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さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Omar Pedrini

*** canta(u)trice ***
Ornella Vanoni

*** gruppo ***
Odissea / Opus Avantra / le Orme / ORO / Osanna / Ottavo Padiglione / 883(otto otto tre)





OMAR PEDRINI / PANE, BURRO E MEDICINE (2006)   alla "Musica"
1987年からロック・グループTimoria(ティモリア)のリーダー/ギタリストとして活動。1996年からはグループ活動とは別にソロ活動も始め、これはソロとしての3枚目のアルバムになるようです。曲調は基本的にイギリスの少し古いギター・ロックといった印象。ヴォーカリストというよりはギタリストだからでしょうか、ヴォーカルもそれほど個性や力強さがあるわけでなく、メロディも比較的単調で構成もとくに盛り上がらず、なんだか普通です。ところどころで叙情的な雰囲気もあるのですが、それはほとんどアクセントというか、ほんの彩といった感じで、曲の全体に漂ったりすることはほとんどありません。 (CAROSELLO RECORDS / WARNER MUSIC ITALIA: CARSH161 / EU盤CD) (2007.12.16)



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ODISSEA / ODISSEA (1973)
 16歳くらいからプログレッシヴ・ロックをスタートにそれなりの数のイタリアン・ポップ・ミュージックを聴いてきましたが、けっきょく自分にとってもっとも心地よいのは、プログレッシヴな要素を多く持ったカンタウトーレ作品と、歌もの的な要素(歌心)を多く持ったプログレッシヴ・ロックのようです。
 最近は、いわゆるポップス作品を中心に聴いていますが、どこか満たされないというか、ワクワクしないというか、心に食い込んでくる音楽があまりありません。かといって完全なプログレッシヴ・ロック作品は“唄”があまり響いてこないものが多く、やはり満たされません。
 その点、1970年代前半にリリースされたClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)New Trolls(ニュー・トロルス)のアルバムたち、そしてGruppo 2001(グルッポ・ドゥエミッラウーノ)のアルバムなどは、プログレッシヴ・ロックの持ついろんな意味でのワクワク感と“唄”の双方がバランスよく溶け合い、広がりや奥行きが感じられ、映像を浮かびあがらせ、多面的に心に響きます。
 1973年にリリースされたOdissea(オディッセア)のこのアルバムも、唄もの的な要素の強いプログレッシヴ・ロック・サイドの作品といえるでしょう。少しクセのあるひび割れ気味のヴォーカルには、むかしの多くのイタリアン・ヴォーカリストが持っていた独特の味わいがあります。どたばたした音でもっさりしたリズム感のドラムも“唄”を感じさせます。M2「Giocchi nuovi - Carte nuove」などはFormula 3(フォルムラ・トレ)を思わせたりもします。
 ガチガチのプログレッシヴ・ロックのようにスリリングにはならない少しゆるめのアレンジ、あまり高くないけれど充分な演奏力、おだやかな情熱を感じさせるヴォーカルなど、完成されきっていないところがとても魅力的です。(2002.05.19)



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OPUS AVANTRA / INTROSPEZIONE (1974)   alla "Musica"
 多くのファンのあいだでイタリアの宝石と呼ばれるOpus Avantra(オパス・アヴァントラ)のデヴューアルバム。前衛的でありながら伝統的、クラシックの持つ格調の高さを誇りながら大衆音楽の持つポピュラリズムもあるという、非常に完成度の高い音楽です。
 正統的なソプラノ・ヴォイスと室内楽アンサンブル、ポピュラー・ミュージックの持つハッキリとしたダイナミズムが均衡を保ち、そのうえに強くイタリア、ヨーロッパを感じさせる叙情が挿入される素晴らしさは、言葉にしようがないし、言葉にしてもしかたがないと思わせます。(1999.05.08)

OPUS AVANTRA / LORD CROMWELL PLAYS SUITE FOR SEVEN VICES (1975)   alla "Musica"
ファーストよりもちょっととっつきにくくなってはいるけど、Opus Avantra(オプス・アヴァントラ)ならではの真摯で芸術への深い愛情と造詣に満ちたポップ・ミュージックがここにあります。そして、イタリアらしい叙情。アーティスティックな魂と大衆音楽のミクスチュアが非常に高い次元で実現してます。耳に聴こえる「音」だけでなく、その「音」を生み出しているスピリッツも聴こる、そんな感じがします。 (SUONO RECORDS/MARQUEE: SRLP 1002 / イタリア盤LP) (2004.07.25)

OPUS AVANTRA / STRATA (1989)   alla "Musica"
 1975年にセカンド・アルバム『Lord Dromwell plays Suite for Seven Vices』をリリースしてから沈黙を守っていたグループが1980年代の終わりに突然リリースしたアルバム。Donella Del Monaco(ドネッラ・デル・モナコ)の情感に満ちたソプラノやOpus Avantra(オプス・アヴァントラ)らしい無調ふうの室内楽ロックが聴けます。セカンド・アルバムではいくぶんフリーな感じが強まっていたことを考えると、方向性としてはよりファースト・アルバムに近いのでしょう。(2002.05.19)



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LE ORME / IL FIUME (1996)   alla "Musica"
いかにもシンフォニック・プログレッシヴらしい力強い演奏を聴けます。クリアかつ厚みのあるキーボード・オーケストレーション。ぼこぼこした音だけどドタバタ感の減ったドラム。ポンプ・ロック以降のグループのような伸びやかなギター。そしてなにより、インストゥルメンタル・パートがふんだんに盛り込まれていて、しかもそれが安定した演奏力で、安心して聴いていられます。ヴォーカルは、あいかわらず独特の個性をふりまいています。すっきりとまとまったシンフォニック・プログレッシヴ・ロックが演奏されており、より新しい世代のグループのようです。途中では合唱まで入ってしまったりします。 (TRING: TRI 024 / イタリア盤CD) (2005.10.10)

LE ORME / ELEMENTI (2001)   alla "Musica"
 1970年代に活躍したイタリアン・プログレッシヴ・グループのなかでも、もっともイタリアらしい哀愁と歌心を持ったグループだったLe Orme(レ・オルメ)。21世紀最初の年である2001年にリリースされたこのアルバムは、むかしと変わらぬ、いや、むかし以上にプログレッシヴ・ロックらしいプログレッシヴ・アルバムになっています。キーボードの音やアレンジなどにGenesis(ジェネシス)風の印象があります。イタリアな哀愁たっぷりのヴォーカルも健在で、懐かしくも心踊るシンフォニック・プログレッシヴ・ロックです。(2001.10.20)



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ORNELLA VANONI / ADESSO (1999)
 1998年のコンサートを収めたライヴ盤。といっても全編がライヴなのではなく、アルバムの1曲目と14曲目(最後)にはスタジオ収録曲が入っています。
 そのうちの14曲目は、Enzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)とデュエットした1999年のサンレモ参加曲「Alberi」です。Enzoの『Oltre gli Alberi』というアルバムにも収録されているこの曲ですが、とくにアレンジ等の違いはなさそうです。
 また、アルバムのオープニングを飾るのは、坂本龍一大貫妙子による曲にイタリア語の歌詞をつけたものですが、ユーロピアンなアンニュイさがあって、次に続くライヴ本編となんの違和感もありません。
 ライヴのほうは、カンツォーネというよりはシャンソンや、おしゃれなジャズ・ヴォーカルを思わせる歌と演奏が中心になっていて、個人的にはあまり興味のないタイプの音楽です。歌はうまいのだと思いますが、自分の嗜好には合いません。いかにも“うまい女性シンガー”なヴォーカルだといえるでしょう。
 曲はMogol(モゴール) - Mario Lavezzi(マリオ・ラヴェッツィ)によるものや、Toquinho(トッキーニョ)などから提供されているので、たとえば声に重さと説得力のあるカンタウトーレが歌っていたら、もっとよかっただろうなと思います。どうも、女性ヴォーカルは聴いていると飽きてしまうんです。
 その点、アルバムの最後で聴けるEnzo Gragnanielloのヴォーカルは、個性、説得力、深みがあります。彼の歌は非常にクセが強いので、人によって好き嫌いはあるでしょうが、「やっぱりシンガーはこうでなくちゃ」と感じます。(2000.04.15)



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ORO / ONDE RADIO OVEST (1995)
 ORO(オロ。オンデ・ラディオ・オヴェスト)の1stアルバム。OROって、非常にバランスのいいグループだと思います。イタリアでしかありえないような強い哀愁とドラマティックな展開を持つ曲を得意としながらも、情感だけに流されすぎず、どこか爽やかです。そういう意味では、やはり現代のグループなのでしょう。イタリアのポップスが持っていたおいしいところを色濃く残していますが、古臭くならず、現代のポップスとして聴ける音楽になっています。
 非常にイタリアらしいメロディを持ったまま、演奏面ではヘヴィメタル時代を通過してきたのであろうと思わせる、ねばりと密度のあるハッキリとしたアレンジを聴かせてくれます。イタリアン・ポップス・ファンはもちろんですが、それだけでなく、メロディック・メタル・ファンなどにもアピールするところが多いのではないでしょうか。日本で彼らのアルバムを入手することはあまり簡単ではないようで、その点が残念なのですが、とてもいいグループなので多くの人に聴いてもらいたいです。
 このデヴューアルバムは、これまでにリリースされた3枚のアルバムのうちではいちばんポップ度が高いように思います。イタリアン初心者でも馴染みやすいのではないでしょうか。(1999.07.03)

O.R.O. / CON TUTTO IL CUORE (1996)
 ORO(オロ。Onde Radio Ovest)の2ndアルバム。このグループの音楽的イニシアチブはギターのMario Manzani(マリオ・マンツァーニ)が握っているのだと思います。彼は同じSugarレーベルのAlessandro Errico(アレッサンドロ・エッリコ)のアルバムにも関わっていたりするのですが、そういえば両者の音楽性には似た肌触りがあるかもしれません。
 イタリアらしい美しくドラマティックなメロディと曲展開に、ハードロック/ヘヴィメタル時代を通り抜けてきたのであろう艶のあるディストーション・ギターがかぶさり、ちからの入った演奏を聴かせてくれます。往年のイタリアン・ラヴ・ロックを現代のポップ・ロック・フィールドで表現したグループといえるのではないでしょうか。多少アメリカナイズされたところも見えますが、非常にイタリアらしい面を多く持った、密度の濃いイタリアン・ミュージックです。(1999.06.05)

ORO / 3 (1997)   alla "Musica"
 アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)のアルバムにも入ってる「Vivo Per Lei」収録。イタリアン・ミュージックの美しさとロック・スピリッツが無理なく共存してます。(1998.05.31)

ORO / RE TOUR (2000)   alla "Musica"
 1997年のアルバム『3』リリース以来3年ぶりのアルバムがなんの予告もなく突然リリースされました。といっても完全な新譜というわけではなく、過去の曲の新録と新曲2曲で構成された、いわゆるベスト盤もどきです。しかしメンバーは、ギター&ヴォーカルのValerio Zelli(ヴァレーリオ・ゼッリ)Mauro Mengali(マウロ・メンガーリ)のふたりだけになってしまいました。演奏はすべてヘルプのミュージシャンに託されています。その結果、残念なことに、演奏に厚みも深みもない、薄っぺらなポップ・アルバムができあがってしまいました。(2001.08.19)

ORO / LIBERI (2004)   alla "Musica"
今回は、元メンバーで中心人物だったMario Manzani(マリオ・マンツァーニ)が、全面的に制作に協力しています。1曲を除きすべての曲の曲づくりに関わり、リズム・セクション以外のほぼすべての楽器演奏をこなし、プロデュースもアレンジも担当する。もう、これってMario Manzaniのアルバムなんじゃないのってくらい、ありとあらゆるところにMarioが顔を出しています。しかし、これが正解でした。アレンジ、演奏、録音、どれもがプロの作品に戻りました。先行シングルとなった「Liberi」などには往年のOROの作風が感じられますし、一方で、ちょっとフォーク・タッチでやさしい肌触りの曲もあります。彼らの代表曲である「Vivo per lei」を思い出させるヴォーカリゼーションもあります。最近のイタリアン・ポップ・ミュージックのテイストを少しまといつつも、ベースとなるメロディはORO。「待っていた甲斐があった!」とまではいいませんが、「よく帰ってきたね♪」くらいのうれしさはあります。 (BLU RECORD / CAROSELLO RECORDS / WARNER MUSIC ITALIA: CARSH 115-2 / EU盤CD) (2004.12.25)



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OSANNA / L'UOMO (1971)
激しいエレキ・ギターとサキソフォン、怪しい雰囲気を醸し出すヴォーカル、ほのかな哀愁を感じさせるフルート……デヴュー・アルバムだけあって、いくぶん未整理というか、構成が粗い感じもしますが、Osanna(オザンナ)の魅力が充分に詰め込まれている作品だと思います。
Osannaの最高作といえば、やはり『Palepoli』なのでしょうが、圧倒的に高い密度と濃ゆさがアルバム全体を支配している『Palepoli』は、聴く側にそれを聴くための体力と精神力、集中力を要求します。その点、このデヴュー・アルバムは、『Palepoli』に通じる呪術的で神秘的でハードな要素を充分に持ちながらも、『Palepoli』ほどは濃ゆくなく、いくぶんラクな気持ちで聴けそうです。
『Palepoli』よりあとのOsannaは混沌とした重さが薄れていき、世界市場を意識したスタイリッシュな音になっていったりもするのですが、彼らの魅力はやはり、初期のころにあった重くドロドロした音でしょう。また、当時のイタリアン・プログレッシヴらしいパワフルで表情のあるヴォーカルも、ストレートに心に響きます。静と動、聖と邪、明と暗、それに強弱や緩急といった対比も、洗練されてはいませんが、その引っ掛かりが1970年代プログレッシヴの勢いを感じさせます。(2003.06.15)



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OTTAVO PADIGLIONE / FUORI POSTO (1995)   alla "Musica"
 ほぼ全曲でヴァイオリンの素朴な音が聴け、また要所要所でアコーディオンの柔らかい音が響きます。フォークソングとシャンソン、トラッド、大道音楽に、さらにニューウェーブ風味やほのかなプログレ風味までもがうかがえ、ある意味で節操がないのですが、それらがOttavo Padiglione(オッタヴォ・パディッリォーネ)のまとまりを持って表現されています。(2000.06.17)



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883 / GRAZIE MILLE (1999/2002)   alla "Musica"
 基本的に軽快なポップスです。デジタルなリズムをふんだんに使った、ゆっくりめのディスコ・ミュージックといった感じでしょうか。リズムとテンポは軽快ですが、それぞれの曲の持つメロディは意外とゆったりしたなめらかなもので、そのバランスがポップ・ミュージックとして楽しいです。曲中にさまざまなSEを入れるなどのギミックもあり、一方でフルートなどを使った叙情的な曲もありと、アルバムとしてのバランスも悪くありません。(2002.04.21)



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