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JAPAN


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Black Page / Carmen Maki & OZ / デーモン小暮 / Fromage / Fumihiko Kitsutaka's Euphoria / GO / 畑亜貴 / 筋肉少女帯 / Magdalena / Malice Mizer / 魔璃鴉 / Mr.Children / 椎名林檎 / 新月 / Underground Searchlie / Vermilion Sands / Vienna / X / 四人囃子




BLACK PAGE / OPEN THE NEXT PAGE (1986)   alla "Musica"
 タイプとしてはインストゥルメンタルを中心としたプログレッシヴ・フュージョンなのでしょうが、リズムや展開のメリハリがはっきりしていて、ロック的な側面が強いグループだと思います。
 メロディや曲展開の流れは非常に美しく、ヨーロッパ的なロマンを持っているのですが、都会のイルミネーションが似合うようなしゃれたメロディと音色を突然分断するようなリズムブレークと展開など、ただの耳障りのよい音楽では終わらせないところは、やはりプログレッシヴです。(1999.09.12)



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CARMEN MAKI & OZ / same (1975)
 日本最初期のヘヴィ・メタル・グループ。パワフルなヴォーカルとドラマティックな曲想が魅力のグループでした。ライヴ盤ではかなりハード&ヘヴィな演奏が聴けますが、この1stアルバムではそれほど、ロック的なイメージはありません。美しく流れるようなメロディ、みごとにドラマを演出する曲展開は、今聴いても充分にアピールするものがあります。また、独特の湿り気を持っており、ユーロピアン・ミュージックに通じるところがあると思います。
 ただし、かなりイナタイので、苦手な人はまったくダメでしょうね。(1999.02.28)



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デーモン小暮 / WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST〜未来が過去を愛するとき〜 (2003)   alla "Musica"
元聖飢魔IIのフロント悪魔(笑)、デーモン小暮閣下のソロ作品です。小暮伝衛門名義によるソロ1作目『好色萬声男』とくらべると、収録されている曲自体の魅力がちょっと薄いように思います。あいかわらず和楽器をたくさん配置して、ロックと雅楽?とジャパニーズ・ポップスを混ぜ合わせたような音楽を展開してくれてはいるのだけど、もともとの歌メロ自体にあまり魅力を感じないのです。『好色萬声男』にあった「縁」のような名曲がないのが弱点かな。なんとなく、こぎれいにまとまった感はあるのだけど、その分、心の中まで強く訴えかけてくるようなことがなくなってしまった感じで、その意味でちょっと平凡な作品になってしまった印象が残りました。 (BMG FUNHOUSE: BVCR11055 / 日本盤CD) (2005.10.10)



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Fromage / 月に吠える (1990)   alla "Musica"
 フロマージュ(Fromage)は京都のシンフォニック・プログレッシヴ・ロック・グループ。
 テクニックはあまりないですが、独特の湿り気をおびたサウンドに、多少クセがあるけれど歌心を大切にしたヴォーカルがのる、哀愁のあるグループです。



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Fumihiko Kitsutaka's EUPHORIA / EUPHORIA (1994)
筋肉少女帯にヨーロッパ的なクラシカルでドラマティカルなギター・サウンドを持ち込んだのが橘高さん。その橘高さんが、自身のユーロ趣味を前面に押し出したロックを演奏するために組んだプロジェクトだけあって、Euphoria(ユーフォリア)の音楽はドラマティックさにあふれています。タイプとしてはドイツのメロディック・スピード・メタルに近い感じです。
中音域を強調した橘高さんらしいギター・サウンドが炸裂しています。ただ、リードもバックも、さらにはベースやドラムまでも、すべてがそういう音なので、全体の音がひとつの固まりになってしまい、ちょっと抜けの悪さを感じます。
ところどころでアコースティックな演奏を導入したり、プログレッシヴ・ロック風の演奏があったりするなど、橘高さんテイストが満載で、はじめてのソロ・プロジェクトということもあってやりたいことや好きな音を全部詰め込んじゃったんでしょうね。
ひさしぶりにこのCDを聴いて気づいたんですが、ヴォーカリスト(齋藤哲也という人)のスタイルがGackt(ガクト)のパッチもんみたいで、ほほえましいです。ただ、Gacktさんほどカリスマ性がないんだよな。また音楽のほうも、深くまで追求したような、ある種の執着までは感じません。その辺が、EuphoriaMalice Mizer(マリス・ミゼル)にはなれなかった理由かもしれません(いや、当時は筋肉少女帯が活動のメインだったからでしょうけど)。 (MCA VICTOR: MVCD-16 / 日本盤CD) (2004.03.13)



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YAMASHTA/WINWOOD/SHRIEVE / GO (1976)   alla "Musica"
パーカッショニストのStomu Yamashta(ツトム・ヤマシタ)を中心にしたプロジェクト?「Go」のファースト・アルバム。当時は最先端の楽器だったシンセサイザーを多用し、夜空に広がる満天の星のあいだを漂うような、宇宙空間を思わせるような雰囲気を醸し出しつつ、叙情的なメロディをかぶせていく。初期から中期にかけてのPink Floyd(ピンク・フロイド)風な感じですが、ギターがブルースではなくジャズ風なのが違いますね。ゆったりとした叙情部分も、大英帝国の牧歌的な田園風景もしくは妖精の住む神秘の森を思わすようなものではなく、東洋的な香りがするのは、やはりStomuが日本人だからでしょうか。この叙情はFar East Family Band(ファー・イースト・ファミリー・バンド)などにも通じると思います。 (TOSHIBA EMI: ILS-80601 / 日本盤LP) (2005.06.04)



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畑亜貴 / 棺桶島 L'ILE AUX TRENTE CERCUEILS (1999)
リリース当時、プログレ・ファンのあいだではけっこう話題になった作品だったように思います。中古で安く売ってたので、聴いてみました。
自分は、だめだ、これ。出だしはTeru's Symphonia(テルズ・シンフォニア)風に展開していくのかなと思ったのだけど、実際、テル・シン風のファンタジックでドリーミーな音世界が広がるシンフォニック・プログレッシヴ系の音楽なのだけど、このヴォーカルがどうしても好きになれません。歌謡曲のような、アニメ主題歌のような声と歌い方。実際、この人はアニメやゲーム方面での活動が多いようで、当然といえば当然なのかもしれませんが、自分はだめです。ヴォーカル・ラインも歌謡曲風だし。そういう意味では、ジャパニーズ・シンフォ・プログレのひとつの典型かもしれません。
ファンの方によると、破滅型の歌詞が素晴らしいといった評価があるようですが、自分、歌詞ってほとんど聞かないし、あまり興味がないんです。それに、正直にいってこの人、歌詞カードなしで聞いてると、よく聞き取れないし。
ストリングスやキーボードや東洋系の管楽器なども導入され、シンフォ・プログレ、シンフォ・ポップスとしては興味深い演奏だと思います。でも、おそらくファンの方にとってはもっとも魅力的な部分であろう彼女の「歌」が、自分の好みと大きくはずれてしまっています。なんというか、おたがいに出会う相手を間違えた、といった感じでしょうか。 (AMZPHERE WORKS / ARCANGELO: ARC-1046 / 日本盤CD) (2007.04.22)



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筋肉少女帯 / サーカス団パノラマ島へ帰る (1972)   alla "Musica"
 筋肉少女帯の音楽には、ほのかなプログレッシヴ・ロックの匂いがあります。「アメリカン・ショートヘアーの少年」などはPink Floyd(ピンク・フロイド)的な印象が強いし、「元祖高木ブー伝説」ではパンキッシュなロックから突然シンフォニックな展開を見せたりもします。(2000.06.17)



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MAGDALENA / same (1987)
 クラシカルで華麗なプログレッシヴ・ハードロックを聴かせてくれる日本のグループ、Magdalena(マグダレーナ)の唯一のアルバム。曲に奥行きと広がりを与えるキーボード、カウンターメロディを中心にクラシカルでドラマティックな色合いを表現するギター、クラシック風の発声によるファルセットを多用する女性ヴォーカル──これらのメロディを持ったインストゥルメンツが絶妙なハーモニーを聴かせ、Magdalena独自のシビアでドラマティックな世界を演出します。
 とってもいいグループなのに、アルバムを1枚しか出せなかったのが残念です。(1999.05.08)



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MALICE MIZER / VOYAGE (1996)
 メジャー・デヴューする前の、インディーズ時代の2ndアルバム。彼らの非常にユーロピアンな世界観は、インディーズでの1stのときにすでに、ほぼできあがっていましたが、ヴォーカルが素人くさかったため、全体の印象としては、いわゆるヴィジュアル系ロック・グループのひとつといった程度で、とくに強い個性は感じられませんでした。しかしこの作品からヴォーカルがGacktに変わり、彼らの華麗で耽美な世界が完成したといえるでしょう。
 メジャーからの1stにくらべるとロック色、ハードさが弱いのですが、それがかえってヨーロッパ的なロマンティシズムを強調する結果になっています。インディーズ盤とはいえ、ヴァイオリンやアコーディオンなどがきれいな音で録られていて、薄っぺらな印象はまったくありません。
 彼らの曲はポップで馴染みやすい面も多く、そこにクラシカルでユーロピアンなテイストが乗る様は独特といえます。いわゆるロック・ファンだけでなく、ユーロ・ポップスのファン、プログレッシヴ・ロックのファンにもアピールするところがあるのではないでしょうか。“ヴィジュアル系”のなかだけに押し込めておくのはもったいないです。とくにこのアルバムは歌ものの要素が強いので、ポップスのファンでも楽しめるでしょう。(2000.01.10)

MALICE MIZER / MERVEILLES (1998)
 究極のヴィジュアル系バンドという声もある、マリス・ミゼル(Malice Mizer)のメジャー・デヴュー作。ヨーロッパの宮廷で行なわれる舞踏会を思わせるステージ衣装そのままの、クラシカルで優雅なメロディとアレンジを持った、非常にユーロ・テイストの強いメロディック・ロックが展開されます。
 ヴィジュアル系と呼ばれるグループはたくさんありますが、ヴィジュアル面とサウンド面の両方が統一イメージを持つグループは、それほど多くありません。しかしマリス・ミゼルは、その両方で中世ヨーロッパというコンセプトを表現することに成功していると思います。基本的にはポップ・ロック・グループといえますが、非常にプログレッシヴ・ロックの臭いがします。(1999.02.11)



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魔璃鴉 / MARIA (1991)   alla "Musica"
1970年代中ごろに活動していたらしい、日本のプログレッシヴ・ロック・グループです。このCDは1991年リリースですが、音源は1976年に録音されたものだそうです。迫力のドラムとうなるベースのリズム・セクションがしっかりしているので、演奏がすごく安定しています。キーボードもまずまず。ギターは、ちょっとバッキングのアイデアが乏しいかな。1970年代中ごろだと、このくらいでしかたないかなとも思えますが。初期のYes(イエス)Genesis(ジェネシス)、Pink Floyd(ピンク・フロイド)などからの影響がうかがえるアレンジと演奏。ときにCosmos Factory(コスモス・ファクトリー)を思い出させるところもあり、あの時代のジャパニーズ・プログレッシヴらしいなという感じです。 (MADE IN JAPAN RECORDS: MHD-25017 / 日本盤CD) (2004.12.25)



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MR.CHILDREN / 深海 (1996)   alla "Musica"
テレビのチャンネルを変える音などのSEも入り、なんとなくコンセプト・アルバム風にしたかったのかなという感じがあるのですが、もしかして1970年代の音楽へのオマージュかなにかなのでしょうか。アルバム全体の印象として、彼らの他のアルバムにくらべるとメロディの魅力が薄い(心をつかむメロディが少ない)ような気がします。音づくりや演奏の雰囲気にはよいものがあるだけに、その点が残念です。なぜかあちらこちらにPink Floyd(ピンク・フロイド)の匂いがします。(2003.06.15)



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椎名林檎 / 加爾基 精液 栗ノ花 (2003)   alla "Musica"
テレビのチャンネルを変える音などのSEも入り、なんとなくコンセプト・アルバム風にしたかったのかなという感じがあるのですが、もしかして1970年代の音楽へのオマージュかなにかなのでしょうか。アルバム全体の印象として、彼らの他のアルバムにくらべるとメロディの魅力が薄い(心をつかむメロディが少ない)ような気がします。音づくりや演奏の雰囲気にはよいものがあるだけに、その点が残念です。なぜかあちらこちらにPink Floyd(ピンク・フロイド)の匂いがします。(2003.06.15)



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新月 / same (1979)   alla "Musica"
 日本における本格的なユーロピアン・スタイルのプログレッシヴ・グループということで、ファンの間では高い人気を誇る新月の、唯一のオリジナル・スタジオ作品。アルバム・オープニング曲の「鬼」は、数あるジャパニーズ・プログレッシヴのなかでも、かなりの名曲といえます。(2000.06.17)



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UNDERGROUND SEARCHLIE / スケキヨ (1998)   alla "Musica"
元・筋肉少女帯、大槻ケンヂさんのソロ・プロジェクトです。このアルバム、なかなかの名作だと自分は思います。最近の大槻さんはすっかりのほほんおじさんな印象がありますが、ここにはカリスマ文学青年パンク・ロッカー大槻ケンヂの姿が色濃く感じられるのです。おそらく、筋少の後期よりも、より強く。M1「不必要にヒラヒラのついた服」はもう、プログレッシヴ・ロック以外のなんと呼べばいいのでしょうか。フリー・ジャズ&ファンクなスタイルの演奏。ひたすら「愛している」と呟くだけのシュールなヴォーカル。さまざまな効果音。ときどき現われるシャーマンなヴォイス。なんてかっこいいんだ。 (UNIVERSAL VICTOR: MVCH-19002 / 日本盤CD) (2008.04.20)

UNDERGROUND SEARCHLIE / アオヌマシズマ (1998)   alla "Musica"
元・筋肉少女帯、大槻ケンヂさんのソロ・プロジェクト、UNDERGROUND SEARCHLIE(アンダーグラウンド・サーチライ)の2作目かつ最終作。大槻ファンやジャパニーズ・パンク・ファンなどのあいだでは前作『スケキヨ』よりもこの『アオヌマシズマ』のほうが評判がいいような感じですが、自分の好みとしては『スケキヨ』のほうが好き。前作のほうが「歌」と「音楽」があったから。今作には「演奏」はあるのだけど、「歌」と「音楽」の要素が少ないように感じます。M4「埼玉ゴズニーランド」は、このアルバムのなかではもっともインパクトの強い曲でしょうか。大槻ケンヂの世界炸裂といった感じです。トランス風の演奏に乗せて妄想世界を描いた歌詞を朗読しています。 (UNIVERSAL VICTOR: MVCH-19003 / 日本盤CD) (2008.04.20)



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VERMILION SANDS / WATER BLUE (1987)
このアルバムがリリースされた当時のジャパニーズ・プログレッシヴ・グループには女性ヴォーカルを擁したものも少なくないのですが、ほとんどの女性ヴォーカリストが「恐い系」の歌声だったんですよね。Pageant(ページェント)永井博子さんにしても、Magdalena(マグダレーナ)徳久恵美さんにしても、あるいはProvidence(プロヴィデンス)Terra Rosa(テラ・ローザ)にしても。
そんななか、ジャップス・プログレとしては珍しくブリティッシュ・トラッドの空気を持ったこのVermilion Sands(ヴァーミリオン・サンズ)は、その音楽性も、透明感のある澄んだ女性ヴォーカルも、とてもすがすがしくさわやかで、まさに心洗われる思いがしたのを覚えています。夢幻のサポートとして東京・新宿でコンサートをしたときに見たのがはじめての出会いでしたが、一気にファンになりました。
残念なことに、あのころの多くのジャップス・プログレッシヴ・グループと同様、彼らもまた、このアルバム1枚しか残せませんでしたが、Renaissance(ルネッサンス)などにも通じる流麗な音楽性は、きちんと収録されています。いまになって改めて聴くと、意外と録音に奥行きがないなとか、蝋山陽子さんの声のつやや伸びはライヴでのほうがあった気がするとか、思っていた以上に演奏が素人臭いなとか、いくつか感じるところもあるのですが、それでもみずみずしさはぜんぜん失われていません。癒し系プログレッシヴとして高いクオリティを持った作品でしょう。
持ち前のトラッド風味を活かしたM1「MY LAGAN LOVE」やM6「LIVING IN THE SHINY DAYS」もいいですが、やはりM3「IN YOUR MIND」やM7「THE POET = 詩人」といった長い曲にひかれます。(2003.07.20)



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VIENNA / PROGRESS - Last Live - (1989)   alla "Musica"
 ジャパニーズ・プログレッシヴのスーパー・グループ、Vienna(ヴィエナ)のライヴ・アルバム。ソリッドかつキャッチーなメロディ、テクニカルでタイトな演奏、ドラマティックな展開など、非常に聴きどころの多いグループです。(2000.04.15)



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X / BLUE BLOOD (1989)
日本のヴィジュアル・ロック・グループ、X(のちにX Japanと改名しました)のメジャー・デヴュー・アルバム。オープニングの「Prologue (〜World Anthem)」からすっかりノックアウト(死語?)って感じです。この「World Anthem」ってFrank Marino(フランク・マリノ)の曲でしたっけ?
Xの音楽にはプログレッシヴ・ロックの要素もけっこうあって、それがのちには拡大しすぎてしまった印象もあるのですが、このアルバムではインディーズ時代の荒々しさや激しさとよいバランスで同居していて、かっこいいメロディック・スピード・メタルに仕上がっているように思います。メジャー(CBS/SONY)からのリリースのわりには録音に迫力がないのですが、それを補ってあまりあるパワフルな演奏とドラマティックな要素を盛り込んだ、ハード&ヘヴィなメロディック・ロックが聴けます。
全体にブリティッシュ&ユーロピアンな色彩の強い曲調が自分好みです。一方でM4「Easy Fight Rambling」のようなアメリカンな曲もあり、アルバムが一本調子になるのを防いでいます。当時はXってかなり演奏力の高いグループだと思っていたのですが、いま聴くと、それほどでもありませんね。筋肉少女帯のほうが圧倒的に演奏力が高いです。でも、演奏力が高すぎないところもハードロックとしての力強さに結びついていて、これはこれでいいでしょう。
ありきたりだけど、やはり「World Anthem」「Blue Blood」「Week End」あたりは名曲だなと思います。(2003.07.20)



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四人囃子 / 一触即発 (1974)
四人囃子のデビュー作で、彼らの、そしてジャパニーズ・プログレッシヴにおいても名作と呼ばれているアルバム。自分が持っているのはずいぶんむかしに買ったLPで、それをMDにコピーしたものをいまは聴いてるわけですが...
自分、わからないのですよ、このアルバムのよさが。LPを入手した学生のころ(ばりばりのプログレ・ファンだったころ)もわからなかったのだけど、いま聴いてもやっぱりわからん。前年にリリースされたPink Floyd(ピンク・フロイド)の大ベストセラー『The Dark Side of the Moon』に思いっきり影響されちゃいました、とくにギターとか……という姿しか浮かんでこない。それはそれでいいのだけど、だったらPink Floydを聴いたほうがいいかなと自分は思ってしまいます。
あとねぇ、「歌」に魅力がないように思うんですよねぇ。ヴォーカル(歌唱法、歌メロ含む)もそうですが、その他の楽器のメロディにも。自分は基本的に「歌」が好き(ヴォーカルだけでなく、インストゥルメントでも)なようなので、ヴォーカルおよび演奏で「歌」の弱いグループは、あまり楽しめない傾向があります。その点、Pink Floydには「歌」がありましたからねぇ。ヴォーカルにも、ギターにも。
そんなわけで、自分にとってはジャパニーズ・プログレッシヴにおける資料的な意味合い以上のものではないこの作品。でも、多くのロック・ファン、プログレッシヴ・ファンが評価しているようなので、いつか自分にもその理由がわかる日がくるかもと、そっと棚に戻すわけです。今回も。 (東宝レコード: AX-8801 / 日本盤LP) (2007.03.17)



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