MiniRevueTitle


G


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Gatto Panceri / GianCarlo Onorato / Gianfranco Manfredi / Gianluca Grignani / Gianluca Melchiorri / Gianluigi Di Franco / Gianni Bella / Gianni Celeste / Gianni D'Errico / Gianni Drudi / Gianni Fiorellino / Gianni Morandi / Gianni Nazzaro / Gianni Nocenzi / Gianni Tirelli / Gianni Togni / Gigi D'Alessio / Gigi Finizio / Gino Paoli / Giorgio Canali? / Giorgio Faletti / Giorgio Gaber / Giorgio Mangano / Giovanni Danieli / Giuseppe Cionfoli / Goran Kuzminac

*** canta(u)trice ***
Gerardina Trovato / Gianna Nannini / Gigliola Cinquetti / Ginevra Di Marco / Giorgia / Grazia Di Michele

*** gruppo ***
Gemelli DiVersi / Genco Puro & Co. / Gens / il Giardino dei Semplici / il Giro Strano / Goblin / Gruppo2001





GATTO PANCERI / GATTO PANCERI (1992)   alla "Musica"
もともとは『Cavoli amari』というタイトルでリリースされたファースト・アルバムに、1992年のサンレモ音楽祭参加曲「L'amore va oltre」を追加して再リリースされたアルバムです。最近はかなりポップな要素の強い音楽を演奏していますが、デビュー当時はけっこうロック色が強かったんだなということが、このアルバムを聴くとわかります。また演奏だけでなく、曲のスタイル自体も、よりシンプルなロック・テイストを持っていたのだということも。少しひび割れたヴォーカルは独特の味わいがあります。「L'amore va oltre」を含め数曲の、あまりロック色の強くないポップ・ミュージックには、イタリアらしい、だけど過剰なイタリア臭さはない、美しく素直なメロディがいくつもあります。 (UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 512 221-2 / EU盤CD) (2005.06.04)

GATTO PANCERI / SUCCEDE A CHI CI CREDE (1993)   alla "Musica"
 派手なドラマティックさや厚みのある演奏はないものの、カンタウトーレらしいロマンティシズムとリリシズムがあります。ロック的な曲調が多いのですが、全体的にメロディアスで、フレーズとしての美しさだけでなく曲全体のとしての美しさを構成できる人のように感じます。少しかすれ気味の声も、イタリアにはよくあるタイプとはいえ、やはり味わいがあります。あまりパッショネイトに歌わず、抑えたなかにさまざまな情感が詰め込まれているといった感じです。
 軽快な曲とスロー〜ミディアムテンポの曲の配分もよく、彼のコンポーザーとしての魅力とシンガーとしての魅力の両方が感じられます。(2001.09.16)

GATTO PANCERI / CERCASI AMORE (1999)
Gatto Panceri(ガット・パンチェリ)のCDってほかにも持ってるのだけど、どんな感じだったかあまり覚えていません。ORO(Onde Radio Ovest)の曲「Vivo per lei」Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)が歌ったヴァージョンの作詞のところにGattoの名前があって、それで興味を持ったのだけど、少なくともOROともAndreaとも共通するものは見つけられなかったような気がします。
それでこのアルバムなのですが、ロック・テイストのあるシンガー・ソングライターといった感じでしょうか。ギターがアルペジオ、ストロークともに、なかなかいい音で鳴っています。クールななかに感情を込めたようなメロディ・ラインも魅力的に思います。ヴォーカルも厚みがあり、きちんと聴かせます。Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)から粘っこさをなくして、もう少しサッパリさせたら、感じが似てくるかもしれないなと思いました。
ミディアム・テンポのポップ・ロックが中心で、ほどよいパッションと哀愁を漂わせつつも、しつこくはならないところが好ましいです。バラードではストリングスも入り、哀愁度もアップしますが、それでもやはりどこかサッパリ感があって、気分よく聴いていられます。 (POLYDOR/POLYGRAM ITALIA: 547 218-2 / イタリア盤CD) (2004.03.13)



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GEMELLI DIVERSI / FUEGO (2002)   alla "Musica"
とても人気のあるラップ/ヒップ・ホップ系グループ。リズムの強いラップ・ミュージックではあるのだけど、リズムよりもメロディのほうが強く感じられるところが、やはりイタリア的なのでしょう。演奏だけでなく、たとえばM6「...tu corri!」などは、そもそもラップとして繰り出される言葉そのものがどことなくメロディに乗っているような感じすらします。 (BEST SOUND/BMG RICORDI: 74321963682 / EU盤CD) (2006.07.02)



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GENCO PURO & CO. / AREA DI SERVIZIO (1972)
 全体的にフォークタッチで、あまり派手さやドラマティックな展開のない、シンプルな曲が聴けます。
 メロディやヴォーカルは素朴ながらも、どことなくはかなさがあって、まずまずなのですが、演奏がもうひとつ垢抜けないのが残念です。全編を通してバックに聞こえるアコースティック・ギターも、あんなふうにベタベタ弾かず、新しい弦を張ってクリアな音で鳴らしていたなら、アルバム自体にもっと空間と広がり、奥行きが出たんじゃないでしょうか。
 また、曲の途中に出てくる、メロディ楽器としてのキーボードの音づくりやフレーズ自体が古臭いのは、制作年代が古いので、しかたがないともいえますが、楽器の使い方という面では、なぜあんな使い方をするのだろうと思うところがあります。自意識過剰でデリカシーのないキーボードのフィルインやソロは、曲のイメージのなかで浮いているし、楽曲の持つ透明感もぶち壊しています。
 それを我慢すれば、それなりにいいアルバムだと思うんですけどね。(1999.10.11)



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GENS / IL MEGLIO (1996)   alla "Musica"
 1970年代に活動していたコーラス・グループのベスト盤。タイプとしてはPooh(プー)il Giardino dei Semplici(ジャルディーノ・デイ・センプリーチ)などと同系統ですが、彼らよりも軽やかさ、さわやかさがあり、よりポップスらしいといえるかもしれません。(2000.04.15)



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GIANCARLO ONORATO / IO SONO L'ANGELO (1998)
 天使像をフラッシュバックしたジャケット写真に、「私は天使」というアルバム・タイトル。とても思わせぶりな装いのアルバムですが、音のほうは意外と普通のギター・ポップでした。イタリアというよりはイギリスのゴシック・ニューウェーヴ的な音の肌触りは、あながち印象違いというわけではありませんが。
 曲によってはストリングスやオーケストラが入ることもあり、ヨーロッパ的な湿り気を強く感じさせますが、基本的にはブリティッシュな感覚のポップスといっていいでしょう。曲想的に明るかったり暗かったり、ポップだったりメロウだったりと、アルバムとしてはまとまりがもうひとつにも感じられますが、全編を通してGianCarlo Onorato(ジャンカルロ・オノラート)の性格の暗そうな声が聴こえるため、思ったより統一感はあります。(1999.09.12)



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GIANFRANCO MANFREDI / MA NON E' UNA MALATTIA (1976)   alla "Musica"
この人のアルバムは楽しいです。不思議と魅力的なごった煮感にあふれています。陽気なディキシーランド・ジャズ風があるかと思えば50'sや60'sを思わせるポップスもあり、胡散臭い(笑)ムード・ミュージック風あり、サイケデリック・フォーク風もあり、さらにはやさしげなバラード風に始まって、このままロマンティック or ドラマティックにすすむかと思えばプログレッシヴに展開しちゃったり、ときにはLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)風になっちゃったり。声も、甘いトーンからはつらつ?系、いなたいひび割れ声と、まるで魔術師のよう。ひとつひとつのフレーズがとても魅力的で、まじめに素直にバラードとかを書いたら、すごくロマンティックで感動的なものができそうなのに、そうしない。どこかひねっちゃう。このへんの感覚が、なんだかとても好ましいです。 (RCA / BMG RICORDI: 82876592512 / イタリア盤CD) (2004.12.25)

GIANFRANCO MANFREDI / ZOMBIE DI TUTTO IL MONDO UNITEVI! (1977)
この人のこと、自分はぜんぜん知らないんですけどね、Gli indimenticabiliシリーズの再発は安いし、内容もいいものが多いし、ジャケット・アートも変で気になるしってことで買ってみました。そしたら、なにげに曲作りやアレンジでClaudio Fabi(クラウディオ・ファビ)Roberto Colombo(ロベルト・コロンボ)とかが関わってて、なかなかおもしろい作品になってます。ヴァイオリンでLucio Fabbri(ルーチォ・ファッブリ)Mauro Pagani(マウロ・パガーニ)も参加してるし、PFM人脈のなかに入る人なのかな。
都会と未開地、現代と原始時代、地球人と宇宙人(?) ―― そんなものが入り乱れたようなイメージのジャケットは、怪しさ満載です。でも曲のほうはそれほど怪しいことはありません。インディーズ系フォーク・ロックっぽい感じですが、そのなかに地中海風味があったり、泥臭いフォークがあったり、古い時代のヨーロッパの街角楽師を思わせるようなノスタルジックな曲があったり。そんな感じでいろんなタイプの曲が入り乱れているところは、ジャケットの混沌とした印象とあっているかもしれません。
でも、それが変にプログレッシヴとかアートっぽいとかいうことはなく、全体に聴きやすいと感じるのは、Gianfranco Manfredi(ジァンフランコ・マンフレディ)のヴォーカルが、なんだか田舎臭くて垢抜けてないからかな。ちょっとにごった感じの声だけど、なんか、人がよさそうなんですよ。この声が意外と求心力があって、どんなタイプの曲でもGianfrancoのものにしてるんでしょうね。
なかなかにおもしろいアルバムでした。新品で5ユーロという値づけ以上の楽しみがありますね。 (RCA/BMG ITALY: 82876592972 / EU盤CD) (2004.07.25)



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Gianluca Grignani / la Fabbrica di Plastica (1996)   alla "Musica"
 ジャンルカ・グリニャーニ(Gianluca Grignani。読み方これでいいのだろうか?)の1996年のアルバム『la Fabbrica di Plastica』は、力強く骨太の、どこか土の香りがするような、そんなアルバムでした。
 はじめて聴いたカンタウトーレでしたが、熱いロック・スピリットをもった人のようです。ジャケットもちょっと凝っていて、なかなかかっこいいよ。(1998.03.01)

GIANLUCA GRIGNANI / SDRAIATO SU UNA NUVOLA (2000)   alla "Musica"
 繊細でメロウななかに、ロック的な力強さがうかがえます。しかし、それ以上に男の弱さ、哀しさのようなものが強く前面に出ています。メロディアスなミディアム・テンポの曲がアルバム全体を占め、控えめのオーケストラも全体に使われていて、どことなく孤独な感じと、たおやかな心象風景を思わせます。(2001.03.18)

GIANLUCA GRIGNANI / UGUALI E DIVERSI (2002)
Gianluca Grignani(ジァンルカ・グリニャーニ)もすっかり中堅どころのアーティストになりましたね。初期のころは土臭いストレートなロック・シンガーだった気がしますが、最近はほどよいポップさを備えた重厚なヴォーカル・ロックを得意としているように感じます。ミディアム・テンポの曲が増えたのも、最近の彼の傾向かな。
Gianlucaって、声がいいですね。太くて力強いのだけど、そのなかにそこはかとない頼りなさや優しさ、甘さが見え隠れしてる。この声がミディアム・テンポのメロウなメロディにとてもよくマッチします。また、美しいバラードもこの声の魅力を充分に引き出します。
この前のアルバムもそうだったと記憶していますが、ちょっと曲調が似通ったものが多く、メロディや構成にもある種のワンパターンさを感じる部分があることは否めません。それがGianlucaの曲の個性になっているともいえますが、もう少し曲ごとの個性というのも期待したい感じです。彼の場合はヴォーカルに個性があるので、曲調やテンポに変化をつけても声の個性で求心力を得られるでしょう。
むかしながらの土臭いストレートなロック、美しいロック・バラード、ほどよくポップな曲など、それなりにバラエティはあって楽しめます。あっさりめのオーケストレーションも雰囲気づくりに役立っています。自分の好みとしては、これにもう少しリズムの変化や緩急豊かな展開があればなぁとは思いますが、充分にやわらかなイタリアン・ポップ・ロック・ヴォーカルの魅力を感じられるアルバムだと思います。 (UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 586 889-2 / EU盤CD) (2004.12.25)



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GIANLUCA MELCHIORRI / MONDO NUOVO (1997)
 ジャンルカ・メルキオッリ(Gianluca Melchiorri)が1997年に出したデヴュー(?)ミニアルバム。優しく柔らかい、透き通った声を持った若者。声や唄い方自体には、あまり個性がありません。都会的で落ち着いた、しゃれた感じの曲が多いですが、ところどころ能天気なところもあります。全体的に曲のインパクトは弱いけど、ちゃんとイタリアンなメロディはもっています。(1998.08.02)



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GIANLUIGI DI FRANCO / GIANLUIGI DI FRANCO (1988)   alla "Musica"
Cervello(チェルヴェッロ)のヴォーカリストだそうです。一部のファンのあいだではとても評価が高いようなのですが、自分の好みからすると、ちょっと微妙です。なんか、アルバムとしてばらばらな感じ。「ライオンは寝ている」風だったり「バナナボート」風?と思えるものもあったり。チョッパー・ベースとやかましいキーボードの入った派手なポップスもあれば、古いアメリカの歌謡曲ポップスみたいなものもあり。その一方で、素直な流れと美しい展開を持ったイタリアらしいメロディがあったり、アラブやエジプト風のエキゾティックなメロディが見え隠れしたり。イタリアらしいポップスを感じさせたり、エキゾティックな香りのするいくつかの曲は、なかなか興味深いです。 (DISCHI RICORDI: CDMRL 6377 / オーストリア盤CD) (2007.07.29)



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GERARDINA TROVATO / GECHI, VAMPIRI E ALTRE STORIE (2000)   alla "Musica"
 2000年のサンレモ音楽祭参加曲「Gechi e vampiri」を収録したベスト盤。この曲がけっこう気に入っていたので、ちょっとばかり楽しみにしてこのベスト盤を聴いたのだけど、こうして続けて何曲も聴いてみると、けっこう平凡な女性シンガーかもと感じます。とくに曲が悪いとか、すごく歌が下手だといったことはないのですが、標準的な水準をクリアしているだけで、それを抜け出たところといったものが歌にも曲にも感じにくいと思います。(2002.08.31)



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GIANNA NANNINI / UNA RADURA... (1977)
Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)といえば、パワフルなダミ声ヴォーカルが魅力の、ロック色の強い女性シンガーといったイメージがあるのだけれど、このアルバムでは全体的にスローな感じの曲が多く、パワフルではあるけれど、元気というのとは違う、どちらかというとドラマティックな要素が強い作品に仕上がっています。
声量も歌唱力もあるシンガーが、そのヴォーカルの持つ力、魅力を活かして歌うスローなバラードなどには、バラードしか歌えないような甘い声のシンガーには出せない独特の哀愁、感情の高まりなどが感じられて、自分は大好きです。ただ、このアルバムではそういった系の曲が多すぎて、アルバムとしてのおもしろみといったものには少し欠けるかもしれません。
悲しみを絞り出すように歌われるM2「Rebecca」は哀愁度が高く、心を打ちます。
バックにFranz Di Cioccio(フランツ・ディ・チォッチォ)Flavio Premoli(フラヴィオ・プレモリ)、Patrick Djivas(パトリック・ジヴァス)、Claudio Fabi(クラウディオ・ファビ)といったPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)絡みのメンバーが参加していることもあってか、M3「Basta」やM4「Frenesia」などは、演奏面でやりすぎ、いじりすぎな印象があります。それこそ「Basta!(もうたくさんだ!)」って感じです。
M6「Maria Paola」での喉から血が吹き出しそうなヴォーカルは、ポーランドのシャンソニエール、Anna Prucnal(アンナ・プリュクナル)を思わせます。
M7「Siamo vivi」はスケール感のあるメロディ・ラインがGiannaのヴォーカル・スタイルによくあっています。
M9「Riprendo la mia faccia」はどことなくユーモラスな曲調で、軽い感じなのだけどヴォーカルはやっぱりパワフル、そしてバックの演奏はちょっとプログレ・ポップ風だったりします。(2003.07.20)

GIANNA NANNINI / GIANNISSIMA (1991)   alla "Musica"
イタリアのロック姉さん、Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)のライヴ・アルバムです。1990年のライヴ・ツアー「Scandalo European Tour '90」から収録されています。ひび割れた声でパワフルに熱唱する典型的ロック・スタイルは、ロックを歌うには力強くてカッコイイのだけど、バラード系などでの表現力がちょっと弱点ともいえます。しかしライヴになると、会場の熱気がサポートすることもあってか、バラードでもそれなりに聴かせますね。 (METRONOME MUSIK/POLYDOR K.K.: POCP-1177 / 日本盤CD) (2006.07.02)

GIANNA NANNINI / X FORZA E X AMORE (1993)   alla "Musica"
なかなか出来のいいアルバムだと思います。基本的にはGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)らしい、シンプルでストレートなメロディと構成を持った曲に、力強いひび割れヴォーカルが乗るといったスタイルなのですが、それぞれの曲の持つメロディが、シンプルながらも素直で美しい響きを持っているからでしょう。シンプルでわかりやすいロックというGianna Nanniniらしさをしっかり出していながら、収録された曲にはさまざまな表情や味わいがあるところが、このアルバムを魅力的にしていると思います。 (POLYDOR: POCP-1352 / 日本盤CD) (2007.09.09)

GIANNA NANNINI / DISPETTO (1995)   alla "Musica"
お茶目に舌を出して笑っているGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)。このジャケットの雰囲気は、このアルバムの雰囲気によくあっているかもしれません。ちょっと歌メロが単調なものも多いのですが、ハード・ロック・ドライヴィンな演奏と元気いっぱいなGianna姉さんの歌声がストレートに「ロックって、楽しい」という雰囲気を出していて、聴いていて気分のいいアルバムだと思います。 (POLYGRAM ITALIA/POLYDOR: 527 174-2 / イタリア盤CD) (2006.07.22)

GIANNA NANNINI / CUORE (1998)
 Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)のヴォーカルって、けっこう好きなんです。すごいガラガラ声で、非常にパッショネイトで、熱く激しいのだけど、そのなかにふっと優しさ、おだやかさが見え隠れします。とてもロック的だと思います。それも、若さとちからだけで押し切る子供っぽいロック・ヴォーカルではなく(それはそれで別の魅力があるけれど)、歌というものをきちんと感じさせてくれるヴォーカリストです。
 そんなGiannaの魅力は、たとえばアルバム1曲目の「Un giorno disumano」などに現われています。強さと弱さ、激しさとおだやかさが、たがいに寄り添い、とけあっています。楽曲も、そんな魅力あるヴォーカルを楽しめるメロディ・ラインと展開を持っています。
 ただ、アルバム全体を聴いた場合、作品としての魅力が薄いのです。どの曲もGiannaのパッショネイトなヴォーカルは楽しめるのですが、声以外に心に響くものが少ないのです。
 それはつまり、楽曲そのものに魅力があまりないからだと思います。せっかくよい「声」と「歌い手」があっても、その魅力を充分に活かす「曲」がないと、総体としては魅力の薄いものになってしまうのです。
 このアルバムに収録されているすべての曲の作詞・作曲に、Gianna本人がかかわっています。もしかしたら自作するよりも、少なくとも作曲については曲づくりのうまい誰かに任せたほうが、Giannaのヴォーカリストとしての魅力を引き出せるのではないかと感じました。(2001.05.20)

GIANNA NANNINI / PERLE (2004)   alla "Musica"
名盤です。Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)といえば情熱的なダミ声でパワフルに歌うロック・シンガーというイメージがあるのですが、このアルバムでは生ピアノを中心に、ヴァイオリン等のストリングスを加えたアコースティックなセットで歌っています。この、シャンソンにも通じるような落ち着いた演奏に、Giannaの力強いヴォーカルが乗り、やわらかくかつ重厚な厚みのある独特の音世界が展開されています。 (Z-MUSIC/POLYDOR/UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 9815677 / EU盤CD) (2004.07.25)

GIANNA NANNINI / GRAZIE (2006)   alla "Musica"
全体にスローからミディアム・テンポの曲が多く、ほとんどの曲にオーケストラがかぶせてあります。そのオーケストラにより盛り上がる構成は多く聴かれますが、歌メロ自体はシンプルで、どちらかといえば平凡。ちょっと曲・テンポのヴァリエーションが乏しい感じがします。また、元気なロックがないのも残念。若いころのような元気さでなくてもいいけれど、Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)にはやはり、そのヴォーカル・スタイルの個性を活かして、円熟のロック・ヴォーカルを聴かせてほしかった。悪くはないのだけれど、落ち着きすぎてしまったというか、綺麗にまとまってしまった感じがあり、ロック姉さんとしてのGiannaの魅力があまり感じられませんでした。 (BAD & WORTH / POLYDOR / UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 9876805 / EU盤CD) (2006.07.22)



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GIANNI BELLA / same ( ? )
 1976、77、78、80年の曲を集めたベスト盤。CGDからリリースされていますが、ドイツ盤のようです。
 ジャンニ・ベッラ(Gianni Bella)の少し鼻にかかったような細くて甘い声は癖があって、人によってはなじみにくいかもしれません。とくに90年代以降は、その傾向が顕著のようです。でも、このCDで聴くかぎり、70年代の彼はまだ、それほど声の癖が強くなく、聴きやすいものになっています。メロディもポップで美しく、70年代らしいノスタルジーを持っていて、イタリアン・ポップスらしい音楽じゃないかと思います。(1999.04.04)

Gianni Bella / Non Si Puo' Morire Dentro (1995)
 ちょっと鼻が詰まったような高めの声を持つジャンニ・ベッラ(Gianni Bella)。タイプとしてはエロス・ラマゾッティ(Eros Ramazzotti)系でしょうか。ちょっとソウル風なところもありますが、全体的には落ち着いたイタリアン・ポップスになっています。
 コートとマフラーをして秋風と木枯らしの舞う街角にたたずむ……そんな絵が似合いそうな曲が多いです。(1998.12.06)

GIANNI BELLA / MASTERPIECE (2000)
 イタリアWARNER FONITレーベルによる廉価のベスト盤シリーズ『Masterpiece』の1枚。このアルバムには主に1970年代後半の曲が収録されています。
 Gianni Bella(ジャンニ・ベッラ)の曲って、ポップで甘くロマンティックなものが多いと思っていたのですが、このベスト盤を聴くと、カンタウトーレ風のものあり、アメリカンなものあり、プログレッシヴ・ロック風ありと、意外と幅広いことがわかります。細めの少し喉になにかが詰まったような声は特徴的です。歌い方や発声に、ざらざらした感じとすきま感があります。曲調にはさまざまなタイプがありますが、どれもなめらかで美しいメロディを持っていて、これがGianniの書く曲の魅力となっています。
 ところでM7「Io canto e tu」やM11「Pane caldo」などで聴こえるギターの音色は、もしかしたらAlberto Radius(アルベルト・ラディウス)でしょうか? この『Masterpiecd』シリーズに限らず、BMGの『Flashback』やEMIの『Collezione』シリーズなどもそうなのですが、廉価のベスト盤シリーズは収録曲についてのデータがほとんど記載されていないのが難点です。価格が安いのでしかたなくはありますが。
 それはともかく、「Io canto e tu」は中途半端にアメリカを意識したかのような、ファルセット・ヴォイスでのヴォーカルを導入したリズミックな曲ですが、これはあまりよいとは思えません。そういえばAlbertoの1976年のアルバム『Che cosa sei』でもこういった感じの曲がありましたが、もしかしたらGianniのアルバムにもAlbertoが持ち込んだのでしょうか? 実際にAlbertoがこの曲に参加しているかどうかはわかりませんが。(2001.09.16)

GIANNI BELLA / IL PROFUMO DEL MARE (2001)   alla "Musica"
 やわらかいメロディを持ったなじみやすいソフト・ポップスといった持ち味は、このアルバムにもよく出ていると思います。と同時に、クリアなデジタル・サウンドが大きく聴こえるなど、若かりしころの甘いカンタウトーレとは少し違った最近の音楽になっていますし、ある程度の年齢を重ねたシンガーの歌になっているとも思います。アメリカっぽいニュアンスの強いものや、どことなくいなたい感じのする曲もあります。ヴェテランらしく、必要な水準は充分にクリアしているアルバムだと思います。(2002.03.02)



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GIANNI CELESTE / I MIEI SUCCESSI E... (1998)
 東京にあるユーロ・ポップスの専門店Casa Bianca(カーザ・ビアンカ)でこのアルバムを買うとき、店長に「Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)の子分みたいな歌を歌う人」と紹介されたのだけれど、なるほど、そういう感じです。声も曲も、まんまNino系。もちろんナポリ出身です。
 ただ、Gianni Celeste(ジャンニ・チェレステ)は自分では曲を書かないようで、純粋にナポレターナ歌手なのかもしれません。Ninoより南部なまりが強いように感じられる歌い方、ちょっと低めでこもった感じの丸みのある声で、オーソドックスなイタリアン・メロディを歌っています。
 NinoやPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)などの歌には南イタリアの風景、たとえば海や太陽のキラメキ、青い空の下で生活する人々などを感じさせるところがありますが、Gianniの歌にはそういうものがあまり感じられません。そういった背景の薄さが、ちょっと小粒な印象を与えてしまうように思います。歌や曲はいいものがあるだけに、ちょっと残念かも。(1999.09.12)



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GIANNI D'ERRICO / ANTICO TEATRO DA CAMERA (1975)
雷雨のSEから始まる作品。このあたりからすでにプログレッシヴな風味が感じられます。ちょっと陰鬱な哀愁を漂わせるヴォーカルが特徴的。演奏は比較的地味で、エレキ・ギターやキーボード、ドラムなどは入っていますが、バンド演奏ではなく、あくまでもカンタウトーレ作品的です。
丸みがあって、あたたかいのだけど、どこか寂しげな歌声がとても魅力的です。ちょっと引っ掛かるような、単語の1音1音をポツポツと発音するような歌い方は、Orme(オルメ)Aldo Tagliapietra(アルド・タッリャピエトラ)に似ている感じがします。それもあってか、『Uomo di pezza』のころのOrmeをもう少しスタイリッシュに、哀愁のあふれ方も少し抑えめにして、カンタウトーレ風の作品にしたら、このアルバムと似てくるかも(そんなことはないか)。
鍵盤系やコーラスで上手に哀愁を加味していますし、歌声も寂しげな哀愁があるのですが、全体が哀愁一色になることはありません。曲の部分部分に明るさを表現するところがあり、その明るさと寂しげな感じが混ざりあって、あの時代のイタリアン・プログレッシヴ・カンタウトーレ独特の情感を聴かせてくれます。くすんだ感じと、ときおり現われる澄んだ清涼感のバランスも、いかにもプログレッシヴ風です。Gianniはこのアルバムを録音後、事故で亡くなったそうですが、そういったストーリーも含めて、なかなか味わいのある作品です。 (BMG RICORDI: 82876544042 / EU盤CD) (2004.01.04)



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GIANNI DRUDI / ...IL GOLIARDICO DRUDI!! (1993)
自分は初めて聴くGianni Drudi(ジァンニ・ドルーディ)ですが、1980年代から音楽活動を始め(デビュー・シングルが1988年、デビュー・アルバムは1992年リリース)、現在も活動中(2006年に『Double Face』という2枚組をリリースしているようです)。これまでにアルバム10枚以上がある、ちょっとしたベテランのようです。このアルバムにスパニッシュ・ヴァージョンが収録されている「Fiky fiky」という曲が有名らしい。
う〜ん、どうなんでしょ。あまりイタリアっぽさのない人のように思います。アメリカや南米(ラテン)の雰囲気が強い感じ。M2「Mai dire tv」など、ほとんど古いロカビリー/ロックンロールといった感じで、まるで「ダイアナ」のようです。
M3「Scendi dal fico!」やM7「Tirami su la banana...」、M8「Melodia」などでは、曲や声にどことなくUmberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)風というか、Sergio Caputo(セルジォ・カプート)風な雰囲気があり(かなりアメリカ寄りではありますが)、それなりに聴かせます。M3のメロディはGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)を思わせるところもあるし。一方、M4「Me tira...」、M5「Come e' bello lavarsi!」は南米・ラテンなリゾート感満載。ゆるいレゲエのリズムや木琴(鉄琴?)の音色、海の音や鳥の声のSEなど、明るい陽のさすのんびりとした海辺に寝そべってフローズン・カクテルでも飲みたい気分になります。M6「Ma che cazzo dici?」ではラップを聴かせ、M9「L'oroscopata!!!」はカンタウトーレ風な雰囲気もあるフォーク・ロック風な曲なのだけどアレンジは歌謡曲。もうなんだかわかりません。
けっきょく、アルバムとしてどうしたいのか、Gianni Drudiの作風がどういうものなのか、よくわからないのですが、とりあえず全体にゆるく楽しげな雰囲気が漂っている(イタリアぽさはなし)ので、天気のいい日にだらだら聴くのがよさそうです。 (PIANOFORTE / DISCHI RICORDI: CDSNIR 25149 / イタリア盤CD) (2007.04.22)



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GIANNI FIORELLINO / FAVOLE (1999)   alla "Musica"
ナポリ音楽祭優勝曲「Girasole」を収録したアルバム『Futurosemplice』はいかにも若いナポリ出身カンタウトーレらしい、ロマンティックな哀愁を存分にまとったポップ・ミュージックが満載でしたが、そのひとつ前にリリースされたこのアルバムは、かなりダサダサです。声はいいです。いかにもナポリらしい、丸く暖かで伸びやかな声。曲も、いいものはいいです。でも、かっこ悪い曲も多いのですよ。とくにちょっとアップ・テンポ系/リズミカル系の曲が、いかにもダサダサです。いったいいつの楽器を使ったいつのアレンジだよってくらい、チープで古臭くて薄っぺらで無駄に派手なアレンジが施されてます。メロディにはいいものが多いだけに、このアレンジのまずさが残念です。 (AZZURA MUSIC: TBP11203 / イタリア盤CD) (2005.07.18)

GIANNI FIORELLINO / FUTUROSEMPLICE (2000)   alla "Musica"
 非常にイタリアらしい、それ以上にナポリらしい音楽を聴かせてくれます。タイプとしては、最近のGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)にかなり雰囲気が似ているのではないでしょうか。ナポリらしい哀愁と明るい軽やかさがバランスよく表現され、アレンジのセンスもよく、今後が楽しみなカンタウトーレです。(2000.08.13)



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GIANNI MORANDI / LE ITALIANE SONO BELLE (1987)
Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ)といえばイタリアの大スターで、アルバムもたくさん出ているし、日本にもファンが多いのだけど、自分はそれほど興味がなかったりします。もちろん、人気シンガーなので、アルバムは何枚か持っているのだけど、どれも普通というか、これといって特筆すべきものを感じません。そういった“普通さ”が大衆的な人気につながっている部分でもあるのでしょうが、そこが自分にとってはものたりない部分でもあるわけです。
1987年にリリースされたこのアルバムも、出来は悪くありません。イタリアらしい明るさと美しさがありますし、Gianniのヴォーカルも清々しく、聴いていて心地のよいものになっています。でも、それ以上のものを自分は感じられないんですよねぇ。なにかもっと、ヴォーカルにクセというか、強い個性があればなと思ってしまいます。M5「Vincere per te」などは伸びのある歌声を聴かせてくれるし、演奏にもスケール感があって、なかなかよいのだけど、心をわしづかみとまではいかない。
このアルバムに限らず、自分がいままで聴いたことのあるGianniのアルバムってみんなそうなのだけど、全体に充分なクォリティはあるけれど、「これは!」って曲がないんですよね。1曲でいいから、曲自体とか、あるいはヴォーカルで、こちらをうならせてくれるといいのだけど。全体としての質が悪くない分、そこが残念です。(2003.07.20)

LUCIO DALLA E GIANNI MORANDI / DALLA/MORANDI (1988)
タイトルどおり、Lucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ)による共演盤。といっても、ふたりで一緒にメインヴォーカルをとっている(いわゆるデュエット)のはM1「Vita」くらいで、あとはそれぞれのソロ作品みたいな曲がまぜこぜに収録されているだけという、なんだかよくわからないアルバムです。
しかし、こうして聴くと、やっぱGianniっていい声なんですね。Gianniのアルバムは何枚か持ってますが、自分はあまり好きじゃないというか、アルバムとしてはそんなに「いい」とは思ってないのですけれど、このアルバムのGianniは、なんか「いい」。このアルバムに収録されている曲が彼にあってるのかなぁ。それとも、癖の強いLucioの合間に流れるから、よさが際立つのかなぁ。
M5の「Felicita'」はむかし、なにかの映画のテーマ曲に使われたことがあるのだけど、なんて映画だったか、どんな映画だったか、ぜんぜん覚えてません。知り合いの女の子に頼まれて、東京・池袋の文芸座に一緒に観にいった映画で使われてたんですけど。あの当時、池袋の文芸座周辺は薄暗い感じの繁華街で、育ちのよい生真面目な若い女性がひとりで行くのは抵抗のあるような場所だったのよね。いまはどうなんだろ。長いこと池袋のあの辺って行ってないな。 (RCA/BMG ARIOLA: PD 71778 / ドイツ盤CD) (2004.07.25)

 全体的に軽やかでポップな曲が多く収録された、ルーチォ・ダッラ(Lucio Dalla)ジャンニ・モランディ(Gianni Morandi)の共演盤。彼らのペンによる曲はあまりなく、マリオ・ラヴェッツィ(Mario Lavezzi)フランコ・バッティアート(Franco Battiato)、ロザリーノ・チェッラマーレ(Rosalino Cellamare)など、他人の書いた曲を唄っています。
 洗練された、都会風のおしゃれな感じがしますが、メロディにはイタリアらしい美しさがあふれています。ルーチォの情熱的なヴォーカルはもちろん、ジャンニのおおらかでロマンティックな、往年のイタリアン・ポップスの香り漂うヴォーカルも、非常に心地よいものです。
 ただ、アルバム全体として聴いた場合、多少冗長かもしれません。(1999.02.11)



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Gianni Nazzaro / le Piu Belle Canzoni (1971-75)
 ジャンニ・ナッザーロ(Gianni Nazzaro)もむか〜しの人(いまも現役かどうかは不明)。デビューは1966年だとか。1971年から75年の曲を集めたベスト盤『Le Piu Belle Canzoni』を買ってみました。
 年代のせいか、ふる〜い映画の劇伴を思わせる大仰なストリングス・アレンジがたっぷり。最近のすっきりした音楽しか聴いてない人には、ちょっとキツイかも。逆に、往年のオーソドックスなカンツォーネが好きな人にはおすすめかもしれません。
 ちなみにこの人、カンタウトーレではなく、カンタトーレみたいです。つまり、自分で曲を作らないで、誰かの作った曲を唄う人ですね。このCDにはサンドロ・ジャコッベ(Sandro Giacobbe)の曲とクラウディオ・バッリォーニ(Claudio Baglioni)の曲も入っています。



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GIANNI NOCENZI / SOFT SONGS (1992)
 元Banco del Mutuo Soccorso(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ)のキーボーディスト、Gianni Nocenzi(ジャンニ・ノチェンツィ)のソロアルバムです。『Soft Songs』というタイトルどおり、柔らかい楽曲が6曲、収録されています。そして残念ながら、そこにBancoの面影を見ることはできません。
 インストゥルメンタルが3曲、ヴォーカル入りが3曲で構成されていますが、どちらもプログレッシヴ・ロックというよりはニューエイジ的なもの。インスト曲の鍵盤のパッセージの一部にBanco的なものを聴くことはできますが、圧倒的な演奏力と緊張感を見せる音楽集団Bancoとくらべると、キーボード以外がすべてゲスト・ミュージシャンのこのアルバムは、圧倒的に分が悪いといえます。ゲストのヴォーカルも、もうひとつ力量不足で、聴き手を魅きつける魅力に欠けます。
 そのあたりも含めて、『Soft Songs』というタイトルが内容をよく表わした作品ではないでしょうか。ちなみに、坂本龍一が1曲、ゲストで参加しています。(2000.10.15)



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GIANNI TIRELLI / LA QUALITA' DELL'ACQUA (1990)
 フォークあり、ロックあり、ブルーズあり、ムード・ポップスありと、あまりアルバムに統一感がありません。全体を通して感じられることは、イタリアのポップスというよりはアメリカのものに近いということでしょうか。乾いた感じの明るさを持った曲想、ソウルっぽい女性コーラス、リズミックなシンセ・ブラス、少しラフなエレキ・ギターなど、アメリカの田舎くさいポップ・ロック風味が多分に感じられます。歌詞が英語だったら、アメリカのブルーズ&カントリー・ロック系のシンガーだと思うかもしれません。
 そんななかでも、ムード・ポップス的な曲や静かなフォークにはユーロピアンな空気が漂っていて、アルバムのなかでの色付けに役立っています。また、力を込めて歌い上げるところでは、声の感じが一瞬Marco Masini(マルコ・マジーニ)風にもなり、ちょっとばかり魅きつけられます。
 そして、アルバムの最後はなぜか、太古の文明社会を思わせるようなエスニック・トラッド的な雰囲気を持った曲で終わるという、なんだかよくわからないアルバムです。(2001.04.22)



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GIANNI TOGNI / COM'ERO (1981)   alla "Musica"
 Gianni Togni(ジァンニ・トーニ)の声はソフトで優しく、草香る草原をゆるやかに流れる風のような、やわらかな甘みを感じさせます。パッションやドラマティックさとは無縁の淡々とした歌ですが、そのなかに繊細さと揺れやすい感性を見つけられます。曲のタイプや方向性は違いますが、たとえばPaolo Frescura(パオロ・フレスクーラ)Mauro Pelosi(マウロ・ペローシ)、Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)などにもどこか通じる部分があるかもしれません。(2003.04.20)

GIANNI TOGNI / SEGUI IL TUO CUORE (1986)   alla "Musica"
 明るくさわやかな曲調となめらかなメロディに、AORや産業ロックに匂いが漂っているのは、制作された年代の影響なのでしょうか。きらびやかな音色のキーボードが多用され、とてもスッキリした印象があります。かといって、まったく英米的というわけではなく、フレーズの端々にイタリアらしいあたたかみと丸みを持った美しさが現われます。アメリカの持つ開放的な感じとイタリアの持つおおらかでフレンドリーな感じが、よい具合で混ざり合っているように思います。(2002.03.17)



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il Giardino dei Semplici / le Favole del Giardino (1977)
 ジャルディーノ・デイ・センプリチ(Il Giardino Dei Semplici)の2nd アルバム。基本的には1st と同じ(^^;)。美しいコーラス、ドラマティックなメロディ展開など、好きな人にはたまらないでしょう。青春歌謡ですね。
 ただ、名作と誉れ高い1st に比べると、全体的に多少、小粒な感じがします。「M'Innamorai」のような印象的な曲がないからかな。でも、「Napoli, Napoli」なんかはいっしょに唄ってしまいたくなるような、おおらかでイタリアンな曲。(1998.08.29)

il Giardino dei Semplici / B/N (1979)
 ジャルディーノ・デイ・センプリチ(Il Giardino Dei Semplici)の3rd アルバム。前2作と比べるとずいぶんすっきりとした感じで、過剰な情緒はなくなってきてると思うんだけど、どこか田舎臭い、もっさりした感じはあいかわらずで、微笑ましいです。「Ricourdate」「Pulicenella Va...」など、地味ながらも美しい曲もちゃんと入ってます。(1998.08.29)

IL GIARDINO DEI SEMPLICE / 8 48 27(otto quarantotto & ventisette) (1993)
 日本では木の葉のジャケットがロマンティックな感じを与えるファースト・アルバムや、ファースト同様、日本盤CDがリリースされたセカンド、サードが、プログレッシヴ・ロック・ファンを中心に愛されているil Giardino dei Semplici(イル・ジャルディーノ・デイ・センプリーチ)。それらのアルバムの印象から、哀愁のメロディをちょっとプログレッシヴなアレンジで聴かせるコーラス・グループといった感じがあるかもしれませんが、もともとはナポレターナ(ナポリ民謡)を歌うグループとして結成されたようです。なので、彼らのアルバムにはナポレターナの名曲が収録されていることも多くあります。ファースト・アルバムでいえばMassimo Ranieri(マッシモ・ラニエリ)なども歌っている「Tu Ca Nun Chiagne」がそうですし、このアルバムにも有名な「O Sole Mio」が収録されています。
 1970年代から活動しているグループですが、いまも現役のようです。彼ら自身の最近のオリジナル・アルバムについては自分は知らないのですが、たとえば1999年にリリースされたEnzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)のアルバム『Oltre gli Alberi』にコーラスでクレジットされていたりと、ナポリ系シンガーのアルバムで彼らの名前を見かけることは少なくないようです。
 ファースト・アルバムの美しさ、青臭くも甘酸っぱい感じを知っている者としては、やはり、それに似た匂いをこのアルバムにも探してしまいますが、残念ながら、見つけられません。全体に明るく軽やかな曲想が中心となっていて、叙情的なところや彼ららしいメロディはあるものの、哀愁という感じはありません。
 聴きやすいのだけれど、これといって特徴のない南欧ポップスといったところでしょうか。(2000.05.14)



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GIGI D'ALESSIO / LASCIATEMI CANTARE (1992)   alla "Musica"
 ZEUSレーベル時代の曲を聴くと、やはりGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)も基本はオーソドックスなナポレターナを歌うシンガーなのだなという印象が強まります。とはいえ、ナポリ民謡といわれたときに多くの日本人が思い浮かべるであろう、テノール歌手が朗々と歌い上げるようなベタベタなナポレターナは、ここにはありません。ほどよくポップで、ほどよくライトで、でもナポリの哀愁はたっぷりな、メロディアスでセンチメンタルなポップ・ミュージックが展開されます。(2001.01.21)

GIGI D'ALESSIO / DOVE MI PORTA IL CUORE (1994)   alla "Musica"
 Gigiの魅力は、いかにもナポリ的なこぶし回しと哀愁に満ちた曲はもちろんですが、それ以上に、軽やかでポップな曲のなかに垣間見えるナポリ的な叙情だと思っていたのですが、このアルバムではオーソドックスな哀愁に満ちたスローな曲が大半を占めています。安心して聴けるイタリアン・ミュージックです。(2000.02.11)

GIGI D'ALESSIO / TUTTO IN UN CONCERTO (1998)
 アルバムの1曲目にスタジオ録音(新曲?)が入っている以外は、タイトルどおりのライヴ盤。全体的に軽やかで明るい感じの曲が多いですが、唄メロ自体は1970年代のイタリアン・ポップスのような、美しく流れる素直なものになってます。Gigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)はあまりちからのない、ちょっと高めの丸い声を持ったシンガーですが、こういう曲調にはあっていると思います。曲間の観客の熱狂がすごいのですが、人気シンガーなのでしょうか。
 そこはかとない哀愁が心地よい彼は、歌詞の感じからするとたぶん、ナポリなど南部の人ではないかと思います。Eduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)などにも通じるような、南イタリア的な素朴さと暖かさが感じられます。(1999.07.03)

GIGI D'ALESSIO / PORTAMI CON TE (1999)   alla "Musica"
 少し高めの丸いクリア・ヴォイスが魅力の、ナポリ出身のシンガー。比較的明るい曲想が多いのですが、ところどころで聴かれるナポリなこぶし回しが、軽やかなメロディのなかに哀愁を運んできます。もちろん、哀愁に満ちたマイナーキーの曲もあるのですが、彼の場合はどちらかというと、明るい感じのメジャーキーの曲のほうに、より強く南イタリアの哀愁を感じます。(1999.10.11)

GIGI D'ALESSIO / QUANDO LA MIA VITA CAMBIERA' (2000)   alla "Musica"
 2000年のサンレモ音楽祭参加曲の「Non dirgli mai」は哀愁のバラードでしたが、アルバム全体としてはポップ・チューンあり、ナポリらしい哀愁に満ちた曲あり、都会的なしゃれた曲ありと、バランスのよい配曲になっています。古くからのイタリアン・ポップスの持つ柔らかいメロディとほのかな南部らしさが楽しめます。(2000.06.17)



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GIGI FINIZIO / SOLO (1999)   alla "Musica"
 ナポリ出身のカンタウトーレ。伝統的なナポレターナやカンツォーネ・イタリアーナの良質な部分に現代的な感じをうまく混ぜ込んだ、クオリティの高い現代イタリアン・ポップスです。クリアで伸びのある高音は決して軽くならず、しっかりした質感と艶を持っています。(2000.04.15)

GIGI FINIZIO / UNA VITA UNA STORIA (1999)   alla "Musica"
ナポリ・ローカルの時代のアルバムです。のちのアルバムではずいぶんと都会的な要素を感じさせるナポリ・ポップスになり、サンレモ後のGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシォ)Gianni Fiorellino(ジァンニ・フィオレッリーノ)とあんまり変わらなくなってきた気がするGigi Finizio(ジジ・フィニツィオ)ですが、ナポリ・ローカル時代の彼は、もっともっとナポリ風。そこに微妙にチープ感をかもし出す薄っぺらなキーボード・アレンジなどがときおり入ってしまうところなども、サンレモ前のD'AlessioFiorellinoとあまり変わらない気がします。それでも、この3人のなかではFinizioがいちばん都会風かな。 (ZEUS RECORD: ZS 80092 / イタリア盤CD) (2006.02.25)



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GIGLIOLA CINQUETTI / THE BEST OF GIGLIOLA CINQUETTI (1993)
 1960年代から70年代にかけての、日本におけるカンツォーネ黄金期のころの歌手や曲って、自分はあまり知りません。自分が洋楽を聴く年頃になるずっと前のことだからです。
 Gigliola Cinquetti(ジッリォーラ・チンクェッティ)は1970年代のカンツォーネ黄金期にとても人気があった歌手で、当時のカンツォーネ・ファンには懐かしい名前なのでしょう。日本の音楽マーケットでイタリアのポップスがほとんど無視されている現在でも、根強い人気があるのか、あるいは洋楽リリースの企画を立てるレコード会社内のスタッフがちょうど当時のカンツォーネ・ファンの世代なのかはわかりませんが、GigliolaのCDは意外と国内盤をよく目にする気がします。
 このCDは1993年に日本盤としてリリースされたベスト盤です。録音は多分オリジナルのもので、新録等はされていないのでしょう。生のストリングすがゆったりとおだやかに、歌を包み込むように配置されていて、イタリア歌謡ならではの美しい曲がたっぷり聴けます。さすがに当時の大ヒット歌手だけあり、カンツォーネに詳しくない自分でも知っている曲が何曲かあります。
 Gigliolaの声は素直で、あまり露骨な感情移入がないため、聴いていても曲の持つメロディの美しさを受け止めやすいです。一方で、少し低めの、どこか薄もやのかかったような声は情感があり、Gigliola本人が意識・意図しなかったかもしれない感情が、歌によって映しだされる情景のなかに伝わってくるかのようでもあります。
 ちなみに楽曲提供者に、1973年のアルバム『Adolescenza』がプログレッシヴ・ロックのファンにもよく知られているカンタウトーレ、Mario Panseri(マリオ・パンセーリ)の名前があって、ちょっとビックリ。それとも、同名異人でしょうか?(2001.04.22)



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GINEVRA DI MARCO / CONCERTO n.1 SMODATO TEMPERANTE (2001)   alla "Musica"
2001年2月24日にフィレンツェ近郊のSan Casciano Val di Pesaという町で行なわれたライヴが収録されています。感じとしては、Carmen Consoli(カルメン・コンソリ)にちょっと似たところがあるかも。音楽的にはCarmenよりも「怖い系」(←どんなだ?)なのですが、声にひきつけるものがあります。ただ、この「声」も曲によってけっこう表情を変え、ぞくっとする中低音があるかと思えばシャーマニックな歌い方で少し飛んじゃってる雰囲気があったり、あるいは天上から降り注ぐ天使の光のように美しいときもあり、ひとことではなんとも形容しがたい。全体にクールで淡々としているのだけど、歌と演奏に「意志の強さ」のようなものが感じられるように思います。 (LUCE APPARE/IL MANIFESTO: CD 081 / イタリア盤CD) (2006.02.05)



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GINO PAOLI / HA TUTTE LE CARTE IN REGOLA (1980)
 1960年代から活動しているカンタウトーレ。渋く落ち着いた、それでいて暖かみを感じさせる声が魅力です。決して歌唱力があるとは思えませんが、いわゆるヴォーカリストとしてのうまさで聴かせるのではなく、彼の口から発せられる歌詞、言葉に、存在感と説得力を持たせるタイプのアーティストでしょう。そういう点では、Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)などに通じるところもあります。
 このアルバムは1980年のリリースのようですが、そのわりには曲想が古臭いなと思ったら、収録曲はどれもPiero Ciampi(ピエロ・チャンピ)のものでした。Gino Paoli(ジーノ・パオリ)はもちろん、自分でも曲を書くカンタウトーレですが、このアルバムには自作曲はひとつもありません。なので、この作品で聴かれるのが彼本来の持ち味なのかはわかりません。
 Piero Ciampiの曲は、甘いセンチメンタリズムにあふれたものが多かったと記憶していますが、それらの曲がおじさん声のGino Paoliに歌われることにより、Piero Ciampiが歌ったときよりも力強さと生活感が感じられます。また、甘さが抑えられたことで、独特のカンタウトーレらしいロマンティシズムが生まれているように思います。
 ちなみに、演奏のところどころに、なぜかプログレッシヴ・ロック臭がすると思ったら、プロデュースは元Osanna(オザンナ)Elio D'Anna(エリオ・ダンナ)でした。(2000.03.12)

GINO PAOLI / SENZA CONTORNO SOLO ..... PER UN'ORA (1992)
 1960年代から活動を続けているGino Paoli(ジーノ・パオリ)のセルフ・カバー・アルバム。基本的に、生ピアノの弾き語りスタイルにアレンジされています。他の楽器が加わる場合でも、ヴァイオリンやハーモニカ、サキソフォンといったアコースティックな音で、Ginoの落ち着いた声と静かに調和します。
 全体にロマンティックな作品だといえるでしょう。やわらかなピアノの響きが心地よいです。少しだけひび割れのあるGinoの声は、いろいろな苦楽を見て知っているけれど、いつも希望を失わない、心優しいおじいさんといった印象で、独特の奥行きとやさしさ、あたたかさを持っています。
 ときにスロー・ジャズ風になったりもしますが、演奏はとても地味です。ただ、その地味さが、1日の疲れを癒してくれるといった感じです。そういう意味では「夜の音楽」かもしれません。
 ちなみにアルバムの最後に収録されている「La bella e la beastia」はディズニー映画『美女と野獣』のテーマ曲のイタリア語ヴァージョンです。Amanda Sandrelli(アマンダ・サンドレッリ)という女性とデュエットしています。(2002.12.01)

Gino Paoli / i Grandi Successi (1997)
 ジーノ・パオリ(Gino Paoli)の1960年代初頭の曲を集めたベスト盤。イタリアとかアメリカの曲というより、そのまんま60'sの曲といえます。当然、洗練されてはおらず、バックに野暮ったいオーケストラが入ってます。
 ある年齢以上の人には懐かしく感じられるのでしょうが、最近の音楽しか聴いたことがないような人にはつらいんじゃないかな。ちなみに自分は、つらいほどではありませんが、懐かしくもないです。というか、自分にはあまり興味が湧かないタイプの音楽です。(1999.01.03)

GINO PAOLI / PER UNA STORIA (2000)
 1960年代(もしかしたら、もっと前?)から活動を続けるカンタウトーレ、Gino Paoli(ジーノ・パオリ)の新録によるベスト盤。1960年から現在に至るまで、幅広い年代から選曲され、新曲も3曲収録されています。
 すべての曲のバックにオーケストラが配されたアレンジになっており、ロマンティック&ハートウォーミングな演奏が聴けます。口ひげを生やしたGinoはすっかり「やさしいけど、ちょっと頑固なところもあるおじいちゃん」といった風貌ですが、歌のほうもそのイメージのままに、人生における数々の山と谷を乗り越えた大人の持つやさしさ、暖かさ、芯の強さを感じさせるものになっています。少しかすれた声は奥深さと包容力がありながらも、けっして優しいだけではない厳しさも秘めているようです。
 新録ということで、ギターやリズム楽器などの音はとてもクリアになっていますが、オーケストラがなめらかなやわらかさを与えているため、冷たい感じや薄っぺらさはありません。録音やアレンジの技術がすすんだためでしょうが、オーケストラなどは60年代のオリジナル録音よりも厚みとふくよかさが増していて、すっきりとしたなかにも暖かさがあふれています。
 収録されている曲のほとんどが、もともと古い時代につくられたものですし、新曲についても、歌い上げるというよりは語りかけるような歌い方はそのままなので、スピード感や派手な展開のある最近のポップスを好む人には、あまり興味を持ってもらえないかもしれません。でも、ポップスがまだ子供たちに占領される前の、のんびりとした暖かさは、いまでも魅力的です。
 Umberto Bindi(ウンベルト・ビンディ)などが好きな人、60年代のオールド・スタイルなポップスが好きな人に。(2001.01.21)



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GIORGIA / GIRASOLE (1999)
 Laura Pausini(ラウラ・パウジーニ)、Irene Grandi(イレーネ・グランディ)らと並んで、日本でも人気がある(んだよね?)女性シンガー、Giorgia(ジォルジァ)。歌がうまく、ルックスもまずまず、歌詞は自分で書くし、才能のある人なのだろうと思います。思うのだけど、あまり(というか、ほとんど)魅かれるところがないのは、曲が平凡でつまらないからでしょうか。
 曲が平凡でも、シンガーとして、表現者として、飛びぬけたものを持っている人であれば、それなりに奥行きや深みのあるものに聴かせることもできるのですが、Giorgiaの場合は、歌がうまいといっても、そこまでうまいわけではありません。普通に歌のうまいお姉ちゃんといったところでしょう。ポテンシャル的にはそれほど低くないのでしょうが、このアルバムを聴くかぎりでは、、Giorgia本人の魅力だけで確固たる位置をイタリアン・ポップス界に築くのは難しいんじゃないかなという感じがします。有能なプロデューサーとアレンジャー、それに作曲陣の力が必要なのではないでしょうか。
 ただ、楽曲が、いわゆるイタリアン・ポップスではなく、アメリカのR&Bやソウルのテイストを持ったポップスなので、そういったタイプの音楽がもてはやされる最近のマーケットには受けがよさそうです。Lauraのように正統的なイタリアン・ポップスを歌って聴衆を魅きつけるだけの力量はないだろうと思いますが、現代的でインターナショナル風な曲を上手に歌うという点ではLauraよりもうまいのかもしれません。(2001.05.20)



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GRAZIA DI MICHELE / RUDJI (1995)
 デヴューがいつかは知りませんが、活動歴はずいぶん長いGrazia Di Michele(グラーツィア・ディ・ミケーレ)。プログレッシヴ・ロックのファンの間では、マーキーの『イタリアン・ロック集成』に紹介された1978年のアルバム『Cliche』が有名なようですが、自分は聴いたことがありません。
 1995年のこのアルバムでは、アコースティック・ギターを中心にした、おだやかで柔らか味のある歌と演奏が中心となっています。4曲目の「Mondo」などは、初期のSheena Easton(シーナ・イーストン)のアルバムなどでも聴けそうなフォーク・ソングで、ちょっと心地よいです。
 ただ、全体的には、あまり印象に残るところがありません。優しげなヴォーカルは、数曲を聴くには心安らかですが、アルバム1枚となると魅きつけるちからや起伏に乏しく、なんとなく流れていってしまいます。演奏も、全体に「優しいお母さん」風で、なんとなくよいのだけど、どこかピリッとしたところがほしいです。
 フォーク・タッチの曲が大半を占めていますが、いわゆる地味とは違った退屈さが感じられるのは、曲調のせいだけではないでしょう。やはり、歌のちからが弱いのだと思います。たとえばこのアルバムが、若いときのOlivia Newton John(オリビア・ニュートン・ジョン)Sheena Eastonなどに歌われていたなら、もう少し楽しめたかもしれないのにと思ってしまいました。(2001.06.17)



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GIORGIO CANALI? / CHE FINE HA FATTO LAZLOTOZ (1998)
 人名なのに最後に“?”マークがついているところからして、いわゆるカンタウトーレやポップス・シンガーとは違うだろうと思っていましたが、どうやらニューウェーブに影響を受けたロック・シンガー/ギタリストのようです。テンションのゆるい、粘つくようなギターのコード・ストロークと、重い音像が特徴となっています。ゴシックというほどではありませんが、光の少ない、暗闇で蠢くタイプの音楽は、1980年代にBauhaus(バウハウス)Killing Joke(キリング・ジョーク)などを聴いていた耳には懐かしく感じるかもしれません。
 半分くらいの曲はフランス語で歌われ、残りはイタリア語ですが、どちらにしろイタリア的な印象はほとんどなく、ブリティッシュ・ニューウェーブ的な音楽です。ポップスではなく、明らかにロックのフィールドにいるミュージシャンなのでしょう。(2000.01.10)



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GIORGIO FALETTI / COME UN CARTONE ANIMATO (1994)   alla "Musica"
 2000年にリリースされたアルバム『Nonsense』は、地味な作風ながらもカンタウトーレならではのよさとストーリーが感じられる、なかなかの作品でした。しかし1994年にリリースされたこのアルバムは『Nonsense』とはかなり印象が違い、しっとりとした印象はほとんどなく、明るく軽快で楽しげな曲が大半を占めています。キーボードのアレンジがときどきとてもチープに感じられるのは、時代のせいでしょうか。(2002.10.19)

GIORGIO FALETTI / NONSENSE (2000)   alla "Musica"
 ストリングス・オーケストレーションがたおやかで美しいM1から始まり、中近東を思わせる力強いM2、アコーディオンが南欧の哀愁を感じさせるM4、アフリカの大地を思わせるM6など、それぞれの曲に情景が浮かびます。ほんの少しひび割れた感じの落ち着いた声も「歌」を感じさせます。全体に生のストリングスやキーボードが配されていますが、甘ったるくも暑苦しくもなることなく、曲にドラマ性を与えています。(2001.01.21)



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GIORGIO GABER / I GRANDI SUCCESSI (1997)
 1981年のアルバムが『イタリアン・ロック集成』に「エマニュエル・ブーツを彷彿させるボーカルが魅力的」と紹介されているジョルジョ・ガーベル(Giorgio Gaber)と同一人物?
 これは1959年から64年までの曲を集めたベスト盤。イタリアン・ポップスというより、50's、60's のポップスといった感じ(当然か。エルビス・プレスリーの時代のようなバラードもあります)。軽くてひょうきん(?)な曲は自分の趣味ではありませんでした。(1998.06.28)

GIORGIO GABER / IO COME PERSONA (1994)   alla "Musica"
 うすいキーボードの白玉に乗せて詩の朗読が行なわれ、そのうちエレキ・ギターが入りハードな展開へ……と、Ange(アンジュ)Mona Lisa(モナ・リザ)を思わせるようなシアトリカルなオープニング。そしてそのままシアトリカル・ロックへ……と続くわけはなく、2曲目はリラックスした軽いラテン・ポップスでした。タイプとしては歌詞を聴かせるシンガー&曲だと思うので、歌詞がわからないのは楽しむうえで大きなハンデかもしれません。でも、シアトリカルな要素を持ったフォーク/ロックなので、そういった雰囲気を楽しむことはできます。(2003.03.02)

GIORGIO GABER / LA MIA GENERAZIONE HA PERSO (2001)
 デヴューしたのが1958年といいますから、すでに40年以上の長い活動歴を持っています。といっても、Giorgio Gaber(ジョルジォ・ガーベル)が積極的に活動していたのは1960年代から70年代にかけてで、このアルバムはなんと20年ぶりの新作なのだそうです。
 自分はこれまで、1960年代の曲を集めたベスト盤しか聴いたことがなかったのですが、そこに収録された曲はいかにも60年代風なメロディとアレンジを持ったポップスで、個人的にはあまり興味を引かれるものではありませんでした。ただ、低く落ち着いた声にはどこか物語的な抑揚があり、なんとなく耳に残る部分があるなとは感じました。
 21世紀最初の年にリリースされたこのアルバムでも、物語的な抑揚を持った、落ち着いたヴォーカルは健在です。ピアノやアコースティック・ギターを中心にしたおだやかな演奏と、古いシャンソンを思わせる物悲しく美しいメロディが、Giorgioの深みのある声をさらに豊かに響かせます。印象としては、初期のFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)などに通じるところもあるかもしれません。地味だけど、カンタウトーレらしいロマンティシズムとヨーロッパらしい情感に満ちたアルバムです。
 メロディ展開やアレンジなどに派手さやキャッチーさがあまりなく、淡々とした感じが強いので、楽しみにくいという人もいるでしょう。でも、秋から冬にかけての夜にふさわしいような、さりげない暖かさ、やさしさが声から存分に感じられる、とてもよい作品だと思います。ロマン派カンタウトーレのファンの人には楽しんでもらえることでしょう。(2001.10.20)



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GIORGIO MANGANO / MILANO (2000)
 Giorgio Mangano(ジョルジォ・マンガーノ)は1981年にアルバムデヴューしたらしいのですが、それにしてはかなり高齢です。デヴュー自体がずいぶん遅かったのでしょう。
 ほとんどの曲を自分でつくっているので、カンタウトーレとは呼べるでしょう。でも、彼のつくる曲は、Lucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)など以降の、ロック世代も引き込むようなタイプのものではなく、それ以前の、Domenico Modugno(ドメニコ・モデューニョ)などの世代のものに近いといえます。
 声や歌い方は素直でやわらかく、メロディもおだやかで暖かい、懐メロ番組で聴けそうな、あるいは町の小さな酒場に集う客たちが全員で酒を酌み交わしながら歌い楽しむような、そんな曲が聴けます。50年代、60年代の優しい感じに包まれたイタリアン・ポップスやムード音楽などが好きな人なら楽しめることでしょう。
 ただ、保存状態のあまりよくない古いマスターテープを使っているのだと思いますが、曲によってはヒスノイズが目立ったり、録音ムラがあったりと、あまり録音状態はよくありませんでした。(2000.08.13)



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GIOVANNI DANIELI / SENZA FRETTA SENZA SOSTA (1996)
 軽やかで明るさにあふれた音楽。リゾート的なリラックスした印象もあります。あまりイタリア臭くはなく、アメリカ西海岸のような乾いた感じがあります。ビートも強くなく、どちらかというとフォークタッチです。ドラマティックさや哀愁、感動といったものは期待できませんが、気持ちを軽くするような、平和で幸せな音楽ではないでしょうか。
 Marco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ)がコーラスや曲づくりで数曲に参加しています。(1999.05.08)

GIOVANNI DANIELI / DISINCANTO (1998)
 Giovanni Danieli(ジョヴァンニ・ダニエーリ)のアルバムは以前、1996年にリリースされた『Senza fretta senza sosta』を聴いたことがあるのですが、これはあまりイタリアらしさを感じない、これといって印象に残らない軽いポップスだったように記憶しています。
 彼はアルバムを4枚ほどリリースしているらしいのですが、基本的には明るくて軽めのポップスが持ち味のようです。ただ、そのなかで唯一、Pooh(プー)Red Canzian(レッド・カンツィアン)がプロデュースしたこのアルバムだけが、イタリアらしい美しさといくぶん湿った情感を持った、イタリアン・カンタウトーレ風な作品なのだそうです。
 たしかにこのアルバムには、『Senza fretta senza sosta』ではあまり感じられなかったイタリアらしさが感じられます。はっきりいって、同じ人が出したアルバムとは思えないくらい、受ける印象が違います。
 楽曲を通して、あるいはアルバム全体を通しての大きなうねりやドラマ性はないものの、それぞれの曲のなかにあたたかいフレーズが頻繁に顔を出します。日常の小さなドラマが少しずつ現われては消えるような、身近なとっつきやすさがあります。ときにフォーク的に、ときにブルーズ風な装いを見せるのも、アルバムの流れのなかでフックとなっていて、飽きさせません。
 正直にいって、力量としては並みのカンタウトーレでしょう。良いメロディをいくつも持ってはいますが、楽曲の構成力や表現力は平凡ですし、ヴォーカルの説得力もあまりありません。M3の「Non ho che te」ではLoredana Berte(ロレダーナ・ベルテ)とデュエットしているのですが、ここではシンガーとしての力量の差がくっきりと出てしまっています。
 しかし、アルバム全体として、どこかほっとした感じの佳作に仕上がっているのは、やはりRed Canzianのちからなのでしょう。(2001.08.19)



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GIUSEPPE CIONFOLI / DIO C'E' (1993)
 Giuseppe Cionfoli(ジゥゼッペ・チォンフォーリ)は神父さんなのだそうです。そういわれると『Dio c'e'』(神はここにいる)というタイトルが、とてもそれっぽいです。
 アルバム・タイトル曲でもある「Dio c'e'」は、タイトルどおりゴスペル風の響きがあります。ただ、そこにハッピーでフラワーな雰囲気も混じっています。コーラスも導入され、なんとなくSchola Cantorum(スコラ・カントルム)風です。
 Giuseppeは全曲の作詞作曲を自分でしているのですが、だからといって全部の曲がゴスペル風かというとそうでもなく、ほとんどの曲はやわらかなメロディを持ったやさしいポップスになっています。このアルバムに収録された曲を表現するとしたら、カンタウトーレ風とか、あるいはイタリアン・ポップス風というよりは、どちらかというとユーロ・ラテンなムード音楽といったところでしょうか。イメージとしては、とてもフリオ・イグレシアス(つづりがわかりません)な感じです。なめらかで甘い感じの声も、すごくフリオ風。
 おだやかなあたたかさが漂っていて、フォークソング風のところもありますが、基本的にはユーロピアン・ムード音楽系の聴きやすいメロディアス・ポップスといったところでしょうか。(2001.11.18)



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IL GIRO STRANO / LA DAVINA COMMEDIA (1992)
 アルバムのリリースは1992年ですが、録音自体は1972年と73年に行なわれています。ずっとお蔵入りになっていたようです。
 1970年代のイタリアン・プログレらしい音が聴けます。オルガンとサキソフォンを中心に展開される、分類としてはダーク&ヘヴィ・シンフォに入るのではないでしょうか。曲の展開やアレンジが洗練されていないのと、こういう系統のグループとしてはヴォーカルがパワー不足なため、もうひとつインパクトが弱く、いわゆるB級な感じがしてしまいますが、あの時代の熱さのようなものは充分に感じられます。録音のクオリティがあまりよくなく、ときどき音が割れがちなのが残念ですが、それもまた、あの時代の熱さといえないこともないかな。(1999.07.03)



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Goblin / il Fantastico Viaggio del "Bagarozzo" Mark (1978)
 ゴブリン(Goblin)は映画『サスペリア』『ゾンビ』などの音楽を担当していたグループなので、映画ファンにはよく名前を知られています。音楽的にも映像的で、どこか恐ろしげなものが多いゴブリンですが、このアルバムはファンタジックで暖かみのある、他のゴブリンのアルバムとはちょっと違った趣をもっています。
 意外とポップス・ファンでも楽しめるのではないでしょうか。好きなアルバムです。



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GORAN KUZMINAC / TEMPO (1999)   alla "Musica"
 少しひび割れた声のカンタウトーレ。曲想は、地味でおとなしい感じのものが中心のようです。カントリーやフォークソング的な味わいのものと、ちょっと泥臭くブルージーなロックの2タイプに大きく分けられますが、Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)的な泥くさロックよりも、柔らかな空気とそこはかのない郷愁、そしてほのかな幻想味すら感じさせるフォーク的な曲に、彼の魅力があるように思います。(2000.09.16)



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Gruppo2001 / l'Alba di Domani (1972)   alla "Musica"
 プログレッシヴ・ロック・グループとして紹介されているグルッポ・ドゥエミッラウーノ(Gruppo 2001)ですが、これはぜひ、カンタウトーレ・ファンにも聴いてもらいたいアルバムです。
 多少ハードなピアノとギターで始まるアルバムの出だしでは、もしやテクニカル・シンフォかと思わせられますが、その後は基本的に“カンタウトーレ・テイスト”をもった、心温まるアルバムです。イタリアらしいだみ声系ヴォーカル、多少未整理な感じが魅力の楽曲など、高度な技術と理論をもったプログレッシヴ・グループでは味わえないような、非常に人間的な音楽が堪能できます。(1997.12.13)



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