN: CRCL-4739 / 日本盤CD) (2006.03.21)



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