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HOLLAND


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Earth & Fire / Jan Akkerman / Kayak




EARTH & FIRE / same (1971)
 Earth & Fire(アース・アンド・ファイア)はオランダのグループです。このアルバムはリリース当時、日本盤も出たのだそうで、日本でも人気があったらしいです。自分よりも年上の世代には、同じオランダのShocking Blue(ショッキング・ブルー)などと並んで、懐かしいグループのようです。
 このアルバムからは「Seasons(シーズン)」がシングル・カットされ、当時の日本の洋楽チャートのベスト5に入るくらい売れたらしいのですが、自分にはなじみがありません。the Zombies(ゾンビーズ)の「Time of the Season(ふたりのシーズン)」はなじみがあるように思うのですが。
 そういった、現在では多少、年齢層の高いダッチ・ポップ・ファン以外では、やはりプログレッシヴ・ファンの間での知名度のほうが圧倒的に高いグループでしょう。セカンド・アルバムの『Song of the Marching Childre(アムステルダムの少年兵)』やサードの『Atlantis』はダッチ・プログレの名盤として愛されています。
 とはいえ、このファースト・アルバムの時点では、それらの作品に聴かれるような、いかにもプログレ的な構成・展開はなく、あくまでもポップス・ベースの曲が収録されています。いくぶんアート・ロックの香りがするビート・ポップといったところでしょうか。
 それでもオルガンやギターの端々に、初期のPink Floyd(ピンク・フロイド)にも通じるようなサイケ・プログレ風味が見えかくれしています。そして、くすんだ哀愁をたたえた華やかさと人懐こいメロディが魅力といえるでしょう。
 こういった感覚は、Kayak(カヤック)Shocking Blueなどにも感じることができるので、オランダのグループが持つ特有のものなのかもしれません。(2000.04.15)

EARTH AND FIRE / REALITY FILLS FANTASY (1979)
Earth & Fire(アース・アンド・ファイア)といえば、やはり初期のプログレッシヴな作品が質が高くて人気があるのですが、それ以降の作品も、じつはそれほど捨てたものじゃないようです。たしかに『Atlantis』『Song of the Marching Children』といった名作にあったような奥行きや深みといったものは薄く、そういった意味では軽いポップス作品なのですが、彼らの持ち味である、どこか人懐こいメロディと軽やかでなめらかな美しさは失われずに残っています。
1979年リリースのこのアルバムでも、比較的アップ・テンポななかにもヨーロッパ的なシリアスさの片鱗を見せるし、一部にストリングスの導入があったり、スッキリとしたキーボード・オーケストレーションが広がりを演出したりと、それなりに聴かせどころがあります。また、デヴュー当初の頃のダッチ・ポップス風なニュアンスもあり、その点も楽しめます。
ただ、独特の色気がある音色とフレージングを持ったギターがここでは聴けず、平凡な音色とフレージングになっているのが残念です。ギタリストが替わったのでしたっけ? また、収録曲の曲想にもうひとつ統一感がなく、アルバムとしての印象が散漫な感じもします。個々の曲はコンパクトにまとまっていて、アメリカやイギリスの要素を感じさせつつもヨーロッパ的であるというダッチ・ポップスのよさが楽しめます。
ちょっとイージーな感じはあるけれど、楽曲のクオリティ自体は充分に高いと思います。(2003.07.20)



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JAN AKKERMAN / TABERNAKEL (1974)
オランダのFocus(フォーカス)のギタリスト、Jan Akkarman(ヤン・アッカーマン)のソロ・アルバム。古くから「バロック・ロック・アルバム」として多くのプログレッシヴ・ファンに愛されている作品です。
バロック・ロックでプログレッシヴというと、New Trolls(ニュー・トロルス)『Concerto grosso』などが有名で、そういった曲調なのかと思われそうですが、New Trollsのものは純クラシック的というか、オーケストラ入りのコンチェルトなのに対し、Janのこの作品はリュートの独奏を中心にしたもので、どちらかというと宮廷音楽的な要素が強いと思います(クラシック音楽についてはあまりくわしくないので、よくはわからないのですが)。
ギターとは少し違った緊張感を持ったリュートの音に、曲によってフルートが重なったり、オーケストラが配されたりと、親しみやすいながらも格調の高さを感じさせるものになっています。どことなくイギリスのAmazing Blondel(アメイジング・ブロンデル)などに通じるところもあるといえそうです。
全編インストゥルメンタルだし、Focusのデヴューアルバムにも収録されていた「House of the King」とM10「Lammy」以外はロック/ポップス的要素がほとんどないので、リスナー層が限定される作品ではありますが、古くからの評価どおり、よいアルバムだと思います。(2003.07.20)



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KAYAK / EYEWITNESS (1981)
 Kayak(カヤック)のアルバムをはじめて聴いたのは、自分がまだバリバリのプログレッシヴ・ロック・ファンで、イタリアを中心にユーロ・ロックのコレクションを増やしていた頃だったと思います。最初に手に入れたアルバムは、当時プログレッシヴ・ロック・ファンに評判のよかった『Royal Bed Bouncer』のLPでしたが、スピーカーから流れてきた曲を聴いて「これはプログレじゃない」と思ったような、そんな気がします。
 その後、長いあいだKayakは自分の興味の対象からはずれていたのだけど、音楽の好みがバリバリのプログレッシヴ・ロックからカンタウトーレ作品やイタリアン・ポップスへと変わっていく過程で改めて聴いたときに、なんて愛らしいメロディにあふれているんだろう、なぜこのグループに興味が持てなかったのだろうと、はじめてその魅力に気づいたのでした。たしかにKayakの音楽はゴリゴリのプログレッシヴ・ロックではないけれど、プログレッシヴのファンが思わず微笑んでしまうような、プログレちっくなポップスが満載なんです。
 この『Eyewitness』は、そんなKayakの1981年のライヴ・アルバムにボーナス・トラックを追加して1994年に再リリースされたもの。ライヴといってもホールなどで観客の前で演奏したものではなく、スタジオで、ライヴ・スタイルで演奏したものを収録したのだそうです。なので、ライヴ・アルバムの醍醐味のひとつである歓声や観客のコーラスといったものはありませんし、ステージならではの緊張感やダイナミズムという点でも少し弱いでしょう。けれど、そういったものがない分シンプルにKayakの曲と演奏を楽しめます。
 元気のいいポップ・チューンが多く収録されていますが、そんな中でやわらかく響くM3「Ruthless Queen」やM5「Lyrics」、M8「Irene」などに、Kayakならではのかわいらしさとユーロピアンなポップ・センスを強く感じます。スタジオ収録にくらべて音に厚みが少ないのはしかたありませんが、その分いきいきした感じが出ていて、曲の魅力を引き立てています。(2003.04.20)



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