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さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Mango / Marcello Capra / Marcello Murru / Marcello Pieri / Marco Armani / Marco Bellotti / Marco Conidi / Marco Di Mauro / Marco Ferradini / Marco Masini / Marco Natali / Marco Ongaro / Marco Paolini / Marco Turriziani / Mario Castelnuovo / Mario Panseri / Mario Rosini / Mario Venuti / Massimo Altomare / Massimo Bozzi / Massimo Bubola / Massimo Di Cataldo / Massimo Priviero / Massimo Ranieri / Massimo Riva / Maurizio Lauzi / Maurizio Monti / Mauro Bandini / Mauro Di Maggio / Mauro Gioia / Mauro Nardi / Mauro Soli / Max Manfredi / Memo Remigi / Michele Pecora / Michele Zarrillo / Mimmo Damiano / Mimmo Locasciulli / Mino Reitano / Miro

*** canta(u)trice ***
Marcella Bella / Maria Monti / Mariella Nava / Mia Martini / Mietta / Milva / Mina

*** gruppo ***
Mangala Vallis / Marlene Kuntz / Massimo Volume / Matia Bazar / Mau Mau / Maxophone / Metamorfosi / Moda' / Modena City Ramblers / il Mucchio / Mukka Makka / Musicalia





MANGO / LA MIA RAGAZZA E' UN GRAN CALDO (1976)
 Mango(マンゴ)のアルバムのなかで唯一、そのむかしに発行されたマーキーの『イタリアン・ロック集成』に紹介されています(なぜか“グループ”の項にでしたが)。
 おだやかなオーケストラと生ピアノの音が美しい、なめらかな曲が多く収録されています。アレンジとオーケストレーションをMaurizio Fabrizio(マウリツィオ・ファブリツィオ)が担当していて、過度に派手にならず、シンプルながらも奥行きと暖かみのある曲に仕上がっています。また、Mangoのやさしい歌声もまだ素朴な響きを持っていて、曲にロマンティックな印象を加えています。
 1990年ころからのMangoは、よい意味でずいぶんとちからを抜いた歌い方をしているように思います。ヴォーカル・ラインの美しさよりも、言葉の持つ響きや連なりの美しさに重点を置いているのかもしれません。でも、このアルバムでは歌メロの美しさを大事にし、メロディラインを生かすように歌っているように感じます。
 M3の「Se mi sfiori」などは、そういったイタリアらしい美しさを存分に発揮したよい曲だと思います。また、少しはかなげなヴォーカルも、やわらかな哀愁を感じさせます。
 M2の「Tra le isole di un acquario」はアルバム中で唯一リズミックなポップスで、ちょっとばかし浮いていますが、他はどれもしっとりした落ち着きとやさしさと哀愁のある曲がそろっています。疲れたり傷ついたりした心にそっと寄り添うような、そんなアルバムです。
 ところで、ジャケットには8曲のタイトルしか書いていないのですが、CDにはなぜか9曲収録されています。(2002.04.21)

PINO MANGO / ARLECCHINO (1979)
 1970年代から現在も活動を続けている人気カンタウトーレのMango(マンゴ)が、なぜかPino Mango(ピーノ・マンゴ)名義でリリースしたアルバム。そして、なぜかMangoのオフィシャルサイトのディスコグラフィにも載っていません。でも「Sentirti」などはMangoのベスト盤に収録されているので、正真正銘Mangoのアルバムです。なにか契約上の問題なのでしょうか。
 Mango特有の、甘く夢見るような歌声は、このアルバムの時点ですでに聴かれます。近年の作品で聴かれる歌にくらべると、さらっとした印象を受けます。近年のMangoの歌はねっとりした感じがして、べたついた甘さが少し耳につくところがあるのですが、このアルバムではまだ若くキャリアも浅いこともあってか、比較的素直に歌っているようです。それがかえって、ほどよい甘さと哀愁を感じさせます。
 なめらかなメロディもほどよくイタリア的で、美しいフレーズをたくさん持っています。アレンジを担当しているのは、最近ではRenato Zero(レナート・ゼロ)Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)などのアルバムでもおなじみのCelso Valli(チェルソ・ヴァッリ)。シンプルながらも、歌とメロディのあたたかさや優しさを上手に引き出すアレンジになっています。AndreaRenatoの最近のアルバムでは大げさなアレンジを施す傾向にあるCelsoですが、Mangoのこのアルバムのようなさりげないアレンジのほうが、曲本来の魅力が引き出されるように感じます。
 やわらかなイタリアン・ポップスが楽しいアルバムです。(2002.01.20)

MANGO / INSEGUENDO L'AQUILA (1988)
 このアルバムを買う以前はベスト盤しか聴いたことがなかったのだけど、たぶん、甘く美しいメロディが持ち味なのでしょう。少しかすれた高めの柔らかい声は、力強さはありませんが、ロマンティックな趣きがあります。
 個人的には中低域の地声のほうが彼はいいと思うのですが、本人は高音のファルセットがかった声が気に入っているのか、高い音域のヴォーカルを頻繁に聴かせます。ただ、高域を多用した曲は、イタリアン・ポップスというよりは、どちらかというとワールド・ミュージック的な肌触りがあって、楽曲自体の奥行きがもうひとつ希薄に感じられます。きれいな曲だし、演奏的には奥行きも広がりもあるのだけれど、どこか薄っぺらいんです。そういった点で、イタリアン・ポップスらしい曲が少ないアルバムじゃないでしょうか。
 全体的にはヨーロッパらしいロマンティシズムに覆われていて充分楽しめるのですが、もう少し音世界に重みがほしかったです。決して悪くはないのだけど、ちょっとおとなしすぎるというか、迫力不足。ヴォーカル・スタイルも曲の感じも、ひ弱な女性シンガーのもののようで、自分の好みからはちょっとはずれます。たとえばAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)に歌わせたなら名曲になりそうな感じなのですが。
 ベスト盤で聴いたときはもっとイタリア的でよかったのにな。(2000.01.10)

MANGO / DOVE VAI... LIVE (1995)
 EMI Italianaの廉価盤CDシリーズ「Collezione」の1枚としてリリースされたライヴ盤です。このシリーズは、多くは新しい選曲によるオリジナル録音のベスト盤のようですが、一部に旧譜の再発もあるようで、Mango(マンゴ)のこのアルバムも、1995年にリリースされていたものの再発です。
 高めの明るい声と美しくやわらかなヴォーカル・ラインが魅力のMangoですが、このライヴ盤でも、その魅力が充分に発揮されています。スタジオ盤で聴くよりもいくぶんざらざらした感じの声は、かえって深みを感じさせます。裏声を多用する歌い方をするMangoの、地声の少しざらついた感じとファルセットの澄んだ響きとの対比も、スタジオ盤よりもはっきりとしていて、効果的に感じます。
 個人的には、スタジオ盤でのMangoのファルセットは、どちらかというと苦手です。スタジオ盤での彼は地声も比較的クリアな甘い声をしていて、そこにファルセットが入ると、曲全体が甘くなりすぎてしまうように思うのです。しかし、このライヴでは、ライヴならではのパワーが地声にあるのと、いくぶん声にかすれがあるため、甘くなりすぎるのが抑えられています。
 収録されている曲は甘いメロディのものがほとんどですが、一部の曲ではエスニック風味も入り、アルバムのなかでのアクセントになっています。ほんのりとしたエスニック風味のメロディを地声で歌うMangoからは、なんとなく最近のVincenzo Spampinato(ヴィンチェンツォ・スパンピナート)を思い出してしまいました。やわらかくてロマンティックなイタリアン・ポップスが聴けます。
 ちなみに、アルバム1曲目の「Dove vai...」とエンディングの「Sospiro」はスタジオ録音です。(2001.06.17)

Mango / i Grandi Successi (1997)
 有名な人なのに、曲を聴くのははじめてのマンゴ(Mango)。8ドルという安さに引かれて買いました(^^)。76年から79年にかけてのベスト盤。オーケストラの美しい曲がやっぱり好き。(1998.05.31)



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MARCELLO CAPRA / IMAGINATIONS (1994)
 1978年の『Aria Mediterranea』に、1992年録音のもの(アルバム1枚分くらいある)を加えてリリースされたマルチェッロ・カプラ(Marcello Capra)のアルバム。『Aria Mediterranea』はアコースティック・ギターを中心とした、インストの地中海ポップス。明るくきらきら輝く波頭が目に浮かぶような、穏やかで光りに満ちた音楽です。ヴォーカル好きな自分としては、この上に味のある土着系の唄がのればさらに良いのにと思ってしまいますが、インストとしても充分に楽しめるものです。地中海音楽といっても、マウロ・パガーニ(Mauro Pagani)の1stほどのエキゾチックさはないので、ポップス・ファンの耳にもなじみやすいと思います。
 新しく録音された曲のほうではエレクトリック・ギターが頻繁に使われ、よりロックぽくなっていますが、みずみずしさがそこなわれ、ありきたりなポップになってしまっているように感じます。(1999.02.28)



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MARCELLO MURRU / ARBATAX (2002)
 全体にいなたい感じのフォーク・ロックです。落ち着いたジャズ風味もあります。沈んだ感じのおだやかなヴォーカルが特徴的といえるでしょう。
 M1「Coprimi d'amore」は沈んだヴォーカルと、やはり沈んだトーンのヴァイオリンが、アンニュイでうらぶれたイメージを出しています。M2「Certe sere」ではいくぶんスパニッシュなイメージをガット・ギターが出していますが、やはりヴォーカルが沈んでいるため、スパニッシュな躍動感は強くありません。そこにヴァイオリンがおだやかな哀愁を加えています。
 M4「Ci amiamo male」はジャズ・ロック系の小さくて汚いライヴ・ハウスが似合いそうないなたいフォーク。イタリアというよりはバーボンと巻きタバコがしっくりきそうな、アメリカンな印象があります。M5「Domatrice d'oroscopi」ではキーボード・オーケストレーションが星空の広がる荒野のようなイメージを浮かび上がらせますが、カットインしてくるサキソフォンがアメリカの夜の都会へと連れ戻します。M6「Lasciate un messaggio」は短い曲ですが、昔のアメリカ映画の月夜のシーンに流れそうな、やわらかく美しいバラードです。
 M11「Siamo in onda」はウッド・ベースの響きが大人っぽいジャズ風ポップ。M12「Vai vai」はアラブ風というか、エジプト風というか、ちょっとミステリアスなフレーズを盛り込んだ曲です。
 このように、うらぶれていたかと思うとアメリカンだったりエジプト風だったりと、アルバムとしては曲想に統一感がない気がしますが、ヴォーカルの個性でなんとかまとめている感じです。
 インディーズ・リリースのためか、データエラーによる音とびが頻繁に起こりがちなのが残念です。(2002.08.31)



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MARCELLO PIERI / IL CAPITANO DELLA MASNADA (1994)   alla "Musica"
 サリサリしたギターのストロークが心地よいポップスです。ポップで明るいけれど、全体にイタリアらしいメロディや情感があります。とくにバラード系の曲ではE-bowやコーラスなどを導入し、暖かくたおやかな感じを出しています。(2000.06.17)



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MARCO ARMANI / 13 (1997)
 ちょっとこもった感じのカスレ声を持ったMarco Armani(マルコ・アルマーニ)。中低域は普通の声なのだけど、高域でカスレてきます。カスレ声にもきめの細かい感じのもの、ザラザラとした感じのものがありますが、Marcoの声は喉になにか詰まっているようなザラザラ系のカスレ声。この声が、哀愁度の高い曲によくあいます。
 哀愁度は高いのだけれど、暗い感じはなく、どちらかというとキラメク陽の光を感じます。南部の出身なのでしょうか? メロディアスだけど芯の強い音楽だと思います。(1999.05.08)



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MARCO BELLOTTI / PRODOTTO DA MIA MADRE (2005)   alla "Musica"
こういう音楽は、どういうジャンルに入るのでしょうか。フォークのような、ポップスのような、ロックのような、なんだかとらえどころのない、だけどそのとらえどころのなさがとても心地いい。1曲のなかで、ニューウェーヴ風だったり、ボサノバ風だったり、ほんのりジャズ風だったり、クリーンだったりハードだったり。世俗とアートのあいだをいったりきたりするような縦横無尽な演奏のうえに独特の個性を持った地声と裏声を響かせるMarco Bellotti(マルコ・ベッロッティ)。いわゆるポップス作品ともロック作品ともカンタウトーレ作品ともちょっと違う、一風変わった音楽ですが、これがなんとも気持ちがいいし、楽しいのです。 (N3 MUSIC: N3 007 CD IT / イタリア盤CD) (2006.01.29)



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MARCO CONIDI / same (1998)
 地味な作品ですが、なかなかに味のあるよいアルバムです。Marco Conidi(マルコ・コニーディ)については、このアルバム以外に少なくとももう1枚アルバムがあるらしい程度の知識しか持ち合わせていないのですが、少ししわがれた声で、フォーク・ロックをベースにしたアメリカ的なノスタルジーを感じさせる曲を得意とするようです。Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)にも通じるようなブルーズ・フォークや、イギリスのDire Straits(ダイアー・ストレイツ)を粗めにしたような感じの曲などもあり、アコースティック・ギターと少しだけ歪んだエレクトリック・ギターの演奏を中心とした素朴な曲が続きます。
 いわゆるイタリアン・ポップス的な流麗さ、ドラマティックな構成はありませんが、メロディのはしばしにはイタリアらしい美感覚がうかがえます。歌い上げたり、声を張ったりすることのないヴォーカルも、カンタウトーレらしい懐の広さを感じさせます。ポップス/ロックのファンよりは、カンタウトーレやアメリカン・フォークのファンのほうが楽しめるアルバムでしょう。(2001.02.18)



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MARCO DI MAURO / ...E ORA COSA MI RESTA DI TE (1997)   alla "Musica"
 フォーク・タッチのさわやかで明るく美しいポップスです。やわらかい曲が多く、歌い方も素直で、その点で個性が弱めだとはいえますが、イタリアン・ポップスとしての水準はクリアしているでしょう。なかでも7曲目の「Canto all'amore」は、トラッド色、中世色の強いドラマティックなものになっていて、なかなかの聴きものです。(2000.09.16)



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MARCO FERRADINI / DOLCE PICCOLO MIO FIORE (1994)
 Marco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ)は1970年代から活動していて、サンレモにも何回か出場したことがあるらしいです。フォーク・タッチの明るく軽やかな曲想が持ち味のようです。
 非常に素朴で、なんとなく、カントリー・ミュージックのような匂いがします。Eduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)に声や唄い方が似ているのではないかと思います。なんか、幸せな音楽です。(1999.05.08)

MARCO FERRADINI / GEOMETRIE DEL CUORE (2001)
 Marco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ)がデヴューしたのは1970年代だといいますから、かなり活動歴の長いカンタウトーレです。
 以前、1994年にリリースされたアルバム『Dolce piccolo mio fiore』を聴いたことがありますが、フォーキーで素朴な暖かさ、やさしさが感じられる、どちらかというとシンプルな音楽だったような記憶があります。しかし今作は、少し印象が違います。ある意味でシンプルな音楽であることに変わりはないのですが、フォーク・タッチの素朴なやわらかさを感じさせる曲はなくなり、軽快で明るいポップ・ミュージックが中心となっています。その点では、より一般受けしそうなものになったともいえそうですが、その分、ありがちで平凡なポップスになってしまったとも感じます。
 メロディ、展開ともに標準的で、悪くはないのだけど、魅きつけるちからに欠けます。少し頼りなげなヴォーカルはMarcoの個性ではありますが、これもまた“聴かせるちから”が弱いのです。平凡な曲を平凡なアレンジで演奏するポップスのヴォーカルとしては、明らかに力量不足というか、マッチングが悪いと感じます。
 器用なシンガーではないようなので、それなら自分のヴォーカル・スタイルにあった曲づくり・アレンジをすべきだと思いますが、本作ではそれよりも“大衆的な嗜好にあわせた美しさとやわらかさ”を優先したのかもしれません。(2001.10.20)



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MARCO MASINI / MALINCONOIA (1991)
 熱唱ダミ声カンタウトーレのMarco Masini(マルコ・マジーニ)。非常にイタリア臭い、哀愁味たっぷりの曲が持ち味の彼ですが、本作もちょっと内向きでもの悲しいメロディを熱唱しています。多少、暑苦しい感じがしますが、わかりやすいドラマティックさがあり、なじんでしまえば非常に心地よいのではないかと思います。野太い声にもう少し繊細さがあれば、さらに表現も広がるのではないかと思うのですが、ちょっと一本調子な唄い方をするのが残念です。
 アレンジ、ギター、各種の鍵盤楽器で参加しているMario Manzani(マリオ・マンツァーニ)って、OROのメンバーの人でしょうか? そういえばなんとなく、OROとアレンジやギターの音が似ている気がします。(1999.05.08)

Marco Masini / T'Innamorerai (1993)   alla "Musica"
 イタリアン・ポップス・ファンならだれでも聴いたことがあるのかもしれない マルコ・マジーニ(Marco Masini) ですが、自分ははじめて聴きました。1993年のアルバムです。
 高目のかすれ声にちょっとクセがあるので、なじめない人もいそうに思いますが、曲自体は非常にスケールの大きな、壮大な感じのするものでした。どことなくシンフォニック・プログレの香りすらする、熱いイタリアの情熱がつまった曲でうめられたアルバムで、なれない人だと疲れてしまうかも(^^;)(1998.02.01)

MARCO MASINI / IL CIELO DELLA VERGINE (1995)
 『乙女座の伝説』という邦題で日本盤もリリースされました。タイトルにふさわしく、ロマンティックなイメージのある作品です。
 Marco Masini(マルコ・マジーニ)は熱唱系ダミ声シンガーですが、その熱いヴォーカルが魅力であると同時に、ときどきうっとうしくもあります。力いっぱいに感情を吐き出すあまり、一本調子になってしまって曲のドラマ性が失われたり、繊細さが足りないと感じるときもあるのです。
 しかしこのアルバムでは、感情のままに突っ走るのを抑えたのか、ヴォーカルの持ち味はそのままに、ヴォーカルにおけるドラマ性も充分に表現されています。ときどき妙にノリノリでリズミックな曲が入り、アルバムとしてのイメージをかき回してはいますが、全体的にはMarcoらしいスケール感に満ちたイタリアン・バラードが聴けます。
 彼の楽曲の持ち味といえる、ドラマティックで重厚なキーボード・オーケストレーションは健在ですが、このアルバムではそれほど重苦しさを感じさせません。比較的メジャーキーの曲が多いからでしょうか。(1999.12.05)

MARCO MASINI / RACCONTAMI DI TE (2000)   alla "Musica"
 スケール感のあるゆったりとした曲想に哀愁のあるひび割れヴォーカルは健在で、ファンのなかには、このアルバムを彼の最高作と呼ぶ人もあるそうです。メロディもヴォーカルも非常にMarco Masini(マルコ・マジーニ)的で、ドラマティックなポップ・ミュージックが聴けます。初期の作品のような粗さはなく、流れるような展開が楽しめます。(2001.02.18)



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MARCO NATALI / CHIAMALE EMOZIONI (1999)
 Marco Natali(マルコ・ナタリ)というシンガーのCDを聴くのははじめてですが、新人というわけではないように思います。声は若いですが、ジャケット写真を見る限りではそれなりの年齢のようですし、歌い方にも落ち着きがあります。それとも、デヴューが遅かったのでしょうか。
 タイプとしてはカンタウトーレというよりもロック・シンガーでしょう。Marcoは曲をつくり歌うだけでなく、ギターも弾きます。このアルバムに収録されているのは、彼のちょっとブルージーなギターを中心とした、ミディアム・テンポのロック・ミュージックです。多少いなたくもあり、あまりイタリアらしさは感じません。
 とはいえ、少しかすれた高めの声は味わいがありますし、イタリアということを意識しなければ、楽曲もロックとして必要なクオリティは備えています。意外とかっこいいロック・アルバムではないかと思います。
 ただ、せっかくイタリア人が曲をつくり、演奏し、イタリア語で歌うのだから、もっと強引な曲の展開や盛り上がりなどがあればいいのになと思います。イタリアのパッションという点からすると、少しおとなしすぎでしょう。
 そのへんの整理された感じが英米的ではありますが、メロディの端々にはやはりイタリアだなと思わせるところもあり、英米のコピーだけに終わってはいないと感じます。(2000.06.17)



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MARCO ONGARO e La scorta / DIO E' ALTROVE (2002)   alla "Musica"
 ジャケットの感じから、ミステリアスな美意識を持ったシンガーかなと思ったのですが、出てきた音楽は意外といなたい系のフォーク・ロックでした。印象としては、地中海色を出さないときのMassimo Bubola(マッシモ・ブボラ)などに通じるものがあるかもしれません。キーボードを配した少しミステリアスな雰囲気の曲もありますが、この人の持ち味はこういったタイプの曲ではなく、やはりいなたい系フォーク・ロックにあるのでしょう。アコースティック・ギターのストロークをバッキングの中心にし、エレキ・ギターのフィルインやサビでのストロークが曲に厚みを加えるといったスタイルが好きなようです。(2003.03.02)



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MARCO PAOLINI e MERCANTI DI LIQUORE / SPUTI (2004)   alla "Musica"
ジャンルとしてはフォーク・ソングとかトラッドとかに入るのかな。アコースティック・ギターとウッド・ベース、フィザルモニカ(アコーディオン)、ピアノといったアコースティック楽器による演奏をバックに、Marco Paolini(マルコ・パオリーニ)がおっちゃんヴォーカルを聴かせるといった内容。途中に古いラジオかテレビの演説テープ?やじいちゃんとばあちゃんの口げんか?みたいなものも入り、もしかしたら政治的・社会的な意味を持った歌詞なのかもしれませんが、曲自体はけっこう楽しげです。 (DISCHI MEZZANIMA / SONY MUSIC ENTERTAINMENT: VVR1026532 / イタリア盤CD) (2005.07.18)



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MARCO TURRIZIANI / BASTAVA CHE CI CAPISSIMO IO E I MIEI (2005)   alla "Musica"
2005年の暮れにリリースされたソロ・デビュー作で、Marco Turriziani(マルコ・トゥッリツィアーニ)はヴォーカルとギターのほかにコントラバスも演奏しています。ピアノ、クラリネット、チェロといったアコースティックな楽器でバックが演奏され、やわらかで、あたたかで、おだやかに楽しい感じが漂います。歌はフォーク・タッチなのだけど、演奏は古いヨーロッパのムード音楽やサロン・ミュージックといった印象で、ほんのりノスタルジックなロマンを感じます。 (INTERBEAT / SUONIMUSIC: INT 01-06 / イタリア盤CD) (2006.07.22)



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MARIO CASTELNUOVO / SETTE FILI DI CANAPA (1982)
 マーキーの『イタリアン・ロック集成』でかなりの高評価を得ていたマリオ・カステルヌオヴォ(Mario Castelnuovo)の1st アルバム。アメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)も参加しているとあって、かなり期待していたのだけど...。
 唄メロや弦楽器のバッキングなどには心ひかれるものがあるのだけど、ピコピコしたシンセのバッキングはいけません。それさえなければ、非常に趣深いものになっただろうに。(1998.08.02)

MARIO CASTELNUOVO / MARIO CASTELNUOVO (1984)   alla "Musica"
プログレッシヴ・ロックのファンのあいだではファースト・アルバムの評価が高いですが、自分はあまりファーストが好きではありません。というのも、自分にとってはあまりにエレ・ポップ色が強いんです。ピコピコしたシンセサイザーのアレンジとか出てきちゃうと、ちょっと耳が拒絶反応を示してしまいます(最近はそうでもなくなってきましたが)。
このアルバムはセカンドだったと思いますが、基本的な線としておだやかなカンタウトーレ作品になっていて、エレ・ポップ風味はほとんどないのが自分にとっては好ましいです。素朴な感じが漂っていて、のちの作品とくらべると曲自体の持つ厚みや密度は薄めですが、その分ピュアな印象があります。(RCA ITALIANA/BMG RICORDI: 74321894462 / イタリア盤CD) (2003.09.07)

MARIO CASTELNUOVO / SUL NIDO DEL CUCULO (1988)   alla "Musica"
感じとしては、Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)『i Ricordi del Cuore』や、あるいはAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)などをもっと世俗的にしたというか、そんな感じだと思います。Amedeoほど大仰なオーケストレーションは入ってませんが、適度に美しい味付けがあります。ただ唄メロが、あまりドラマティックじゃないのね。インストで聴いたら、それほど面白くはなさそうです。(1997.07.21)

MARIO CASTELNUOVO / COM'ERANO VENUTE BUONE LE CILIEGIE NELLA PRIMAVERA DEL '42 (2005)   alla "Musica"
おそろしくタイトルの長い(覚えられない)このアルバムも、これまでと同様に、華やかさや浮かれた気分とはほとんど無縁の、とても地味なもの。でも、多くのカンタウトーレ作品を聴いてきた人には味わい深かったりする玄人好みの作品になっていると思います。アコースティック・ギターの弾き語りに、適度なオーケストラがかぶさったり、フィドルやラッパがときにバックアップする、どちらかというとメロディよりも歌詞重視タイプのカンタウトーレ作品といった感じで、全体におだやかなロマンティシズムが漂っています。 (RAI TRADE / EDEL: RTP0088 / イタリア盤CD) (2007.05.27)



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MARIO PANSERI / ADOLESCENZA (1973)   alla "Musica"
 シンフォニックな味付けがされた、プログレッシヴ・テイストなアルバムです。しかし、このアルバムの本質は、プログレッシヴなアレンジや演奏にあるのではなく、おだやかで憂いを秘めた、語りかけるようなヴォーカルにあるといえるでしょう。弱々しげで幻想味を持った歌、おだやかなメロディとオーケストレーションは、イタリア歌ものの情感にあふれています。
 ヴォーカリストとしてはけっしてうまいとか声量があるとはいえませんが、イタリアならではのやわらかさと暖かさに満ちています。多少ハードな演奏が聴かれる部分もありますが、全体的には淡い色彩に彩られています。(2001.02.18)



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MARIO ROSINI / CERCANDO TE (2005)   alla "Musica"
2004年のサンレモ音楽祭で準優勝したMario Rosini(マリオ・ロシーニ)。そのときの参加曲「Sei la vita mia」を収録したアルバムが2005年にやっとリリースされました。最近ではだんだん数が少なくなってきた、ロックの匂いがしないアルバムです。「Sei la vita mia」は大きなメロディを持った歌い上げ系バラードでしたが、全体にこの路線が彼の持ち味なのかもしれません。いくつかリズミックな曲があり、これらがもうひとつ彼の歌い方にあってない感じはしますが、アルバム全体としては、なかなかロマンティックなバラード中心アルバムになっていると思います。 (CAFE' CONCERTO ITALIA: 3006935 / EU盤CD) (2005.07.18)



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Mario Venuti / Mai Come Ieri (1998)   alla "Musica"
 マリオ・ヴェヌーティ(Mario Venuti)のニューアルバム。明るくさわやかなサウンドが心地よいです。(1998.08.02)



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LOY & ALTOMARE / PORTOBELLO (1973)   alla "Musica"
Checco Loy(ケッコ・ロイ)Massimo Altomare(マッシモ・アルトマーレ)によるデュオ?アルバム。収録されている曲はどれも、アコースティック・ギターを中心にしたフォーク・タッチのもの。ときどき思い出したようにエレキ・ギターの音も聞こえますが、基本的にはアコースティック・ギターとベース、ストリングス・オーケストラをバックにふたりが交互にヴォーカルをとったりコーラスを聴かせたり、といったかたちになっています。ときおり使われるフルートの優しい音色もどこか幻想的に響きます。 (URLO / CGD: 9031 75238-2 / イタリア盤CD) (2005.07.18)



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MASSIMO BOZZI / EROI (1993)
 Massimo Bozzi(マッシモ・ボッツィ)はロック系のシンガーのようです。すっきりとした音づくりと曲づくり、適度な粘りがありながらもアッサリとした歌い方など、方向性の面でNek(ネック)などと共通のものがあるかもしれません。あまりイタリアらしさは強くなく、どちらかというと英米風な匂いがするところも共通点としてあげられます。
 イタリアン・ポップスとしてそれがいいか悪いか、あるいは好きか嫌いかは別にして、ポップス/ロックのシンガーとしてのアルバムや楽曲のクオリティを考えたときに、MassimoにはNekほどの個性やポピュラリティが感じられないのが、ちょっと残念です。それぞれの曲は、どれも一定のクオリティはあるのですが、もうひとつ抜けたところのない、凡庸な感じなのです。
 また、ヴォーカリストとしても、そこそこうまいのですが、とくに「Massimoだからこそ」といったところが感じられません。全体として合格点はあげられるのですが、あまり印象に残らないアルバムです。
 イタリアらしいポピュラー・ミュージックが好きな人・聴きたい人にはすすめづらいですが、英米のポップスが好きで、イタリア語で歌われるものも聴いてみたいという人には、馴染みやすいのではないでしょうか。ただ、そこからイタリアン・ポップスのファンにさせるだけの力はないと思います。(2000.11.12)



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MASSIMO BUBOLA / DOPPIO LUNGO ADDIO (1994)   alla "Musica"
 明るいイタリアの陽射しを感じさせるフォーク・ミュージック。高音がきれいに出たアコースティック・ギターの音色からは、地中海音楽的なキラキラした輝きも感じられます。彼が曲づくりで参加したFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)『Rimini』にも通じるような、やわらかくおだやかな、だけど力強い歌が感じられます。
 このアルバム以降は重い感じのブルーズ・タッチが強くなっていきます。(2001.12.16)

MASSIMO BUBOLA / AMORE & GUERRA (1995)   alla "Musica"
 アコースティック・ギター、スライド・ギター、生ピアノなどがいなたい感じの、土の匂いがするロックです。タイプとしては昔のアメリカの、泥臭いフォーク・ロックやカントリー・ミュージックなどに近いのではないかと思います。
 それでいて、音楽のはしばしに、地中海ふうのキラキラした輝きが感じられるのは、Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)との競作曲が多いからでしょう。素朴ですが生命力が感じられ、何回か聴くうちにジックリと心に染みる、思ったよりもよいカンタウトーレ/アルバムでした。(1999.08.15)

MASSIMO BUBOLA / MON TRESER (1997)
 Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)は、泥臭いフォーク・ロックが持ち味のカンタウトーレです。一時、Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)といっしょに活動していたことがあり、De Andre'−Bubolaによる曲もいくつかあるのですが、このアルバムには収録されていません。
 歌メロよりも説得力のあるヴォーカルで聴かせるという点で、De Andre'とタイプ的に近いところがあるといえるのではないでしょうか。ただ、De Andre'がフランス的な香りを放つのに対して、Bubolaは古いアメリカ的だと思います。
 抑えめのしわがれ声で歌われる彼の作品は非常に渋いのですが、全体を通して彼独特の美意識が感じられます。素朴でハードな印象がありますが、そのなかに男のロマンティシズムのようなものが息づいているんです。
 イタリアのメロディアス&ドラマティック・ポップスではありませんが、カンタウトーレらしいカンタウトーレではないでしょうか。泥臭いけれど、男の汗臭さや埃っぽさはあまり感じられないあたりはヨーロッパ的といえるでしょう。(1999.12.05)

MASSIMO BUBOLA / DIAVOLI & FARFALLE (1999)
 Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)といえば非常に泥臭いフォーク・ロックをベースに、カンタウトーレらしい独特のロマンティシズムを持った歌が乗るというのが大きな魅力ですが、今作でもその味わいがしっかりと楽しめます。
 歌メロで聴かせるというよりは、ヴォーカルの説得力で聴かせるタイプのカンタウトーレですが、ひび割れた声で歌われる彼の曲は、古き良き時代のアメリカのフォーク・ソング、もしくはカウボーイ・ミュージックを思わせるところがあります。電気もガスもないような大地の真ん中で、1日の放牧を終えた男たちが焚き火を囲み、肉を焼いたり酒を飲んだりしているような風景が浮かびます。そんななかに、イタリアの海の明るさを思わせるようなキラキラとした輝きが混じり、独自の世界を表現しているといえるでしょう。
 Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)と組んだころのようなハッキリとした地中海風味は、このアルバムでは感じられませんが、Massimoの音楽エッセンスのひとつとして、その根底にはしっかりと地中海風味が息づいています。また、泥臭さも以前よりは多少、薄まり、全体としてバランスのよい作品になっているといえるでしょう。
 非常に渋い内容のアルバムだしアーティストですが、誠実な、良い音楽です。(2000.04.15)



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Massimo Di Cataldo / Siamo Nati Liberi (1995)
 マッシモ・ディ・カタルド(Massimo Di Cataldo)もはじめて聴きました。アルバムは3枚ほど出ているようですが、今回は1995年の『Siamo Nati Liberi』を購入しました(1st?)。
 とくに強い個性は感じられませんでしたが、イタリアらしい美しさを持ったポップスを唄っています。(1998.04.01)

MASSIMO DI CATALDO / IL MIO TEMPO (2001)   alla "Musica"
個々の曲はまぁまぁいいです。でも、すごくいいというわけではなく、アヴェレージ。普通です。ヴォーカルも、まぁまぁうまいんだけど、個性があまりありません。普通です。結果として、曲も歌も「普通にきれいでいいんじゃない」という感じになってます。もっと「Massimoならでは」といった部分があればなぁと、自分としては残念に思うんですが、そういった個性(=クセ)がないところが、聴きやすくていい、評価できるっていう考え方もありますね。 (EPIC/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: EPC 503229 2 / オランダ盤CD) (2004.07.25)



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MASSIMO PRIVIERO / PRIVIERO (1997)
 プロデュースがLucio Fabbri(ルーチォ・ファブリ)なので、クラシカル&ジャジー+地中海な音が出てくるかと思ったのですが、意外と普通のロックでした。
 タイプとしては、たとえばBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)のような、アコースティック・ギターを力強くかき鳴らしながら歌うといったものです。いくぶんハードで、強い感じのするフォーク・ロックといったところでしょうか。
 それでも、ところどころで南イタリアや地中海を思わせるところもありますし、クールな感じのスローナンバーもあって、アルバムとしてはそれなりに楽しめます。典型的なイタリアン・ポップスやカンタウトーレ・サウンドとは違いますが、商業主義とは別のフィールドにいるアメリカン・フォーク・ロックにも通じるものを感じます。誠実な感じの音楽です。
 イタリアという枠を取り払って聴いたほうが、楽しめるかもしれません。(2000.03.12)



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Massimo Ranieri / Grazie Massimo! (1997)
 有名だけど、いままで聴いたことのなかったマッシモ・ラニエリ(Massimo Ranieri)。典型的なカンツォーネ歌手ですね。全編力みっぱなしで、ちょっと繊細さにかける感じがします。時代の音といってしまえばそれまでですが。
 このアルバム(2枚組)は限定盤なんだそうで、1969年〜73年くらいの曲が30曲収録されてます。有名な「O Sole Mio」「Funiculi Funicula」や映画「慕情」のテーマなども入ってます。「Tu Ca Nun Chiagne」っていう曲はジャルディーノ・デイ・センプリチ(Il Giardino Dei Semplici)も唄ってますが、有名な曲なのかな? ちなみに自分はジャルディーノ・ヴァージョンのほうが好き。(1998.08.29)

MASSIMO RANIERI / OGGI O DIMANE (2001)   alla "Musica"
 収録されているのは、どれも古いナポレターナ。もっとも古いものは1700年、いちばん新しくても1959年の曲です。そして、全曲をナポリ方言で歌っているようです。ナポレターナというと朗々と歌い上げるタイプの曲を想像しがちですが、このアルバムに収録されている曲は歌い上げる感じはなく、むしろさりげなく語りかけるようなイメージがあります。
 また、Mauro Pagani(マウロ・パガーニ)のプロデュース&アレンジによる、センスのよい、つぼを押さえたストリングスやブズーキの導入が、ただのナポレターナを超えた、地中海音楽としての、そしてロマンティックなセレナータとしての、高いクオリティを与えています。(2001.12.16)



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MASSIMO RIVA / MATTI COME TUTTI (1992)
Massimo Riva(マッシモ・リーヴァ)って、Vasco Rossi(ヴァスコ・ロッシ)のツアーのときによくギターを弾いてた人でしたっけ? 何年か前に亡くなったとかいう記事を見たような気がするのだけど。
このアルバムは1992年にリリースされたもので、BMGのGli indimenticabiliシリーズで廉価に再発されました。このシリーズ、売価が安い(4.9ユーロで買ったぞ)のはいいのだけど、その分、歌詞はついてないし、曲名と作曲者のクレジット、オリジナルのリリース年くらいしか情報がついてないのがちょっとつらいところです。というわけで、Massimo以外に誰が演奏しているのかわからないのですが、少なくともギターとヴォーカルに関してはMassimo本人なのでしょう。
1曲目からギタリストらしいハード・ドライヴィンでストレートなロックが聴けます。M3「Un nuovo tipo d'amore」ではブラスやソウルフルなコーラスも入ります。M6「Maledetti」などはやわらかな歌メロを持ったポップ・ロックで、Vascoなどにも通じるところがあるかもしれません。
キーボードのアレンジがギターにくらべると洗練されてないのは、やっぱりギタリストのアルバムだからかな。そのかわりギターに関しては、粘っこいソロやフィルイン、クリーントーンでのカッティングやアルペジオ、ディストーションのきいたハードなリフなど、いろいろな要素が上手に使われています。ポップななかに、どことなく飄々とした雰囲気をそこはかとなく漂わせるヴォーカルも悪くありません。
歌詞はイタリア語ですが、曲からはイタリアの香りがほとんどなく、かなりアメリカンなロック・テイストが感じられるのが、イタリアン・ポップ・ミュージックのファンにとってはちょっと残念なところです。でも、洋楽ロックのアルバムとして楽しむ分には充分なクオリティでしょう。M9「Ci sei tu」などのバラードにもっとロマンティック/ドラマティックなメロディや展開があればよかったんだけどな。 (RCA/BMG ITALY: 74321954172 / イタリア盤CD) (2004.07.25)



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MANGALA VALLIS / THE BOOK OF DREAMS (2001)
このアルバムがリリースされたときは、日本でもずいぶん売れたのだとか。とっても正統的なシンフォニック・プログレッシヴだと思います。
最近のグループらしく、すっきりした音色と構成、メロディを持っています。サンプリングのメロトロンも使っているようですが、その響きも明るい感じです。効果的なヴォーカリゼーションや分厚いキーボード群など、とても派手な仕上がり。歌詞が英語ということもありますが、仮にこれがイタリア語だったとしても、おそらくイタリアっぽさはほとんど感じないでしょうね。
明るく乾いた音色や曲調、演奏などからは、アメリカのシンフォニック・ロック・グループに近い印象を受けます。ヴォーカルもうまいのだけど、往年のイタリアのヴォーカリストのような「パッション」はなく、きれいに上手に歌いこなしているといった感じです。
ただ、リズムがどこか全体的にもっさりしているというか、あまい感じがするところが、アメリカとは違うでしょうか。このもっさり感があるから、明るくすっきりななかにも人間的なあたたかさややわらかさを感じられるのかもしれません。
メリハリがはっきりしていることもあり、全体的にとても聴きやすい印象です。フランスのSF作家、ジュール・ヴェルヌにささげられていることからして、大仰で壮大な、まぎれもないシンフォ・プログレでありながら、重さや熱さを感じないところが、いかにも現代的。そこが個人的には少し物足りなくもあるのですけどね。
ちょっと歌い方がPhil Collins(フィル・コリンズ)に似ている気がします。そのためか、どことなくGenesis(ジェネシス)っぽい印象もあります。 (TAMBURO AVAPOR E RECORDS: TAVR 012001 / イタリア盤CD) (2004.03.13)



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MARLENE KUNTZ / HO UCCISO PARANOIA (1999)
アルバム・デビューは1994年でしたでしょうか。イタリアの若いロック・ファンのあいだではコンスタントな人気のあるグループ。以前から名前は知っていたのですが、音は聴いたことがなかったので、ためしに1枚購入してみました。最近はハード・ロック/ヘヴィ・メタルのジャンルが非常に細かく細分化されて、なんだかいろいろな分類があるようですが、1990年代以降の英米のロック・シーンをぜんぜん追いかけてこなかった自分には、なにがなにやらです。おそらくMarlene Kuntz(マルレーネ・クンツ)のような音楽も、それを表現するような分類名称があるのでしょうが、自分は知りません。
音がでかくて重たいハード・ロック。ギターのクリーン・トーンを活かして妖しげな美しさを出すこともある。ときにニュー・ウェーヴ風だったり、ほんのり退廃的な印象もある。歌メロの美しさは追求していない様子。イタリア本国で若者に人気のロック・グループといえばBluvertigo(ブルヴェルティゴ)Subsonica(スブソニカ)なども有名ですが、これらのグループがかなりデジタリックな印象を持っているのに対し、Marlene Kuntzはギターとベースとドラムというオーソドックスな楽器しか使っていません。そういう意味では、Bluvertigoなどよりもストレートなロック・グループだといえるでしょう。それもあってか、自分にとってはSubsonicaよりもMarlene Kuntzのほうが聴きやすく感じます。
ちなみにこのアルバム、もともとは1枚でリリースされていたようですが、現在は『Spore』というCDのついた2枚組でリリースされています。(VIRGIN MUSIC ITALY: 7243 849119 2 8 / イタリア盤CD) (2006.06.18)



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MASSIMO VOLUME / DA QUI (1997)
自分はイタリアのポップ・ミュージックのファンですが、イタリアだったらなんでもOK、ポップ・ミュージックならどれでも聴く、というわけではありません。ひと口に「イタリアのポップ・ミュージック」といってもいろいろなジャンル/タイプの音楽があるし、それぞれのジャンル/タイプの音楽のなかにも好きなもの・嫌いなものがあります。Massimo volume(マッシモ・ヴォルメ)は、自分にとってはあまり得意じゃないジャンル/タイプの音楽で、そのなかでもあまり好きじゃないものに含まれます。
こういったタイプのロックをそれなりに楽しんで聴いていたのは高校生のころだから、もう20年以上前ですね。だらだらと続くミディアム・スローな曲、地を這い揺るがすような重いベース、隙間を埋めつくすベタッとしたディストーション・ギター。最近は、もうこれだけで疲れちゃう。しかもヴォーカルはメロディのない、詩の朗読のようなもの。
それでもところどころにクリーン・トーンのギターによるアルペジオを中心としたパートがあって、そのパートではおだやかだけど薄暗いヨーロッパの美しさを感じられはします。ただ、その美しさはポップス・ミュージックとしての美しさではなく、パンク/ニューウェーヴ系ロックの美しさで、なんというか、メリハリがあまりないというか、「歌」としてのドラマティックさとかに欠けるわけで。
基本的に「よい歌メロとヴォーカル」を好むいまの自分には、聴くのがちょっとつらいタイプのグループです。きっとコクトー・ツインズなんかもいま聴いたら途中で飽きちゃうんだろうなぁ、自分。 (MESCAL / POLYGRAM: 300 752-2 / イタリア盤CD) (2005.06.04)



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MATIA BAZAR / SEMPLICITA' (1978)   alla "Musica"
このころのMatia Bazar(マティア・バザール)というと、Antonella Ruggero(アントネッラ・ルッジェーロ)の縦横無尽なヴォーカルを活かした派手でちょっとエキセントリックなタイプの曲がどうしても印象に残ってしまいますが、もっとオーソドックスでやわらかい感じの曲もけっこう多くあります。この『Semplicita'』には、そういった、やわらかな哀愁と美しさをまとった曲が多いように思います。コーラスや男声・女声をさまざまに組み合わせ、使い分け、曲のなかでのヴォーカル・アンサンブル、そしてそういった曲の配置と組み合わせによるアルバム・トータルでのヴォーカル・アンサンブルにヴァリエーションを持たせたポップス作品といった印象を受けます。 (VIRGIN DISCHI: 0 0777 7 88071 2 4 / イタリア盤CD) (2006.07.02)

<MATIA BAZAR / ...BERLINO...PARIGI...LONDRA (1981)   alla "Musica"
Matia Bazar(マティア・バザール)のオリジナル・メンバーで、曲づくりの中心人物でもあったPiero Cassano(ピエロ・カッサーノ)脱退後にリリースされた最初のアルバム(Pieroは1999年に復帰しています)。それまでのダイナミックかつドラマティックなポップ・ロック・サウンドを残しつつも大胆にテクノ・ポップ・アレンジを導入し、ずいぶんと印象が変わりました。 (VIRGIN DISCHI: 0 0777 7 88111 2 1 / イタリア盤CD) (2007.09.09)

<MATIA BAZAR / ANIME PIGRE (1992)   alla "Musica"
 新ヴォーカリスト、Laura Valente(ラウラ・ヴァレンテ)を迎えての最初のアルバムです。Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)が歌っていたころにくらべると、メロディの流れ自体は、よりなめらかになっていますが、イタリアらしいキラメキと輝きを内包したその音楽は、やはりMatia Bazar(マティア・バザール)の音楽です。(2000.06.17)

MATIA BAZAR / BENVENUTI A SANSALITO (1997)   alla "Musica"
 2代目歌姫であるLaura Valente(ラウラ・ヴァレンテ)在籍時のものですが、このアルバムについてはどこか少し、これまでの、そしてこれ以降のMatia Bazar(マティア・バザール)の音楽と違う気がするのは自分だけでしょうか。ラウドめに録音されているバス・ドラムやベースなど、これまでのMatia Bazarにくらべると音に重さがあるような気がします。曲も、どこかミステリアスだったりと、「影」を感じさせるものがあります。彼らの作品のなかでは、よりロック的な面が強調されているアルバムだと思います。(2002.04.21)

MATIA BAZAR / BRIVIDO CALDO (2000)   alla "Musica"
 オリジナル・メンバーであるPiero Cassano(ピエロ・カッサーノ)の復帰、新ヴォーカリストへの交代、そして記念すべき第50回サンレモ音楽祭への出場で復活したMatia Bazar(マティア・バザール)。新歌姫、Silvia Mezzanotte(シルヴィア・メッザノッテ)参加後初の作品となるこのアルバムには、新曲だけでなく、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)が歌姫だった時代の名曲のセルフカバーも収録されていて、新生Matia Bazarとしては前哨戦、予告編といった印象を受けます。
 Silviaのヴォーカルは伸びやかで明るく、前任のLauraよりもほんの少しだけ、Antonellaに印象が近いかもしれません。また、Pieroが復帰していることもあってか、曲の印象も初期のMatia Bazarに近いように感じます。アルバム全体の曲想やメロディン展開などは、旧曲、新曲とも、Matiaらしさにあふれたもので、それほど違いを感じませんが、ヴォーカルのタイプがやわらかくおだやかなので、これまでのMatiaよりもムーディな印象を受けます。(2000.12.17)

MATIA BAZAR / DOLCE CANTO (2001)   alla "Musica"
 歌姫がSilvia Mezzanotte(シルヴィア・メッツァノッテ)に代わってから2作目となるMatia Bazar(マティア・バザール)。参加2作めにしてSilviaもずいぶん伸び伸びと歌えるようになったようで、伸びやかで張りのある声を存分に聴かせてくれます。なめらかなメロディと展開を持った、Matia Bazarならではの、美しく華やかで、ちょっとセンチメンタルなイタリアン・ポップスに、Silviaの歌声が綺麗に響きます。(2001.06.17)

MATIA BAZAR / MESSAGGI DAL VIVO (2002)   alla "Musica"
 1976年にアルバム・デヴューして以来、はじめてのライヴ・アルバム。2002年のサンレモ音楽祭参加曲(そして、この年の優勝曲)であるM1「Messaggio d'amore」と、続くM2「Ritmo della luna」はスタジオ収録の新曲、M3以降は2000年のBrivido Caldo tourと2001年のDolce Canto tourからのライヴ収録となっています。「Stasera che sera」「Cavallo bianco」といった初期の曲から「Vacanze romane」「Ti sento」といったおなじみの曲、そして「Brivido caldo」「Questa nostra grande storia d'amore」といった最近の曲まで、まんべんなく演奏されています。長期にわたって人気グループであるMatia Bazarの魅力が充分に伝わるライヴ・アルバムだと思います。(2002.08.31)

MATIA BAZAR / LIVE@RTSI (2002)   alla "Musica"
 1981年のライヴを収録したアルバム。1986年に来日したときのドラミングはけっこうシンプルだったと思いますが、この頃はドラミングが凝っていて、いろいろやっているように感じます。逆にキーボードは、このアルバム時点のほうがシンプルというか、後年に行くに従って存在感と重要度を高めていっている気がします。Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)のヴォーカルは透明で力強く、空に突き抜けるような伸びがあり、文句なくすばらしいのですが、そこに重なる、あるいは前後に聴かれる男性陣のヴォーカルも、なかなかに味わい深くあります。(2003.01.26)



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MAU MAU / VIVA MAMANERA (1996)
 以前に入手したアルバム『Eldorado』が思いのほかよかったので、このアルバムも入手してみました。
 古から続く、魂を揺さぶるような、あるいはプレイヤーを異次元へ引き込む魔法のゲーム「ジュマンジ」から聞こえてくるような太鼓の音は、このアルバムでも健在です。しかし『Eldorado』ほどのプリミティブさ、アフリカン・テイストはありません。
 アフリカン・ロックやエスニック・ロックをベースにヨーロッパ的な哀愁を加えた感じの『Eldorado』と違い、このアルバムではユーロピアン・ロックをベースにエスニックなエッセンスを加えた感じといえるでしょうか。その点で、無条件に精神が高揚するような力強さ、わけもなく身体が動き出してしまうような楽しさは、あまりありません。
 Jovanotti(ジョヴァノッティ)のヒット曲「L'ombelico del mondo」を思わせるイントロの曲があったり、ホーンが活躍する曲があったりもしますが、そこから生まれる感覚はダブ・ミュージックなどに近いのではないかと思います。また、引きずるようなベースと低い声でぼそぼそいうヴォーカル・スタイルは、古いニューウェーブやアヴァンギャルド・ミュージックなども思わせます。さらにキャバレー音楽的な猥雑さもあり、なんとなくよさそうな雰囲気はたくさんあるのですが、このアルバムに関していえば、残念ながら歌メロに魅力がありません。曲の構成や展開もなんとなくゆるい感じで、自分はあまり楽しめませんでした。
 一言でまとめてしまうと、アルバムとして全体のバランスが悪いんじゃないかと思います。(2000.06.17)

MAU MAU / ELDORADO (1998)
 Mau Mau(マウ・マウ)のアルバムを聴くのははじめてです。中古で400円で売っていたので、あまり期待せずに買ったのですが、意外とおもしろい作品でした。
 プリミティブなパワーと生命の輝きを感じさせるような音楽が聴けます。イタリアン・ポップスというよりは、アフリカン・ポップス的な印象が強いですが、そこに南ヨーロッパ風の哀愁が重なり、質のよいワールド・ミュージックのように聴きやすく、それでいて消費音楽とは違うものを感じさせます。
 熱帯の森の奥から聞こえてきそうな太鼓の音、音楽に奥行きを与えるアコーディオン、効果的に使われる弦楽器と管楽器。どことなく、Rip Rig + Panic(リップ・リグ・パニック。トランペットのDon Cherry率いる、1980年代初頭に活動していたアメリカのグループ)を思い出しました。
 全体的にミディアム・テンポの曲が多く、土着なリズムにヨーロッパのキャバレー音楽のような前時代的ゴージャスさが乗り、南ヨーロッパの流浪の民風なメロディがかぶさる彼らの音楽は、なかなかユニークです。そして、素直に心に届きます。(2000.03.12)



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MAURIZIO LAUZI / same (1997)   alla "Musica"
 若者らしい、みずみずしい感性がイタリアンなメロディとマッチして、とても爽やかです。過剰に情感におぼれることなく、かといってウェットな部分が希薄というわけでもなく、バランスが取れていると思います。それぞれの楽器の音色や配置などに神経が行き届いていて、奥行きのある芳醇な音空間が演出されています。(1999.10.11)



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MAURIZIO MONTI / L'AMORE (1973)   alla "Musica"
男性なんですが、声はちょっと高くて、なんだか女性ぽいです。そのうえ、少し割れてる。Loredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)とかGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)とかがおだやかに歌っているときの声に近いような気がします。個性的な声質・歌い方で、あまり力を込めて歌い上げたりということはないのですが、感情が豊かに伝わってくる感じです。べたべたと甘くなったり、なんだか暗くなったりすることのない、やわらかな哀愁を漂わせています。全体的にはフォーク・ベースの地味なアルバムですが、どことなくふわふわとした感じがあり、そこはかとなくサイケデリック、ほどよくシンフォニック。生粋のプログレッシヴ・ロック・ファンやイタリアン・ロック初心者にはすすめませんが、プログレッシヴ・カンタウトーレ系の作品が好きな人ならきっと楽しめる作品だと思います。 (RCA / BMG ITALY: 82876598812 / EU盤CD) (2004.12.25)



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MAURO BANDINI / ABC (1995)
 BMGレーベルの「CD7」という7曲入り廉価盤シリーズの1枚としてリリースされたアルバムです。このシリーズは新人などのプロモーション的な意味合いもあったらしく、Mauro Bandini(マウロ・バンディーニ)をはじめ何人もの若いシンガーがリリースされたそうですが、Mauroも含め、その後の音楽シーンに残ってアルバムをリリースし続けている人は、ほとんどいないらしいです。
 実際、MauroのこのCDを聴いても、はやりすたりの激しい音楽界で生き残っていけそうな個性や強さ、したたかさといったものは感じられません。
 シンガーとして声量のあるタイプではないので、ヴォーカルのパワーで聴かせるのは難しいでしょう。そこのところは本人もわかっているのか、彼のつくる曲にはドラマティックな展開やロングトーンといった見せ場(聴かせ場)はなく、おだやかで淡々としたメロディのものがほとんどです。
 ただ、こういったタイプの音楽は、メロディで魅きつけるだけの説得力に欠けるため、全体としての印象が弱くなってしまいます。バックの演奏も、安っぽい打ち込みドラムやイージーなキーボードなど、あまり金をかけずにつくったんだなということがうかがえます。
 曲自体にはところどころに良いものがあるので、もっときちんとしたアレンジとプロデュースの元で制作されたなら、彼の少し沈んだヴォーカルも、もっとよく響いたのではないでしょうか。とはいえ、本当に才能のあるカンタウトーレは、この程度のアレンジのなかでも、曲やヴォーカルに強い光を感じさせるものではありますが。(2000.11.12)



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MAURO DI MAGGIO / MAURO DI MAGGIO (1997)
 ちょっとのどになにかが詰まっているような声のシンガーです。おおらかなポップスで、曲調としてはEros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)を地味なフォーク・ロックにしたような感じでしょうか。
 収録されている曲の作詞・作曲はMauro Cerzoso(マウロ・チェルゾーソ)となっていて、Mauro Di Maggio(マウロ・ディ・マッジォ)自身は曲をつくらないようです。最近の若いシンガーにしては、ちょっとめずらしいかもしれません。それとも、CerzosoDi Maggioは同一人物なのでしょうか。
 カンタウトーレのDaniele Groff(ダニエーレ・グロッフ)が作詞にかかわったM4「Vorrei adesso」は、あたたかいスローナンバーで、サビでの心地よい盛り上がり方や、明るさのなかにほどよい哀愁を漂わせるメロディラインが、魅力的に響きます。しかしアルバム全体としては、同じようなミディアム・スローの曲が大半を占めていることもあり、ちょっと単調で退屈を感じます。曲の構成や展開にもドラマや盛り上がりがなく、平板な感じです。
 いくぶんクセのあるヴォーカルが、平凡になりすぎるのを防いではいますが、曲自体の魅力不測は否めません。すべての曲がM4レベル以上であれば、よかったのですが。
 とくに悪いとか下手とかいうことはなく、それなりに雰囲気を持っているので、邪魔にならずに聴くことはできますが、ワン・オブ・ゼムな作品だと思います。(2002.12.01)



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MAURO GIOIA / PIEDIGROTTAGIOIA (1996)
 Mauro Gioia(マウロ・ジォイア)はイタリア人のようですが、このアルバムはフランスで録音されたからか、ブックレットにはイタリア語とフランス語が併記されています。
 フランス録音のためか、ちょっとシャンソン的な洒脱感と哀愁がありますが、基本はナポレターナ的な音楽です。ピアノとアコーディオンの演奏を主に歌われる音楽は、まるでサイレント映画時代のバック・ミュージックのように、あるいは昔のヨーロッパのキャバレー音楽のように、郷愁に満ちています。
 ブックレットを見ると、アルバム・タイトルの下に「Cabaret Napolitan(ナポリのキャバレー)」と書いてあるので、このアルバムのコンセプトはキャバレー音楽なのでしょう。また、イタリア語・フランス語で書いてあるため意味が読み取れないのですが、1891年に存在した「Salone Margherita」というカフェ(Cafe Chantantと書いてあるので、いわゆる昔のミュージック・ホール、ダンス・ホールのことではないかと思います)の名前が出てきますので、その店をテーマにした、ある種のコンセプト・アルバムなのかもしれません。
 そうであれば、このアルバムで聴ける音楽は、そのコンセプトを感じさせるに充分であるといえるでしょう。ナポレターナ的な伸びやかなメロディ(一部の歌詞はナポリ方言のようです)にキャバレー音楽的な猥雑さとノスタルジーが加わり、さらにそこにシャンソン的な情感も入り混じった、なかなかユニークな音楽です。(2000.09.16)



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MAURO NARDI / LA MAGIA DI NAPOLI (1994)
 Mauro Nardi(マウロ・ナルディ)はナポリの歌手のようです。ジャケット写真を見るかぎり、決して若くはありませんが、この人の名前を聞くのは、たぶん自分ははじめてです。有名な人なんでしょうか?
 3曲でGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシォ)がアレンジを担当していますが、アルバムに収録されているのは最近のGigiのようなナポリ・ポップではなく、伝統的なナポレターナのようです。自分は古いナポレターナにくわしくないので知っている曲はほとんどないのですが、「Maria Mari'」っていうのは有名な曲でしたよね、たしか。
 張りのあるオーソドックスな歌唱には不安定な要素がなく、マンドリンやアコーディオンなどを導入した演奏もナポリらしい明るさとおおらかさがあって、安心して聴いていられます。Gigiがアレンジした曲も、これといって現代ナポリ・ポップ風になっているわけではなく、普通にナポレターナ風です。Gigi自身、1994年ころといえばいまと違い、かなりオーソドックスなナポレターナ歌手でしたが。
 その点で、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)がアレンジを担当したRoberto Murolo(ロベルト・ムーロロ)『Roberto Murolo and Friends』(1995年)やMauro Pagani(マウロ・パガーニ)がアレンジを担当したMassimo Ranieri(マッシモ・ラニエリ)『Oggi o dimane』(2001年)のようなおもしろみや新鮮さはありませんが、ナポリらしい美しいポピュラー・ミュージックは、それだけでも楽しめてしまいます。(2002.06.22)



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MAURO SOLI / RESPIRO (1991)   alla "Musica"
M1「Proprio tu」では張りのある声と伸びやかな歌メロを聴かせてくれて、もしやMino Reitano(ミーノ・レイターノ)系のオーソドックスなカンツォーネ・ポップスかと思わせます。しかし2曲め以降は、こういったカンツォーネ風のポップスは出てきませんでした。もっと軽快でポップな曲が主流のようです。曲も歌も、これといって目立つところのない、平凡なポップスになってしまいました。 (QUALITY RECORDS/POLYGRAM: QR 170 004-2 / イタリア盤CD?) (2006.07.22)



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MAX MANFREDI / L'INTAGLIATORE DI SANTI (2001)
 ジャケットやブックレット、聖人の彫刻家(であってるかな?)というアルバム・タイトルなどから、宗教的な色彩の強い厳かな曲か、あるいはいくぶんオドロ系の曲が多く収録されているかと想像していたのですが、実際はフォーク・ギターを中心としたおだやかな曲がほとんどでした。といっても、いわゆるフォーク・タッチのポップスというわけではなく、不穏な雰囲気を醸しだすコントラバスやハーモニウムの響きがあったり、幻想的なフルートが入ったりと、どことなくサイケ・フォーク風な部分があります。
 Max Manfredi(マックス・マンフレディ)の声も、低く落ち着いているなかに、どこかふわふわとした実体のない感じがあり、その点もサイケ風です。どことなく、Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)Alan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)などに通じるところもあるかもしれません。そうかと思うと、ポップ・オペラのような芝居がかった曲もあり、アルバムとしては、あまり統一感がありません。曲自体も、それほどよいメロディやアレンジを持っているわけではありません。ただ、それでもなんとなく聴けてしまうのは、やはりMaxのヴォーカルが持つ個性によるところが大きいのでしょう。
 ポップスのファンよりは、サイケデリックやプログレッシヴ系のカンタウトーレ作品が好きな人のほうが、楽しむ糸口を見つけやすい作品でしょう。(2001.10.20)



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MAXOPHONE / MAXOPHONE (1975)   alla "Musica"
 プログレッシヴ・ロックならではの、さまざまな要素を持っています。ロックをベースに、ジャズ要素、クラシック要素、そしてイタリアならではの歌の世界も入れ替わり立ち代わり顔を出します。それらが楽曲として破綻なく構成されているところに、グループの作曲・アレンジ能力の高さを感じます。要所要所で聴かれるフレンチ・ホルンのおおらかな響きが、曲の印象に強い影響を与えます。(2001.03.18)



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METAMORFOSI / PARADISO (2004)   alla "Musica"
1970年代に2枚のアルバムをリリースしたMetamorfosi(メタモルフォシ)の、およそ30年ぶりになるサード・アルバム。奇跡の復活、奇跡のリリース!? 前作『Inferno(地獄)』はダンテの『神曲』の地獄編をテーマにしたコンセプト・アルバムだったそうで、今回の『Paradiso(天国)』はやはり『神曲』から天国編をテーマにしたコンセプト・アルバムだそうです。30年のときを経て、アルバム・コンセプトが引き継がれています。現代的なすっきりした音色のキーボード群は聞きやすく耳あたりがいいのだけど、Metamorfosiの持っていた熱い情念のような部分が薄まった気がします。そして、はっきりすっきりしたキーボード群が全体を支配していることで、ヴォーカルがキーボードのなかに埋没し、相対的な力関係が弱まっているように感じてしまいます。ヴォーカルに特徴と魅力があるグループだと自分は思っているのですが、その点で残念です。 (PROGRESSIVAMENTE: GMP003 / イタリア盤CD)(2004.12.25)



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MODA' / TI AMO VERAMENTE (2005)   alla "Musica"
2005年のサンレモ参加曲「Riesci a innamorarmi」から始まるアルバム前半の数曲を聴いて、彼らも最近よくあるLunapop(ルナポップ)系の古いブリティッシュ・ポップスを思わせるノスタルジックなバラード・ポップが得意なグループかと思ったのですが、アルバムのなかには意外とロックンロール風な曲も多くあり、Lunapopよりもずっとロック色の強いグループだということがわかります。哀愁は漂わせているのだけど、前面に出てくる印象は明るく暖かな感じなのが好ましいです。 (NEW MUSIC INTERNATIONAL / SONY MUSIC: MMI 518960 9 / オーストリア盤CD) (2006.07.02)



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MEMO REMIGI / SOLOAMORE (1997)
 Memo Remigi(メモ・レミジ)は、古いイタリアン・ポップスのファンには懐かしい名前らしいですが、自分は曲を聴くのがはじめてです。
 主に1960年代から70年代にかけて活動していた人らしく、曲の感じも古いカンツォーネやムード・ポップス的なものです。もしこれがアメリカなら、ポール・アンカビング・クロスビーニール・セダカなどとおなじ仲間(?)に入るのでしょう。
 このCDは1997年にリリースされた新録のベスト盤ですが、アレンジをMemo自身が担当しており、新録ベストにありがちなペラペラした薄っぺらいアレンジになるのを防いでいます。バックのオーケストレーションはシンセサイザーに置き換えられていますが、ストリングスも管楽器も柔らかく暖かい音でシミュレートされているため、デジタル的な冷たさは感じません。
 彼のような、やわらかい声にはやはり、優しい音が似あいます。オリジナル録音ではきっと、豪華でたおやかなオーケストラ・アレンジが施されていたのでしょう。
 太めで丸みのある声は心地よく、声量もあり、歌のうまいシンガーだと思います。ただ、年齢のせいか、ロングトーンがあまりないのが少し残念です。若いころはきっと、もっと迫力のあるヴォーカルを聴かせてくれたのではないでしょうか。曲想がドラマティックなものが多いので、Massimo Ranieri(マッシモ・ラニエリ)ばりとはいわないまでも、もう少し張った歌い方が聴きたかったところです。
 とはいえ、全体的に曲のクオリティ、メロディのクオリティが高いため、充分にドラマティックです。曲によっては、Dario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)を思わせるところもあります。(2000.10.15)



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MARCELLA BELLA / MASTERPIECE (2000)
 イタリアWARNER FONITレーベルによる廉価のベスト盤シリーズ『Masterpiece』の1枚。このアルバムには主に1970年代前半の曲が収録されています。
 Marcella Bella(マルチェッラ・ベッラ)は、Gianni Bella(ジャンニ・ベッラ)の妹だそうです。ちなみに、アルバムの多くはたんに“Marcella”の名前でリリースされていたように思います。
 収録されている曲のほとんどがGianniによって書かれたものなので当然、美しいメロディが満載です。また、少し喉が詰まっているようなかすれ気味の声も、Gianniに通じるところがあるように感じます。
 ただ、Marcella本人は、それほどうまいカンタトリーチェ(女性シンガー)ではないように思います。ほんの少し甘えたような感じがあるところが、かすれ気味の声とあいまって、なかなか魅力的ではありますが、1曲のなかで魅力を分析すると、Marcella自身の歌声の魅力よりも、その曲自体が持つメロディや構成の魅力のほうが圧倒的に高いと感じます。つまり、そこそこに歌のうまい人が歌えば誰が歌っても魅力的なクオリティの高い曲をMarcellaは提供されていたから「Marcellaはなかなかよい」という印象が生まれてくるのであって、この「なかなかよい」のかなりの部分をかたちづくったのは、じつはMarcellaにではなく、楽曲自体のよさによって助けられているという感じがするのです。
 もちろん、それなりにうまいシンガーではあるのですが、少なくともこのCDに収録された曲が録音された1970年代前半の時点では、シンガーとしての個性が弱いと思います。ただ、それを補って余りあるだけの楽曲のよさがあるので、トータルとして聴くと、やはり「けっこういいよなぁ」となってしまいます。(2001.09.16)



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DALLA/DE GREGORI/MONTI/VENDITTI / DAL VIVO * BOLOGNA 2 SETTEMBRE 1974 (1975)
 アルバム・タイトルどおり、Lucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)、Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴリ)、Maria Monti(マリア・モンティ)、Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)が1974年にボローニャで行なったコンサートを収録したライヴ盤。
 どういう目的で行なわれたコンサートなのかはわからないが、いまではすっかり大物となった彼らの若いころの実況録音という点では、それなりに意味があるのだろう。構成はいたって普通で、それぞれのカンタウトーレが交互に自分の持ち歌を歌うというもの。一緒にセッションするとか、持ち歌を交換してみるといった試みはなく、たんに4人が自分の持ち時間を自分のために使っているだけのような印象なのが残念。唯一、M11「Buonanotte fratello」FrancescoAntonelloが組んで歌うという、ちょっとイタリアン・ポップスにくわしい人ならTheorius Campus(テオリウス・カンプス)を思い出させるところがあるのが興味深いかもしれません。
 中古で安く売られていたのでつい買ってしまったのだけど、参加しているカンタウトーレたちのファンでないと、なかなか楽しみにくいアルバムかも。ライヴならではの熱さや力強さといったものもとくになく、淡々と曲が演奏されていきます。複数アーティストによるライヴという性格上、アルバムとしてのドラマ性やストーリー性も期待できないですし、そのうえ収録曲や演奏がどれもどちらかというと地味なので、正直にいってちょっとつらい部分がありました。(2002.05.19)



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MARIELLA NAVA / PER PAURA O PER AMORE (1988)
Mariella Nava(マリエッラ・ナーヴァ)って個人的に「ロマンティック」なタイプのシンガーという印象があるのですが、このアルバムでのMariellaは、かなり力強いヴォーカルを聴かせてくれます。ビート・ポップやロック系のシンガーのようにすら感じます。曲自体はそれほど激しいということはないのですが、ときに太く唸りをあげる(?)ヴォーカルが曲のイメージをパワフルにしています。Loredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)の初期のころとかに少し印象が似ているかもしれません。
メロディはけっこうゆったりとしたものが多く、テンポもミディアムで、タイプとしてはバラード系の曲が多く収録されています。ちょっとデジタルな印象の強いキーボードやシンセサイザーが多用され、クールなイメージを与えています。それがパッショネイトなヴォーカルとよい対比になっています。
アルバム全体としては、どれも曲調が似かよっていて、単調な感じはあります。もう少しバラエティ感がほしかったと思います。 (RCA ITALIANA/BMG ITALY: 74321952102 / イタリア盤CD) (2003.10.19)

MARIELLA NAVA / IL GIORNO E LA NOTTE (1989)   alla "Musica"
やわらかなピアノが美しい小曲「Scegliamoci una canzone」から始まるアルバム。この曲はアルバムの最後にも登場し、アルバムの印象を深くしています。全体に暖かなメロディを持ったイタリアらしいポップスが収録されています。道路を走っていくクルマの音がSEで入っていたりと、情景を感じさせる仕掛けもあります。
素直だけど芯の強さを感じさせる、少しかすれ気味の声には独特の味わいがあり、ただの歌のうまい女性歌手以上の質感が表現されています。Luis Enriques Bacalov(ルイス・エンリケス・バカロフ)がアレンジとピアノ、キーボードで参加していることもあってか、おだやかで趣のある、よい作品に仕上がっています。(2003.06.15)



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Mia Martini / il Giorno Dopo (1973)
 少しかすれた声で力いっぱい唄うミア・マルティーニ(Mia Martini)。ただ、唄はあまりうまいとは思えません。サビなどで、りきんで発声するところでは声が割れてて、昔の女性ロッカーを思わせますが、自分はあまり好きじゃないです、こういうの。
 70年代の名盤といわれているようですが、いろいろやり残したものが多い感じがします。オーケストレーションもありきたりだし。エルトン・ジョン(Elton John)「Your Song(僕の歌は君の歌)」のカバーのメロディのよさが際立ってしまいます。(1998.12.06)

MIA MARTINI / UN ALTRO GIORNO CON ME (1975)   alla "Musica"
 曲調的にはいわゆるポップスで、かわいらしいメロディを持った歌謡曲的なものからビート・ポップ風のもの、なだらかなオーケストレーションの入ったメロディアスなものなどが収録されています。そのどれもが魅力的に響くのは、ヴォーカルの持つ味わいによるのだろうし、それぞれの曲が持つ美しいメロディ展開によるものでもあるでしょう。美しいメロディ、メリハリの利いた展開、それに曲の持つストーリーやドラマを情感豊かに表現する歌という、イタリアン・ポップスならではの魅力がたっぷり詰まっているように思います。(2002.12.01)

MIA MARTINI / CHE VUOI CHE SIA... SE T'HO ASPETTATO TANTO (1976)   alla "Musica"
Mia Martini(ミア・マルティーニ)の声って、伸びやかで、優しくて、女性的な美しさにあふれているのだけど、多くの女性シンガーにある、こびたところや甘ったるいところ、あるいは耳障りな甲高さとかがなくて、その点が自分にとってはとても好ましいです。M6「Fiore di melograno」を除いたすべての曲のアレンジをLuis Enriquez Bacarov(ルイス・エンリケス・バカロフ)が担当しています。全体におだやかな曲が多く、よい時代のイタリアン・ポップス/カンツォーネらしいなめらかなメロディとはっきりした抑揚が楽しめます。なかでも、Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)の曲であるM1「Ma sono solo giorni」、Dario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)のM3「Che vuoi che sia... se t'ho aspettato tanto」、Mango(マンゴ)のM4「Se mi sfiori」などは、さすがの楽曲だと思います。カンツォーネとフォークの持つやさしさと美しさ、イタリアン・ポップスの持つおおらかで、ときに激しく場面展開する構成といったものが楽しめる、いいアルバムだと思います。 (RCA ITALIANA / BMG ITALY: 82876502742 / EU盤CD) (2004.12.25)

MIA MARTINI / MIMI (2004)
1981年と1983年の曲を集めた編集盤のようです。
Mia Martini(ミア・マルティーニ)のアルバムは、古いものしか聴いたことがないのです(1983年でも充分古いけどね)。で、どちらかというと落ち着いた曲と歌い方のおとなしい歌手という印象があったのだけど、意外とポップでハードな感じの曲もあるんですね。M2「Il viaggio」なんて、ちょっとセクシーですらある。
こういった、少しアップ・テンポで元気のある曲を歌うと、やっぱりLoredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)と姉妹なんだなぁという感じがします。声の感じがね、似てるんですよ。もちろんMiaのほうがずっとずっとおとなしいんですけど、この少しひび割れた声がパワフルになって迫力を増すとLoredanaのようになっていくのかなぁって。
全体に楽しげでポップな曲が多いのですが、古いイタリアを思わせるやわらかな曲もちゃんと入っています。オーケストラのおだやかな音色が心地いいM4「Sono tornata」やM7「Senza te」などは典型的なイタリアン・ポップスですね。またM5「Del mio amore」では古いナポレターナやある種のシャンソンなども思わせる、ヨーロッパの「土地の大衆音楽」を感じさせ、自分はなかなか好みです。
Miaって、実はカンタウトリーチェ(女性シンガー・ソングライター)だったんですね。知らなかった。このCDに収録されている曲すべて、Miaが自分で書いてました。 (DDD / BMG ITALY: 82876502762 / EU盤CD) (2005.10.10)



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MIETTA / CANZONI (1990)   alla "Musica"
 収録曲の大半がAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)の曲。そのためもあってか、アルバムの印象がとてもAmedeoっぽいです。Mietta(ミエッタ)は素直でなめらかな声をしたシンガーですが、ヴォーカリストとしての個性は弱く、Miettaらしさのようなものが希薄です。そのため、曲次第でどんなイメージにもなるタイプのシンガーではないかと思います。その点でいえば、このアルバムに関しては、Amedeoファンにはそれなりに聴きどころのあるものだと思います。(2002.03.17)

MIETTA / VOLANO LE PAGINE (1991)   alla "Musica"
 低く落ち着いた声が魅力的なカンタトリーチェ(女性シンガー)。けして強い個性があるとか、ヴォーカリストとして圧倒的にうまいということはないけれど、曲調が声・歌い方に合えば、けっこう味わい深い歌を聴かせます。ただ、さまざまなタイプの曲を、それぞれ「自分の歌」として上手に表現できるだけの力量は、少なくともこのアルバムの時点ではないようです。Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)、Mariella Nava(マリエッラ・ナーヴァ)、Biagio Antonacci(ビアージォ・アントナッチ)、Mango(マンゴ)といったカンタウトーレたちが曲を提供していますが、それぞれの曲が「Mietta(ミエッタ)の曲」として消化されないままに歌われてしまっています。
 収録されているそれぞれの楽曲は、どれも悪くはないのですが、それぞれの楽曲に歌い手であるMiettaが翻弄されているようで、けっきょく彼女はただのマリオネットなのかなという印象を受けてしまいました。(2001.09.16)



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MILVA / DEDICATO A MILVA DA ENNIO MORRICONE (1973)
 Milva(ミルヴァ)といえば、古くからのカンツォーネ・ファンにはとてもなじみの深い有名歌手なのでしょうが、自分にとっては「なぜか谷村新司の歌をカバーしてたりする怖い声のおばさん」というイメージで、実はいままでに1枚もアルバムを聴いたことがありませんでした。などということをユーロ・ポップスの専門店「Casa Bianca」の店員の林さんと話していたら、「でも、このアルバムだけは聴いたほうがいいですよ!」と推薦されたのが、映画音楽の巨匠Ennio Morricone(エンニオ・モッリコーネ)が作曲した曲をMilvaが歌ったこのアルバムです。
 店内で1曲目の「La califfa」をかけてもらったのですが、それを聴いてすぐに購入を決めてしまいました。おおらかでやさしさとあたたかみに満ちたメロディ、歌声をゆったりと包み込むなめらかなオーケストラ。この曲にはCatelina Caselli(カテリーナ・カゼッリ)『Primavera』Alice(アリーチェ)『La mia poca grande eta'』などに通じる、イタリアらしい豊潤さとやわらかさに満ちた美しさがあふれています。
 他の曲も、この曲ほどの濃厚さはありませんが、どれも美しくおだやかなメロディとオーケストラが楽しめ、あらためて「イタリアはメロディの国(だったんだ)」と感じます。
 低めで抑えたMilvaのヴォーカルも、以前は「怖い」と感じたのですが、このアルバムに収められている曲では、メロディの持つ控えめな哀愁や内に秘めた情感を深く静かに表現するのに役立っていると思います。
 トータルな音楽のスタイルとしてはぜんぜん違いますが、Opus Avantra(オプス・アヴァントラ)の持つ哀愁と叙情に通じる要素が、この作品にもあります。これこそが、1970年代のイタリアン・ポピュラー・ミュージックが持っていた味わいのひとつといえるでしょう。(2002.06.22)



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MINA / No.0 (1999)   alla "Musica"
 大物女性歌手のMina(ミーナ)が、大物ポップ・スターのRenato Zero(レナート・ゼロ)の曲をカヴァーしたアルバム。1970年代から90年代まで、幅広い年代のRenatoの曲が歌われていて、曲調もスローなバラードからポップ・チューンまでバラエティに富んでいます。Renatoにくらべるとストレートな歌い方なので、そこが物足りない感じもしますが、M7の「Amico」などは、落ち着いたストレートさが女性ならではのやわらかさ、なまめかしさを感じさせて、なかなかよい雰囲気を出しています。(2002.06.22)



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MICHELE PECORA / NAVIGANDO (1998)
 ミケーレ・ペコラ(Michele Pecora)のアルバムを聴くのははじめてですが、素朴な感じのするカンタウトーレでした。ロック色はなく、派手で大仰なアレンジもありませんが、淡々としたなかに優しさがあります。キーボードのオーケストレーション・アレンジがイージーなため、曲に平坦なイメージを与えてしまいますが、オリジン・ミュージック風のアレンジを取り入れたり、コーラスやフルートを採用するなどして変化をつけています。ポップスというよりフォーク・ソングといった感じもします。ちょっとJ.D.サウザーを思い出してしまいました。(1999.02.28)

MICHELE PECORA / LA CASA CHE VORREI (1999)
 (P)(C)表示が見当たらないため、何年のリリースなのか、正確なことはわからないのですが、たぶん1999年の作品です。
 1998年のアルバム『Navigando』では、地味ながらも、ところどころにトラッド風味を混ぜるなどして、音楽に変化をつけようとしていたMichele Pecora(ミケーレ・ペコラ)ですが、この作品ではそういったところがなく、全体を通してオーソドックスなポップスとなっています。ただ、楽曲の地味さは相変わらずですが、演奏の音づくりやアレンジがクリアで力強いものになっているため、曲想としての明るさ、さわやかさは強調されているといっていいでしょう。
 決して大仰な展開をするわけでもなく、ヴォーカルも情熱とは遠いところにいるのですが、そういったパッショネイトなイタリアン・ポップスとは別の流れにあるイタリアン・ポップスの美しさを感じさせます。たとえばAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)からクラシカルで壮大な感じを取り除き、代わりに海辺を流れるさわやかな風と海に反射する明るい光を感じさせるものにしたら、なんとなく感じが似てくるでしょうか(似てこないかな)。
 ゆったりとした、柔らかく暖かい雰囲気のなかに、古くからのイタリアン・ポップスの持つ優しさ、美しさが息づいています。とても穏やかなアルバムです。(2000.02.12)



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MICHELE ZARRILLO / L'AMORE VUOLE AMORE (1997)
 1998年に初来日を果たしたミケーレ・ザッリーロ(Michele Zarrillo)のベスト盤。CD収録可能時間をフルに使って15曲を収録したお得なアルバムになっています。
 イタリアらしい美しいメロディは持っていますが、甘さ、ドラマティックさはあまりなく、比較的淡白です。唄メロやヴォーカルの個性に乏しく、「これぞミケーレ!」という特徴が感じられないのが弱点ではないかと思いますが、イタリアン・ポップス入門用としては、とっつきやすいのではないかと思います。(1999.02.11)



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MIMMO DAMIANO / PICCOLE GRANDI STORIE (2000)
う〜ん、なんなのでしょう、このアルバム、そして、このおじさん。そして、なぜ自分はこのCDを買ってしまったのかしら。収録曲6曲、集録時間30分弱という、ミニ・アルバム。すべての曲をMimmo Damiano(ミンモ・ダミアーノ)が作詞・作曲していて、演奏はギターとヴォーカルのMimmoを中心としたCoguari(コグァーリ)という7人組のグループ。Mimmoは、イタリア語でクーガーを意味する無駄にかっこいいグループ名にそぐわない、人のいい感じの丸顔のおっちゃんです。
アルバムは、アコースティック・ギターの音色のうえに少し字余り気味な歌詞が載る、フォーク系のカンタウトーレっぽい感じの曲で始まります。そうか、Mimmoはこういった、ちょっとオールド・スタイルなフォーク風の曲をつくって歌う人なんだな、と思っていたら、アルバムの中ごろでは1980年代風の伸びやかなエレキ・ギターの音色がなんとなく懐かしい、ゆるやかなポップ・ロックに。おやおやぁと思っていたら、アルバムの終盤ではクリーン・トーンのエレキ・ギターのカッティングが入るリズミックな、だけどどこか田舎くさいポップスになってました。6曲しか入ってないのに、トータルで28分ちょっとしかないのに、曲ごとに感じがかわっていき、しかも戻ってこない。アルバムとしての印象がぜんぜん残りません。いったい彼は、どんな音楽がしたいのでしょうか。このアルバムで、なにを表現したかったのかしら。
ネット通販のカタログから適当に選んで買ってると、たまにはこんなアルバムに当たることもあるということで。 (MD MUSIC: CD 001 / イタリア盤CD) (2006.01.29)



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MIMMO LOCASCIULLI / I SUCCESSI (1999)
 Mimmo Locasciulli(ミンモ・ロカシゥッリ)は1949年の生まれだそうですから、もう50歳を超えています。デヴューは71年らしく、およそ30年の音楽キャリアがあります。
 このアルバムは新録によるベスト盤で、Mimmoの弾くピアノを演奏の中心にした、おとなしいフォーク・ロックが収録されています。デヴュー当時はFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)、と活動していたことがあるらしく、また1995年ごろにもFrancesco De Gregori、Mario Castelnuovo(マリオ・カステルヌオヴォ)、Goran Kuzminac(ゴラン・クズミナク)らの協力を得てアルバムをリリースしているようで、この顔ぶれからなんとなく想像できる感じの曲が多いといえます。
 フォーク・ロックといっても、1970年代のカンタウトーレ以降のものというよりは、ポピュラー・ミュージックの多くがジャズ・ベースだった50年代、60年代の音楽を思わせます。(2000.09.16)



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MINO REITANO / QUESTO UOMO TI AMO (1997)
 中低域に響きのある、落ち着いた声を持ったシンガー。アルバムを聴くのは、自分ははじめてですが、キャリアは長いようです。
 演奏が多少デジタリックなのですが、冷たい感じになることなく、むしろ彼の声の奥行きを際立たせるのに貢献しています。ポップスやカンタウトーレというよりは、伝統的なカンツォーネといったほうがよいのでしょう。張りのある声で唄われるイタリア歌謡が好きな人におすすめします。(1999.06.05)



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MIRO / REAL LIFE GAMES (1977)   alla "Musica"
バックをIl volo(イル・ヴォーロ)のメンバーが担当していることもあってか、むかしからプログレッシヴ・ロック/イタリアン・ロックのファンのあいだでは存在がよく知られていて、評価も高いアルバムです。たしかにIl voloを思わせるような演奏がところどころに聞こえたりはします。M5「Safari of Love」などはいかにもイタリアン・ポップスを感じさせるストリングスの音色とアレンジがほんのりサイケ風味のロックに乗っていて、ちょっとひきつけられます。でもM3「Hoo Hoo The Lights」なんかはわりと普通のロックだし、M7「Take My Life」とかは1960年代から70年代初頭のブリティッシュ・ポップスに近い雰囲気で、じつは全体にあんまり「プログレッシヴ・ロック!」という印象はないような気がします。イタリアということをあまり考えず、またプログレッシヴ・ロックということにあまりこだわらず、1970年代初頭の“新しい音楽”だと思って聴けば、それなりに楽しめると思います。 (M2U RECORDS: M2U-1019 / 韓国盤CD) (2004.12.25)



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MODENA CITY RAMBLERS / CAMPO FIORI (1999)
 英語でイタリアン・ポップスのアルバム・レヴューなどが読めるサイト「Italian Sinfonia」のウェブマスターで、アメリカ在住のイタリア人、Angelo Mazza(アンジェロ・マッツァ)さんが以前にくれたメールに、「Modena City Ramblers(モデナ・シティ・ランブラーズ。MCR)はすごくいいグループだよ。自分は大好きだ」と書いてあったので、試しに購入してみました。
 MCRの音楽は、ジャンルとしてはCombat Folk(コンバット・フォーク)というのだそうです。Angeloがいうには、ヨーロッパのトラッド・ミュージックをベースに、歌詞を現代的で社会性のあるものにした音楽をコンバット・フォークと呼ぶそうです。つまり、歌詞の意味に比較的、重点が置かれているようです。
 残念ながら自分はイタリア語がわからないので、歌詞のよさやおもしろさについては感じとれません。しかし、音楽だけを聴いていても、充分に楽しめるアルバムでした。
 この作品では、ヨーロッパの北部、ケルトやアイルランドなどのトラッドをベースにしながらも、古き良き時代のアメリカのフォークソングを思わせるような、人々の生活に活力と安らぎを与えてきたであろう音楽が聴かれます。演奏はほとんどアコースティック楽器によるもので、アコーディオンやヴァイオリン(というよりは、フィドルといった感じでしょうか)の音色が、心の奥深くに眠っている魂を呼び起こすかのようです。
 ここで聴かれる音は、完全にトラッド的なものというわけではありません。ところどころにロックやニューウェーヴ的な感触もあり、意外と音の肌触りは重いといえます。
 サンレモ系のイタリアン・ポップスとは方向性の違う音楽ですが、トラッドや民族音楽をベースにしたポップスなどが好きな人、古いアメリカのフォーク・ミュージックなどが好きな人にはアピールするのではないでしょうか。
 ちなみに自分は、このアルバムを聴いていて、なんとなくイギリスのLindisfarne(リンディスファーン)というグループを思い出しました。ただ、MCRの音楽は、Lindisfarneよりも生活感があり、より民衆に近い音楽のように感じます。(2000.04.15)



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IL MUCCHIO / same (1970)
 イル・ムッキォ(Il Mucchio)はいわゆるプログレ・バンドなんですが、なんといってもヴォーカルがいいです。1970年の盤なので、演奏はオルガン系のキーボードをメインにした、どちらかというとあまり自分には興味のないはずのタイプなんですが、ともかく唄心があって、心打たれます。
 唄心のあるヴォーカルを配したプログレ・バンドには、唄だけでアピールするポップスとはまた違ったよさがあります。こういうアルバムを聴くと、やっぱりプログレもいいなぁと改めて思います。(1998.11.03)



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MUKKA MAKKA / same (1998)
 クラブ系? ハウス系? アシッド・ジャズ? こういった音楽をなんと呼ぶのか、よくわからないのですが、要するにそういうジャンルの音楽です。空間を演出するエレクトリックなキーボードに、重く引きずるようなベース、ジャズ風のメロディが基本スタイルといったところでしょう。
 Mukka Makka(ムッカ・マッカ)は男性2人、女性1人のトリオのようです。ヴォーカルは女性が取っており、歌詞は全編、英語で歌われています。
 ウィスパー風のヴォーカル・スタイルは、どちらかといえば自分は苦手なのですが、このグループの女性ヴォーカルは、ウィスパーとはいってもフランスなどに聴かれるアンニュイ系やロリータ系とは違い、奥底に強さがあります。ときにAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)を思い出させることもあります。クリアなヴォイスに秘められたイタリア人のアイデンティティがそう感じさせるのでしょうか。
 ところどころにSEを入れたりと、工夫のあとも見られますし、全体を包む空気も非常にアーティスティックです。でも、やはり自分の苦手なジャンルだからか、アルバムの途中で飽きてしまいました。ヴォーカリストは力量があると思いますが、ウィスパー・ベースの歌い方と曲調が、自分には向いてません。グループのくくりとしてはVibrazioni Productions(ヴィブラツィオーニ・プロダクションズ)などと同じになるのでしょうが、どちらかとういとVibrazioni Productionsのほうが自分は楽しめます。(2000.04.15)



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MUSICALIA / MAGICORO (1994)
 アルバムのリリースは1994年ですが、収録されている曲は1980年代半ばから90年代にかけて録音されているようです。アコースティック民族音楽ポップス・グループといった感じの彼らは、タイプとしてはNUOVA COMPAGNIA DI CANTO POPOLARE(ヌオヴァ・コムパーニァ・ディ・カント・ポポラーレ。NCCP)などと同様といえるかもしれませんが、NCCPのようなパッションはなく、どちらかといえばクラシカルな色合いが強いといえます。そういう意味では、イギリスのGryphon(グリフォン)などに感じが似ているかもしれません。
 各種弦楽器や管楽器を多用し、美しい女性ヴォーカルが入るところなどは、プログレ・ファンにアピールするのではないでしょうか。あるいはオランダのFlairck(フレアーク)が好きな人なども、何か感じるところがあるかも。
 イタリアのOpus Avantra(オパス・アヴァントラ)やベルギーのJulverne(ジュルヴェルヌ)などといったチェンバー系グループが、ヨーロッパの伝承音楽を親しみやすくアレンジして演奏すると、こんな感じになるのかもしれません。インストゥルメンタルも多いので、イタリアン・ポップスが好きな人よりはコアなワールド・ミュージックが好きな人向けかな。(1994.08.15)



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