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FRANCE


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Ange / Bruno Pelletier / Didier Marouani / Emma Shapplin / Francis Lalanne / Francoise Hardy / Garou / Gerard Manset / Gregorian / Jacques Brel / Lewis Furey / Mona Lisa / Patricia Kaas / Raphael / Rene' Joly / Visitors




ANGE / TOME 87 (2002)
フレンチ・シアトリカル・シンフォニック・プログレッシヴのビッグ・ネーム、Ange(アンジュ)の1987年のステージを収録したライヴ盤です。最近手に入れました。
いやぁ、懐かしいです。『新ノア記』とか学生時代、よく聴いたよなぁ。このライヴ、『新ノア記』前後の比較的古い名曲群がたくさん収録されていて、日本盤のLPでAngeをよく聴いていた人たちにはきっと、胸にしみることが多いのではないでしょうか。
そういった懐かしさはあるのだけど、またChristian Decamps(クリスチャン・デカン)の演劇的なヴォーカルはあいかわらず圧巻なのだけど、演奏的にはそれほど緊張感はないかな。ヴォーカルも含め各楽器の音量バランスがもうひとつなパートが多く、またリズム・セクションの録音があまりよくないためにボコボコもっさりした印象になってしまい、Angeの持つ「力強いのだけど繊細でどこかミステリアス」な音世界がうまく再現されてないように思います。それに、独特のあたたかみと厚みを持ったキーボードの音も、このライヴではあまり冴えない感じ。まぁ、スタジオ録音とライヴ録音を比較してはいけないのでしょうけどね。録音年代も違うし。
ただ、ライヴならではの、ちょっと粗い感じのするパワフルさは楽しめます。デビューは1972年だそうだから、すっかりおっさんになってるはずですが、まだまだ元気ですね。それにたしか、彼らはいまも現役でしたよね。
ちなみにAngeには『Tome VI』という名作ライヴ・アルバムが1977年にありまして、今回のライヴ盤のタイトルはそれにあやかっているというか、いかにも同じシリーズという感じで期待させるのですが、『Tome VI』ほどのクオリティ(総合的な雰囲気込みで)はないなという印象でした。(MUSEA: FGBG 4444.AR / BELLE ANTIQUE: MAR 02732 / 日本盤CD) (2005.10.10)



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BRUNO PELLETIER / D'AUTRES RIVES (1999)   alla "Musica"
 Bruno Pelletier(ブルーノ・ペルティエ)はフランス人のシンガーで、主にミュージカルの世界で活動しているのだそうです。このアルバムにも、非常にドラマティックでスケール感のある曲が多く収録されています。とてもミュージカル的というか、ロック・オペラ的な印象を強く受けます。
 ミュージカル・シンガーらしい、豊かな声量と太く張りのある声が、アルバム全体にドラマティカルなストーリーを与えています。ヴォーカル・ラインはゆったりとしていて、適度にオーケストラも入り、全体の演奏面での厚み、奥行きも申し分ありません。いわゆるポップ・ミュージックとは少し違ったところにありますが、美旋律ヴォーカルのファンには楽しめるアルバムでしょう。(2001.02.18)



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DIDIER MAROUANI / SPACE OPERA (1987)
 フランスのシンセサイザー奏者。1987年の録音・ミックスのためか、いまとなっては懐かしい感じがします。初期のころのJean-Michel Jarre(ジャン・ミシェル・ジャール)とか、Neuronium(ニューロニウム)なんてグループを思い出します。
 Space Operaというタイトルどおり、遠く広大な宇宙を思わすような、広がりのあるシンセサイザー・ミュージックが展開されています。基本的にはシンセによるインスト作品と考えていいですが、ところどころでロシアおよびアメリカの聖楽隊が深遠なコーラスを聴かせてくれます。ロシア人が多く協力しているためか、ちょっとロシア的な哀愁を感じる部分もあります。
 個人的にはシンセシンセした音がいまいちなのと、もともとインストにはあまり興味がないこともあって、愛聴盤にはなりませんが、好きな人は好きなんでしょうね。(2000.01.10)



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EMMA SHAPPLIN / CARMINE MEO (1997)   alla "Musica"
 フランスの女性シンガー、Emma Shapplin(エマ・シャプラン)のこのアルバムは、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)の女性版として、フランスで大ヒットになったのだそうです。つまり、「クラシックの発声でポッポスを歌う」というスタイルです。クラシカル・テイストのある曲は、堅苦しいところはなく、ときにアイルランドなどのトラッドを思わせるところもあり、ポピュラー・ミュージックとしてのわかりやすさ、とっつきやすさがあります。ユーロピアン・ロマンティック&ドラマティックな、オペラティック・ポップスとしての魅力にあふれた作品です。(2001.04.22)

EMMA SHAPPLIN / THE CONCERT IN CAESAREA (2003)   alla "Musica"
1999年にパレスチナのカエサリアという町にある2000年以上も昔に建造されたという劇場で行なったライヴの録音が、2003年にリリースされてたのを見つけました。このライヴはたった3日間、あとにも先にもこのときだけの「Carmine Meo Live」だったようで、フル・オーケストラに合唱団つきという大人数によるものになっています。もちろんアレンジとキーボードにはスタジオ盤と同様、元Mandalaband(マンダラバンド)→元Sad Cafe'(サッド・カフェ)Vic Emerson(ヴィック・エマーソン)も参加。ライヴだからといって音が薄くなることなく、ドラマティックなステージが展開されていきます。 (PENDRAGON RECORDS / CAPITOL / EMI MUSIC FRANCE: 593208 2 3 / EU盤CD) (2005.04.03)



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FRANCIS LALANNE / SANS PAPIERS (2000)   alla "Musica"
ちょっと空気の抜けたような声の出し方は、フランス語だからなのか、それともFrancis Lalanne(フランシス・ラランヌ)のクセなのか、あまりフレンチ・ポップスを聴いたことのない自分にはよくわかりません。味わいはあるなとは思うのだけど、力強く声を張ってほしいパートでも空気が抜けてしまうためか、もうひとつ迫力に欠けてしまうのが残念。声質自体はなかなか魅力的です。少しひび割れてて、中低域にふくらみがあって。ちょっと高音域が細いのだけど、これはトレーニング次第で厚みを増せそうな感じがします。歌い方がどことなくポップ・オペラ的というかミュージカル・シンガー風な感じがします。全体にポップ・ロック調の曲が多いのですが、明るく楽しげなラテン・ポップ・フレーバーのM7(だったっけな)があったり、M2やM4のようなドラマティックに盛り上がるバラードがあったりと、アルバムを通して聴いていて飽きないだけの曲や演奏のヴァリエーションがあります。 (FIONA RECORDS / WH RECORDS: WH CD45 / フランス盤CD) (2005.10.10)



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FRANCOISE HARDY / MA JEUNESSE FOUT LE CAMP (1967)   alla "Musica"
手元にあるのは、ずっとむかしにLPからカセットテープにコピーしたものをMDにダビングしたという、音質的にはわやなものなんですが、それでもアルバム・タイトル曲であるM1の、フランスでしかありえないといってよいであろう哀しみと哀愁と叙情に満ちた美しさは、いま聴いてもやはり胸にしみます。M1では美しい哀しみ、引き裂かれたような淋しさに満ちていますが、他の曲は、じつはけっこう明るい印象です。でも、どんな曲を歌っても、そこはかとない哀愁がただよってしまうのは、語り的要素の強いフランス語で歌われているからだろうし、Francoiseのちょっとウィスパー気味の歌い方のためでもあるでしょう。 (2004.07.25)

FRANCOISE HARDY / CONTE DE FEES (1973)
Francoise Hardy(フランソワーズ・アルディ)の声って、どこか寂しげです。Francoiseの歌って、あまり強い感情が表に出てこないんですよね。シャンソンは愛と人生を歌う歌といわれたりもしますが、だとするとFrancoiseの愛と人生は、弱々しく、はかなげで、寂しそうに感じます。曲調自体はマイナーで悲しいものばかりというわけではなく、明るい感じのものや、それなりにリズミックなものもあるのだけど、そこに乗る歌声は、おだやかに美しく微笑んではいるけれど手を伸ばせば消えてしまいそうな、そんなもろさを含んでいるように思われるんです。いくぶんウィスパー気味なヴォーカル・スタイルのせいもあるでしょうが、声自体の持つはかなさの影響も大きいでしょうね。
甘さや切なさとは別の美しさをもった、心ひかれる音楽。そこにありながらも、手を差し伸べたら消えてしまいそうな危うい存在感。夢の中で出会う美しい少女のようなものかもしれません。
とても素敵なアルバムなのだけど、これを聴いて味わうには、自分の日常はあまりにも騒がしくあわただしい。いまの自分には聴くべき時間を見つけにくい作品かもしれません。(2003.07.20)



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GAROU / SEUL (2000)   alla "Musica"
 Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチャンテ)の音楽で大ヒットしたミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』に出演していたフランス人シンガーです。すごいダミ声にパワフルなヴォーカルは、イタリアのダミ声カンタウトーレ系に近いと思います。しかし曲調は、イタリアやフランスというよりは、英米のポップス、それも少し古い、ちょっとイナタイ感じのポップスに近いように思います。フレンチやユーロ・ポップスが好きな人よりは、英米のドラマティックかつシアトリカルなポップスやロック、あるいはロック・オペラなどが好きな人に、よりアピールするのではないでしょうか。(2001.06.17)



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GERARD MANSET / LA MORT D'ORION (1970)   alla "Musica"
 フランスのシンガー・ソングライター。「オリオンの死」というタイトルから得られるイメージそのままに、不安で地の底に潜っていくようなダウンな空気に満ちています。クラシカルなストリングス・オーケストラにシアトリカルなヴォーカルがかぶさる、かなりシリアスな作品です。(2000.10.15)



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GREGORIAN / MASTERS OF CHANT CHAPTER III (2002)   alla "Musica"
グレゴリアン・チャントの唱法でポップスを歌うというコンセプトのグループ。バックの演奏はエレクトリック・ポップ風で、ほどよい華やかさと美しさをもっています。こういった演奏スタイルやアイデアって、最近のフランスならではなのかもしれません。このアルバムは彼らの3枚目で、これまでのアルバムからのベスト選曲になっているようです。歌われているのはDuran Duran(デュラン・デュラン)「Ordinary World」などのように有名な曲のカヴァーが中心で、オリジナル曲を歌うグループではないようです。そういう意味では、かなり「企画もの」的なニュアンスが強そうです。(EDEL RECORDS/WARNER MUSIC FRANCE: 5046620742 / フランス盤CD) (2003.09.07)



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JACQUES BREL / BREL (1977)
 ジャック・ブレル(Jacques Brel)は、重く、落ち着いた、しかし非常に力強い歌声を持った、フランスのシンガー。はじめてこのアルバムを聴いたとき、なんとなくファブリツィオ・デ・アンドレ(Fabrizio De Andre')を思い出しました。
 アコーディオンやオーケストラをバックに従えた哀愁の曲もありますが、それよりも印象的なのは、存在感のある彼の声。フレンチ・ポップというよりはシャンソンといったほうがいいのでしょう。いくつか非常にシアトリカルというか、舞台音楽的な曲もあり、フランスのシアトリカル・ロック・グループのルーツのひとつを見た(聴いた)感じがします。
 ちなみに、収録曲の半分くらいは、彼のペンによるコメディ・ムジカーレ(音楽コメディ?)からの曲のようです。(1998.12.06)



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LEWIS FUREY / THE HUMOURS OF (1976)
アルバムのオープニングは、なんかエロティックでちょっと背徳的な雰囲気を持っているのに、ヴォーカルが入るとひねくれた感じのポップスになるところがおもしろいです。曲のタイプは違うけど、どことなくSoft Cell(ソフト・セル)、というかMark Almond(マーク・アーモンド)などに通じるところがありそうです。
ひねくれ感が心に引っ掛かって魅力的なアルバムですが、M4「Lullaby」などはけっこう普通というか、おとなしいグラム・ロックのような印象もあります。でもヴォーカルにやけに存在感があるというか、普通な顔をしているうしろでシニカルな笑みを浮かべているような感じもして、一筋縄ではいきません。このヴォーカルの存在感は、これも曲のタイプは違いますが、Peter Hamill(ピーター・ハミル)などにも通じるような気がします。
フランスのシンガー・ソングライターということもあり、フランスらしい(?)クセのある美しさと人を小バカにしたような感じをうっすらと漂わせつつ、古いブリティッシュ・ポップスのような人懐こい面もあります。部分部分でほどよくゴージャス(笑)なアレンジもあり、意外とプログレッシヴ・ロックのファンなどにも受けそうな感じです。というか、こういう音楽の中心的なリスナー層って、どういう人たちなんだろう? 全体にアコースティックな割合が高めなのも好感度が高く、自分としては楽しめるのだけど、いわゆる普通のポップス・ファンにはすすめにくいかもしれません。
オーケストラとピアノの音色が美しいM12「Legacy」はコーラスも入り、メロディ的にも構成やアレンジの面でも、なかなかの名曲だと思います。(2003.07.20)



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MONA LISA / LE PETIT VIOLON DE MR. GREGOIRE (1977)
次作の『Avant Qu'il Ne Soit Trop Tard』と並んで名作・傑作といわれているサード・アルバム。シアトリカルなヴォーカルが炸裂しています。パワフルにさまざまな歌い分けができている点で、このジャンルのトップ・グループであるAnge(アンジュ)に比肩する、ところどころで凌駕しているとさえいえるでしょう。
バンドの演奏力(というよりも、音づくりなのかな)がAngeにくらべるとかなりチープで、いくぶん粗くもあり、それゆえパッと見(パッと聴き?)で損をしているようにも感じますが、このチープさが身近感や世俗感をより強く生み出しているともいえそうで、悪くはありません。しかしこのキーボードのアレンジと音づくりの薄っぺらさは、もう少しなんとかしたほうがよさそうには思いますが。
意外とポップなメロディもあり、シアトリカル・ロックとしてはとっつきやすいかもしれません。しかし場面展開のヴァリエーションは豊富で、幻想的なフルートなども入り、シアトルカル・ロックの楽しみを存分に感じられる作品です。 (WOTRE MUSIC / MUSEA: FGBG 4009 / フランス盤CD) (2004.12.25)

MONA LISA / AVANT QU'IL NE SOIT TROP TARD (1978)   alla "Musica"
フレンチ・シアトリカル・ロックのトップ・バンド、Mona Lisa(モナ・リザ)の4作目で、前作の『Le Petit Violin de Mr.Gregoire』と並んで彼らの名作と呼ばれています。そして実際、名盤の名に恥じない内容になっていると思います。ほとんど歌メロのない「語り」ヴォーカルが炸裂するアルバム・タイトル曲から、シアトリカルな世界へと一気に引き込んでいきます。フランス語の響きを最大限に活用したヴォーカルは圧巻で、それだけでもかなりの魅力ですが、そこに世俗な哀愁とふざけた感じ(?)の入り混じった演奏がかぶさることで、Mona Lisa独特の世界が構築されます。アルバムのなかで独自の世界をつくりあげ、音楽を聴いているだけでその世界が目に見えるような錯覚を起こさせる。シアトリカル・ロックの醍醐味です。 (NEXUS / KING RECORD: KICP 2809 / 日本盤CD) (2004.12.25)



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PATRICIA KAAS / SCENE DE VIE (1990)   alla "Musica"
実は自分、聴くの初めてなんです、Patricia Kaas(パトリシア・カース)。有名なシンガーですよね。人気者ですよね。アルバムもたくさん出てるし。でも、ごめんなさい。聴いてみての感想は、「ふ〜ん」でした... 悪くはないんですよ。というか、おそらくは素敵なフレンチ・ポップスなんだろうとは思います。ただ、なんというか、普通。普通にフレンチなヴォーカルで、普通にシャンソン風だったりジャズ風だったりロック風だったりする曲を、普通なアレンジに載せて歌ってる... という印象しか受けなかったのだわ。 (EPIC/SONY RECORDS: ESCA 5119 / 日本盤CD) (2005.10.10)



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RAPHAEL / HOTEL DE L'UNIVERS (2000)
フランスの若手シンガー・ソングライターのようです。中古で安く売ってたので、ためしに買ってみました。
う〜ん、20年前の自分だったら、けっこうよろこんで聴いたかもしれないなぁ。飛行場を走ってる表ジャケットと『Hotel de l'Univers』というアルバム・タイトルから、いわゆるシンガー・ソングライター系というか、フレンチ・ポップ系の音楽を期待してたのだけど、実際は重いニューウェーヴ系の音楽でした。
どろどろと地面を這うようなベースとドラム。どことなく退廃的なエレキ・ギター。あまり変化や動きのないヴォーカル・ライン。さらにどの曲もテンポが遅い。Raphael(ラファエル)といえば聖書やミルトンの『失楽園』にも登場する大天使の名前ですが、その役割は「癒し」だそうで、医者や巡礼者の守護天使なんだそうだけど、このフランスの若者Raphaelの音楽を聴いても自分は癒されないなぁ。
それでも少し沈んだ歌声にはちょっと魅力があり、ニューウェーヴ色の強くないM7「On craindra plus les balles」などはヨーロッパらしい陰鬱な雰囲気が美しくもある。自分の好みとしては、演奏形態がもう少しポップス寄りだったらなぁと思う。(EMI MUSIC PRANCE: 7243 5295432 2 / EU盤CD) (2005.10.10)



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RENE' JOLY / CHIMENE - L'INTEGRALE 69/72 (1998)   alla "Musica"
 Rene' Joly(レネ・ジョリィ)というフランスのシャンソン歌手のベスト盤らしいのですが、自分はこの人のことをぜんぜん知りません。収録されているうちの何曲かは、非常にシリアスかつクラシカルなシンフォニック・シャンソン・アルバム『La Mort d'Orion』で知られるGerard Manset(ジェラール・マンセ)が提供しているので、きっと交友関係があったのでしょう。オーケストレーションもGerard Mansetが担当しています。
 また、プログレッシヴ・ロックのファンには、King Crimson(キング・クリムゾン)「the Court of the Crimson King」「Epitaph」を、そしてProcol Harum(プロコル・ハルム)「Wreck of the Hesperus」をフランス語で歌っているのが気になるところでしょう。
 1960年代から70年代前半にかけての古い曲を集めて収録しているらしく、ストリングスによるオーケストレーションがたっぷりと入っています。センチメンタルとシリアスのあいだを行ったり来たりする曲想は、ただ甘いだけでない、かといって暗いばかりでもない感じです。(2000.12.17)



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VISITORS / VISITORS (1974)
ジャンルとしてはヘヴィ・シンフォニックになるのかな。フランスのプログレッシヴ・グループって、シアトリカル系かジャズ・ロック系、もしくは優しい感じのシンフォニック系が多いような印象なのですが、このグループは、力強くハードで、サイケデリックで、どことなく邪悪な力も感じさせるような音楽を演奏しています。この熱い感じは、どことなく初期のころのイタリアン・プログレッシヴに似ていると思います。
M1はFormula 3(フォルムラ・トレ)もデビュー・アルバムで演奏していた「Dies Irae(怒りの日)」ですが、Formula 3のほうが邪悪加減が強くていい感じかな。M3「Terre-Larbour」はドラミングが初期のころのPink Floyd(ピンク・フロイド)みたいです。
英語で歌われていることもあり、あまりフランスを感じさせませんが、アート・ロック、サイケデリック・ロックからプログレッシヴ・ロックへと移り変わる過渡期に生まれた、ブリティッシュ・ロックとは少し違ったテイストを持ったユーロピアン・ロック・アルバムだなということを強く感じます。ある意味で古臭いし、演奏力などもそれほど高くないのだけど、音楽に込められたスピリットやハートの強さが、いま聴いても耐えられるだけの魅力や魔力をアルバムに与えているように思います。 (MUSEA: FGBG 4106.AR / フランス盤CD) (2004.05.09)



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