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GERMANY


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Anyone's Daughter / Scorpions / STS 8 Mission / Zeno




ANYONE'S DAUGHTER / ADONIS (1978)   alla "Musica"
Anyone's Daughter(エニワンズ・ドーター)といえば正統的なジャーマン・シンフォニック・ロックを演奏するグループで、そのひたすらに美を追求した演奏や曲には好感を持てます。デヴュー作となるこのアルバムでも、クリーンで透明感のある美しいシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。とくにLPのA面すべてを使った「アドニス組曲」は、彼らの持ち味をよく表わしてるといえるでしょう。すがすがしくて美しいシンフォニック・プログレッシヴ・ロック。Sebastian Hardie(セバスチャン・ハーディ)の持つ南半球らしいあたたかでおおらかな感じを、そのままヨーロッパの持つあたたかさとおおらかさに置き換えたような、そんな印象を持ちました。 (METRONOME MUSIC / BRAIN: 0060.186 / 西ドイツ盤LP) (2004.12.25)

ANYONE'S DAUGHTER / PIKTORS VERWANDLUNGEN (1981)
ジャーマン・シンフォニック・ロックの名盤といわれているAnyone's Daughter(エニワンズ・ドーター)のライヴ・アルバム。ライヴといっても、アルバムの最後まで歓声や拍手が入らないので、あまりライヴを意識させません。
もともとすっきりした、やわらかで、ほんのりあたたかみのあるシンフォニック・ロックが持ち味のグループですが、ライヴでもハードになることなく、美しい演奏を楽しめます。重ね録りがない分、ちょっと厚みには欠けますが、それはそれで彼らの音楽性にあっている気がします。曲自体はインストゥルメンタルなものが中心ですが、曲の合間などに詩の朗読(ヘルマン・ヘッセの詩らしいです)が入り、ちょっと格調高めです。
ドイツのシンフォニック系グループって、演奏力自体はあまり高くないものが多いように思うのですが、Anyone's Daughterもそれほどうまいとは思いません。でも、演奏力以外の要素、メロディの美しさだったり、フレーズの組み立て方だったりに、充分な美意識が感じられるのが好ましいです。
個人的にはもう少し「引っ掛かり」のようなものがあるといいなと思うのですが、それはジャーマン・シンフォニックに求めるべき要素ではないですね。甘さを排し、ひたすらに美しさを求めるシンフォニック・ロックです。 (DESHIMA MUSIC: DES 482104 / ドイツ盤CD) (2004.05.09)



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SCORPIONS / VIRGIN KILLER (1976)   alla "Musica"
ジャーマン・ハードロック・グループ、Scorpions(スコーピオンズ)の往年の名作アルバム。シンプルでストレートだけど、短いなかにドラマティックな雰囲気を漂わせているあたりは、やはりヨーロッパのグループですね。ブリティッシュ・ロックともアメリカン・ロックとも少し違った、独特の雰囲気がある。これがScorpionsの魅力なのでしょう。あまり迷いのない感じのハード・ドライヴィン・ロックになっていて、単純に「ノレる」のがいいです。だけどエンディングはヨーロッパのアイデンティティたっぷりの哀愁に満ちた曲というあたりも、なんだかわかりやすくていいです。 (BMG VICTOR: B20D-41012 / 日本盤CD) (2005.06.04)



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STS 8 MISSION / BLIND (1994)   alla "Musica"
一時メロディック・スピード・メタルにはまったことがあって、それ系のグループやアルバムをいろいろ探したことがあります。STS 8 Mission(エス・ティー・エス・エイト・ミッション)も、そのころに知ったドイツのグループです。最初に聴いたのはファースト・アルバムでしたが、ジャーマン・メロディックらしいスピード感と陰影のあるクラシカルな雰囲気がいい感じでした。『Blind』は彼らのサード・アルバムです。たしかこのアルバムから作風が少し変わったんだったと思います。いかにもジャーマン・メロディック・スピード・メタルといった感じではなくなり、より重量感のあるヘヴィ・メタル然としたものになっています。(TEICHIKU RECORD: TECX-25678 / 日本盤CD) (2003.06.15)



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ZENO / ZENO (1986)
Scorpions(スコーピオンズ)のギタリストで、その後ソロ・プロジェクトで活動するドイツ人ギタリスト、Uli Jon Roth(ウリ・ジョン・ロート)の弟、Zeno Roth(ジーノ・ロート)が結成したグループ。クラス分けではいわゆるジャーマン・メタルになるのでしょうが、あまりドイツっぽい感じはしません。
Uliの作品はどれもクラシカルでヨーロッパらしい美意識を強く感じさせるヘヴィメタル/ハードロックでしたが、Zenoのこの作品は、どちらかというとアメリカ市場を意識した北欧メタルといった印象です。キャッチーなメロディとコーラス、すっきりした構成と展開。ヨーロッパらしい湿った肌触りはなく、どちらかというとさわやかで乾いた音色。アメリカン・ロックを中心に聴いている耳にはこれでもずいぶんヨーロッパ風なのかもしれませんが、ユーロ・ポップ/ユーロ・ロックがデフォルトの耳には、ユーロ・テイストを少し加えたアメリカン・ロックといった印象に聞こえます。
曲も演奏もヴォーカルも、どれもそれなりのレベルにありますが、突き抜けたところ、とくに印象に残るものがないのが残念。ひとことでいってしまえば個性が弱く、Zenoならではというものが感じられないので、あまたあるメロディック・メタル・グループのなかに埋もれてしまいそうです。(TOSHIBA EMI: TOCP-8051 / 日本盤CD) (2003.06.15)



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