MiniRevueTitle


N


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Nek / Nello Daniele / Niccolo' Fabi / Nicola Randone / Nino Buonocore / Nino D'Angelo

*** canta(u)trice ***
Nada

*** gruppo ***
New Trolls / i Nomadi / Nuova Compagnia di Canto Popolare / La Nuova Era / i Nuovi Angeli





NEK / LEI, GLI AMICI E TUTTO IL RESTO (1997)   alla "Musica"
 ちまたではスティング(Sting)に似ているという声もあるネック(Nek)の歌ですが、自分はときどきU2を思い出してしまいます。どっちにしろ、いわゆるイタリアらしさは希薄な感じです。曲自体は悪くないし、歌もうまいし、いわゆるポップス・シンガーのひとりとして聴くぶんには、クオリティも高いと思います。ただ、イタリアらしいポップスという範疇で語るにはワールドワイド志向が高い曲想といえます。
 イタリアの特徴のひとつともいえる過剰な哀愁やしつこさはありませんが、まぎれもなくヨーロッパの香りのするポップ・ロックなので、もちろんイタリア大好きという人にも、アピールするはずです。(1999.02.28)

NEK / IN DUE (1998)
 イタリアン・ポップスというには、あまりイタリア的な印象を感じさせないNEK(ネック)ですが、いわゆる洋楽ポップスのひとつとして聴けば、クオリティも低くなく、なかなかいいアーティストだと思います。
 歌詞はイタリア語ですが、アメリカのフォーク・ロックなどに感じられるような乾いた空気と暖かさがあるし、メロディもきれいで聴きやすいです。前作『Lei, gli Amici e Tutto il Resto』よりもロック色が後退し、少しメロウになった気がします。
 英米的な印象が強いですが、ところどころにイタリア的なメロディの流れ、広がりがあり、やはりイタリア人なんだと感じます。ちなみに、デヴュー当時はもっとイタリア的だったらしいのですが、自分は聴いたことがありません。
 「これがイタリアン・ポップスだ!」というようには紹介しづらいですが、ちょっとイタリア的な空気にも触れてみたいというような、イタリア初心者の洋楽ポップス・ファンには、なじみやすい音楽といえるでしょう。(1999.10.11)



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NELLO DANIELE / SI POTREBBE AMARE (1998)
 ナポリの大物、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)の弟らしいです。1980年代以降のPinoはアメリカのジャズっぽい空気がけっこう強い感じがして、自分はあまり興味がないのですが、Nelloはもっとナポリ的というか、南イタリア的な感じがします。声もPinoほどこもっておらず、それでいてPinoが持っているような柔らかくてロマンティックな雰囲気をたたえています。
 明るく乾いた陽射しと空気のなかにロマンティシズムをたたえた曲想は、Gigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)とはまた違ったナポリっぽさを感じさせてくれます。ジャズっぽさはほとんどありませんが、それでもやはり、Pinoの血族なんだなと感じさせるところはあります。自分は80年代以降のPinoの作風よりは、Nelloのこのアルバムにおける作風のほうが馴染みやすいな。(1999.08.15)

NELLO DANIELE / DIMMI CHE E' VERO (2000)
 Nello Daniele(ネッロ・ダニエーレ)はたしか、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)の弟でしたよね? 偉大な兄を持ちながらも、あまり話題にのぼることもなくアルバム『Si potrebbe amare』で1998年にデヴューしたNelloの、セカンド・アルバムです。
 ちょっとこもった感じの丸い声は兄譲り。やわらかく暖かな声とメロディは、南イタリアの素朴な美しさがあふれています。明るく乾いた感じはアメリカぽくもありますが、Pinoほどのジャズ風味、割り切ったクリアさがないので、Nelloのほうがナポリ・ポップ的な印象が強いです。デヴュー・アルバムにくらべると、いくぶん洗練され、ワールドワイド的というか、汎イタリア的なポップスに近づいていますが、ナポリ・ミュージックとしてのアイデンティティは残っています。
 非常に聴きやすいナポリ・ポップですが、反面、これといって突出した部分を感じないのも事実。なんとなくPinoの音楽性を薄めたような印象を受けてしまいます。Nelloならではの個性、音楽性の確立に精進してもらいたいところです。
 クセがなく、適度にメロウでおしゃれなので、ドライヴ・デートのときのBGMなどにもよさそうです。ただし、Nello本人はけっしておしゃれなルックスではありません。どちらかというと無骨。きっと、ルックスで損しているところもあるんだろうな。(2001.01.21)



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NEW TROLLS / same (1970)   alla "Musica"
 全編を通して歪んだトーンのオルガンとファズ・ギターの重い音が聴け、その後ろでドラムがドタバタと暴れる様は、Formula 3(フォルムラ・トレ)の初期や、Matia Bazar(マティア・バザール)の前身グループとして知られるJ.E.T.(ジェット)のアルバムを思い出させますが、わかりやすく盛り上がる展開、伸びやかなヴォーカル、そして人懐こい美しさを持ったメロディは、イタリアン・ポップスの魅力にあふれています。(2000.06.17)

NEW TROLLS / SEARCHING FOR A LAND (1972)   alla "Musica"
オーケストラ入りの『Concerto grosso per I』や派手な『UT』などにくらべるとインパクトは弱いのですが、これらの「いかにもイタリアな感性と情熱」とはちょっと違った、どちらかというとイギリスのプログレッシヴ・ロックに近い匂いを感じます。もちろんイタリアの香りもあるのだけど、それだけでなく、イギリス風の、おだやかで、余裕があって、少しユーモラスな部分やイタズラっぽい感じもあったりして、どことなくCaravan(キャラヴァン)などのカンタベリー系音楽を思い出したり。あるいは、のちのIbis(イビス)へと通じる匂いを感じたり。 (NUOVA FONIT CETRA / WARNER FONIT: 3984 27166-2 ドイツ盤CD) (2007.09.09)

New Trolls / Aldebaran (1978)
 とっても元気で明るいポップス。でもそこはニュー・トロルス(New Trolls)のこと、ただのポップスにはなってない。やっぱり彼らってプロです。
 ディスコビートを取り入れつつも、彼らの持ち味である人懐っこくてビューティフルなメロディがたくさん。なかでも「Quella Carezza Della Sera」の素朴な美しさ、「Aldebaran」のほのぼのした感じ、それに途中で Queen になってしまう(^^;)「Dancing」(歌詞が英語なのがちょっと残念)あたりが聴きどころかな。(1998.08.29)

New Trolls / same (1979)
 前作『Aldebaran』に比べると、多少湿り気を含んだポップスが展開されます。元プログレ者にはこちらのほうがなじみやすいかも。でも、基本はあくまでもポップス。
 ニュー・トロルス(New Trolls)らしい心地よいメロディとハーモニーが満載ですが、このアルバムでもときどき Queen になってしまうのはなぜ(^^;)? ルチオ・ダッラ(Lucio Dalla)が作詞で参加した「Domenica Di Napoli」は、ほのぼのとした優しさが感じられるなかなかの名曲。他の曲も、どこか暖かみを感じさせてくれる曲揃い。名盤だと思います。(1998.08.29)

NEW TROLLS / LIVE N.T. (1979)   alla "Musica"
当初は音質的な問題でお蔵入りになったといわれていたライヴ・アルバム。たしかにいま聴くと、テープのヒスノイズが目立ったり、楽器間の録音バランスが悪かったり、ドラムが木だるを叩いたような音で録音されていたりと、けっしていい録音ではないといえるけれど、だからといってインチキなブート盤よりは圧倒的にきれいな録音。それに、音はもうひとつだけど、当時のNew Trolls(ニュー・トロルス)の勢いやパッションといったものはしっかり伝わります。 (CRIME/KING RECORD: KICP 2719 / 日本盤CD) (2004.01.13)

NEW TROLLS / FS (1981)   alla "Musica"
朝の出勤時に聴いていたのですが、早朝の冷たい空気のなか流れるM1「Il treno」の汽車のSEがとてもマッチしていました。サビ後にギターが奏でるテーマ・メロディ(?)もしみます。長いキャリアのなかで、プログレッシヴ・ロック、ポップス、ディスコ・ミュージックと、いろいろな音楽を奏でてきたNew Trolls(ニュー・トロルス)ですが、このアルバムには、そういったキャリアがある意味、集大成されているといえるのかもしれません。でも、やはり彼らのいい部分はポップスにあるわけで、そこにプログレッシヴ風のドラマティックな味付けが加わったときが最良と思います。 (FONIT CETRA/MELLOW RECORDS: MMP 249 / イタリア盤CD) (2004.01.04)

NEW TROLLS / AMICI (1988)   alla "Musica"
冒頭からデジタリック&エレクトリックな音が聞こえてきて、ちょっと戸惑ってしまいました。派手なキーボードとドラムマシン。細くてキンキンした感じのエレキ・ギター。ずっとこんな感じの音が続くとつらいなぁ。ただ救いは、ベースがフレットレスなので、そこから独特の暖かみが生まれることでしょう。このベースの音とフレーズが、ずいぶんと曲の印象を優しくしてくれています。また、このアルバムではコーラスがほとんど目立ちません。New Trolls(ニュー・トロルス)といえば、厚みのあるコーラスやヴォーカライゼーションが大きな魅力なのですが、それがあまり目立たないところに、このアルバムの弱さがあると思います。 (SEVEN SEAS / KING RECORD: K32Y 2174 / 日本盤CD) (2004.01.04)

NEW TROLLS / QUELLI COME NOI (1992)   alla "Musica"
 セルフカヴァー・アルバム。「Visioni」「Signore, Io sono Irish」といった初期の曲から「Aldebaran」「Faccia di cane」といった中期以降の曲まで、幅広い年代から選曲されています。また、タイトル曲の「Quelli come noi」は、このアルバムのための新曲のようです。
 どの曲も、イタリアらしいメロディと、New Trolls(ニュー・トロルス)ならではのコーラス・ワークが聴けます。なかでも「Quelli come noi」「Quella carezza della sera」「Aledebaran」「Una miniera」などに代表される、おおらかでゆったりとしたメロディ、満天の星空を眺めているかのような安らぎや透き通った早朝の空気と明るい太陽が放つすがすがしさといったものが存分に感じられる曲に、New Trollsならではの魅力を感じます。(2000.11.12)

NEW TROLLS / IL SALE DEI NEW TROLLS (1986)   alla "Musica"
 ちょっとオリエンタル風味を持った1曲目から、New Trolls(ニュー・トロルス)らしいなだらかなメロディが聴ける好盤。明るい陽射しの下で聴くのにふさわしい、おだやかでゆったりとした曲が多く収録されています。Umberto Bindi(ウンベルト・ビンディ)とともにサンレモ音楽祭に参加した曲「Letti」も収録されています。(2000.06.17)

NEW TROLLS / same (1987)
 Fonit Cetraレーベルのベスト盤CDシリーズ(?)の1枚。初期のころの曲を中心に集めてあり、いわゆるプログレな曲はありません。
 初期のころの彼らはサイケ/アートロック色が強く、ビートルズふうのポップセンスもときどきうかがわせますが、唄われているメロディは驚くほどイタリアンです。ある意味、カンツォーネ的ですらあります。そのためアートロックふうの古い曲も英米のコピーそのままにならず、イタリアのアイデンティティを強く感じさせます。
 メロディやコーラスの美しさは彼らの持ち味で、それを彩るアレンジは時代ごとに違いがあっても、こうしてベスト盤として集められると、基本的な部分はほとんど変わっていないんだなと感じさせます。(1999.07.03)



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NICCOLO' FABI / IL GIARDINIERE (1997)
Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)のアルバムなどでもよく知られる名プロデューサー、Claudio Fabi(クラウディオ・ファビ)の息子らしいです。Virginレーベルからのアルバムらしく、スタイリッシュでほんのりエレクトリック・ロック風味なポップスが聴けます。
何年か前にはじめてこのアルバムを聴いたときは、自分の好みとはほとんど重ならない、個人的には聴きどころの少ない作品だなぁと思ったのですが、その後イタリアではエレクトリック/デジタルなポップ・ロックが一気に増え、それらの作品のいくつかに自分の耳が慣れ触こともあってか、いま聴くと、これはこれでいいかなという気がしてきました。
それでもM4「Parlami sempre」のような、いかにもシンセぴこぴこみたいなアレンジは苦手ですが。ヴォーカルの一部に、古いラジオから流れてきた歌のような加工が施されていて、Buggles(バグルス)「ラジオスターの悲劇」を一瞬思い出しましたが、メロディ自体の持ってるクオリティの高さが全然違いますね。Niccolo'には、あまりメロディセンスはないような気がします。
ただ、アコースティック・ギターの弾き語りで歌われるM5「Senza ribbia」などは、優しさと暖かさが感じられて、なかなかいい感じです。こういったフォーク・ソング風のものもできるんだ。
全体的には、あまり「熱い血潮」や「生活感」といったものの感じられない、現代の若者らしい乾いた感性のうえに立った美しさが表現されているアルバムかなと思います。個人的には、一生懸命聴こうという気にはあまりならないけど、自宅以外の生活の場でBGMとして聴く分には邪魔にならないかなという感じです。 (VIRGIN ITALY: 8 42598 2 / イタリア盤CD) (2004.03.13)

NICCOLO' FABI / SERENO AD OVEST (2000)   alla "Musica"
デビュー作の『Il giardiniere』は中途半端にエレ・ポップ風味の強いアレンジで、歌メロにもあまり魅力を感じられなかったように記憶しています。このサード・アルバムでは、微妙なエレ・ポップ風味というかチープなシンセサイザーのアレンジは多少残ってはいるのですが、全体にオーソドックスなポップスになっています。弱々しげなやさしい歌声が生きるような、ミディアムからミディアム・スローのやわらかい曲が中心になっています。日常のさりげないBGM等によいように思います。 (VIRGIN MUSIC ITALY / EMI: 7243 8 49091 2 3 / EU盤CD) (2007.07.29)

NICCOLO' FABI / LA CURA DEL TEMPO (2003)
1968年5月16日、ローマ生まれ。著名なプロデューサー、Claudio Fabi(クラウディオ・ファビ)を父に持つNiccolo' Fabi(ニッコロ・ファビ)『Il giardiniere』でアルバム・デビューしたのは1997年なので、29歳のときですか。このデビュー・アルバムは自分も持っていて、中途半端にテクノ・ポップ・テイストな、あまり好みに合わないタイプの曲が多く、その後はずっとスルーしていたのだけど、いつのまに、こんなに素敵な曲を歌うカンタウトーレになったのだろう。
ロマンチックで、センチメンタルで、ちょっと都会の孤独や寂しさがあって、だけどどれもがさりげない。おだやかで、どこか夢見るような歌声。淡々としたヴォーカル・ラインをほどよく彩り、包み込む、サキソフォンやオーケストラ。無理に盛り上がることもなく、ことさらに哀愁を振り撒くこともなく、素直に、ときに非常にアーティスティックに、つむぎだされていく音楽たち。
初期の頃に見られた中途半端なエレ・ポップ風味はここには感じられません。派手さはないけど、おだやかで落ち着いた気分になれる、素敵なアルバムでした。CCCDなのが残念。(VIRGIN/EMI MUSIC ITALY: 5 80789 2 / イタリア盤CD) (2007.03.17)




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NICOLA RANDONE / MORTE DI UN AMORE (2002)   alla "Musica"
 新人カンタウトーレのようです。全体に「派手になったTito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)風」な印象を受けました。「愛の終焉」などというロマンティックなタイトルがついていますが、プログレッシヴと呼ぶのにふさわしいカンタウトーレ作品だと思います。グループではなく、ソロ・アーティストの作品でここまでプログレッシヴな味付けがされている作品って、最近ではめずらしいのではないでしょうか。(2003.04.20)

* Randone




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NINO BUONOCORE / SABATO, DOMENICA E LUNEDI (1990)
 ジャズ・ヴォーカル風味の強い、おしゃれでハートウォーミングな曲想が、Nino Buonocore(ニーノ・ブォノコーレ)の持ち味のようです。
 イタリアの叙情、哀愁に流されすぎることなく、それでいてイタリア的な美しさ、なめらかさを失わずにいるバランス感覚は、非常に優れていると思います。自分はこの作品以外に、1998年の『Alti e Bassi』というアルバムも聴いたことがありますが、それよりもこの作品のほうがより柔らかく、暖かい感じかもしれません。
 ただ、個人的にはどちらのアルバムも、1980年代以降のPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)を聴いているような居心地の悪さを感じてしまいます。しゃれたジャズ風味というのが、自分の嗜好のなかにはないからでしょう。
 その点で、イタリアにどっぷりなファンよりは、アメリカのポピュラー・ミュージックなども聴くファンのほうが、より馴染みやすいタイプの音楽ではないかと思います。どことなく、アダルト・コンテンポラリーぽい感じもしますし。
 Pino Danieleとともに、日本にもファンが多くいるのだけど、どうしても自分には馴染めないカンタウトーレのひとりです。(2000.03.12)



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NINO D'ANGELO / COSE DI CUORE (1987)
 南イタリア的な哀愁と、少しこもった暖かい声が魅力のNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)ですが、意外と軽やかで明るく、ポップな曲も多いようです。最近のアルバムでは南イタリアぽさが強く感じられますが、このアルバムでは、曲のはしばしにそういったイメージはあるものの、全体的な印象はずいぶんとポップです。
 オーソドックスではありますが、ところどころに覗くドラマティックさが、自分をNinoに魅きつけます。キーボードのアレンジも、ときどき軽薄になってしまうところもありますが、おおかたは曲想をふくらませるのに貢献しているといえるでしょう。
 やはり彼の声とメロディは、ロマンティックで自分は好きです。リズミックな曲も悪くはないですが、彼の持ち味が発揮されるのは、やはりロマンティックなバラードでしょう。(1999.09.12)

Nino D'Angelo / IL CAMMINO DELL'AMORE (1988)   alla "Musica"
 ちょっとこもった感じのヴォーカルが暖かいニーノ・ダンジェロ(Nino D'Angelo)。バックの演奏が妙にデジタリックなところがなんですが、優しい感じがあふれています。(1998.05.31)

NINO D'ANGELO / MUSICAMMORE (1994)
 素朴で少しセンチメンタルなNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)。このアルバムにも彼らしさがあふれています。懐の広い優しさをたたえた、ちょっとこもりぎみの暖かい声、チャートとは無縁だろうけどメロディアスで素直なヴォーカルラインは、非常に南イタリア的といえるのではないでしょうか。
 彼のアルバムには出身地ナポリを強く感じさせるオリジン・ミュージック色、地域音楽色が強い曲も多いようですが、このアルバムはそれらがあまり強くないので、いわゆるポップス・ファンにも聴きやすいのではないかと思います。とても「イタリアらしい」カンタウトーレなので、もっと日本で愛されてもいいんじゃないかな。(1999.06.05)

NINO D'ANGELO / A NU PASSO D''A CITTA' (1997)
 ちょっとこもった感じの柔らかい声を持ったナポリ出身のニーノ・ダンジェロ(Nino D'Angelo)。彼の声って、同じナポリ出身のピーノ・ダニエーレ(Pino Daniele)と、ちょっと感じが似ていると思います。
 アコーディオンの音色が印象的な、南イタリアの明るく暖かな陽射しを感じさせる曲から始まるこのアルバムは、全編に、非常に人間味にあふれた優しさと哀愁を漂わせています。土地に古くから伝わる伝承音楽的な要素も取り入れてあり、ありきたりなポップスにはなっていません。そういうあたりが非常に自分好みです。(1999.02.28)

Nino D'Angelo / i Grandi Successi (1997)
 ちょっとピーノ・ダニエーレ(Pino Daniele)にも似た、少しこもったような優しい歌声と、オーソドックスだけど美しいメロディが魅力です。(1998.04.29)

NINO D'ANGELO / STELLA 'E MATINA (1999)   alla "Musica"
 1999年のサンレモ音楽祭参加曲「Senza Giacca e Cravatta」を収録した2枚組アルバム。1枚は彼のオリジナル曲が集められていますが、もう1枚は古いカンツォーネ/ナポリターナをシンプルに唄ったものが収録されています。
 このアルバムではいくぶん民族音楽アレンジが派手すぎで、イタリア云々というよりワールド・ポップ的な印象も強いですが、独特の暖かみのあるこもった声と哀愁に満ちた旋律を持っているので、叙情派カンタウトーレが好きな人にはぜひ聴いてもらいたいシンガーです。(1999.07.03)

NINO D'ANGELO / COLLECTION (1999)   alla "Musica"
 Replayレーベルから1枚ものとして出ていた3種類の編集盤、『'Nu Jeans e 'Na Maglietta』『'A Storia Mia』『Luna Spiona』を集めた3枚組Boxセット。録音データの類が一切、書かれていないので、いつ頃の録音を集めたのか、まったくわからないのですが、多分アルバムのCD化がされていない1970年代から80年代前半ころのアルバムから収録されているのでしょう。
 このBoxセットは値段が安く、配置は適当ですがさまざまなタイプの曲が収録されているので、ある意味お手ごろではありますが、Ninoのよさを正しく感じたいのなら、オリジナルなかたちのアルバムを聴いたほうがいいです。(1999.08.15)



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NADA / NADA (1969)   alla "Musica"
まんま、60年代のポップスですね。ちょっとビートが利いてて、ときどきハードに唸ったりして、いかにもあの頃という感じがします。メロディに、もうひとつ魅力が薄い感じがしてしまいます。いろんな人が曲を提供してて、Claudio Mattone(クラウディオ・マットーネ)の曲などはやはりメロディにもひきつけるものがあってさすがだなと思ったりはするのですが、アルバム全体を見ると、やはり平凡なメロディ、平凡な60年代ビート・ポップが多いかなぁ。なんとなく好戦的な、少し乱暴な感じのする、投げつけるような歌い方は、あのころの女性シンガーにときどき見られるスタイルですね。 (RCA ITALIANA / BMG RICORDI: 74321860292 / イタリア盤CD) (2005.06.04)



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I NOMADI / UN GIORNO INSIEME (1973)
 i Nomadi(ノマディ)はいまも現役で活動を続けていますが、なかでもこの『Un giorno insieme』と、翌年にリリースされた『I nomadi interpretano Guccini』の2枚は、以前から名盤としてプログレッシヴ・ロックのファンのあいだでよく知られています。
 自分も現在のところ、この2枚しか聴いたことがないのですが、Francesco Guccini(フランチェスコ・グッチーニ)の曲のカバーで構成されている『I nomadi interpretano Guccini』よりも、この『Un giorno insieme』のほうが、ドラマティックな歌ものとしても、またNomadiというグループの持つポテンシャルを発揮しているという点でも、出来がよいのではないかと思います。
 豊かなオーケストレーション、たおやかでゆったりとしたメロディ、そしてなによりもAugusto Daolio(アウグスト・ダオリオ)による深みのある歌声が素晴らしく、イタリアのポップスを聴いていてよかったなと思わせます。
 オープニングを飾るアルバム・タイトル曲は、Aメロのコード進行がProcol Harum(プロコル・ハルム)の名曲「A Whiter Shade of Pale(青い影)」に似ています。ということは、バッハに似ているということですが、ここからも感じられるとおり、非常に素直で美しい、無理のない展開をする曲ばかりです。それが、最近の刺激的な構成・展開を持つロック/ポップスが好きな人には物足りないかもしれませんが、音楽をメロディ志向でとらえ、流れの美しさや印象深いフレーズを楽しむタイプのリスナーにはアピール度が大きいはずです。
 明るいなかにそこはかのない哀愁があり、かといってけっして湿っぽくならないバランスのよさと美意識は、1970年代のイタリアン・ポピュラー・ミュージックが持つクオリティの高さをはっきりと示しています。フォーク・ソング的な素朴さと暖かみのあるオーケストレーションが心地よい、とてもいいアルバムです。(2000.12.17)

i Nomadi / Interpretano Guccini (1974)
 はじめてノマーディ(i Nomadi)を聴きました。1974年の、名盤という評判の『Interpretano Guccini』
 もともとがポップス・グループとのことだったので、ジャルディーノ・デイ・センプリーチ(il Giardino dei Semplici)ディク・ディク(i Dik Dik)などのようなものを想像していたのですが、もっとロック寄りな感じでした。(1998.03.01)

NOMADI / LA SETTIMA ONDA (1994)
 1960年代なかごろのデヴューから21世紀を迎えても元気に活動を続けているNomadi(ノマディ)。途中でメンバーはずいぶんと変わっているようですが、コンスタントにアルバムをリリースし続けているので、そのディスコグラフィはかなりの枚数になると思いますが、自分はこのアルバムを含めて4枚ほどしか持っていません。
 綱渡りをする人の描かれたジャケット・イラストからRiccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)『Anima』Supertramp(スーパートランプ)『Famous Last Words』を思い出しましたが、収録されている音楽に共通性や類似性はもちろんありません。さらにいうと、このアルバム、自分が持っている他のNomadiのアルバムとも、あまり共通性を見つけられません。自分が持っているNomadiのアルバムは主にプログレッシヴ・ロックのフィールドで評判がよいものに偏っているからかもしれませんが、このアルバムのほうが本来のNomadiの姿に近いのでしょうか?
 軽やかなミディアム・テンポの曲が多く、ほんのりと哀愁が香ります。フィドルやバンジョーなども導入され、印象としてはアメリカのカントリー・ロックやキャバレー音楽に近いところが多くあるように思います。とくに後半に行くにしたがって、そういった印象が強まります。ちなみに前半では、キーボードの白玉バッキングとアコースティック・ギターのストロークといった、ちょっと厳しい感じのフォーク・ロックが多く聴けます。
 自分が持っている彼らの他のアルバムとくらべると、曲づくりもアレンジも平凡で、あまり一生懸命さやうまさ、魂といったものが伝わってきません。Nomadiってもっと、よい曲を書いて、よいアレンジをして、よい歌を聞かせることができるグループのはずなのですが、このアルバムではそういったよさが感じられず、平均点もしくはそれより少し下の作品といった印象を受けました。(2003.03.02)

NOMADI / LIBERI DI VOLARE (2000)
 およそ30年間に渡って現役活動を続けているグループとなれば当然、メンバーもみな高齢になっているはずなのですが、Nomadi(ノマディ)のメンバーは、歌詞カードの写真を見ると意外と若い。明らかに初期からのメンバーであろうと思われる年齢の人もいますが、半分はまだ若い人たち。こういった長く続けているグループでは、メンバー・チェンジは珍しくありませんが、どちらかというと年寄りバンドの部類に入るであろう30年選手のグループのメンバー半分が、たぶんティーンエイジャーのころにそのグループの音楽を聴いていた世代であろうというところに、Nomadiというグループの演奏する音楽の普遍性を感じます。
 1970年代から演奏を続けているヴェテランらしい、豊かで美しい歌メロは、アレンジのしかたによっては古臭く甘いだけのものになってしまいがちなのですが、若いメンバーを多く抱えているためか、非常にすっきりと、そして充分に豊潤かつドラマティックです。若いメンバーと年齢を重ねたメンバー感の世代の融合が、うまくいったのでしょう。
 演奏的にはロック・スタイルな部分も多くありますが、もちろんハードなことはなく、ベースにはポップ・ミュージックとしてのイタリアン・メロディが横たわっています。若々しくも懐かしい、良いアルバムです。(2001.01.21)



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NUOVA COMPAGNIA DI CANTO POPOLARE(NCCP) / INCANTO ACUSTICO (1996)
 1970年代初頭から活動を続けているグループですが、自分はアルバムを聴くのがはじめてです。アコースティック楽器をバックに、南欧の伝統音楽的な楽曲を聴かせてくれます。このアルバムはライヴ盤なのですが、収録されている曲のいくつかはトラディショナルのようです。
 張りのある力強いヴォーカルは、イタリアというよりはスペイン的。リズムの激しさを抑えたフラメンコといった趣もあります。女性ヴォーカルも入り一層、民族音楽的な彩りを添えます。そのうえ、どことなく中近東的、地中海的な香りもし、そういった点ではAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)を思い起こさせられたりもしますが、彼ほどファンタジックではなく、もっと生活に密着した力強さを感じます。
 ポップスというよりはコアなワールド・ミュージック、フォルクローレといった味わいなので、軽やかでおしゃれな音楽が好きな人にはすすめませんが、ポルトガルやスペインなどの音楽が好きな人などにはアピールできると思います。(1999.08.15)



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LA NUOVA ERA / LA NUOVA ERA (1984)   alla "Musica"
ファンタジックです。ドリーミィです。やわらかくて美しいアコースティック・ギターとフルート、キーボードの音色に満ちています。オリジナルのLPはプライヴェート・プレスで、一時は5桁のプレミア価格がついていたらしいですが、自分の好みからすれば、定価以上出してまで買いたいとは思いません。リズム・セクションがおらず、ギター&フルート(ときどきパーカッション)1人×鍵盤奏者2人という3人構成で、もわもわとした幻想音楽をやっています。 (MELLOW RECORDS: MMP 245 / イタリア盤CD) (2006.02.25)



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I NUOVI ANGELI / LE PIU' BELLE CANZONI DE (1998)
 1970年代に活動していたポップス・グループ。明るくポップで軽い曲が多く、イタリアの哀愁といったものはほとんど感じません。70年代前半の英米のポップス・グループがイタリア語で歌っている、といった感じでしょうか。
 このCDはベスト盤ですが、ベスト盤だからこういう選曲なのであって、オリジナルのアルバムはもっとイタリアっぽいのでしょうか? そうでもないんだろうな。
 メロディはきれいで、the Beatles(ビートルズ)Pilot(パイロット)Elton John(エルトン・ジョン)などにも通じるようなポップ・センスの片鱗がうかがえます。(1999.09.12)



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