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D


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Daniele Fossati / Daniele Groff / Daniele Nova / Daniele Sepe / Daniele Silvestri / Danilo Amerio / Dario Baldan Bembo / Dario Vergassola / David / Davide Buzzi / Davide De Marinis / Davide Spitaleri / Deidda / Dino Rocchi / Domenico Modugno / Donatello / Drupi

*** canta(u)trice ***
Dodi Moscati / Dolcenera / Donatella Moretti / Donella Del Monaco

*** gruppo ***
Daemonia / Daniel Sentacruz Ensemble / Delirium / Denovo / La differenza / Dirotta su cuba / Dottor Livingstone





DANIELE FOSSATI / same (1994)
 ダニエーレ・フォッサーティ(Daniele Fossati)は、2枚ぐらいアルバムがあるらしいです。自分は聴くのがはじめてで、安く売ってたので試しに買ってみたのですが、なかなかよいアルバムでした。
 南国の大地を思わせる、生命の力強さを感じさせます。古の天体図らしきものをCD盤やブックレットに印刷してあるので、太古の天文学などがテーマになっているのかもしれません。ギターやキーボードを中心に、ちょっと神秘的で豊潤な音空間が演出されています。このあたりは、プロデューサー&キーボードで参加しているロベルト・コロンボ(Roberto Colombo)の力かな。
 流れるような美しいメロディを聴かせるタイプではなく、ちょっと引っかかるような、いくぶん語りにも似た素朴な唄い方をするダニエーレは、決してうまいとは思いませんが味があります。(1999.04.04)



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DANIELE GROFF / VARIATIO 22 (1998)
 Daniele Groff(ダニエーレ・グロフ)はキーボードも弾く(アルバム内ではチェンバロの演奏も聴かせてくれる)ようですが、基本的にはギター弾きみたいです。曲の感じもギター弾きがつくったものらしい感じです。
 基本的には最近はやり(?)のブリティッシュぽい、ちょっと重い感じのものですが、アルバムの中間部ではオーケストラをバックにカンタウトーレらしい世界を見せてくれます。バロック風のアレンジもあり、プログレッシヴ・カンタウトーレ風でもあります。
 とはいえ、全体的にはイタリアぽさはあまりなく、肌触りの荒いギターのストロークを中心としたもので、ちょっと自分のタイプではありませんでした。(1999.05.10)

DANIELE GROFF / BIT (2001)   alla "Musica"
 ブリティッシュ・ポップ的な雰囲気を持ちながらも、イタリア的な柔らかさと美しさも持った、おだやかなものが中心となっています。オーケストラも使われ、たおやかでクラシカルなテイストがあります。ミディアム・テンポの曲が多く、メロディも綺麗です。聴きやすく、ポップで、メロディアスで、イタリアらしい要素もたくさんある、イタリアン・ポップスの初心者などにも馴染みやすそうなアルバムです。(2001.05.20)



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DANIELE NOVA / CIELO MIO, CIELO TUO (2004)   alla "Musica"
ちょっとクセのある、喉を絞められたような少し高くて細い感じのひび割れ声。曲調は基本的にストレートなロックですね。豊かに響くギターのコード・ストロークが心地いいです。音がでかいとか分厚いとかいうわけではなく、またみっちりとしているわけでもないのだけど、アンサンブルとして奥行があり、たくさんの音があり、だけどきちんと音が広がる余白もあるアレンジ。歌メロも、派手でも激しくもないけれど、素直なメロディと構成で、でも迫力もあり、流れもあり、心地いい。ときにはメロトロンまで持ち出して、けっこう深みのある演奏を聴かせてくれます。けっして派手さや突出したところはないのだけど、素直に「なんかいいなぁ」と思ってしまいました。 (MOON STUDIOS / JUNGLE SOUND / UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 3000008 / イタリア盤CD) (2004.12.25)



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DANIELE SEPE / VITE PERDITE (1994)   alla "Musica"
 ラップ、ヒップ・ホップからトラッド、中世音楽まで、雑多なジャンルの音楽で構成されています。雑多ではあるのですが、それぞれの曲に生命の力強さを感じるあたりは、ある意味とてもナポリ的といえると思います。  南イタリアから地中海を渡ってギリシャ、アフリカあたりまでの音楽のエッセンスが混じりあっていて、地中海を中心とした幅広い地域の音楽を感じさせます。(1999.12.05)



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DANIELE SILVESTRI / same (?)
 カンタウトーレの多くは、自分で曲をつくって歌うだけでなく、なんらかの楽器も演奏します。ほとんどの場合、演奏する楽器はギターかキーボードなのですが、Daniele Silvestri(ダニエーレ・シルヴェストリ)はその両方を扱うようです。ただ、クレジットを見る限り、ギターよりはキーボードのほうが得意なのかもしれませんが。
 ちなみに、ギターを使って作曲された曲と、キーボードを使って作曲された曲の間には、なんとなく肌触りの違いのようなものがあるように思います。そして、このアルバムに収録されている曲は、基本的にギターで作曲されたもののように感じます。
 Danieleの音楽は、イタリアン・ポップスというよりはロック・ヴォーカルなのでしょう。ラップ的な早口ヴォーカルを入れたり、ジャズ・ファンクっぽいブラスやコーラス・アレンジがあったりと、あまりイタリア的ではありません。しかし声には力強さがあり、ヴォーカリストとしては力量があるといえるでしょう。
 曲のタイプがメロディ・オリエンテッドというよりはリズムやインパクト重視なため、イタリアン・アーティストとしてのアイデンティティはあまり感じませんが、どこかパシッと決まりきらない、粘りのあるリズムや、アクセント的に現われるスパニッシュ・テイストのギターなどに、ユーロピアン・アーティストらしさは感じられます。曲の感じからすると、どちらかというと通好みなシンガーかもしれません。
 クレジットのところに「このアルバムをサラ(Sara)の思い出に捧げる」とあるのですが、女性に捧げられているわりにはロマンティックさや甘さ、あるいは情熱といった印象はなく、どちらかというと冷めた感じのするアルバムでした。(2000.06.17)



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DANILO AMERIO / DANILO AMERIO (1994)   alla "Musica"
 ひび割れた声でゆったりとしたメロディを熱唱するスタイルは、Marco Masini(マルコ・マジーニ)によく似ていると思います。イタリアらしい明るさと暖かさ、そして胸にしみる哀愁が入りまじった曲調もMarco風です。ただ、Marcoほどの大仰な感じ、くどい感じはなく、意外とあっさりめに仕上がっています。たぶん、曲の終わり方に引きずるようなところがなく、すんなりと終わるからなのでしょう。収録されている曲も、哀愁たっぷりの熱唱バラードや軽やかなポップスなど、比較的バラエティ感があり、途中で飽きたり胃もたれしたりせずに聴けます。(2002.07.21)

DANILO AMERIO / FIDATI DEL TUO CUORE (1999)
 多くのイタリアン・ポップス・ファンの間で「とてもよい!」と評判の、Danilo Amerio(ダニロ・アメリオ)のアルバム。ちょっと高めのしわがれ声は芯が太く、イタリアンだみ声ファンならきっと気に入るはずです。
 もともと彼は楽曲提供者として実績のある人なんだそうで、これまでにも3〜4枚のアルバムをリリースしているそうです。東京・高田馬場の専門店Casa Biancaの福田店長によると、以前はこんなにガラガラ声ではなかったとのこと。
 収録されている曲は、ポップながらも伸びやかで美しいメロディに満ち溢れた、まさにイタリアン・ポップスといったもので、メロディ重視派カンタウトーレのおいしさを満喫できるものになっています。たとえば、Paolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)の初期のころから切なさを少しそいで前向きさと力強さを加えたらこんな感じだろうかと思わせる曲、Marco Masini(マルコ・マジーニ)Fausto Leali(ファウスト・レアーリ)を思わせるヴォーカル・スタイルなど、好きな人にとっては気になるに違いないキーワードが、アルバムのなかにいくつも見つかります。
 どちらかといえば濃ゆい系の音楽ですが、合間に見える古いフォーク・ソングのような素朴さがまた、心に染みます。(2000.02.11)

DANILO AMERIO / ALI DIGITALI (2002)   alla "Musica"
 タイトルからすると、デジタル社会のことを歌っているのでしょうか。イタリアらしいパッションや哀愁を持った曲が多いですが、ところどころで東洋やアフリカなどを感じさせる部分もあります。リズムはデジタリックですが、生ストリングスの響きが「生きている」感じを与えているため、騒がしくも冷たくもなりません。あらためて、やはり生のストリングスの質感はいいものだなと感じます。(2003.04.20)



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DARIO BALDAN BEMBO / AMICO E'(inno dell'amicizia) ( ? )   alla "Musica"
 ダリオ・バルダン・ベンボ(DARIO BALDAN BEMBO)の1980年代初頭の曲を集めたベスト盤。アレンジャーや作曲家としても有名な人ですが、ソロ・シンガーとしても何枚かアルバムを出しています。
 シンガーとしては決してうまくないと思うし、曲調も古臭い感じ。カンツォーネ/イタリア歌謡の流れの上にある音楽だと思います。イージーリスニング的な印象もあります。(1998.12.06)

DARIO BALDAN BEMBO / UN PO' PER VIVERE UN PO' PER SOGNARE ( ? )
 主にサントラに使われた曲を集めたベスト盤のようです。
 Dario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)のCDは他にも2枚、ベスト盤を持っているのですが、じつはそれほど自分は好きじゃありません。メロディやアレンジは、ちょっとアメリカ風なところやイージーリスニング風なところはあるにせよ、それなりにイタリアらしいやわらかさを持っているので、タイプ的には自分の守備範囲のはずなんだけれど、彼のヴォーカルが自分の心には響かないんです。彼の声や唄い方の持つ特徴が、自分の波長と合わないのでしょう。
 決して悪くないし、彼の唄が好きな人もたくさんいるに違いないし、ある点では自分向きであることも間違いないのだけれど、どうも好きとか嫌いといった感情が彼に対しては湧きません。(1999.05.08)

DARIO BALDAN BEMBO / LE PIU' BELLE CANZONI DI (1998)
 Dario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)の1970年代のアルバムは、厚いオーケストレーションが施された極上のイタリアン・シンフォニック・ポップスらしいという評判を聞き、以前から「いつかは聴いてみたい」と思っているのですが、残念ながらいまのところ、アルバム単位のCD再発がないため、まだ聴けずにいます。
 その代わり、ベスト盤CDが何種類か出ているので、そのうちの何枚かを手に入れたのですが、それらを聴く限りでは正直なところ、ただのイタリアン・ポップスといった感じでした。たしかにメロディはいいけど、歌は下手だし、アレンジも極上シンフォニックといったものはなく、落胆したのも事実です。
 でも、Polydorからリリースされたこのベスト盤CDは、その落胆を吹き飛ばすに充分なものでした。
 1970年代のオリジナル録音から集められた10曲は、噂どおりの厚いオーケストレーションが施された極上のイタリアン・シンフォニック・ポップスといえます。Dario Baldanのあまり上手でないヴォーカルも、こういった少し古めの厚いアレンジの中ではかえって味わいを増します。人声によるコーラスも随所で使われていて、合唱ポップス(?)ファンの自分としてはうれしいです。
 こういった路線であるなら、やはりオリジナルなアルバム単位で聴いてみたいなと思います。新録のベスト盤などは最近もリリースされているようですが、ぜひアルバム単位での再発を期待したいです。(2000.05.14)



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DARIO VERGASSOLA / LUNGA VITA AI PELANDRONI (1999)
 ジャケット写真を見るかぎり、けっして若くはないDario Vergassola(ダリオ・ヴェルガッソラ)。もしかしたら活動歴の長い人なのかもしれませんが、自分は名前を聞くのもはじめてです。
 ひび割れのない高めの丸い声が心地よいシンガーです。ひび割れてはいないけれど、完全なクリア・ヴォイスというわけではなく、ほんの少しだけにごりがあります。このにごりは嫌なものでなく、これがあるために人間的な暖かさ、優しさが感じられるといえるでしょう。
 あっさりとしたキーボード・アレンジとアコースティック・ギターによる演奏はおだやかで、Darioの優しい声と溶け合い、緩やかな時間で聴き手を包み込みます。
 派手なところはほとんどありませんが、説得力型のカンタウトーレというわけでもありません。しかし、美しいメロディがたくさんあります。なんとなくあったまる感じの作品です。(2001.02.18)



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DAVID / DATEMI IL TEMPO (1998)
 フォークタッチのやわらかい音色は、ちょっとAORを思わせます。アコースティック・ギターを中心とした、さわやかで明るい曲想は、オーソドックスなイタリアの美しさとは少し違いますが、英米のポップス・ファンにはかえって馴染みやすいのではないでしょうか。さわやかな初夏の風が似合うような音楽です。
 曲の背景に深みや重さをあまり感じさせないのは、最近の若いシンガーの傾向のようです。いいメロディは持っているので、もっと雰囲気や個性が出てくるようになれば、なかなかいいカンタウトーレになるかもしれません。(1999.09.12)



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DAVIDE BUZZI / IL DIAVOLO ROSSO (1998)
 このアルバムには「Romaneschi」という副題がついているのですが、どうやらPlinio Romaneschi(プリニオ・ロマネスキ)という人物がテーマになっているようです。このロマネスキ氏がどんな人物なのか、自分は知らないのですが、ライナーを見るかぎりでは、アクロバット飛行などをするスタントマンだったようです。
 音楽的にはアクロバット飛行もスタントマンもとくに感じさせない、古いタイプのアコースティック・フォーク・ロックといったところでしょうか。響きのいいアコースティック・ギターをメインにした非常にシンプルな演奏に、Davide Buzzi(ダヴィデ・ブッツィ)の抑えたヴォーカルが乗るといったスタイルです。
 盛り上がる構成や演奏技術、パワーで聴かせるといったタイプではなく、メロディや展開、歌い方ともに淡々としていますが、カンタウトーレらしいロマンティックな曲想を持っています。曲の持つ情報の絶対量が少ない分、聴き手が自由に映像をイメージできるタイプの音楽といえるでしょう。
 ただ、数曲で女性とデュエットしているのですが、これはいらなかったなぁ。せっかくのDavideの味わいある歌がぶち壊しに感じます。(1999.12.05)



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DAVIDE DE MARINIS / QUELLO CHE HO (2000)   alla "Musica"
Davide De Marinis(ダビデ・デ・マリニス。1971年、ミラノ生まれだそうです)の、これはデビュー・アルバムでしょうか。もともとはたしか、1999年にリリースされていたものだと思いますが、2000年のサンレモ音楽祭新人部門参加を受けて、参加曲のM1「Chiedi quello che vuoi」を追加のうえ再発されました。このアルバム、なんだか不思議な魅力を持っています。気持ちのいいギターのカッティング。粘りのある声。リズム隊もスッキリしててなかなかいい。ときにラテン・ポップ風であったり、一瞬Eros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)がおとなしくなったような印象を受けたり、不意にLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)の影が横切ったような気がしたり。一見、軽快なだけのポップスのように見えて、実は演奏やアレンジがきちんと過不足なく練られている。なかなかクオリティの高い作品です。 (EMI MUSIC ITALY: 5 25486 2 / イタリア盤CD) (2005.10.10)

DAVIDE DE MARINIS / COME DA 2 LUNEDI (2006)   alla "Musica"
重く、ときに引きずるような音を持ったロックっぽい演奏。ドラム・マシンを多用し、わざと安っぽいキーボードのアレンジを組み合わせるところなど、最近の若いイタリアン・ロック・グループに見られる傾向ですね。そして、Tiziano Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)の成功以降(か?)急速にイタリアン・ポップス界に広まったソウル/R&B風味のヴォーカル。なんか、すごく「流行にひよった」印象を受けてしまいます。ファースト・アルバム『Quello che ho』は不思議な魅力のあるアルバムで、流行とは関係なく、淡々と素直に自分の世界を表現していたところが魅力的だったと自分は思っているのですけれど、残念ながらこのサード・アルバムは、Davide De Marinis(ダヴィデ・デ・マリニス)本人の姿がよく見えない気がします。オーヴァー・プロデュースなのかなぁ。 (FMA EDIZIONI MUSICALI E DISCOGRAFICHE / DELTADISCHI: FM22567-1074/2 / イタリア盤CD) (2007.05.27)



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DAVIDE SPITALERI / UOMO IRREGOLARE (1980)   alla "Musica"
 1970年代に活動していたプログレッシヴ・グループ、Metamorfosi(メタモルフォシ)のヴォーカリストによるソロ・アルバム。春のような暖かさを思わせ、それでいてどことなくプログレッシヴ・ロックの香りが感じられるカンタウトーレ作品です。(2000.05.14)



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DEIDDA / L'ERA DEI REPLICANTI (1997)   alla "Musica"
 フルネームはマリアーノ・デイッダ(Mariano Deidda)というようです。素性はわかりません。地味なんですが、とても映像的でよいアルバムです。(1998.06.28)

DEIDDA / INTERPRETA PESSOA (2001)
 Deidda(デイッダ)といえば1997年にリリースされたアルバム『L'era dei replicanti』がなかなか趣のある作品で気に入っていました。その後ほとんど名前を聞くことがなかったので、アルバム1枚で活動をやめてしまったのかと思っていたのですが、いつのまにかニューアルバムがリリースされていました。
 『L'era dei replicanti』は最初の2曲がスパニッシュで南欧風な哀愁の漂う曲で、そのあとは映像が浮かぶようなイマジナリーな曲が収録されたカンタウトーレ作品でしたが、2001年にリリースされたこのアルバムは、まったく印象が違います。生ピアノ、ウッドベース、サキソフォンを中心にしたアコースティックな作品になっていて、印象としては古いヨーロッパ歌曲+スロージャズ+ヒーリング系といったところでしょうか。どことなくMary Hopkin & Oasis(メリー・ホプキン&オアシス)のアルバムを思い出しました。
 M1「Potessi essere」からM3「Un bacio solo」は弦楽と生ピアノを中心にした、沈んだ感じのスロー・チューン。M4「Le metafisiche」はウッドベースと生ピアノに抑えたヴォーカルとサキソフォンがからむ、ジャズ・バーが似合いそうなスロー・ナンバー。M7「Misteriosa orchestra」は女性ヴォーカルとのデュエットで、古いヨーロッパ歌曲のような肌触りがあります。
 静かで落ち着きのあるヴォーカルは、あいかわらず味わいがあるのですが、曲調や演奏に変化がないため、アルバムを通して聴くと少し退屈でした。(2002.10.19)



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DAEMONIA / DARIO ARGENTO TRIBUTE (2002)
Daemonia(ダエモニア)は、Dario Argento(ダリオ・アルジェント)監督のホラー映画『Profondo Rosso(邦題「サスペリア2」)』のサウンド・トラックでアルバム・デヴューしたGoblin(ゴブリン)の中心人物、Claudio Simonetti(クラウディオ・シモネッティ)によるプロジェクト。
デヴュー作となるこれは、タイトルどおり、Dario Argento作品へのトリビュート・アルバムとなっています。収録されているのはどれも、Dario監督によるホラー映画に使われた曲たち。Goblinが音楽を担当したものだけでなく、Keith Emmerson(キース・エマーソン)Ennio Morricone(エンニオ・モッリコーネ)による曲も演奏されています。
もともとがホラー映画用の曲ということもあり、一般のロックやポップスとは印象が異なります。とはいえ、サントラ曲にありがちな「画面や映像なしで曲だけ聴くのはちょっとしんどい」ということはなく、まずまず楽しませてくれます。混声合唱なども導入し、ドラマティックな面も見せますし、演奏力も高く、テクニカルでスリリングなアンサンブルとホラー映画音楽らしい恐ろしげな重低音とのバランスもいいです。
これで、それぞれの曲に印象的でドラマティックなヴォーカル・ラインがあり、それをパワフルかつパッショネイトに歌いきれるヴォーカリストがいれば、自分の好みにかなり近づくのですが、残念なことにインストゥルメンタル中心です。映画用音楽を集めて演奏するというプロジェクトのコンセプトからすれば、しかたのないことではありますが。
それと、打ち込みドラムの派手なキック音が目立つのは少し興ざめです。名曲「Profondo rosso」も派手な、よくいえば現代的なアレンジが施され、オリジナルが持っていた「水が滴るような恐ろしさ」が消えてしまった気がします。(2003.06.15)



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DANIEL SENTACRUZ ENSEMBLE / MADE IN ITALY (2004)   alla "Musica"
自分が子供のころに放送されていた人気バラエティ番組「カックラキン大放送」のエンディング曲を覚えていますか? 「楽しかったひとときが、いまはもうすぎてゆく」という歌詞だったと思います。この曲のオリジナルは、イタリアのDaniel Sentacruz Ensemble(ダニエル・センタクルツ・アンサンブル)というグループの「Soleado」という曲だったのです。日本のイタリアン・プログレッシヴ・ファンにはCiro Dammicco(チロ・ダッミッコ)がいたグループということで知られていますね。「Soleado」は印象的な美しいメロディを持った曲ですが、BGM的です。そしてこういった曲調は、このグループの印象そのものといった感じがします。Albatros(アルバトロス)のような、いわゆるイージー・リスニングを演奏するグループだと思います。 (EMI MUSIC ITALY: 7243 866096 2 5 / EU盤CD) (2004.02.05)



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DELIRIUM / III - VIAGGIO NEGLI ARCIPELAGHI DEL TEMPO (1974)   alla "Musica"
 最初期にはイヴァーノ・フォッサーティ(Ivano Fossati)が在籍していたことで知られるデリリウム(Derilium)。非常にイタリアン・ロックらしい演奏が聴けます。フルートやストリングスを大幅に導入しているのに華麗になりきれず、どこか野暮ったかったりするあたりは、かえって魅力だと思います。ほのかなジャズ風味もアクセントとして効いているといえるでしょう。
 ドタバタしたリズム、むりやりな曲展開、力強いしわがれ声ヴォーカル──どれも往年のイタリアン・プログレの味わいがあります。いくぶんハードでギザギザしたギターの音などは、オザンナ(Osanna)などに通じるところもあるかも。熱いイタリアン・プログレが好きな人なら楽しめるアルバムじゃないかな。(1999.04.04)



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DENOVO / VENUTI DALLE MADONIE A CERCAR CARBONE (1989)   alla "Musica"
シチリア州カターニア出身のポップ・ロック・グループ。中心メンバーはMario Venuti(マリオ・ヴェヌーティ)Luca Madonia(ルーカ・マドニア)のふたりで、どちらもグループ解散後、ソロ・アーティストとしてアルバムを何枚か出しています。ふたりとも、ヴォーカルをとり、ギターを弾き、キーボードも演奏します。ヴォーカルを取れるフロントマンがふたりいるということで、MarioLucaによるヴォーカルのコンビネーションとかハーモニーとか楽しめるのかなぁと思ったのですが、少なくともこのアルバムでは、そういうことはありませんでした。アルバムのオープニングはLucaによる「Buon umore」。アコースティック・ギターのアルペジオから始まるイントロが印象的です。どことなくミステリアスな雰囲気もたたえていて、このあとの展開が期待されます。Marioの書く曲にはほんの少しパンキッシュな風味があり、Lucaの曲はオールド・スタイルな雰囲気です。 (UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 838920-2 / EU盤CD) (2005.10.10)



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LA DIFFERENZA / PRESO! (2005)   alla "Musica"
2005年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Che faro'」を収録した、La differenza(ラ・ディッフェレンツァ)のアルバムです。「Che faro'」はマイナー調で古いブリティッシュの香りがするノスタルジックな哀愁炸裂のバラード系ポップスでしたが、アルバム全体を聴いてみると、こういったマイナー系の曲は少ないみたいです。メジャー・キーでミディアム・テンポの、けっこう軽快な曲がたくさんあります。なんとなく演奏にチープ感を漂わせて人懐こい感じを醸しつつ、シンセサイザーのオーケストレーションなんかは意外と分厚いという、チープなのにファットというなかなかいい感じの演奏を聴かせてくれます。 (STEP MUSIQUE RECORDS/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: SMR 519728 2 / オーストリア盤CD) (2006.01.29)



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DIROTTA SU CUBA / FLY (2002)   alla "Musica"
非常にスタイリッシュで、リズムを強調したR&B/ファンキーな曲もあれば、美しいバラードもあります。ときにゴージャスな、ときにシンプルな演奏も、よく考えられてアレンジされてると思います。歌も上手です。これといった癖もないので聴きやすく、メロディも悪くないし、なかなか楽しいポップス・アルバムだと思います。けっこう重いベースが今風? ヴォーカルそのものはそれほどソウルフルじゃないけど、伸びやかで力のある歌声。歌詞意外ではほとんどイタリアを感じさせない洗練されたメロディと演奏。「イタリアの」ということにこだわらないポップス・ファンにはアピール度が高いでしょう。曲・演奏のクオリティも高いと思います。 (CGD EAST WEST: 0927 47209-2 / ドイツ盤CD) (2005.04.03)



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DOTTOR LIVINGSTONE / L'ASSENZA (2005)   alla "Musica"
いろんな表情を持った曲が入っていて、けっこうカラフルな印象です。デジタルなビートやシンセサイザーの響きがあるかと思えばストリングスやピアノのアコースティックな響きがかぶさってきたり、ヴォーカルも無機質だったり妖しい魅力を漂わせてみたり。ヴォーカリストのAnna Basso(アンナ・バッソ)は、クールに抑えて歌うときと、ほどよくエモーショナルに歌うときがあるようですが、エモーショナルに歌うときの歌い回しがなんとなく、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)が抑えて歌っているような印象で、けっこう気に入ってしまいました。声質もそれなりに個性があり、演奏とのマッチングもいい。アルバム全体に、なんだかアーティスティックな雰囲気がただよっています。 (DOTTOR LIVINGSTONE: DRLV001 / イタリア盤CD) (2006.07.02)



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DINO ROCCHI / ANIMA E CORPO (1999)
 Dino Rocchi(ディーノ・ロッキ)はジャケット写真を見る限り、まだ若いシンガーです。そして、カメラマンにそう指示されたのかもしれませんが、少しナルシストが入っているように思います。
 曲のタイプとしては、最近のポップス系カンタウトーレらしい明るさとさわやかさ、それに少しアメリカ的な乾いた感じのするものです。ただ彼は、自分で曲を書くカンタウトーレではなく、他人の書いた曲を歌うカンタトーレのようです。このアルバムには、自作の曲が1曲もありません。
 カンタウトーレではなくカンタトーレとして聴いた場合、とくにこれといった特徴がなくなってしまいます。けっしてヴォーカリストとしてうまい、優れているというわけではないですし、声もイタリアのシンガーにありがちなものです。歌は下手ではないけど、平凡です。カンタウトーレなら曲づくりの面で個性を出す方法もありますが、たんなるカンタトーレでは、よほど精進しないと、Dino Rocchiというシンガーのポジションをイタリアン・ポップス界に確立していくのは難しそうです。
 曲も歌もけっして悪くはないので、アルバム単体としてその時その時を楽しむ分には充分です。たぶんこれは彼のデヴュー・アルバムではないかと思いますが、1枚目としては及第点といえるでしょう。次のアルバム(があるとして)でどのような成長を見せるか、見せられるかが、ミュージシャンとしてのDinoの今後を大きく左右しそうです。(2000.08.13)



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DODI MOSCATI / BACIO DI CANE BACIO DI GATTO (1997)
 Dodi という名前なのに、なぜか女性だったドディ・モスカーティ(Dodi Moscati)。トスカーナ出身のフォーク歌手だそうですが、もう亡くなってしまったとか。
 どことなくシャンソンやトラッドの雰囲気もありますが、土着的なリズムやしゃがれた声、地を這うようなベースなど、意外とプログレ・ファン寄りな感じです。(1998.06.28)



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DOLCENERA / IL POPOLO DEI SOGNI (2006)   alla "Musica"
2006年のサンレモ音楽祭参加曲「Com'e' straordinaria la vita」を収録したサード・アルバムです。ひび割れた歌声は自分の好みですし、歌唱力・表現力もあります。曲も悪くありません。なので、1曲もしくは数曲聴く分には、とても引かれます。だけど、大半がスローかミディアム・スローのロック・バラード系で意外と曲やアレンジ、リズム、テンポのバリエーションが乏しいため、アルバム全体を通して聴くと退屈を感じてしまいます。 (AMARENA MUSIC / EDEL: 0170452ERE / EU盤CD) (2007.07.29)



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DONATELLA MORETTI / LAUDES DELLA SPERANZA E DELL'AMORE (2001)
 Donatella Moretti(ドナテッラ・モレッティ)という人のCDを聴くのははじめてです。普段はどういう曲を歌っている人なのかわかりませんが、このアルバムはおそらく聖歌集かなにかでしょう。ジャケットもグレゴリオ聖歌の楽譜に中世の(?)宗教画を重ねたものですし、収録されている曲もポップスには程遠いです。
 Donatellaの力強い主旋律に混声合唱がかぶさり、オルガンとオーケストラが演奏を受け持ちます。ドラムなどのリズム・セクションは入っていません。作詞はLino Matti(リーノ・マッティ)、作曲とオーケストレーションはLuigi De Angelis(ルイジ・デ・アンジェリス)という人ですが、宗教音楽で知られた人なのでしょうか。
 どの曲もホーリーな雰囲気にあふれています。ただ、完全な宗教音楽や聖歌というには、受ける印象がとてもポップ。おそらくDonatellaの歌い方がそれほど宗教曲ぽくないからでしょう。ちょっと一本調子かなとも思いますが、それがかえって大衆歌としての聴きやすさを与えるのに役立っているといえそうです。逆にいうと、クラシックや宗教音楽のファンから聴くと物足りないのかもしれません。
 ポップス作品ではないので、いわゆる一般のポップス・ファンにはなじみにくいかもしれませんが、シンフォニック・ポップスや合唱系プログレッシヴ・ロックなどが好きな人には楽しめるのではないでしょうか。もっと単純に、クリスマス関連の企画アルバムとして接するほうがよいのかな。いずれにしろ、自分にとっては充分に守備範囲にある作品だし、楽しめました。(2003.01.26)



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DOMENICO MODUGNO / same (1987)   alla "Musica"
 1950年代から60年代までの曲を集めた、Fonit Cetraレーベルによるベスト盤。新録ではなく、オリジナル録音を集めたもののようです。収録されている曲は英米の50's、60's的なところもありますが、それぞれがイタリアらしい柔らかさと可愛らしさを持っていて、今に続くイタリアン・ポップスの黎明を感じさせます。(2000.08.13)



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DONATELLO / BALLANDO AL BUIO (1995)   alla "Musica"
 やわらかく素直な声はのびもあって、歌はうまいほうだと思います。歌メロも、ひとつひとつのフレーズにはなだらかな美しさがあり、ロマンティックな感じがします。
 ただ、ヴォーカルや演奏にもう少し、表現力や瞬発力、爆発力といったものがあれば、もっと印象的になったであろうと思わせるところが多いのが、ちょっと残念です。(2000.09.16)

Donatello / i Successi di Donatello (1997)
 1970年代から活動しているドナテッロ(Donatello)のベスト盤(たぶん新録)。中低音の落ち着いた声を持ったシンガーです。ロック色はなく、カンツォーネやイタリア歌謡の流れを汲む、素直なメロディが魅力です。
 穏やかで暖かい陽の光と、さわやかに乾いた風が似合いそうな、明るいイタリアを思わせる曲がたくさんあります。(1998.12.06)



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DONELLA DEL MONACO / SHONBERG KABARETT 2 (1989)
 このCDは、1978年にLPでリリースされた『SHONBERG KABARETT』のLP片面分+新録音という構成になっているのだそうです。
 Shonberg(シェーンベルグ)というと無調による現代(近代?)音楽の巨匠というイメージが自分にはあります。そのShonbergの曲をOpus Avantra(オパス・アヴァントラ)のソプラノ歌手、Donella Del Monaco(ドネッラ・デル・モナコ)が歌うというのですから、かなりシリアスで暗く重いものになるかと、アルバムを聴く前は思っていました。
 しかし、実際に聞こえてきた音楽は、ヨーロッパ的な落ち着きとある種の暗さを持ちながらも、世俗的なイメージの感じられるものでした。それもそのはず、歌われているのはShonbergがキャバレー音楽として書いたものなのだそうです。
 キャバレー音楽というと、もう少しジャズ的要素の強いものを自分は思い浮かべてしまいます。たとえばJulverne(ジュルヴェルヌ)のアルバム『Emballade』で聴ける音楽などは、とてもヨーロッパのキャバレー音楽的だと感じます。
 でもDonellaのこのアルバムは、それよりもかなりシャンソンに近いように感じます。それは、演奏が生ピアノとDonellaのヴォーカルだけというシンプルなスタイルだからでしょう。
 こういった音楽の中心リスナー層はどこにあるのかわからないのですが、個人的には、DonellaOpus Avantraで歌っているほうが輝いているように思います。彼女の質感のある声は、もっとたくさんの楽器郡に囲まれていたほうが映えるのではないでしょうか。(2000.10.15)

DONELLA DEL MONACO / FRAGMENTS 1975-2002 (2002)   alla "Musica"
 イタリアン・プログレッシヴ・ロックの至宝ともいえるOpus Avantra(オプス・アヴァントラ)の歌姫、Donella Del Monaco(ドネッラ・デル・モナコ)のソロ・アルバム。1975年から2002年に収録された短い曲が多く収められています。どれもオーソドックスなシャンソンや大衆歌、宗教歌といった印象がありますが、そのなかに2曲収められているOpus Avantraの曲は、やはり他とは異なった詩情と深み、ふくらみがあり、Donellaのヴォーカルがより生きるように感じられます。(2002.05.19)



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Drupi / Drupi (1996)
 美しいイタリアン・ポップスのよさが全面に現われてますね。ドラマティックで暖かくて、とてもいい感じです。(1998.04.29)

Drupi / Bella e Strega (1997)
 先月買った96年のアルバムがけっこうよかったので、去年出たアルバムを買ってみました。軽いポップ・ロックでイタリアっぽさがあまりなく、自分はそれほど気に入りませんでした。(1998.05.31)



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