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F


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Fabio Brescia / Fabio Celi / Fabio Concato / Fabio Roveroni / Fabio Tettoni / Fabrizio Casalino / Fabrizio Consoli / Fabrizio De Andre' / Fabrizio Moro / Fausto Leali / Fausto Rossi / Federico Poggipollini / Federico Sirianni / Federico Straga / Filippo Malatesta / Flavio Giurato / Flavio Oreglio / Francesco Baccini / Francesco Boccia / Francesco De Gregori / Francesco Guccini / Francesco Nuti / Francesco Renga / Franco Battiato / Franco Califano / Franco Fasano / Franco Maria Giannini / Franco Mussida / Franco Simone

*** canta(u)trice ***
Filippa Giordano / Fiordaliso / Fiorella Mannoia / Flavia Fortunato

*** gruppo ***
Fandango / i Flashmen / Fratelli d'Itano / FSC / Funambolici Vargas





FABIO BRESCIA / LANGUAGE (1998)
 ラップなども多用した、現代的なポップ・ミュージックが聴けます。ラップ部分にもバックにメロディを強く感じさせるのはイタリア的ですが、曲自体の印象 はあまりイタリア的ではなく、どちらかというと英米風。全体にメロディはあるものの、それが強い香りを放つわけではなく、適度にメロディアス、適度にエス ニックに、綺麗にまとめあげてあるのと、バックの演奏がクリアでスッキリしているところが、英米風を感じさせるのでしょう。
 ほんのちょっとだけひび割れた声も、古くからのイタリアン・カンタウトーレたちのように歌い上げたり感情を強く込めたりすることなく、さらりとメロディ に乗せています。その結果、耳ざわりのよい、聴きやすいメロディアス・ポップスになっています。シンセ・ブラスの入ったヒップホップ風のアレンジもあり、 若い音楽ファン、洋楽ポップスのファンには馴染みやすいかもしれません。
 ただ、アーティストとしての個性、存在感、才能といった点では平凡で、いわば十人並み。悪くはないけれどよくもない、毒にも薬にもならないといったとこ ろでしょうか。イタリアンのファンがわざわざ聴くべきものでもないように思います。なにかのついでに機会があったら、といった程度で充分でしょう。 (2001.01.21)



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Fabio Celi e gli Infermieri / Follia (1973)   alla "Musica"
 ファビオ・チェリ(Fabio Celi)が1973年に発表した『Follia』は、インフェルミエリ (gli Infermieri)というグループとの競作(?)。カンタウトーレの作品というより、プログレッシヴ・ロック的な色彩が強いで す(チェリ は自分で曲書いてないし)。
 熱く、熱のこもった、あの時代のプログレッシヴ・ロック(オルガン・ロック)テイストたっぷりの演奏が繰り広げられます。ちょっと上級者向きかもしれま せん。(1998.04.01)



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Fabio Concato / Giannutri (1990)
 ファビオ・コンカート(Fabio Concato)の1990年のアルバム『Giannutri』を、中古で 800円で 買いました。彼の唄はコンピレーション・アルバムで数曲聴いたことがあったのですが、とくに興味を持ってませんでした。でも、800円だからね (^^;)。
 思ったよりロックぽいというか、ビートがハッキリした曲という印象を持ちました。ドラマティックな哀愁を持った曲とリズミックな曲のバランスはいいかも しれません。
 ところどころ、声がティト・スキーパ・ジュニア(Tito Schipa Jr.)に似てるように思ったのは、自分だけ? (1998.04.01)



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FABIO ROVERONI / same (1997)
 ファビオ・ロヴェローニ(Fabio Roveroni)の1997年のアルバム。基本的にはロック・シンガーだと思います。だけ ど、突 然オーケストラやオルガンが強引に割り込んできたり、なぜか70年代初頭のような音のエレキ・ギターが入ってきたりと、一筋縄ではいかない感じがします。 ときどき、混沌としてしまうのはなぜ? マウロ・パガーニ(Mauro Pagani)参加。(1998.04.01)



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FABIO TETTONI / COME ALI IN UN BATTITO (1998)
 Fabio Tettoni(ファビオ・テットーニ)というカンタウトーレについて、自分はなにも情報を持っていません。ただ、プ ロ デュースをしているのがMichele Pecora(ミケーレ・ペーコラ)なので、それほどハズレることはないだろうと思って入手し たア ルバムです。この予想はおおよそ当たり、Micheleぽいおだやかな暖かみのある曲が多く収録されていました。ちなみにMicheleは、 プロデュース以外にギターとプログラミングでこの作品にかかわっていますが、曲づくりには参加していません。
 Fabioの声は丸くあたたかいもので、どことなくPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)Nello Daniele(ネッロ・ダニエーレ)などを思わせます。曲にも南っぽい明るさと響きがあるので、もしかしたらナポリなどの南部イタリア出身 なのかもしれません。
 フォークタッチの曲が多く、地味ながらもやさしさにあふれていて、なかなか味わい深いです。なかには、ちょっとリズミックな曲や、アメリカを意識したよ うなロック風の曲もあるのですが、その方面ではあまり良さが出ていません。それよりも、やわらかなフォークや、明るい太陽が感じられるおだやかなポップス に、Fabioならではの良さがあると感じます。
 アルバム全体でのドラマづくりや求心力の表現がもう少し上手にできるようになれば、けっこう良いアルバムをつくれそうな気がします。 (2001.08.18)



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FABRIZIO CASALINO / COME UN ANGELO (1998)   alla "Musica"
 最近の若いカンタウトーレらしい、あまりベトつかない曲想を持っていますが、そのなかにもうっすらとイタリアらしいメロディと柔らかさがあります。強い 個性や特徴はありませんが、明るい日差しの下でリラックスして聴くには最適といえます。(1999.10.11)



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FABRIZIO CONSOLI / DICIOTTO PICCOLI ANACRONISMI (2004)   alla "Musica"
アルバム全体としてのまとまりはあまりなく、ジャズ風だったりポップス風だったりフォーク風だったりといった曲がばらばらと組み合わされています。ただ、 そのどれもに、ちょっと「アートな雰囲気」がまぶしてあるところがFabrizio Consoli(ファブリツィオ・コンソーリ)の特徴 なのかな。アコースティック楽器の使用比率が高く、うなりを上げる?ウッド・ベースが動き回るジャズ風な曲では、ときにBrigitte Fontaine(ブリジット・フォンテーヌ)Lewis Furey(ルイ・フューレイ)を思い出したりしてしまいまし た。またバラード系の曲では最近のGianluca Grignani(ジァンルカ・グリニャーニ)とかに少し似てるかなぁと思ったり、全 体を通してのちょっと実験的な感じの作風は、もしかしたらMarco Parente(マルコ・パレンテ)に少し通じるところがあるかも (ないか?)。 (STARANISUONI: STRCD0302 / イタリア盤CD) (2005.07.18)



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FABRIZIO DE ANDRE' / LA BUONA NOVELLA (1970)
 このアルバムのテーマは、聖母マリア礼賛なのだそうです。自分はイタリア語がわからないので、どのようのことが歌われているのかもわかりようがないので すが、全曲に渡ってマリアへの賛辞が歌われているらしいです。だからか、音楽のほうもどことなく敬虔で、信心深い感じがうかがえます。
 ただ、そうするための意識が強すぎたのか、アレンジ面で無理をしたなと思わせるところも、無きにしも非ずといった感じです。とくにアルバムのオープニン グとエンディングにそれは顕著で、混声合唱とフォーク・ソングが交互に現われるアレンジは、いかにもツギハギ的です。もう少し、それぞれのパートがなだら かにつながるようなアレンジがほしかったです。ほかの曲でも、ギターとヴォーカル以外の楽器群に多少、無理やりかぶせたかのようなアレンジが少し気になり ます。
 Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)の場合、言葉の意味はわからなくても、唄声自体に強い説得力があ るので、極端な話、完全な弾き語りにしても、彼の唄が好きな人には充分だといえるでしょう。なのに、ちょっとオーバープロデュースっぽいところがうかが え、そこまでしなくてもいいのにと思わせます。
 とはいえ、歌メロとヴォーカル自体は彼らしい、淡々としたなかにもロマンティシズムと深い愛情、哀愁が感じられるものです。全体的にも、ところどころで とってつけたようなアレンジが気にはなるものの、ストリングスもふんだんに導入されていて、とても叙情的です。(2000.11.12)

FABRIZIO DE ANDRE' / STORIA DI UN IMPIEGATO (1973)
 Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)の6枚目のアルバム。後期の作品では地中海色やトラッド 色、民族 音楽色が強く出ていたようですが、この作品では、アメリカのフォークソングやカントリーにも通じる素朴な曲、ほのかにジャズ風味のある曲、少しシャンソン の香りのする曲、さらに当時のプログレッシヴ・ロック的な匂いのする曲など、意外とアレンジに多様性があります。
 しかし、どの曲もFabrizioの落ち着いた深みのある歌声のために全体的な統一感を保ち、バラけた印象はありません。Nicola Piovani(ニコラ・ピオヴァーニ)によるおだやかなオーケストレーションも曲に深みを与えています。
 もともと歌メロや曲の展開などに派手さのある人ではないので、非常に地味で、単純に楽しむのは難しいタイプの音楽だとは思います。歌詞の意味を大事にす る、カンタウトーレらしいカンタウトーレのようですから、その意味がわかれば楽しみ方も倍増するのではあるのでしょう。でも、たとえ歌詞の意味がわからな くても、聴き手側にこういった音楽を受け入れる素養と感性さえあれば、充分に楽しめるだけのロマンティシズムと説得力を備えたカンタウトーレだと思いま す。言葉を超えたFabrizioの歌声や存在感は、やはり優れたシンガーだと感じさせます。
 リスナーを選ぶタイプの音楽ですが、ピュアで美しい作品です。ただ、曲によっては中途半端にプログレ的なキーボードのアレンジがうるさく、ちょっと世界 を壊しているところはあります。(2000.06.17)

FABRIZIO DE ANDRE' / RIMINI (1978)   alla "Musica"
リミニ(Rimini)はアドリア海に面した有名なビーチ・リゾートで、夏にはイタリアやヨーロッパ各地からたくさんの観光客が訪れるそうですが、このア ルバムもヨーロッパのビーチ・リゾートらしい、明るくておだやかな、そして開放感にあふれた感じがします。このころのFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)はたしか、サルデーニャ島で半分隠遁生活のようなことをしていたのではなかったかと思います が、地中海に浮かぶ島でのおだやかな生活も、このアルバムで聴けるおだやかさに影響しているのかもしれません。全体に、素朴でフォーク・タッチな印象の強 い作品です。 (DISCHI RICORDI: CDMRL 6492 / イタリア盤CD) (2006.07.02)

FABRIZIO DE ANDRE' / IN CONCERTO (1979)   alla "Musica"
 ファブリツィオ・デ・アンドレ(Fabrizio De Andre')のライヴ盤。演奏をPFM(Premiata Forneria Marconi)が担当しています。あまり華やかさのない、どちらかといえば地味なタイプのカンタウトーレですが、PFMというイタリア最高のロック・グ ループのヘルプにより、メリハリのある、躍動感をたたえたものになっています。
 非常に土着性の高い音楽、民族舞踊風な曲・アレンジが多く、一般のイタリアン・ポップス・ファンよりは、コアなワールド・ミュージックやフォルクローレ 等のファンに、よりアピールしそうに思います。(1999.02.11)

FABRIZIO DE ANDRE' / IN CONCERTO Vol.2 (1980)   alla "Musica"
 前年にリリースされた『In Concerto』が好評だったのでリリースされたらしい、同じツアーの続編。当然、演奏はPFMで す。
 全体的にロマンティックな語り風の曲が中心になっています。派手な曲はありませんが、どれもイタリアの田舎町を思わせるような、素朴で美しいものばかり です。
 初心者でもなじみやすいのは、曲順や演奏にメリハリがあり、一聴してワールド・ポップス風のとっつきやすさがあるVol.1ではないかと思います。しか し、本当に味わい深いのは、じつはVol.2のほうではないでしょうか。(1999.02.11)

FABRIZIO DE ANDRE' / ANIME SLAVE (1996)   alla "Musica"
 非常に素朴であたたかい、古くからその土地に住む人たちのあいだで歌い継がれてきたかのような、純粋な音楽が聴かれます。ジャケット写真そのままの、セ ピア色の世界が目の前に広がります。民族の物語を唄とともに運ぶ語り部。貧しくも慈愛に満ちた小さな町。現代の喧騒とは無縁な世界です。
 民族音楽的な印象も強く、商業主義からは遠く離れた、魂の旋律。非常にアーティスティックであり、ロマンティックであり、生活することの喜びと哀しみが あり、心の奥深くに持ち続けていたい感情があります。(1999.02.11)



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FABRIZIO MORO / same (2000)   alla "Musica"
 アコースティックなギターとオーケストレーションをメインにしたこのアルバムには、最近の若いシンガーたちの作品とは違った、1970年代後半から80 年代にかけてリリースされた作品のような色合いが感じられます。ちょっと苦しげなしわがれ声と切なさを感じさせるメロディは、Roberto Soffici(ロベルト・ソッフィーチ)に似ているのではないでしょうか。(2000.08.13)



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FANDANGO / FANDANGO (1994)   alla "Musica"
 明るく素直な女性ヴォーカルは好感が持てます。曲想も明るく華やかな感じのものが多く、耳ざわりのよい音楽です。タイプとしては、アメリカのAORと呼 ばれるジャンルのポップスに近いかもしれません。憂いや奥行き、味わいには欠けますが、BGMとして流しておくには充分に美しく、おしゃれであり、ロマン ティックでもあります。万人受けのするメロディアス・ポップスといえると思います。(2001.04.22)



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I FLASHMEN / PENSANDO (1974)   alla "Musica"
典型的な1970年代初頭のロックの音のひとつですね。日本ではユーロ・ロック=プログレッシヴ・ロックのひとつとして紹介されたので、どうしてもプログ レッシヴ・ロック・ファンしか知らないグループですしアルバムでしょうが、内容的にはヘヴィなオルガン・ロックだと思います。ファズ・ギターとオルガンが うなりをあげる、いなたいブルーズ・ロックのM2「Ma per colpa di chi?」などは典型ですね。 (MOON WITCH RECORDS/EDISON: ERC-29239 / 日本盤CD) (2006.07.02)



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FAUSTO LEALI / AMORE DOLCE, AMORE AMARO, AMORE MIO (1975)    alla "Musica"
ダミ声カンタウトーレ、Fausto Leali(ファウスト・レアーリ)がバックにIl volo(イル・ヴォーロ)を 従 えて録音したアルバム。もとのアルバムにはたんに「Fausto Leali」としかアーティスト・クレジットがないのに、日本盤では「ファ ウスト・レアーリ e イル・ヴォーロ」Il voloを強調するかたちでクレジットされているのが、なんだか寂しく感じま す。カンタウトーレの作品としてはIl voloの色が強く出すぎなうえ、曲そのものにあまり魅力がないように思います。カンタウトーレ作 品としてもプログレッシヴ作品としても微妙に中途半端な印象が残ってしまいました。 (SEVEN SEAS / KING RECORD: 260E 52075 / 日本盤CD) (2007.07.29)

FAUSTO LEALI / SAREMO PROMOSSI (1991)
 あいかわらず声が悪いFausto Leali(ファウスト・レアーリ)。非常にきめの荒いガラガラな声は健在で、この声で感情を ぶつけ るように唄うバラードは絶品です。
 もともと彼はR&Bなどの黒人文化系音楽にも強く影響を受けているそうで、ソウルフルでファンキーな曲も収録されていますが、オーケストラを使ったドラ マティックなイタリアン・ポップスもきちんと入っています。このアルバムでは全体的にアメリカ風味(R&B風味)が強いですが、そのままアメリカにならな いあたりはやはりイタリアです。(1999.05.08)

FAUSTO LEALI / ANIMA NUDA (1994)   alla "Musica"
くわえタバコでギターを弾いているジャケット写真からして、いなたい。ポップスというよりも、ロックやブルーズの風情です。ソウルフルなコーラスの入った M1「Niente di te」や、都会の夜に似合いそうな哀愁のあるM4「Con chi mi scorderai」な どでは、おなじみのダミ声とブルージーなギターが聴かれ、このジャケットのイメージにぴったりです。バラード系の曲もありますが、どんな曲も、そこにFausto Leali(ファウスト・レアーリ)の力強いダミ声ヴォーカルがのると、なんだか重たく、ときに暑苦しくなってしまうところが、よくもあり、 悪くもあり。 (VITTORIA / DISCHI RICORDI: TCDVIT 6476 / イタリア盤CD?) (2006.07.02)

 絶唱型のダミ声ヴォーカルという点ではMarco Masini(マルコ・マジーニ)などと同タイプといえますが、Marcoより も表現 力があるように感じるのは、やはりキャリアの差でしょうか。
 もともとR&Bからの影響を強く受けているといわれるFausto Leali(ファウスト・レアーリ)ですが、このアルバムに もヘヴィなR&B風味の曲が収録されています。とはいえ、それがあまりアメリカ風やイギリス風にならないところは、さすがイタリアン・カンタウ トーレといえるでしょう。
 アルバム全体で見ると、イタリアン風味の強い作品になっています。いかにもイタリアらしい哀愁といった曲は多くありませんが、元気のいいイタリアン・ ポップスを聴かせてくれます。密度の濃さという点では、ロック・ヴォーカルといってしまってもよいかもしれません。そして、その元気さのなかにときおり見 せる哀愁が、叙情派ファンの心をくすぐります。(1999.06.05)

FAUSTO LEALI / 20 GRANDI SUCCESSI (1997)
 タイトルどおり、Fausto Leali(ファウスト・レアーリ)の名曲、ヒット曲が20曲収録されたベスト盤。1980年代の 曲が中 心ですが、60年代や70年代の曲も数曲ずつ含まれています。
 Faustoの魅力は、太く力強いダミ声と、その声で情感豊かに歌われる熱唱にあるといえるでしょう。とくに力をこめて歌うところではヘ ヴィメタル・ヴォーカリストとしても充分通用するような、Graham Bonnet(グラハム・ボネット)を彷彿させるような歌唱を聴か せます。
 こういったタイプの声や歌い方だと、繊細さがなくなってパッション・オンリーな印象になってしまうシンガーも少なくないのですが、そこはやはり情感豊か なイタリア人。繊細とはいえませんが、ちゃんと抑えるところは抑え、ドラマを感じさせる歌い方をします。
 Faustoは、もともとはソウルやR&Bなどのブラック・ミュージック系が得意だったそうで、1980年代の曲にもその影響か、ときに とてもアメリカンでブラックな曲調が見られます。一方、60年代の曲は、年代の古さを感じさせはするものの、あのころならではの柔らかさとくすんだ感じが 心地よく響きます。
 そういった、曲ごとの肌触りの違いは少しあるものの、全体にはどれもFaustoの伸びやかかつザラザラした声が楽しめ、イタリアらしい 情熱と哀愁が感じられます。ベスト盤だけあって、よいメロディを持ったよい曲が多く集められています。(2002.01.20)



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FAUSTO ROSSI / L'ERBA (1995)
 中古で安く売ってたので、試しに買ってみたファウスト・ロッシ(Fausto Rossi)。重く沈んだヴォイス、引きずるような ベース が印象的なアルバムでした。イタリアン・ポップスな感じはなく、タイプとしてはイギリスのゴシック・ニューウェーヴ・グループの系統かと思います。ヨー ロッパらしい、陰鬱な美しさが全編に漂っています。
 いわゆるポップスのファンにはすすめませんが、これはこれで非常にヨーロッパらしい音楽だと思います。数曲にハーモニカでエウジェニオ・フィナル ディ(Eugenio Finardi)が参加していました。(1999.02.28)



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FEDERICO POGGIPOLLINI / NELLA FRETTA DIMENTICO (2003)   alla "Musica"
ロック色の強いカンタウトーレ。少し粘った感じのクセのある声が特徴でしょうか。どことなくNek(ネック)を思い出させるところが あるの は、この声と曲調のせいかな。1970年代終わりから80年代前半頃のイギリスのロックを思わせるような、最近のイタリアの若いアーティストにありがちな 音楽を演奏しています。ただ、若いシンガーのセルフ・プロデュース/セルフ・アレンジ作品にありがちな、どこか独りよがりで素人くさい仕上がりになってし まっています。でも、声にそれなりの個性があるし、メロディもそんなに悪くなく、磨けば光る、育てれば伸びる部分はあるように感じます。よいプロデュー サー、よいアレンジャーに出会い、個性やよさをより引き出してもらえるようなサポートが受けられるようになるといいのだけど。 (STRANISUONI: STRCD0308 / イタリア盤CD) (2005.06.04)



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FEDERICO SIRIANNI & OLOTOY ORCHESTRA / ONDE CLADESTINE (2002)
 ジャケットに写っている、革ジャンにツバ広帽子のちょっといなたいおっちゃんがFederico Sirianni(フェデリコ・シリアンニ)な んでしょうか。
 ジャケットからしていなたさが漂っていますが、曲のほうもジャケットそのままでいなたい感じです。アコースティック・ギター中心の、しわがれ声による フォーク風の曲が多く収録されています。
 とはいえ、このアルバムの大半を占めるのは、そういったいなたいフォークではなく、古いヨーロッパ歌謡というか、パーティ音楽といった印象のものです。 演奏に使われている楽器がアコースティック・メインで、アコーディオンやブラスも導入され、曲調が軽やかでダンサブルだから、そういう印象を受けるのかも しれません。そうかと思うと地中海から中近東にかけてのミステリアスな旋律を持ったものもあり、アルバムとしての統一感はあまりありません。
 曲調に統一感はありませんが、曲から受けるイメージが「古き良き時代」という点では、それほどバラけてはいません。「海賊ラジオ(非合法放送)」という アルバム・タイトルもなんとなく意味ありげだし、コンセプトが「過去のいつか」なのでしょうか。最近のポップスを聴くのとは違った、ちょっと微妙な楽しさ があります。(2002.10.19)



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FEDERICO STRAGA / FEDERICO STRAGA (1998)
 フェデリコ・ストラーガ(Federico Straga)は、ちょっとロック風味のポップシンガー。声や唄い方にはあまり特徴が ありま せんが、アルバム自体はソフトでおおらかな感じの曲が多く、さわやかで素直なメロディには彼の唄い方は合っているといえます。
 フェデリコは自分でも曲をつくるし、ギターも弾けるようなのですが、このアルバムではほとんどの曲が他人の書いたもので、ギターも1曲でしか弾いていま せん。
 このアルバムの半分くらいの楽曲を提供しているダニエーレ・フォッサーティ(Daniele Fossati)は、メロディの美しいポッ プ・ロックが得意なようで、自身のアルバムがあるのかが気になります。また、ダリオ・バルダン・ベンボ(Dario Baldan Bembo)が ピアノで1曲に参加しています。(1999.01.03)



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FILIPPO MALATESTA / GIRAMONDO (2004)   alla "Musica"
おっさんが歌ういかにも古いナポレターナのイントロからどことなくNek(ネック)風の軽快なポップスへとつながるM1「Giramondo」と か、素直なメロディと伸びやかなヴォーカルが聞けるミディアム・テンポのM8「Fantastico」などは、ラジオで頻繁にかければそれ なりにヒットしそうな感じはします。最近のイタリアン・ポップスにありがちな軽やかでメロディアスなポップスですね。充分に楽しめる内容だとは思います が、どれもがアベレージな感じなので、あまり「Filippo Malatesta(フィリッポ・マラテスタ)の歌と曲」という印象が残ら ないのが残念です。 (EXESS/SELF DISTRIBUZIONE: EX CD 0504 / イタリア盤CD?) (2006.07.02)



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FILIPPA GIORDANO / same (1999)   alla "Musica"
 クラシックにポップスのわかりやすさ、聴きやすさを与えたことで大ヒットとなったアルバム。収録曲の半分以上がオペラのアリアですが、堅苦しいところは まったくなく、Filippa Giordano(フィリッパ・ジョルダーノ)の本能、直感にあふれた、ある意味で非常に色っぽい音楽と なっています。(2000.08.13)



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FIORDALISO / NON VOGLIO MICA LA NUNA (1984)
 Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)Loredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)ほ どでは ありませんが、Fiordaliso(フィオルダリーゾ)も少しひび割れた声が魅力的です。こういう声だから当然、歌に力強さと迫 力があり ます。ただ、GiannaLoredanaほど強くない分、聴きやすいといえそうです。
 こういう声は、ロック系の曲はもちろんですが、スケール感のあるバラードにも威力を発揮すると思いますが、その意味では、このアルバムにはFiordalisoの 声質を充分に活かした曲というのが、あまりないかもしれません。
 アルバムには、軽やかで明るいメロディを持ったポップスが中心に収録されています。リリースされた年代の影響だと思いますが、Vince Tempera(ヴィンチェ・テンペラ)がキーボードとアレンジを担当しているわりには、キーボードの音づくりなどが薄っぺらい感じです。
 彼女のほかのアルバムを聴いたことがないので、ここで聴かれる曲調が彼女の標準的なものなのかどうかはわかりませんが、できればもっと大きなうねりのあ る曲で彼女のヴォーカルを聴いてみたいです。声に個性があり、歌もけっこううまいので、曲の平凡さのわりには充分楽しめるアルバムではあります。 (2002.08.31)



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FIORELLA MANNOIA / MOMENTO DELICATO (1985)
 抑制の効いた、それでいて情感豊かなヴォーカルは、Fiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)の大きな魅力だ と思い ます。激することなく落ち着いているのに、弱かったり薄かったりすることなく、秘められたちからと奥行きがあります。
 そういった特色は、このアルバムでも充分に感じられます。歌い手としての表現力の高さもありますが、やはり声そのものがよいのでしょう。Alice(ア リーチェ)などにも通じるような、クールでありながら暖かみのある個性豊かな声が、Mario Lavezzi(マリオ・ラヴェッツィ)Claudio Mattone(クラウディオ・マットーネ)の書いた曲によく合っ ています。
 ミディアム・テンポの曲が多く、快適な雰囲気のなかにイタリアらしいメロディが幾度も顔を出します。ほんの少し引っかかったような歌い方が、たんにお しゃれでなめらかなだけのシティ・ポップス風になるのを防いでいます。
 アルバム・タイトルは「デリケートな瞬間」とでも訳すのでしょうが、その言葉がアルバム全体の印象をうまく表わしているように感じます。 (2002.01.20)

FIORELLA MANNOIA / CANZONI PER PARLARE (1988)   alla "Musica"
 最初の印象は地味で淡白なため、歌の表情がつかみにくいのですが、低く落ち着いた歌声はとても味わい深く、聴くごとに表情が見えてきます。聴き手のなか にある意識、想いをそっと引き出して曲の表情に投影させるような、そんなヴォーカルです。派手さはありませんが、とてもおだやかで心にしみる優しさが漂っ ています。演奏も、オーケストラで大仰に盛り上げたりせず、淡々としたアレンジになっていますが、それが余計に楽曲自体の持つドラマ性、ロマンティシズム を引き出しています。(2001.04.22)

FIORELLA MANNOIA / I TRENI A VAPORE (1992)   alla "Musica"
Fiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)は才能のあるカンタウトーレから楽曲提供を受けることが多く、それ ゆえアル バム自体のクオリティも高くなり、さらにFiorella自身の評価も上がるという、とてもいいサークルのなかにいるように思い ます。今回 のアルバムでもビッグ・ネームばかり。派手さはないけれど、胸に深く静かに染み渡るような曲を書くカンタウトーレたちの曲が中心なので、アルバム全体にも 落ち着きがあります。こういった曲調はFiorellaのヴォーカル・スタイルにも合っていますね。テクニックや表面的な起伏とはまったく 別のところで、胸の奥から、心の深いところからにじみ出てくる「想い」のようなものが、静かに、穏やかに、聴き手に届きます。派手さはないけれど、とても 穏やかで趣のある、いいアルバムだと思います。 (TICKET / EPIC / SONY MUSIC ENTERTAINMENT: EPC 471187 2 / オランダ盤CD) (2005.04.03)



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FLAVIA FORTUNATO & STEFANO BORGIA / FLAVIA FORTUNATO & STEFANO BORGIA (1996)   alla "Musica"
 D.V.More Recordからリリースされた、なんだかよくわからないCDです。Flavia Fortunato(フラヴィア・フォルチュナート)という人のことはぜんぜん知らないのですが、たぶんStefano Borgia(ステファーノ・ボルジァ)と同じころにD.V.MoreからCDを出しているのでしょう。なんとなく思いつきでふたりの曲を半 分ずつ1枚のCDに収録しただけという気がします。
 全12曲収録のうちFlaviaのほうの6曲は、打ち込みを中心にしたひと昔前のデジタリックな演奏に、そこそこに綺麗な声でそこそこに 歌もうまい、平凡な女性ポップスです。Stefanoのパートは『La terra, il mare, il cielo』か らの曲が大半ですが、2曲だけアルバム未収録曲があります。どちらかというとStefanoのコアなファン向けの、マニアックなCDといえ るでしょう。(2001.08.19)



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Flavio Giurato / il Tuffatore (1982)
 フラヴィオ・ジウラート(Flavio Giurato)の1982年のアルバム。メル・コリンズ(Mel Collins)ト ト・トルクァーティ(Toto Torquati)が参加してます。
 基本的にシンプルでフォーク・タッチの曲が多く、イタリアらしい哀愁はありますが、感情に流されることのない、落ち着いた展開をします。また、鍵盤楽器 やサキソフォンなどが効果的に使われ、曲の持つドラマを上手に演出します。素朴なヴォーカルも、個性は強くありませんが、落ち着いた曲調にうまく馴染んで いると思います。
 どことなく1970年代のプログレ・フォーク風な味わいもあり、地味ながらもよい作品です。(1998.12.06)

FLAVIO GIURATO / MARCO POLO (1984)
 『東方見聞録』を書いたヴェネツィア商人の息子(でしたっけ?)マルコ・ポーロをテーマにしたコンセプト・アルバムのようです。
 1978年にファースト・アルバムをリリースしたFlavio Giurato(フラヴィオ・ジウラート)は、とても寡作なカンタウトー レのようで、これまでにアルバムを4枚しかリリースしていません。これはサード・アルバムになります。
 彼のアルバムは、1982年にリリースされたセカンド・アルバム『Il tuffatore』しか聴いたことがなかったのですが、その印 象と、ファースト・アルバムについて書かれたマーキー発行の『イタリアン・ロック集成』のレヴューを読むと、いくぶんプログレッシヴな感性を持った人のよ うです。実際『Il tuffatore』ではクールでクレバーな雰囲気のなかに、いわゆるカンタウトーレとは少し違った感性が少しうかが えました。
 このアルバムでも同様に、ちょっと神経質なヴォーカルとともに、いろいろと考えて曲づくりやアレンジをしたのだろうなということがうかがえます。ただ、 考えすぎたのか、曲の核となるメロディの魅力がもうひとつ薄いのが残念です。Flavioのヴォーカルも、うまいというよりは雰囲気で聴か せるタイプなので、余計にメロディの良し悪しが印象を左右すると思います。SEを使って雰囲気を出したらい、ギザギザしたエレキ・ギターの音がけっこう カッコよかったりするだけに、余計に残念です。
 M9「Marco Polo」は揺れる海に浮かぶ船に乗っているような気持ちの悪さがあるメロディとアレンジがおもしろいです。聴き続け ていると酔いそうです。(2002.08.31)



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FLAVIO OREGLIO / SIAMO UNA MASSA DI IGNORANTI. PARLIAMONE (2006)    alla "Musica"
基本的にはフォーク・ロック風なんだと思います。ヴォーカル・スタイルは昔の歌手っぽく、低いけど声量があり、きちんと楽譜にそって歌っているような感 じ。妙に存在感があります。この時点でフォーク・ロック風な曲とヴォーカル・スタイルにミスマッチ感があるのですが、さらにそこにはさまざまな音楽風味が 付け加えられ、いっそう摩訶不思議な感じを受けます。このアルバムの最大の聴きどころはM11の「Il pensiero」でしょう。地中 海の輝きを思わせるようなアコースティック・ギターの響き。そこに入ってくる厚みのあるキーボードの音色。これ、思いっきり初期のころのPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)風だと思います。 (CATARTICA / EDEL: CAT102 / イタリア盤?CD) (2007.12.16)



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FRANCESCO BACCINI / NOSTRA SIGNORA DEGLI AUTOGRILL (1999)
 Autogrill(アウトグリル)というのはイタリアの幹線道路などにある、ちょっと大き目のドライブインのことだったと思います。食事や簡単な 買い物ができ、店によっては給油施設などもあったりします。
 なので、このアルバムはアウトグリルの看板娘のことを歌ったものなのかなとも思ったのですが、Signorina(お嬢さん)ではなく Signora(奥さん)なあたりが、なんとなくほのぼのとした暖かさを感じさせます。Francesco Baccini(フランチェスコ・バッチーニ)のアルバムを聴くのははじめてですが、曲想もフォーク・タッチのものが中心となっていて、 ちょっとひび割れた歌声もどことなくノスタルジックです。この歌を聴いていると、毎日のように幹線道路を行き来するおじさんたちが、仕事の合間に一息 入れるために訪れるアウトグリルの気のいい奥さんに、みんなでほのかな想いを抱いているといったシチュエーションを、勝手に想像してしまいます(自分 はイタリア語がわからないので、実際にそういうことが歌われているかどうかは知りませんが)。
 全体に優しい空気が流れていますが、曲の感じとしてはゴスペル風あり、ジャズ風あり、オールド・ポップス風あり、ちょっと切ないバラードありと、ア ルバムを通してストーリー、ドラマが感じられる構成になっています。Francescoはもう充分にキャリアのあるカンタウトーレだっ たと思いますが、ひとつひとつの曲は地味で渋めのものが多いものの、アルバムのなかでそれぞれの曲が生きるようにていねいに配置してあり、そのあたり の神経のこまやかさ、仕事のクオリティにヴェテランらしさを感じます。オーケストレーションの音の薄さはちょっと気になるところですが、なかなか完成 度の高いカンタウトーレ作品だといえるでしょう。(2000.08.13)



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FRANCESCO BOCCIA / TURUTURU (2001)
 2001年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Turuturu」を収録した、Francesco Boccia(フランチェスコ・ボッチァ)のデヴュー・アルバム。サンレモ参加時はGiada Caliendo(ジァーダ・カリエンド)とともにFrancesco e Giada(フランチェスコ・エ・ジァーダ)とし てのエントリーでしたが、そのまま男女デュオの活動を続けるのではなく、それぞれソロとして活動していくようです。Francescoの個 人名義でリリースされたこのアルバムのトップには「Turuturu」が収録され、Giadaとのデュエットを聴くことがで きますが、Giadaの参加はこの1曲のみで、他はすべて自分ひとりで歌っています。
 サンレモ参加曲の「Turuturu」はどこか可愛らしい、無垢な少年少女を思わせるような感じがありましたが、他の収録曲も育ちのよさ そうなやさしさと暖かさが強く感じられます。最近の若いカンタウトーレにしてはめずらしくロック的なところがなく、1970年代から80年代にかけての良 い時代のアメリカン・フォークのようなあたたかい肌触りがあり、そこにカンツォーネ的でもロック的でもない、イタリアン・ポップ・ミュージックらしいぬく もりのあるメロディとやさしい歌声が乗ります。とてもイタリアン・ポップスらしいイタリアン・ポップスといえるでしょう。ある意味、この時代には貴重とも いえる音楽性かもしれません。
 たぶんFrancescoは、性格のよい、あるいは人のいい兄ちゃんなんだろうなぁということが、曲感から伝わってきます。 (2001.10.20)



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FRANCESCO DE GREGORI / FRANCESCO DE GREGORI (1974)   alla "Musica"
思いっきり地味です。ほとんどアコースティック・ギターによる弾き語り状態の淡々としたフォーク風の曲が続きます。ときどき申し訳程度にピアノが入ったり しますが、ぼんやり聴いてるとギター以外の楽器がなっていることに気がつかないくらいの導入率です。ヴォーカルも、とても地味に淡々と歌ってます。全体に ゆるやかに漂うロマンティックでファンタジックな感じとか、わかりやすい力強さはないのだけど奥深い強さと包容力を感じさせる声とかが、淡々とした曲調の 中でじんわりと伝わってきます。 (RCA ITALIANA / BMG RICORDI: 74321 858692 / イタリア盤CD) (2005.07.18)

FRANCESCO DE GREGORI / BUFFALO BILL (1976)
 非常にシンプルで素朴なアルバム。生ピアノとアコースティック・ギターを中心にした演奏は、セピアに色あせた古い家族の写真を見ているようなノスタル ジーとあたたかさが感じられます。古き良き時代のアメリカン・フォークやカウボーイ・ソングを思わせる曲が多く収録され、その点では“カンタウトーレも の”というよりも、よりフォークソングに近いといえるでしょう。歌メロも、音階の連なりの美しさよりも、言葉の響きの美しさのほうを重視しているようで す。
 イタリアに限らず、どこの国のフォーク・ミュージックもそうなのですが、歌詞の意味がわかれば、もっと曲の持つよさ(場合によってはくだらなさ)がわか り、より深く楽しめる(場合によっては失望する)のだろうなとは思います。でも、意味はわからなくても、イタリア語の持つ音はとても音楽的で美しく、またFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)の落ち着いた声も魅力的で、充分に楽しめます。Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)ほどの強い存在感や説得力はないものの、カンタウトーレらしいロマンティシズムとリリシズムを 存分に感じさせる作品です。
 多少、キーボードのアレンジと音づくりがチープで、曲の奥行き感を壊しているところもありますが、これは時代のせいでしょう。また、ある意味では、この チープさが、ひなびた味わいになっているともいえます。
 シンプルなフォークソングですが、そこには、おだやかながらも深い情感を持ったイタリアン・ミュージックらしさが息づいています。 (2001.11.18)

FRANCESCO DE GREGORI / AMORE NEL POMERIGGIO (2001)   alla "Musica"
 素朴なロマンティシズムにあふれた、おだやかな作品です。アコースティック・ギターやピアノを中心に、やわらかいオーケストレーション、控えめなストリ ングスやアコーディオンのアレンジなどが施された音楽には、詩情があり、優しさがあり、おだやかさがあります。派手さはありませんが、ゆるやかな空間を暖 かに包み込むかのような彼の歌は、けっしてポップ・シーンのメイン・ストリームにはならないでしょうが、いつまでもその輝きを失わないタイプの音楽だとい えるでしょう。(2001.04.22)

DALLA/DE GREGORI/MONTI/VENDITTI / DAL VIVO * BOLOGNA 2 SETTEMBRE 1974 (1975)
 アルバム・タイトルどおり、Lucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)、Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴリ)、Maria Monti(マリア・モンティ)、Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)が1974年にボローニャで行なったコンサートを収録したライヴ盤。
 どういう目的で行なわれたコンサートなのかはわからないが、いまではすっかり大物となった彼らの若いころの実況録音という点では、それなりに意味がある のだろう。構成はいたって普通で、それぞれのカンタウトーレが交互に自分の持ち歌を歌うというもの。一緒にセッションするとか、持ち歌を交換してみると いった試みはなく、たんに4人が自分の持ち時間を自分のために使っているだけのような印象なのが残念。唯一、M11「Buonanotte fratello」FrancescoAntonelloが組んで歌うという、ちょっとイタリアン・ポップ スにくわしい人ならTheorius Campus(テオリウス・カンプス)を思い出させるところがあるのが興味深いかもしれません。
 中古で安く売られていたのでつい買ってしまったのだけど、参加しているカンタウトーレたちのファンでないと、なかなか楽しみにくいアルバムかも。ライヴ ならではの熱さや力強さといったものもとくになく、淡々と曲が演奏されていきます。複数アーティストによるライヴという性格上、アルバムとしてのドラマ性 やストーリー性も期待できないですし、そのうえ収録曲や演奏がどれもどちらかというと地味なので、正直にいってちょっとつらい部分がありました。 (2002.05.19)



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FRANCESCO GUCCINI / RADICI (1972)   alla "Musica"
 カンタウトーレというよりは完全なフォークソング。アコースティック・ギターのアルペジオやストロークが演奏の中心で、そこにいくぶん言葉数の多い歌が 重なります。決してなめらかではないけれど低く落ち着いた声は、強い説得力を感じさせます。(2000.06.17)



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FRANCESCO NUTI / STARNUTI (2006)   alla "Musica"
シンガー/カンタウトーレというよりは、俳優、脚本家、監督として映画の世界で有名らしいです。このアルバムは、これまでに彼が出演した映画の挿入歌を中 心に新曲をいくつか混ぜ込んだもののようで、最新の曲は2006年、いちばん古い曲は1982年のものとなっています。24年もの隔たりがあるわけで、声 の感じもまったく違い、最初はおじいちゃんと若者のふたりのシンガーがいるのかと思いました。 (EMI MUSIC PUBLISHING ITALIA / SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT: 82876849172 / EU盤CD) (2007.09.09)



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FRANCESCO RENGA / same (2000)
 Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)は、ソロになる前はTimoria(ティ モーリア)という ロック・グループのヴォーカリストだったそうですが、Timoriaというのはどんなグループなんで しょうか。
 ソロ第1作目となるこのアルバムは、ロック・アルバムには違いありませんが、流れるような歌メロをふんだんに持ったヴォーカル・アルバムとなってい ます。
 音の隙間を埋めるように演奏される、粘りのあるディストーション・ギターのストロークを中心に、ミディアム・テンポの曲が多く収録されています。歌 声も、少し甘い感じの力強い声で、のびもよく、なかなかうまいのではないでしょうか。キーボード類がほとんど入っていないにもかかわらず、曲想はドラ マティックかつロマンティックで、音の厚みも充分にあります。
 この、どこかノスタルジックな、胸がきゅんとなるようなメロディ展開と演奏は、古いイギリスのロック/ポップスを感じさせます。たとえば「Magician's Birthday」のころのUriah Heep(ユーライア・ヒープ)などに通じるところがあるのではないでしょうか。 日本国内でいえば、曲のジャンルや表現方法は違いますが、たとえばthe Brilliant Green(ブリリアント・グリーン)My Little Lover(マイ・リトル・ラヴァー)、あるいは奥田民生の曲などに似た肌触りを感じます。つまり、美しい メロディ、フレーズが多くの人に愛され、充分な意味を持っていた時代の音楽を思わせるのです。
 そしてこのアルバムでは、そこに聴けるメロディ、フレーズが非常にヨーロッパ的ななめらかさと陰影を持っています。ヨーロッパらしいメロディとほの かなノスタルジー、センチメンタリズム、そしてドラマを持った、なかなかの好盤といえるでしょう。
 ただ、アルバムの途中で少し息切れしてしまった感もあるのですが。(2000.08.13)



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FRANCO BATTIATO / L'ERA DEL CHINGUIALE BIANCO (1979)
 Franco Battiato(フランコ・バッティアート)に関しては、最初の出会いが自分の苦手なエレポップ・タイプのアルバ ムだっ たため、ずっと聴かず嫌いに近い状態だったのですが、もしも最初に聴いたのがこのアルバムだったら、それほど苦手意識を持たずにすんだでしょう。
 比較的シンプルなアレンジで、全体の印象は質素に感じます。しかし、品のいい歌メロには素朴な美しさが光っていて、落ち着いたなかに豊潤さを感じさせる アルバムになっています。エレポップ風味はなく、どちらかというとクラシカルなテイストのほうが強いのも、自分としてはうれしいです。
 ドラマティックな展開や、カンツォーネ的な極端な押しと引きといったものとは無縁ですし、イタリアらしい哀愁といったものとも違うのですが、それでもや はりイタリアらしいと感じるのは、それぞれのメロディそのものがイタリアらしい美しい響きを持っているからなのでしょう。落ち着いた静かな環境で、ひとり でゆっくりと聴きたい音楽です。意外とファンタジックなアルバムでした。(2000.01.10)

FRANCO BATTIATO / ORIZZONTI PERDUTI (1983)
 思えばこのアルバムが「Franco Battiato(フランコ・バッティアート)って、ちょっと苦手」と自分が思うようになっ たきっ かけでした。彼のアルバムのなかでは比較的、評判のいい作品ですが、全編を通してエレクトリクス楽器のみで演奏されている、いかにもエレポップ然としたア レンジは、自分のもっとも苦手とするタイプのひとつです。とはいえ、そういった演奏面での自分とのミス・マッチングを除けば、歌メロ的にはとても品のよ い、美しい流れを持った曲が収録されていて、心に残ります。
 個人的にあまり気に入らないアルバムだったため、ほんの数回しか聴いていなかったにもかかわらず、歌メロだけはしっかりとインプットされていたりしま す。その後、バックをオーケストラに変えたライヴ・アレンジでこのアルバムの収録曲を聴いてから、このアルバム自体もメロディのよさで楽しめるようになり ました。いまでもエレポップ的なペラペラしたキーボード・アレンジは大苦手ですが、それを補って余りあるメロディのよさに身を任せられるようになったとい うべきでしょうか。
 それと、Franco自身にもう少し歌唱力があれば、さらによいのにと、彼の作品を聴くたびに思います。歌に強い情感が混じらないところが彼の個性であ り、魅力のひとつではあるのですが。(2000.01.10)

FRANCO BATTIATO / FISIOGNOMICA (1988)
 非常に豊潤な世界が楽しめるアルバム。深みと広がりを演出するキーボード群、クラシカルで、ときに讃美歌を思わせるほどの神聖さを持ったメロディ、それ でいてポップさを失わないアレンジが心に響きます。一般に名盤と呼ばれているアルバムですが、それが誇張ではないと感じさせます。エレポップ的な印象は多 少、残っていますが、それが薄っぺらさを感じさせることはまったくなく、軽薄でもありません。やはりメロディの持つ美しさ、品のよさが心地よいです。
 Franco Battiato(フランコ・バッティアート)というと、なんとなくインテリぽくて実験的な印象が自分にはあったのです が、意外とメロディの流れや展開は素直です。一部の曲で聴かれるエスニック風味もアクセントとして効いています。ヴォーカルの弱さも、このアルバムでは気 になりません。というか、このアルバムの世界を表現するには合っていると感じます。
 ポップス・ファンよりはプログレ・ファン向きな作品だと思いますが、いいアルバムです。(2000.01.10)

FRANCO BATTIATO / COME UN CAMMELLO IN UNA GRONDAIA (1991)
 ベースとドラムといった、通常のポップスではあたりまえに使われているリズム楽器も、エレクトリック・ギターなども入っていない、全編を弦楽とキーボー ド・オーケストラがバックを務めているアルバム。アルバム前半はFranco Battiato(フランコ・バッティアート)自身の曲、後 半はワーグナーやベートーベン、ブラームスなどのクラシックが歌われています。
 全体におだやかで落ち着いた空気の感じられる作品です。決して大仰になることなく、淡々と、柔らかな肌触りの音楽が流れていきます。とくに前半のオリジ ナル曲では、旧東ヨーロッパ北部の冷たく凍てついた大地と、そこに生活する、生きることの苦しみとささやかな喜びや感謝を顔のしわに深く刻み込んだ年老い た人々を思わせるような、言いしれない哀愁と共感を覚えます。非常に繊細で澄み切っていて、それでいて芯の強さを感じさせるのです。
 その点でいえば、後半のクラシック曲は必要なかったのではないでしょうか。気持ちの入り方、情景の広がり方が、前半のオリジナル曲ほどはないように感じ られるからです。できれば、アルバム全編を通して、前半のイメージを持ったオリジナル曲で構成してほしかったです。(2000.02.11)

FRANCO BATTIATO / L'IMBOSCATA (1996)
 M1「Di passaggio」とM2「Strani giorni」からは、疾走感というか、前へ前へ進もうと する気 持ちが強く感じられます。M2ではNWOBHMの頃に活動していたイギリスのDemon(ディーモン)のアルバム『British Standard Approved』を思い出しました。こういったロック・フィーリングって、Franco Battiato(フランコ・バッティアート)のアルバムではめずらしくはないでしょうか。
 M3「La cura」ではFrancoらしいキーボード・オーケストレーションと、ちょっとミニマムなアレンジが聴かれ ますが、ここにも伸びのあるディストーション・ギターが入っていて、演奏は力強いです。Francoの頼りなげなヴォーカルの対比も心地よ いです。
 テンションのゆるい感じのエレキ・ギターのクリーントーンのストロークにFrancoのやわらかな声が乗るM7「Ecco com'e' che va il mondo」も、独特の浮遊感があってよい感じです。要所にしか入ってこないキーボードの使い方がアクセ ントになっています。
 ストリングスのピッチカートを多用したM8「Segunda-Feira」は、クラシックの要素を含んだ、なんかどこかが変なポップス で、この素直なじゃない感じがFrancoっぽいかもしれません。
 M9「Momorie di Giulia」ではストリングスとエレキ・ギターの響きや曲の構成、アレンジなどにプログレッシヴ・ロッ クっぽい香りを感じます。
 Francoのアルバムって比較的どれも、いろいろな意味でエレクトロニクスのイメージが強いように思えて、そこが自分にはもうひとつな じみきれないところです。このアルバムもやはり、そういった部分はあるのですが、それ以上に「ロック」を感じさせるところが多く、その点で自分には聴きや すいです。なかでもとくにオープニングの2曲がかっこいいです。(2003.04.20)

FRANCO BATTIATO / LIVE COLLECTION (1997)
 Franco Battiato(フランコ・バッティアート)は時代によって、アルバムによって、曲の印象がずいぶん違うんだそう です。 たまたま自分がはじめて聴いた彼のアルバムはテクノっぽいもので、唄メロ的には印象的なものはあったのですが、ピコピコしたシンセサイザーのアレンジが まったく自分に合わないタイプだったため、今までなんとなく敬遠してしまい、あまり彼の曲を聴いたことがありません。
 このアルバムはライヴによるベスト選曲のようですが、全体的にたおやかでクラシカルなアレンジが施され、今までの自分の印象を覆すほどによい感じです。 メロディの美しさや展開に独特の品のよさがある彼の楽曲は、こういうアレンジのほうが合うのではないでしょうか。実際、ピコピコなアルバムに収録されてい た曲も格調高く奥行きのあるものに生まれ変わっており、最初に聴いたアルバムがこれだったら、自分も今ごろはそれなりの枚数を揃えてしまっていたかもしれ ません。
 ただ、これだけのアレンジのなかで唄うには、彼のヴォーカルは少し弱いように思います。もっと強い印象を持った別のシンガーに唄わせたら、一段と完成度 が上がりそうです。(1999.06.05)

FRANCO BATTIATO / GOMMALACCA (1998)
 カッコいいです! ロックです!! デジタリックな重量感とスペイシーなアレンジは、イタリアというよりはイギリスやドイツのロック・グループのようで はありますが、どことなく頼りないチープさとロマンティックなフレーズは、やはりFranco Battiato(フランコ・バッティアート)で す。このあたりの絶妙なバランス感覚とストレートじゃなさが、彼の持ち味なのでしょう。
 むかしからプログレッシヴ・ロックの愛好家にも評価されているFrancoですが、たしかにプログレッシヴ・ファンの心を魅きつけるもの があります。イタリアでは一部の上流階級の、ちょっと気取った音楽ファンに受けているといわれていますが、ストレートなポップスでもストレートなロックで もない彼の音楽は、たしかにリスナーを選ぶタイプといえるでしょう。
 自分も以前は彼の音楽が苦手で、その良さがよくわかりませんでした。しかし、いろいろなイタリアン・ポップ・ミュージックを聴き、いろいろなプログレッ シヴ・ロックを聴いたあとにある日、突然その良さが感じられるようになったんです。
 多くのイタリアン・ポップスがもつわかりやすいドラマはありませんが、1度気づいてしまえば、メロディのはしばしに、アレンジのそこここに、イタリアら しさが息づいている──Francoのつくりだすポップスは、そういうもののようです。
 このアルバムではハードロック的なアレンジを施されたものもいくつかあり、より重量感を感じられる作風になっています。Francoの ヴォーカルは、以前は力がなくてヨレヨレだったのですが、このアルバムではしっかりと芯のある歌い方になっていて、それも曲に力強さを与えています。妙な エレクトリック・アレンジも存分に発揮されていて、Francoならではのロマンティックで不思議な空間をつくりだしています。 (2000.11.12)

FRANCO BATTIATO / FLEURS 3 (2002)   alla "Musica"
カバー作品集。どれもがFranco Battiato(フランコ・バッティアート)の世界にきちんと翻訳されてる感じがするのは、 オーケ ストレーションやキーボードのアレンジがいかにもFrancoらしいからなのでしょう。おだやかで、少しロマンティックで、だけど ところど ころに変なアレンジがあって、ただきれいでロマンティックなだけでは終わらいというFranco作品らしい仕上がりになっている と思いま す。 (COLUMBIA / SONY MUSIC ENTERTAINMENT: COL 508884 2 / イタリア盤CD) (2005.07.18)


FRANCO BATTIATO / IL VUOTO (2007)
近年のFranco Battiato(フランコ・バッティアート)の アルバムのなかでは最高傑作という声もあちらこちらで聞かれるこの作品。うむぅ、そうなのかぁ。自分はどうもFrancoと はあまり相性がよくないみたいで、もちろんなかには「素敵だな」と思うものも少なくないのだけど、そうでないものもたくさん。で、このアルバムは、あんま りよさがわからないというか、自分の好みとはちょっと違うものでした。なんか、歌メロに魅力を感じないのですよねぇ。バックのフレーズにはFrancoら しい上品な美しさのあるものもときどき出てくるのですが。あと、シンセサイザーの多用が、自分の好みと合わないのかなぁ。とくに「古いジャーマン・プログ レですか?」みたいなシンセの使い方は、自分は苦手です。(2007.09.09)




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FRANCO CALIFANO / ALL THE BEST (1995)
 葉巻をくわえて微笑んでいる彼のジャケット写真を見ていて、なんとなくフランスの俳優、ジャン・ポール・ベルモントを思い出してし まいま したが、声および曲は非常にイタリア臭いシンガーでした。センチメンタルなバラードが多く、大仰に盛り上がったり、声を張って熱唱するようなことはありま せんが、落ち着いたしわがれ声はイタリアの哀愁を強く感じさせます。
 オーケストラ・アレンジも含めて、現在からすれば古臭い音楽だし、どことなく昔の青春映画などの挿入歌のようでもありますが、イタリアン・ポップスの主 流がカンツォーネからカンタウトーレへと移り行く時代を映し出した音楽なのかもしれません。たとえばFausto Leali(ファウスト・レアーリ)を思いっきりおとなしくメロウにしたら、感じが似てくるように思います。
 とても地味ですが、叙情派カンタウトーレ・ファンにはアピールするところが多いのではないでしょうか。自分は気に入りました。(1999.07.03)

FRANCO CALIFANO / TU NELL'INTIMITA' (1999)
 渋いしわがれ声でムーディな曲を歌うカンタウトーレ。活動暦はかなり長いようです。
 絶唱することなく、あくまでも甘く歌う彼の曲は、かなり哀愁があります。ヴァイオリンがふんだんに使われ、いっそう情感を盛り上げます。非常にイタリア 度が高いといえますが、同時にラテンのムード・ポップ的な印象もあり、南米系ポップスが好きな人にもアピールしそうに感じます。
 新鮮味などない、昔ながらの甘いポップスですが、新しければいい、新鮮であればレベルが高いというわけじゃありません。いつまでも変わらないものには、 それ相応の意味と価値があるんだなんてことを思いながら聴きました。
 日本ではサーカスが歌った「ミスター・サマータイム」のイタリア語ヴァージョンが収録されています。それと、作曲陣にDario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)のクレジットがある「Minuetto」っていう曲は、Mia Martini(ミア・マルティーニ)のアルバム『il Giorno Dopo』というアルバムにも収録されています。(1999.10.11)



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FRANCO FASANO / TEMPO AL TEMPO (1992)
 Franco Fasano(フランコ・ファザーノ)の音楽には、青い空の高みへと突き抜けるような、クリアな明るさもあるのだけ れど、 なぜかときどき、すごいクラシカル・シンフォニックになってしまうのがおもしろいです。
 軽やかで乾いた感じの、アメリカのポップスにも通じるような曲を多く歌いながらも、突然、賛美歌のような合唱が入ったり、弦楽をバックに従えたクラシカ ル・アレンジのバラードがあったりと、ある意味、アルバムの統一感には欠けているかもしれません。
 でも、アメリカっぽい曲にも、クラシカルな曲にも、そしてもちろんイタリアらしい曲にも、イタリアン・ポップスの楽しみ──メロディの美しさ、展開・構 成のうまさ、ヴォーカルの情感など──が存分に味わえます。その点では、とてもイタリアらしいアルバムだし、イタリアらしいカンタウトーレといえるのでは ないでしょうか。(1999.12.05)

FRANCO FASANO / MUSICA PIU' (1998)
 SONYから出た2枚のアルバムから選曲されたベスト盤。その性格上、アルバム・トータルとしての構成力には目をつぶるしかありませんが、楽曲単位で聴 いても充分、納得のいくものになっています。
 暖かい声を持ったフランコ・ファザーノ(Franco Fasano)ですが、高音部に移行するにつれてかすれてくるあたりは、パ オロ・ヴァレージ(Paolo Vallesi)などにも通じるところがあります。曲の印象は明るく軽やかなものが多くありますが、そのベー スには古くからのイタリアン・ポップスらしい感覚が生きています。しかし、曲によってはストリングスなどを配し、非情にシンフォニックで深遠な世界を見せ てくれ、ありきたりのポップ・シンガーでないことをアピールします。
 できればオリジナル・アルバムで聴きたいタイプのアーティストです。(1999.02.11)

FRANCO FASANO / SCHERZANDO SCHERZANDO (2000)   alla "Musica"
 ちょっとコアなイタリアン・ポップス・ファンの多くが待っていた、Franco Fasano(フランコ・ファザーノ)ひさしぶり の新作 です。といっても完全なオリジナル・アルバムではなく、過去の3枚のアルバムからのベスト選曲(新録)+3曲の新曲というスタイルでリリースされました。
 ベスト盤ということもあり、アルバムとしての求心力には欠けますし、また曲想も、おだやかでポップなものだけで構成されているので、アルバムのなかでの 起伏といったものも少なく、アレンジもすっきりとしているため、個性という点でも薄まっています。
 とはいえ、なめらかなメロディと、少しひび割れたやわらかい歌声の魅力は、消えることはありません。イタリアン・ポップスの初心者などにはかえって、余 計なクセがない分、このアルバムのほうが聴きやすいかもしれません。(2000.12.17)



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FRANCO MARIA GIANNINI / AFFRESCO (1974)
 CD再発がMellow Recordからされていることでも明らかなように、ポップスやカンタウトーレ作品というよりは、プログレッシヴ・ロック的な作品です。ヴォーカル&ギターを担当するFranco Maria Giannini(フランコ・マリア・ジァンニーニ)の名義になっていますが、音づくりやアルバムの構成は、よりバンド的です。
 厚みのあるキーボード・オーケストレーションや生のストリングスも導入され、歌以外の部分にもストーリーが感じられるような配慮がされています。Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチャンテ)『Mu』Claudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)『Questo piccolo grande amore』、あるいはLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)『Anima latina』など、あの時代のプログレッシヴ・カンタウトー レ的な作風をめざしたのでしょう。しかし、それらの名作群にくらべると、歌メロ自体の魅力、ヴォーカリストとしての個性などで見劣り(聴き劣り)がしま す。この点が、このアルバムが結局はコレクターズ・アイテムにしかならなかった理由でしょう。
 あまり洗練されていないバックの演奏は、当時の熱いイタリアン・ロックを思わせるところもあり、それなりによいのですが、キーボード・アレンジに工夫が ないため、平凡に聴こえます。一方、アコースティック・ギターの音色にはイタリアらしいキラメキや柔らかさがあって、なかなかよい感じです。
 ヴォーカルに強い個性や魅力があれば、作品としての印象や完成度も、もっと上がったのでしょうが、本作に関しては、そこそこの出来のそこそこなプログ レッシヴ・カンタウトーレ作品で終わっています。やはり、マニアやコアなファン向けといえるでしょう。(2001.04.22)



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FRANCO MUSSIDA / RACCONTI DELLA TENDA ROSSA (1991)   alla "Musica"
 イタリア最高のロック・グループ、PFMのギタリストのソロ・アルバム。ギタリストのソロといってもギター・アルバムではなく、 ヴォーカ ルとインスト部のバランスの取れた地中海ポップスに仕上がっています。  南イタリアからアフリカあたりまでのイメージを抱かせる、明るくきらきらとした太陽と熱い風が感じられる音楽です。(1999.12.05)



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FRANCO SIMONE / RESPIRO (1977)   alla "Musica"
 彼の作風は、一言でいえばセンチメンタル。歌メロは繊細な優しさと美しさを持ち、それをサポートするやわらかなピアノの響き、おだやかなオーケストラが 曲の持つ味わいを高めていますが、派手な展開や緩急の落差はありません。そろそろと心に染み込んでくるような、そんな音楽です。(2001.03.18)

Franco Simone / Mie, Piu Mie... (1991)
 Franco Simone は前にもここで軽く紹介しました。そのときのアルバム『VOCePIANO』は、タイ トルど おりピアノをバックに唄うというアレンジものでしたが、今回はとくにそういう企画ものでない普通の曲を収録した『Mie, Piu Mie...』と いうアルバム(ベスト盤のようです)を聴きました。
 『VocePiano』ではどことなくシャンソンを思わせる、どことなく悲しげな唄を聴かせていましたが、このアルバムでは典型的なカン ツォーネ・イタリアーナを披露しています。美しいオーケストラをバックに歌われる数々の唄は、たとえばオーケストラ時代のイ・プー(i Pooh)な どが好きな人にもアピールするかもしれませんね。(1998.02.01)

Franco Simone / VOCePIANO (1996)   alla "Musica"
 フランコ・シモーネ(Franco Simone) のアルバム『VOCePIANO』は、タイトルからもわかると おり、 声(Voce)とピアノ(Piano)だけで(一部抑えたオーケストレーションがありますが)つくられた1996年のアルバム。
 このアルバムの第1印象は、イタリア(カンタウトーレ、もしくはカンツォーネ)のアルバムというより、フランスのシャンソンに近い、というもの。実際、ジャッ ク・ブレル(Jacques Brel)の曲も1曲あります。
 また、アルンニ・デル・ソーレ(Alunni del Sole)の曲も1曲唄っているのですが、オーケストラをふんだんに使い、幾分芯 の強さも感じさせる原曲に比べると、かなりはかなげです。
 このアルバムの印象が彼の持ち味なのかどうかはわかりません(はじめて彼のアルバムを聴いたので)が、寒い冬の夜に、暖炉の前で恋人と聴きたくなるよう なアルバムでした。(1997.12.27)

FRANCO SIMONE / NOTTURNO FIORENTINO (1998)
 ロマンティックでちょっとセンチメンタルな感じが持ち味のカンタウトーレ。活動は1970年代からのようで、今ではすっかりベテランです。
 もともとオーソドックスな美しいイタリアン・メロディを聴かせる人のようですが、このアルバムでも彼の持ち味は存分に発揮されているといえるでしょう。 現代風にソフィスティケイトされた部分もありますが、素朴で美しいメロディと、心のひだをちょっと突っつくかのようなヴォーカルは健在です。
 今作では民族音楽風の女性ヴォーカルやソプラノ・ヴォーカルとデュエットしたり、バッハの「アヴェ・マリア」を収録したりと、アルバムの印象にアクセン トを与えるものがいくつかあり、ありきたりなポップスで終わらないようになっています。また、アレンジとギターでAlberto Radius(アルベルト・ラディウス)が参加していて、ところどころでRadiusらしい音色のギターが聴けます。 (1999.09.12)

FRANCO SIMONE / DIZIONARIO (ROSSO) DEI SENTIMENTI - VOCEPIANO (2003)
 (D'AUTORE/AZZURRA MUSIC: DA1012 / イタリア盤CD)
1996年にリリースされた『Vocepiano - dizionario dei sentimenti』(自分が持っている CDは (P)1996となっていますが、オリジナルは1990年頃にはすでにリリースされていたようです)の続編。Franco Simone(フランコ・シモーネ)のアルバムは何枚か持っていますが、なかでもこのアルバムはかなり好きなものなので、続編のリリースは素 直にうれしいです。まさかシリーズ化されるとは思っていなかったし、前作リリースからずいぶん時間が経っているし。
前作同様、Francesco Guccini(フランチェスコ・グッチーニ)Piero Ciampi(ピエロ・チァンピ)、Umberto Bindi(ウンベルト・ビンディ)といったイタリアのカンタウトーレや、Gilberto Gil(ジルベルト・ジル)、Lionel Richie(ライオネル・リッチー)の曲など、自作曲以外のカヴァーも収録されています。シ リーズのタイトルどおり、それらの曲がほとんどピアノの弾き語り(+薄いオーケストレーション)で歌われています。Francoの憂いを含 んだ歌声が優しく響き、哀愁度の高い作品になっています。哀愁度の高さのわりには、あまりベタベタと暑苦しくないところが好ましいです。やわらかなジャ ズ・ヴォーカルに通じるようなところもあり、大人の夜の音楽といった感じでしょうか。
選曲の関係か、前作の『Vocepiano』とくらべると、いくぶんスッキリ度が上がったかなという印象もあり、その点では少し「濃さ」が 薄れていますが、冬以外に聴くのであれば、このくらいのほうが聴きやすいように思います。このシリーズ、今後も続くのか、ちょっと楽しみです。 (2003.09.07)



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FRATELLI D'ITANO / NUIE SIMME TRESC ( ? )
 イタリアン・ポップスというには地域色というか、オリジン・ミュージック的な印象が強いFratelli d'Itano(フラテッリ・ディターノ)。楽曲を提供しているのがNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)だから でしょうか。
 土地のお祭り、カーニバルを思わせる曲から始まるこのアルバムは、途中ラップ風な曲もありますが、ガチャガチャとした雑然さが心地よいです。ヴォーカル をとる人間が複数いるのだけど、なかでも南ヨーロッパの哀愁を感じさせるカスレ声の男性ヴォーカルが味わいがあって、自分はいちばん好きです。全体的に昂 揚した気分が感じられ、民族音楽風味とあいまって、独特の雰囲気を演出しています。(1999.05.08)




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FSC / FSC (2007)
2007年のサンレモ音楽祭新人部門に出場したFSCの、たぶ んデビュー作。このグループ、Franco Battiatoとも交 流があるようですが、Francoの音楽性とはあまり類似性を感じま せん。ここ数年でたくさん出てきたブリティッシュっぽいノスタルジックなメロディを振りまくグループのひとつといったところでしょうか。懐かしい感じが強 いけど、コードの使い方や進行に洒落た部分があるので古臭くはならないところがうまいなとは思います。
個々のフレーズや曲を聴く分には心地よいけれど、曲調にあまり幅がない感じで、だんだんどれも同じに聴こえてきてしまい、アルバム後半に入る頃には少 し飽きちゃった。(2007.09.09)




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FUNAMBOLICI VARGAS / CANZONIERE COPERNICANO (2000)
 綱渡りをしている男を描いたセピア色の水彩画風ジャケットが印象的で、それに引かれて入手したアルバム。これまでにこのグループの曲を聴いたことはない し、そもそもグループ名もはじめて見るものです。
 ロマンティックなサキソフォンがふんだんにフューチャーされ、ピアノ、ガット・ギター、マリンバなどのアコースティック楽器を中心に演奏される音楽は、 ジャズ・ラテン風味の強い、品のいいソフト・ミュージックです。こういう音楽が聴けるとは、ジャケットからは想像できませんでしたが、なかなかいいです。
 古いキャバレー音楽を思わせるようなノスタルジックさもあり、いわゆるイタリアン・ポップスとは違いますが、ヨーロッパらしい音楽といえるでしょう。一 部の曲で入る、イギリスのトラッド系フォークロック・グループを思わせる女性ヴォーカルも、好きな人にとってはポイントが高いと思います。
 イタリアのグループでいうなら、最近のPiccola Orchestra Avion Travel(ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル)から演劇的な部分を取り除き、よりリラックスさせ、トラッドなどの伝統音楽 的な印象を加味したら、このような感じになるのではないでしょうか。(2000.08.13)



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