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さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Raf / Red Canzian / Renato Pareti / Renato Zero / Renzo Zenobi / Riccardo Cocciante / Riccardo Del Turco / Riccardo Fogli / Riccardo Maffoni / Riccardo Sinigallia / Rino Gaetano / Roberto Angelini / Roberto Durkovic / Roberto Murolo / Roberto Soffici / Roberto Vecchioni / Roby Facchinetti / Rocco De Rosa / Ron / Rosario Di Bella / Rudy Marra

*** canta(u)trice ***
Rossana Casale

*** gruppo ***
Randone / Ridillo / Ritmo Tribale / i Romans / Rosaluna





RAF / CANNIBALI (1993)
 ちょっとかすれた声にそこはかとない哀愁が漂うカンタウトーレ。自分は彼のアルバムを聴くのはこれがはじめてですが、なかなかよいです。哀愁があるといってもベタベタしたところはなく、都会的でしゃれた感じがします。曲想的にはBilly Joel(ビリー・ジョエル)などに通じるところもあるのではないかと思います。
 プロデュース、アレンジ、キーボードを担当しているDado Parisini(ダド・パリジーニ)は、Sugarレーベル時代のPaolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)のアルバムでプロデュースをしていた人だと思いますが、その影響か、「Stai Con Me」などの曲はVallesiのアルバムに入っていてもおかしくないように感じます。(1999.07.03)

RAF / PASSEGGERI DISTRATTI (2006)   alla "Musica"
全体に落ち着いた雰囲気とおだやかな印象があり、ほどよいノスタルジーをちりばめつつロマンティックとセンチメンタルを身にまとったといった感じです。クセが強いとはいえないけれど、あっさりしているともいえない程度にほどよく個性のあるヴォーカルや、派手ではないけれど、地味というには厚みもあるし手もかかっている演奏・アレンジなど、いろいろな意味で「ほどよい加減」に仕上がっていて、聴きやすく楽しみやすい作品になっているといえるでしょう。自分の好みをいうならば、これでもっと歌メロの構成に抑揚があればなぁとは思いますけれど。 (SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT: 82876834092 / EU盤CD) (2008.02.17)



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RED CANZIAN / IO E RED (1986)   alla "Musica"
Pooh(プー)のベース・プレイヤー、Red Canzian(レッド・カンツィアン)のソロ・アルバムです。
Redといえば、Poohに入る前はCapsicum Red(カプシクム・レッド)というプログレッシヴ・ロック・グループのメンバーで、クラシックをアレンジしたシンフォニック・ロックなどを演奏してました。Poohに加入しての最初のアルバムが『Parsifal』というクラシカルでドラマティックなシンフォニック・ロック作品になったのは、Redの加入が大きく影響したのではないか……などといわれていた時期がありましたね。
実際に『Parsifal』Redの影響が強く出たのかどうかは知りませんが、このソロ・アルバムを聴くかぎり、Red自身にシンフォニック・プログレッシヴへの憧れや志向があるようには思えません。もちろん、Capsicum Red在籍時や『Parsifal』制作時とでは音楽シーンも違うし、Red本人の年齢も違いますから、当時がどうだったかはわかりませんけれど。
Poohの他のメンバーもソロ・アルバムをリリースしていますが、Poohの大半の曲を書いているRoby Facchinetti(ロビー・ファッキネッティ)のアルバムが「ひとりPooh」だったのに対し、Redのこのアルバムには、あまりPoohの匂いがしません。もっと軽快でリズミカルな印象です。もちろん曲によってはPoohを思わせるものもありますが、じつはRedってこんな感じの曲がやりたかったのかなぁ、Poohにいてフラストレーションがたまらないのかなぁと、ちょっと余計な心配をしてしまったり。
全体の曲調は、自分の好みとは少し違うな。自分はもっとロマンティックな感じのほうが好きです。でも、Redの弾くフレットレス・ベースのあたたかい響きとなめらかなフレージングは、いつもとても魅力的に感じます。 (CGD: 9031-77231-2 / ドイツ盤CD) (2004.12.25)

 Pooh(プー)のベーシスト、Red Canzian(レッド・カンツィアン)のソロアルバム。イタリア的というよりは、よりワールドワイドな、インターナショナルなポップ・ロックを指向したのか、シンセブラスなどもふんだんに導入されたリズミカルで明るいイメージの曲が大半です。しかし、メロディのはしばしにはイタリアらしいなめらかさ、明るさのなかのほのかな切なさなどがあり、ユーロピアン・ポップスとして充分なクオリティを持っています。(2001.08.19)



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RENATO PARETI / RENATO PARETI (1997)   alla "Musica"
 レナート・パレティ(Renato Pareti)は、ちょっとこじんまりした印象はあるものの、非常にメロディアスで美しいイタリアン・ミュージックを奏でるグループ、ホモ・サピエンス(Homo Sapiens)のメンバーとして知られていますが、一時期、ウンベルト・トッツィ(Umberto Tozzi)も参加していた、やはり美しいイタリアン・ミュージックを演奏するストラーナ・ソチエタ(Strana Societa')にも参加していたことがあるらしいです。なので、そういう系統の音を期待していたのですが、思ったよりドラマティックじゃありませんでした。
 渋くて落ち着きのある声で、昔の歌手のような唄い方なんです。ジョルジョ・ガベール(Giorgio Gaber)ジーノ・パオリ(Gino Paoli)などの、60年代のベスト盤に似た感じがして、残念ながら自分の興味の範囲とはちょっと違うものでした。(1999.02.11)



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RENATO ZERO / NO! MAMMA, NO! (1973)   alla "Musica"
アルバムの冒頭にはMCによるRenato Zero(レナート・ゼロ)の紹介があり、観客の拍手と歓声、そして歌が始まりますが、どうやらこれ、擬似ライヴのようです。曲のほとんどが最後で微妙にフェイド・アウトですし、曲の途中や合間で入る歓声がいかにもとってつけた感じ。微妙です。このアルバムで聴かれる曲は意外と素朴なフォーク・ロック風味のものが多いです。いかにも1970年代な印象のロックも多く、メロディの美しさはところどころに散見できるけれど、まだこれといって強い個性や異彩を放っているといった印象はありません。全体には、デビューしたてのころのDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)とかにちょっと通じるところがあるかなと感じました。 (RCA/BMG RICORDI: 74321 625142 / イタリア盤CD) (2006.07.22)

RENATO ZERO / TRAPEZIO (1976)   alla "Musica"
Renato Zero(レナート・ゼロ)のサード・アルバム。デビュー作『No! Mamma, No!』ではフォーク・タッチの曲が多く、セカンド『Invenzioni』はアングラ・ロック風な匂いが強かったと思うのですが、3枚目にしてこのあと(1980年代)のRenatoの特長ともなってくる「ロック・オペラ風な芝居がかった、だけど歌謡曲的な俗っぽさを忘れない、メロディアスなポップス」というスタイルが前面に出てきたように感じます。 (RCA/BMG RICORDI: 74321 625152 / イタリア盤CD) (2006.07.22)

RENATO ZERO / ZEROLANDIA (1978)   alla "Musica"
 独特の濁りがある低い声は個性的で心地よく響きます。ヴォーカルのうしろでやわらかく明るい光を感じさせる音色を奏でる弦楽器はマンドリンでしょうか。各種楽器のアンサンブルと美しいオーケストレーションは、曲に優しい広がりと深みを与えています。起伏のあるアルバムや曲の構成はドラマを感じさせ、演者であるRenatoは見事にそのドラマを演じきっています。ポップス/ロックというよりはロック・オペラ的な作風は、すでにこのころからできあがっていたことがわかります。(2001.03.18)

RENATO ZERO / ERO ZERO (1979)   alla "Musica"
  オープニング曲は珍しく、南欧のキラキラした太陽と海の反射、そして哀愁を感じさせます。いわば、Renato流ナポレターナといったところでしょうか。他の曲は、よりポップで歌謡曲的な印象もありますが、シャンソン的な哀愁を持った曲も多くあります。また、ときにユーモラス、ときにドラマティックに響く楽曲群は、やはりポップ・オペラ的、あるいはミュージカル的です。(2001.03.16)

RENATO ZERO / TREGUA (1980)
 1998年のアルバム『Amore Dopo Amore』が素晴らしかったため、にわかに興味が湧いてきたRenato Zero(レナート・ゼロ)。彼の作品は2枚組の出来がよいという人が多いので、少しまとめて入手してみました。
 このアルバムは彼のはじめての2枚組で、80年代最初の作品。まだ声も若く、深みはありません。曲も意外と普通なポップ・ロックで、そこに、いまからするとちょっと古臭いストリングス・アレンジがかぶさる様は、なんとなく昔の日本の歌謡曲みたいです。また、アルバムを通して聴いたときに、曲想の統一感が欠けていて、バラけた印象がある点では、ポップ・オペラのような感じもします。
 デヴュー当時にくらべれば、曲づくりはうまくなっていると思いますが、まだポップさと初期のころの暗いロック風味の融合・転換がうまくいっていないように思います。メロディ的には美しくドラマティックなものもすでにあるのだけど、アレンジとヴォーカルの成熟が曲に追いついていないようです。素材はいいのだけど、聴き手を引き込む力が不足しているといったところでしょうか。(2000.02.11)

RENATO ZERO / ARTIDE ANTARTIDE (1981)
 初期のころの作品では、どこかアングラっぽいロックのイメージが見えかくれするのですが、この作品ではそういった面が後退し、純粋にポップスの王道を歩き始めた印象を受けます。
 バックのキーボードがフュージョンくさかったり、オーケストレーションを含めた演奏が日本の歌謡曲みたいだったりと、細かい点では、いま聴くとちょっと恥ずかしく思えるところもありますが、基本路線としてメロディアス&ドラマティックなポップスという方向性が決まったことで、CD2枚組の全編を通して、以前に聴かれたようなバラツキ、ポップ・オペラ的なまとまりのなさは解消されたといえるでしょう。
 1970年代からアーティストとして活動しているRenato Zero(レナート・ゼロ)ですが、人気が出たのは80年代以降だといいます。81年リリースのこの作品では、まだ詰めの甘さや、ヴォーカルの表現力の点でも、成長途中にあることがわかりますが、その後、登りつめることになるポップ・スターへの階段の確実な第1歩、第1ステップを踏み出したことを感じさせてくれます。
 このアルバムで聴かれるキャッチーでドラマティックな音楽性は、アメリカのMeatloaf(ミートローフ)などが好きな人にもアピールするかもしれません。(2000.02.11)

RENATO ZERO / ZERO (1987)
 Renato Zero(レナート・ゼロ)の音楽は、非常にイタリアらしい美しさを持っていると思います。思いはするのですが、どうももうひとつハマリきれないのは、その美しさが、あまりにも歌謡曲ぽいからでしょうか。歌メロ自体はとてもいいと思うのですが、バックのアレンジや演奏が、軽薄で薄っぺらく感じるんです。これは、音の厚みということではなく、アレンジに対する姿勢というか、方向性というか、スタイルの面がです。
 基本的にメロディそのものは、この作品のころも最近も、それほど変わっていないと思います。だから、きちんと気合の入ったアレンジと演奏さえバックにつけばドラマティックな名作ができあがることは、1998年の『Amore Dopo Amore』で明らかだといえるでしょう。アレンジャーに恵まれなかったのか、それともRenato自身の志向がこういうスタイルだったのかはわかりませんが、もったいない感じがします。
 ちなみに、初期のころの作品はアングラ・ロック的な臭いがしていましたが、この作品などを聴くと、彼の音楽はロックやカンタウトーレとは別の、イタリア歌謡の延長上にあるのかなと思います。なんとなくフランク・シナトラとかを思い出してしまいました。(2000.02.11)

RENATO ZERO / QUANDO NON SEI PIU' DI NESSUNO (1993)   alla "Musica"
1990年代以降のRenato Zero(レナート・ゼロ)って、80年代以前にあったキワモノっぽさがなくなり、純粋にロマンティック&メロディアスなイタリアン・ポップスという趣が強くなった気がします。Renatoはたしかローマ出身だったと思いますが、その点でもロマンティックという言葉自体がとてもマッチする気もします。M1「Il ritorno」やM10「Figli della guerra」などは、そういったRenatoの魅力がよく出たバラードだといえるでしょう。もちろん、ある種の世俗っぽいチープ感というのも、とくに80年代には彼の音楽のひとつの側面で、そこも魅力といえば魅力でしょう(自分の好みではありませんが)。そういったチープ感はこのアルバムにも少し残っています。主にキーボードの音づくりとアレンジにですが、M2「Una magia」やM4「L'altra bianca」などは、そういった要素を引きずっているといえそうです。(ZEROLANDIA/BMG ARIOLA: 74321-13543-2 / イタリア盤CD) (2003.10.19)

RENATO ZERO / L'IMPERFETTO (1994)   alla "Musica"
 1970年代から活動を続けているRenato Zero(レナート・ゼロ)ですが、初期のころの少しアングラな匂いがするものや、1980年代のちょっと歌謡曲のような軽薄さがある作風よりも、1990年代以降の落ち着いた曲調のほうが自分には合うようです。1994年にリリースされたこのアルバムは、ところどころに80年代の名残りのような軽さといったものもあるのですが、80年代の作風から1998年の名作『Amore dopo amore』へとつながっていく途中にあるような印象を受けます。(2002.10.19)

RENATO ZERO / SULLE TRACCE DELL'IMPERFETTO (1995)   alla "Musica"
 低く落ち着いた深みのある声、映画音楽を思わせる豊かなオーケストレーションに彩られたメロディ、なだらかかつドラマティックな展開、ポップでときにコミカルなミュージカル音楽的な要素など、映画的・演劇的なRenato Zero(レナート・ゼロ)の魅力が凝縮されたアルバムです。いくぶん求心力が弱いのですが、楽な気持ちでRenato Zeroならではの美しさを楽しめる、なかなかよいアルバムだと思います。(2001.06.17)

RENATO ZERO / AMORE DOPO AMORE (1998)
 1998年にリリースされたこの『Amore Dopo Amore』はイタリアで大ヒットとなり、何カ月もアルバム・チャートの上位をキープし続けました。その内容は、今の時代には珍しく、ふんだんにオーケストレーションを使った非常にドラマティックな作品です。
 全編にドラマティックかつシンフォニックなオーケストレーションが施され、また唄メロは流れるような美しさを持った、まさに極上のイタリアン・メロディ。泣き泣きの哀愁といった濃ゆい情緒とは別の、気品にあふれた流麗なポップスが展開されます。曲によっては、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)に歌わせてみたいほどです。
 彼の声はちょっとクセがあって、どっちかといえば変な声だと思いますし、歌も決してうまくないのですが、その個性と劇的なバックが見事に溶け合い、一大叙事詩を展開します。壮大なスケールとメロディを持ったこのアルバムが、メロディよりもビートやグルーヴを重視する傾向の現代でもヒット作になるイタリアって、やはりいい国だと思います。
 こういう音楽は、日本では、いわゆるポップス・ファンよりも、シンフォニック・ロックにロマンと感動を感じるファンのほうが、より楽しめるのかもしれません。美しい音楽を求めている人に聴いてもらいたいアルバムです。(1999.10.11)

RENATO ZERO / AMORE DOPO AMORE, TOUR DOPO TOUR (1999)   alla "Musica"
 1998年の名作『Amore Dopo Amore』リリース後のステージを収録した2枚組ライヴ。スタジオ盤と同様、ドラマティックで奥行きのある音世界が展開されています。ライヴの力強さと音の厚さに観衆の合唱がコーラスとしてかぶさり、とても感動的です。(2000.02.11)

RENATO ZERO / I MIEI NUMERI (2000)
 名作『Amore dopo amore』と、そのツアーを収録したライヴ『Amore dopo amore, Tour dopo tour』のあとにリリースされたベスト盤。ベスト盤とはいっても、彼の代表曲を幅広く集めたわけではなく、『Amore dopo amore』収録曲、『Amore dopo amore』CDシングル4枚組限定盤Boxセットに収録されたアルバム未収録曲、『Amore dopo amore, Tour dopo tour』に収録されたスタジオ録音の新曲で大半が占められていることから、『Amore dopo amore』関連作の1枚と考えることもできそうです(それ以外にも、1994年リリースの『L'imperfetto』、95年リリースの『Sulle tracce dell'imperfetto』からの収録曲もあります)。
 ベスト盤でありながら、収録されているすべての曲のイメージ、アレンジやオーケストラの肌触りに統一した感じがあって、非常にまとまりがいいです。このあとにリリースされた、半分カバー、半分オリジナルのアルバム『Tutti gli zeri del mondo』よりも、アルバムとしての求心力は強いのではないでしょうか。
 美しくドラマティックなメロディを持った曲ばかりが集められ、豊かなオーケストラが施されたこのCDは、良質なイタリアン・ポピュラー・ミュージックのサンプルとして、メロディ指向のイタリアン・ファンには楽しめるものであるはずです。『Amore dopo amore』の感動がもう1度味わえるとまではいいませんが、あのアルバムに聴けるイタリアン・ミュージックが気に入った人なら必ず、このCDも愛せるでしょう。
 また、アルバム『Amore dopo amore, Tour dopo tour』で実況盤としての流れを停止させてしまっていたスタジオ収録曲も、このように他のスタジオ収録曲のなかに配置されることで、楽曲本来の輝きを表現できているように思います。(2000.12.17)

RENATO ZERO / TUTTI GLI ZERI DEL MONDO (2000)   alla "Musica"
 収録曲の約半分が偉大なシンガー・ソングライターたちの曲のカバー、残りが彼のオリジナルというつくりのアルバムです。しかし、アルバム全編を通して聴かれるオーケストレーションが全体的な統一感を持ってアレンジ・演奏され、カバー曲も彼のオリジナルも、1枚のアルバムのなかで違和感なく並んでいます。全体にクラシック的なゆったりとした空気が漂う、聴いていておだやかな気持ちになれる作品です。(2000.09.16)

RENATO ZERO / LA CURVA DELL'ANGELO (2001)   alla "Musica"
 ここ数作の流れであるオーケストラ入りのゆったりした曲と、リズミカルで軽快な明るい曲が、ほぼ交互に配置されています。ポップな曲の比率が高いこともあり、1998年の傑作『Amore dopo amore』ほどの深くドラマティカルな世界はありません。シンプルなポップス作品の連なりになっていて、ドラマティックな部分はあるのだけれど、こじんまりとまとまってしまったなという印象が残ります。
 ただ、そういったわかりやすくてシンプルなドラマティックさが、ある意味では、より万人向けなポピュラー作品として評価できるともいえるでしょう。(2001.12.16)

RENATO ZERO / CATTURA (2003)   alla "Musica"
Renato Zero(レナート・ゼロ)って、個性的な歌声を持っているし、流れるような美しいメロディを書けるし、ドラマティックなオーケストラ・アレンジがされた曲も多いしで、個人的にはけっこう好きなアーティストです。ただ彼は、ドラマティック・ポップスが得意な一方で、まるで歌謡曲のようなチープさをぷんぷんただよわせる軽〜いポップスも得意で、このチープさが自分はあまり得意じゃありません。しかしこのアルバムは、この「軽さ」と「ドラマティックさ」のバランスの取り方がとても優れてると思います。ふたつの要素がおたがいのいいかたちで影響しあい、上手に取り込まれているように感じます。 (TATTICA/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: TAT 413709 9 / イタリア盤CD) (2004.07.25)



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RENZO ZENOBI / PROIETTILI D'ARGENTO (1995)   alla "Musica"
 1970年代から活動しているレンツォ・ゼノービ(Renzo Zenobi)の、比較的最近のアルバム。優しい声のおじいさん(?)です。(1998.06.28)

RENZO ZENOBI / AMORI E BATTITI (2002)   alla "Musica"
  1975年から82年にかけての曲を収録したベスト盤です。Umberto Balsamo(ウンベルト・バルサモ)をさらにさらに地味にしたような作風ですが、やさしい歌声やおだやかなオーケストレーションはイタリアの美しさに満ちています。ストリングスのオーケストラも、艶のあるなまめかしい音色というよりは、どこかザラザラとした、ホワイトノイズがまざっているような音色で、これがいっそう、落ち着きとおだやかさを感じさせます。曲によっては混声のコーラスなども入ります。(2003.04.20)



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RICCARDO COCCIANTE / POESIA (1973)
 Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)のアルバムのなかでも、とくにおだやかなアルバムではないでしょうか。1970年代の彼は、ひび割れ声で情熱的に歌い上げる曲も多いのですが、このアルバムにはそういった印象がほとんどなく、全編に、やさしく繊細な若者の気持ちが感じられるような、そんな曲が収録されています。女声コーラスもほどよく配置され、夢と光に満ちた未来を無邪気に信じられた(信じたいと思っていた?)幸せな時代を思わせます。このアルバムに聴かれるのは哀愁ではなく、やすらぎと希望。また、それを熱望するのではなく、あくまでもさりげない感じです。
 とても地味ですが、よい作品だと思います。とくにアルバム全体に聴けるキーボード(ソリーナでしたっけ?)のあたたかな音色が魅力的です。
 アルバム・トップのタイトル曲「Poesia」はおだやかでさりげない、やさしい曲。「Margherita」などで聴かれる熱唱派カンタウトーレの姿は、ここにはありません。
 4曲目の「Canto per chi」は、軽やかなテンポに柔らかいキーボード、どことなくフラワー・ムーヴメントなボーカル・ラインが、なんとなくSchola Cantorum(スコラ・カントルム)を思い出させます。
 5曲目「Asciuga i tuoi pensieri al sole」や6曲目「Noi」などは、やわらかなメロディにクリアな女声コーラス、混声コーラスが入り、アコースティック・ギターのあたたかい音色もやさしく響きます。(2002.03.17)

RICCARDO COCCIANTE / CERVO A PRIMAVERA (1980)   alla "Musica"
 1970年代のRiccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)は、ドラマティックな曲が多かったように思います。しかし1980年にリリースされたこのアルバムでは、ドラマティックさの代わりに、なめらかなメロディとロマンティックさが前面に出てきています。こういった作風はその後、1990年代から21世紀に入ってもあまり変わらない、彼の基本的な作風になっているように思います。声はあいかわらずひび割れていますが、リキんで歌うようなフレーズがないので、それが強烈には伝わってきません。その代わり、なめらかなメロディに乗って、ほどよい哀愁を漂わせることに貢献しています。(2002.07.21)

RICCARDO COCCIANTE / SE STIAMO INSIEME (1991)   alla "Musica"
 若い頃は、すごいダミ声で哀愁に満ちたメロディを熱唱するという印象がありましたが、このアルバムでは、声はあいかわらずひび割れていますが、歌い方はおだやかになっています。若さの代わりに、大人の余裕を持った情感と哀愁が漂っていて、以前よりも素直に聴きやすい音楽になっているといえるでしょう。緩急の差の激しい音楽というよりは、さりげなさやセンチメンタルを感じます。(2002.01.20)

RICCARDO COCCIANTE / NOTRE DAME DE PARIS (2001)
 Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)作曲による大ヒット・ミュージカルのサウンド・トラック。もともとはフランス語ですが、のちに英語ヴァージョンがリリースされて英語圏でもヒットしました。このCDは、さらにそのあとにリリースされたイタリア語ヴァージョンです。
 Riccardo自身は曲提供とアレンジだけで、演奏や歌を聴かせることはありませんが、それでも曲のはしばしにRiccardoらしさが感じられます。ロマンティックな曲調が多く、イタリア風のなめらかなメロディとフランス風の繊細な情感が入り混じっています。
 ミュージカルということで、配役ごとに7人の歌手が歌声を聴かせますが、率直にいって、どの歌手もそれほど個性がないというか、普通にうまいだけで、特別ひきつけるところの少ない平凡なシンガーに感じます。ミュージカルという性質上、そのほうがいいのかもしれませんが、舞台と切り離して音盤としてCDを聴いた場合、もう少し強い個性や迫力のようなものが感じられたほうが、楽曲のクオリティをより引き出せるだろうし、聴く楽しみといったものも増すでしょう。
 とはいえ、Gringoire(グランゴワール)役のMatteo Setti(マッテオ・セッティ)やFrollo(フロッロ)役のVittorio Matteucci(ヴィットリオ・マッテウッチ)の伸びやかなヴォーカルは魅力的ですし、エスニックなメロディに乗るQuasimodo(クァジモド)役のGio' Di Tonno(ジオ・ディ・トンノ)のクセのある声もアクセントとなっています。ミュージカルのファンでなくても、イタリアン・ポップスのファンなら、聴く価値のある1枚とはいえるでしょう。(2002.03.17)



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RICCARDO DEL TURCO / IL MEGLIO (1996)
 Riccardo Del Turco(リッカルド・デル・トゥルコ)は主に1960年代から70年代にかけて活動していたようです。とくに60年代は人気があったらしく、「夏のディスク(Disco per l'Estate)」やヴェネツィアの「金のゴンドラ(La Gondra d'Oro)」を何度も獲得しているらしいです。
 アレンジャーにも恵まれたようで、Ennio Moricone(エンニオ・モリコーネ)Luis Enriques Bacalov(ルイス・エンリケス・バカロフ)Vangelis(ヴァンゲリス)などとも仕事をしています。
 このCDは1996年にリリースされたベスト盤で、ほとんどが新録なのですが、旧録のものも5曲、収録されています。そのなかにはMoriconeがアレンジしたもの、Bacalovがアレンジしたものも含まれています。
 Moriconeがアレンジしたものは、さすがに映画音楽の巨匠だけあり、古い映画で聴けそうなロマンティックなものになっています。それ以外はBacalovアレンジのものも含めて、基本的にはカジュアルでポップなオールド・ミュージックといった感じです。柔らかく暖かい曲想が、心地よく響きます。
 彼は自身で歌う以外にも、楽曲提供者としても活躍していたようで、Mina(ミーナ)Patty Pravo(パッティ・プラーヴォ)Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)などのために曲を書いています。また、Mia Martini(ミア・マルティーニ)Aleandro Baldi(アレアンドロ・バルディ)のアルバム制作にも関わったことがあるそうです。(2000.10.15)



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RICCARDO FOGLI / IL SOLE, L'ARIA, LA LUCE, IL CIELO (1977)   alla "Musica"
やさしげで、おだやかな明るさがあって、そのなかに切なさや壊れやすそうな感じがときどきちらちらと見え隠れする歌声。Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)って「甘い歌」という印象があったのだけど、このアルバムを聴いていると、実はそんなに甘い感じはせず、意外と健康的な(活動的ではないけれど)印象を受けました。全体にゆったりとしたメロディを並べていった感じのものが多く、曲そのものはシンプルだと思います。そのシンプルな曲を、厚いオーケストラとコーラス、そしてRiccardoのさわやかで優しい声が色付けし、奥行きのあるロマンティックなものにしあげています。 (ARCANGELO: ARC-7143 / 日本盤CD) (2006.07.02)

Riccardo Fogli / Sentirsi Uniti (1990)
 元イ・プー(i Pooh)リッカルド・フォッリ(Riccardo Fogli)は、あいかわらず美しくも優しい唄を歌っています。
 今回聴いたのは1990年の『Sentirsi Uniti』。若い頃にくらべると声の甘さが少しとれ、優しいながらも大人の感じになっています。

RICCARDO FOGLI / FOGLI SU FOGLI (1995)
 Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)というと自分は、どうしても初期のころやI Pooh(イ・プー)時代の、青臭く甘酸っぱいような、みずみずしい哀愁を思ってしまいますが、もちろんいつまでも青年でいられるわけはなく、このアルバムでは大人の落ち着きを聴かせてくれるシンガーになっています。とはいえ、どこか夢見るような感じ、追いきれない愛を求めてしまっているようなところは残っていて、大人の哀愁だけではない、若者の持つ哀愁をもたたえているように思います。
 「In Silenzio」「Pierre」といったPooh時代の曲や、彼の初期のヒット曲「Mondo」などが再録され収録されていますが、オリジナルにくらべるとずいぶん抑えたアレンジ、唄い方になっています。それがまた、若さで突っ走っていたころとは違った、一歩引いた情感を表現していて、曲自体が本来持っていた美しさを際立たせているように感じます。(1999.07.03)

RICCARDO FOGLI / STORIE DI TUTTI I GIORNI vol.1/vol.2 (2002)   alla "Musica"
 なぜかDeep Purple(ディープ・パープル)「Black Night」のリフが組み込まれた「Piccola Katy」で始まるRiccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)のライヴ盤。選曲は懐メロ・ベスト的な色が濃く感じられます。とくにVol.1はそういう傾向が強く、長くRiccardoを愛聴してきたファンなら、懐かしい日々が思い起こさせられるような曲が多いのではないでしょうか。古い曲が多いですが、曲の持つメロディの美しさや魅力は失われておらず、素直に「いい曲だな」と思えてしまうのは、やはりすごいです。(2003.04.20)



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RICCARDO MAFFONI / STORIE DI CHI VINCE A META' (2004)   alla "Musica"
Riccardo Maffoni(リッカルド・マッフォーニ)の音楽は、あまりイタリアっぽくない感じがします。もともとBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)などが好きなようで、収録されている曲もBruceBob Dylan(ボブ・ディラン)などを思わせる、アメリカンな感じの力強くて骨太なフォーク・ロックがほとんどです。少しひび割れた歌声もBruceぽいといえば、いえるかもしれません。アルバム前半では力強く、男臭く責めてきますが、後半に入ると少しやさしさや哀愁が混じってきます。全体的にはいなたい系の骨太ロックで、サンレモ系の音楽とはまったく違います。 (CGD EAST WEST / WARNER MUSIC ITALIA: 9050467094123 / EU盤CD) (2006.07.02)



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RICCARDO SINIGALLIA / INCONTRI A META' STRADA (2006)
Riccardo Sinigallia(リッカルド・スィニガッリァ)は、元Tiromancino(ティロマンチーノ)の主要メンバーだった人だそうです。 2003年に『Riccardo Sinigallia』でソロ・デビューし、この『Incontri a meta' strada』はセカンド・アルバムになります。
とてもアンビエントな印象を持ったアルバムです。水面に広がる波紋のように透明でやわらかなピアノ、おだやかにつづられるシンプルな歌メロ、けっして歌い上げることのないヴォーカル。この3つの要素を中心に、静かに、ある意味淡々と、同タイプの曲が連なります。ところどころでリズムの入った曲もあるのですが、全体の印象は透明で、どこか幻想的。1曲ごとを切り出して聴くのではなく、10曲40分のアルバムを通して、曲同士の流れやつながりに身をまかせ、空間に広がっていく音の中でたゆたうことで、じんわりと良さが身体にしみこんでくるタイプのアルバムでしょう。
たとえば一時期のBraian Eno(ブライアン・イーノ)Holger Czukay(ホルガー・チューカイ)のような、あるいはCocteau Twins(コクトー・ツインズ)や、さらにはウィンダム・ヒルのような要素もあり、また幻想フォーク風な部分もあります。M9「Impressioni da un'ecografia」などでは初期のAlan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)を思わせる浮遊感と高揚感もあったりします。いわゆる「ポップス」「ロック」とはちょっと違った、耽美な雰囲気を漂わせる音楽なので、聴き手を選ぶとは思いますが、なかなか気持ちのいい作品です。(SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT: 82876865982 / EU盤CD) (2007.02.44)



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RINO GAETANO / LA STORIA (1998)
 リーノ・ガエターノ(Rino Gaetano)は、1970〜80年代くらいに主に活動していた人のようです。これは2枚組のベスト盤ですが、収録されているのはどれも、70年代のイタリアらしいGood Musicです。キーボードの使い方やアレンジに、70年代のプログレッシヴ・ムーヴメントの影響が感じられますが、基本的にはカンタウトーレらしい音楽といえます。
 曲のタイプとしては、ファウスト・レアーリ(Fausto Leali)マルコ・マジーニ(Marco Masini)などの系統を、明るく、ポップにするとこんな感じかもしれません。ざらざらした声が魅力的なシンガーです。(1999.02.11)



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ROBERTO ANGELINI / IL SIG. DOMANI (2001)   alla "Musica"
 どこかふわふわとした独特な浮遊感と透明感が漂っています。レーベルがVirginということもあり、いわゆるイタリアらしさ、カンタウトーレらしさというものは強くなく、どちらかというとロック的な印象が強いのですが、あまり感情を表わさない淡々としたヴォーカルと、それを控えめに支えるオーケストレーションが、いくぶん初期のブリティッシュ・ニューウェーヴ的なリズム・セクションと絡み合い、曲に空間と奥行きを与えています。アコースティック・ギターの丸く、それでいて緊張感のある音色も魅力的です。(2001.05.20)

ROBERTO ANGELINI / ANGELINI (2003)   alla "Musica"
もともとあまりイタリアンな要素はなく、デジタルな処理をされたリズムやキーボードを上手に導入した英米風のロックといった印象のあったRoberto Angelini(ロベルト・アンジェリーニ)ですが、セカンド・アルバムではさらにいっそうイタリアンな要素がなくなりました。強調されたリズム。派手な音色のキーボード。ミディアム・テンポのヒップ・ホップ系ポップス。ときにやわらかさやおだやかさを見せることもありますが、基本はラウドでスローなデジタル・ビート。最近の若いイタリアン・シンガーたちの多くがこういった傾向・方向性の音楽をやっていることを考えると、ある意味ではいまの典型的なイタリアン・ポップスなのかもしれません。 (EMI MUSIC ITALY / VIRGIN: 7243 5843612 9 / イタリア盤CD) (2004.12.25)



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ROBERTO DURKOVIC / SEMPLICEMENTE VITA (2005)   alla "Musica"
リリース元がStorie di note/Suonimusicですから予想はしていましたが、おおよそ予想どおりの地味な作風です。ベースは、少しいなたいヴォーカルをメインにしたフォーク・ソングだと思います。しかし、フォークをフォークのままのアレンジにしないのがスタイルなのでしょうか、まんま「フォーク」な曲はほとんどありません。バック・ミュージシャンにコントラバス、フィザルモニカ(アコーディオン)、クラリーノ(クラリネット)、トロンバ(トランペット)などを配し、さらにはギター、アコーディオン、ヴァイオリンによる街角楽師隊のようなRhapsodija Trio(ラプソディヤ・トリオ)というグループのバックアップも受け、古いヨーロッパの街角やキャバレーなどで聴かれそうな懐かしい感じを漂わせています。 (STORIE DI NOTE / SUONIMUSIC: SDN 050 / イタリア盤CD) (2006.07.02)



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ROBERTO MUROLO / ROBERTO MUROLO AND FRIENDS (1995)
 Roberto Murolo(ロベルト・ムローロ)は、古くから活動しているナポレターナ歌手なのだそうです。ナポレターナを録音したアルバムを多数リリースしている、いわばナポレターナ界の大御所のひとりらしいです。
 そんなRobertoじいさんのアルバムを、同じナポリ出身で、ナポレターナではないナポリ・ポップスの大御所であるPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)がアレンジ&プロデュースしたのが、このアルバムです。Robertoの他のアルバムを聴いたことがないので、普段はどんなアレンジがされているのかはわかりませんが、このアルバムではオーソドックスなナポレターナらしい生ギターのシンプルな演奏を中心に、うっすらとキーボードをかぶせるような地味目のアレンジが施されています。
 静かで落ち着いた声には南イタリアらしい哀愁があります。シンプルな演奏とともに、ひなびた味わいのあるものとなっています。そして、そのなかに、青い空と海のキラキラした輝きを感じさせるようなアレンジがちりばめられています。このキラキラした感じには、Pinoぽさを強く感じます。
 たぶん、ここに収録されているアレンジは、正統的なナポレターナとは違うのでしょう。しかし、ここで聴かれるような、Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)Enzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)などの奏でる素朴なナポレターナと、デヴュー当時のPino Danieleの奏でた雑多ながらも人間的魅力にあふれるナポリ・ポップスのあいだに位置するような肌触りもまた、ナポリ・ミュージックの良さを存分に感じさせ、心地よいのです。
 ただ、アルバムの最後に収録された「Napule' e'」はやっぱり、Pinoのオリジナルのほうが味わいが深いな。(2001.11.18)



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ROBERTO SOFFICI / IL MEGLIO (1996)   alla "Musica"
 ロベルト・ソッフィーチ(Roberto Soffici)のベスト盤(1996年)。たぶん、新録されています。若い頃のリッカルド・コッチャンテ(Riccardo Cocciante)を思わせるようなダミ声(ちょっと苦しそう)が特徴的ですが、曲はどれも流れるような美しさを持っています。強引な曲展開はなく、安心して聴けますが、ちょっと古い感じがするかな。(1998.11.03)



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ROBERTO VECCHIONI / IPERTENSIONE (1975)   alla "Musica"
言葉数の多い歌詞で少し字余り気味なフォーク。歌メロも、どちらかというと淡々としているというか、ドラマティックな盛り上がりのようなものに欠けます。おそらく、歌詞の内容重視タイプの音楽なのでしょう。アコースティック・ギターが演奏の中心ではあるけれど、キーボードによるオーケストレーションもほどよく入っているし、ところどころにSEの導入もいます。また、パッショネイトではないけれど、なんだかとてもロマンティックな印象が全体を包み込んいます。 (PHILIPS: 832 889-2 / フランス盤CD) (2005.07.18)

ROBERTO VECCHIONI / SAMARCANDA (1977)   alla "Musica"
 Angelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)がヴァイオリンで参加。Angeloらしい中近東風味のアレンジが心地よく響きます。かといって、アルバム全体が中近東風かというと、そういうわけではありません。基本的にはカンタウトーレ作品ですが、ほどよくシンフォニックな味つけが施されています。さらにキャバレー・ロック風な曲があるかと思えばカントリー風であったり、フォーク風やプログレ風もあり、アルバム・トータルの流れとしては洗練されていませんが、こういった雑多な感じが逆に、当時のよさだったとも感じられます。(2001.12.16)

ROBERTO VECCHIONI / IL CIELO GAPOVOLTO (1995)   alla "Musica"
1970年代中頃から活動するRoberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキオーニ)。最近はあまり目立った活動を聞かない気もしますが、80年代から90年代くらいにかけては精力的にアルバムをリリースしています。軽やかな曲も多いのですが、一方でアーティスティックな感性も持っていて、プログレッシヴ系のファンにも愛聴者が少なくないようです。このアルバムでも、乾いた感じのフォーク・ロックとクラシカルなアレンジが施された曲が混在しています。その点で多少、アルバムとしてのドラマ性は少ないかなという気もしますが、なかなかおもしろいアルバムだと思います。ジャケット・アートもいい感じです。(EMI ITALIANA: 7243 8 35490 2 3 / イタリア盤CD) (2003.10.19)

ROBERTO VECCHIONI / STUDIO COLLECTION (1997)
 ロベルト・ヴェッキオーニ(Roberto Vecchioni)は、古くからいるカンタウトーレ。ホモ・サピエンス(Homo Sapiens)などとも関わりが深いようです。彼の声は非常にイタリア臭く、また歌詞もイタリア語なため、一聴すると非常にイタリアンな曲に聞こえますが、じつはメロディ的には意外とワールド・ワイドな感じで、あまりイタリア臭がないように思います。
 美しいオーケストラをバックに配し、静かに、地味に盛り上がる曲は非常に自分好みですが、全体的には軽めで、ちょっと垢抜けない曲が多いです。それがまた、心温まる感じではあります。(1999.02.11)



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ROBY FACCHINETTI / same (1984)
 I Pooh(イ・プー)のキーボーディスト、Roby Facchinetti(ロビー・ファッキネッティ)のソロ・アルバム。Poohのアルバムからロック色の強くない曲を集め、コーラスとギターを抜いたような感じのアルバムになっています。明るさと暖かさがあり、同時にちょっとセンチメンタルな感覚はPoohそのままといえるでしょう。曲づくり、キーボード・プレイ、ヴォーカルともに安定しています。曲によっては生オーケストラを導入し、ドラマティックな演出が施されています。
 数曲あるインスト曲は、イージーな感じがしてちょっといただけません。また、メインとなるメロディ楽器、和音を奏でる楽器がキーボードばかりなので、弦楽器ファンの自分としてはちょっと物足りなく感じますが、Poohの音楽性が好きな人ならきっと楽しめるでしょう。(1999.05.08)

ROBY FACCHINETTI / FAI COL CUORE (1993)   alla "Musica"
 Pooh(プー)のメイン・コンポーザーでありメイン・ヴォーカリストでもあるRoby Facchinetti(ロビー・ファッキネッティ)のソロ2作目。基本的には「ひとりPooh」といった感じがあります。ロマンティックで、メロディアスで、イタリアらしい柔らかさと美しさに満ちた楽曲で占められています。オーケストラも導入され、厚みとドラマ性も充分です。
 ギターの音色やフレージングをはじめ、全体にPoohの演奏よりもソリッドな印象を受けます。Robyの弾くキーボードの音色も、Poohのときよりも硬めでストレートな感じです。(2001.08.19)



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ROCCO DE ROSA / ROTTE DISTRATTE (2002)
Rocco De Rosa(ロッコ・デ・ローサ)は、主にジャズやワールド・ミュージックの分野で活躍しているらしいピアニストらしいです。このアルバムは、彼のピアノを中心に、ヴァイオリンやキーボード・オーケストレーションなどを配した、いわゆるウィンダム・ヒル系のような感じのものでした。
ただ、Il manifestoレーベルからのリリースですから、ただ心地いいセミ・クラシックやヒーリング系というわけではなく、エスニックでエキゾティックな雰囲気も織り込まれています。とくにヴォーカル(何語でしょうか?)やスキャットの入るM1「Rotte Distratte」、M5「Flumina」、M8「Dalgar」などは太古の森から響く祭典の歌やトラッドが入り混じったような神秘の響きがあります。どことなくDeep Forest(ディープ・フォレスト)などに通じるところもあるかもしれませんし、あるいはKate Bush(ケイト・ブッシュ)などを思い起こすかもしれません。また、ハープの響きが美しいM4「Di Ritorno」は、同じIl manifestoからアルバムをリリースしているハープ奏者、Vincenzo Zitello(ヴィンチェンツォ・ジテッロ)の作品を思い出させます。
他の曲も、ピアノの透明な音色にヴァイオリンやハーモニカ、トランペットなどが響きあい、おだやかで心地のいい音の空間が楽しめます。 (IL MANIFESTO: CD099 / イタリア盤CD) (2007.04.22)



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RON / UNA CITTA' PER CANTARE (1980)   alla "Musica"
1曲目のアルバム・タイトル曲は、ヴァイオリンとギターのみの地味な歌から途中でコンサートでの歓声のSEが入り、その後はオーケストラが導入されて盛り上がっていくという構成で、ベタな感じではあるけれど、素直にじ〜んときてしまいました。しかし、その後は良くも悪くもないロックだったり、すっごく普通なフォーク・ソングだったり、微妙に平凡なポップスだったりと、「もうちょっとなんだけどなぁ」という感じでした。メロディもそこそこきれいだし、ヴォーカルもそこそこ味わいがあるのだけど、あともう一歩のドラマというか奥深さというかアピールの強さがあればと思います。 (BMG RICORDI: 82876624112(1) / イタリア盤CD) (2006.03.21)

RON / CALYPSO (1983)   alla "Musica"
Ron(ロン)の書くメロディって、きれいですよね。なめらかで破綻がなく、上手にまとまっていると思います。歌声もほどよく甘く、ほどよくひび割れて、聴き心地のいい声だと思います。Sergio Caputo(セルジォ・カプート)などにもちょっと似た声かもしれません。『Calypso』とタイトルがつけられたこのアルバムも、ほどよく甘くきれいなメロディを持った曲がたくさん収録されています。このタイトルにふさわしく(?)、明るくあたたかなリゾートでリラックスしたような気分になれます。乾いた音色で美しいフレーズを奏でる演奏は、イタリアというよりはアメリカのポップスを思わせます。メロディ的にも洗練されたものがあり、これもイタリアというよりはアメリカ風。楽しげで、気楽な感じで、明るくて、美しくて、そういう点ではいい感じのアルバムだと思います。 (RCA ITALIANA / BMG ITALY: 74321987412 / EU盤CD) (2004.12.25)

RON / VORREI INCONTRARTI FRA CENT'ANNI (1996)   alla "Musica"
 Ron(ロン)のヴォーカルは、声はかすれ気味ですが、非常にあっさりとしていてさりげない歌い方をします。そういう意味では地味なはずなのですが、このアルバムではバックの演奏がタイトかつクリアで、スッキリとした広がりを感じさせるものになっているため、意外とドラマティックに聴こえます。(2000.05.14)



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ROSARIO DI BELLA / I MIEI AMICI (2000)
 Rosario Di Bella(ロザリオ・ディ・ベッラ)は、あまり有名な人ではないと思いますが、活動歴はけっこう長いカンタウトーレです。何年か前に中古盤屋で捨て売り価格で見つけ、こちらもお金を捨てるつもりで買った1989年のアルバム『Pittore di me stesso』では、アーティスト名はたんにDi Bellaとなっていて、最初はおなじ人だと気がつきませんでした。
 20世紀最後の年にリリースされた今作は、もしかしたらベスト盤なのかもしれません。『Pittore di me stesso』に収録されていた曲も1曲、収録されています。
 作風はむかしからあまり変わらないようで、流れるようなメロディと落ち着いた声が、イタリアらしい美しさを持っています。ただ、これといって強い個性があるわけではなく、曲にもインパクトがないため、全体の印象は薄いです。
 キーボードによるオーケストレーションがふんだんに使われているので、なんとなく奥行きと広がりが感じられます。クオリティ的にはけっして低くありません。派手さやダイナミックさにはかけますが、明るく親しげな雰囲気があり、ゆったりした気分でリラックスして聴ける作品です。『I miei amici(私の友人たち)』というアルバム・タイトルがしっくりとくるアルバム。(2001.01.21)



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RUDY MARRA / SOPA D'AMOUR (1995)
 Rudy Marra(ルディ・マッラ)は、基本的にはロック・シンガーといっていいでしょう。低めのしわがれ声で歌う彼の歌は、のびやロングトーンの力強さなどを誇示するタイプとは逆の、どちらかというと語りを力強くしたようなタイプです。したがってメロディラインも、それぞれのフレーズの美しさという点ではそれほどでもありませんが、曲全体のなかに大きな流れがあり、意外とドラマティックです。
 通りを進んでいくパレードを遠くから眺めているかのようなオープニングSEからは、どことなく懐かしさと寂しさを感じさせます。また本編で聴かれる音楽も、なんとなく郷愁をそそられるような雰囲気がそこここに漂っています。バックで使われているオルガンやアコーディオンの音などが、曲にそういった味わいを添えているのでしょう。
 オーケストレーションも適度に使われていて、歌メロ的にはけっして美的ではありませんが、ドラマティックさがあります。イタリア的な感じはあまりありませんが、古いイギリスのポップ・ロックのような肌触りがあり、ちょっと不思議な魅力を持ったアルバムです。(2000.09.16)



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ROSSANA CASALE / NELLA NOTTE UN VOLO (1996)
 気がつくとRossana Casale(ロッサーナ・カザーレ)もすっかり中堅からヴェテランの域に入ってきた気がします。しゃれたジャズ風味のポップスはアメリカぽい部分もあるのだけど、ヨーロッパらしいなめらかさと落ち着きがあり、Rossanaの個性になっていると思います。アメリカ人とイタリア人のハーフのようですが、双方のよいところがうまく出ているのかもしれません。
 透明感のある声はあいかわらず美しいです。少し細めで、ちょっとだけ甘えたような印象がありますが、それが嫌味にも気持ち悪くも聞こえないのは、抑制された歌い方をしているからでしょうか。ウッド・ベースやアコースティック・ピアノの暖かな響きとRossanaの歌声のバランスもよいです。
 ジャジーなポップスを歌うイタリアの女性歌手というと自分はGiorgia(ジォルジァ)を思い出しますが、かなりアメリカン・ジャズ・ポップスな雰囲気の強いGiorgiaに対し、Rossanaの歌はイタリア的というか、ユーロピアン・ジャズ・ポップスな印象が強いと思います。
 落ち着いた夜のバー・ラウンジなどが似合いそうな音楽ですが、分別くささや貫禄がないところが若手(なのか?)女性シンガーならではの魅力でしょう。この「さっぱりとした落ち着き」はRossanaの持ち味のひとつだと思います。だからこそ、M3「Nella notte un volo」での絞め殺されるかのような高音の発声はいただけません。アルバム・タイトル曲なのに。
 全体には、ユーロ・ポップスとアメリカのアダルト・コンテンポラリーのよいところがまじりあったような、聴き心地のよいジャズ・ポップス・アルバムだと思います。(2002.07.21)



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RANDONE / NUVOLE DI IERI - SUITE DA UN VIAGGIATORE (2003)
Nicola Randone(ニコラ・ランドーネ)のデヴューアルバム『Morte di un amore』は、ほんとに久々の本格的プログレッシヴ・カンタウトーレ作品といえるもので、個人的にはかなり好感を持ったものでした。今後どのような展開を見せていくのか、とても楽しみに思っていたのですが、セカンド・アルバムとなる本作では、ソロ・アーティストではなくRandoneというグループを率いての作品となりました。プログレッシヴ・カンタウトーレが好きな自分としては、そこが少しばかり残念ではあります。
とはいえ、内容的にはよくできたプログレッシヴ・ロック・アルバムになってるといえるでしょう。Peter Hamill(ピーター・ハミル)を思わせる個性的なヴォーカルは健在ですし、グループ名儀ということもあり、前作よりも、よりバンド的なアレンジが施されています。
いくぶんギターの音が大きすぎる気がするとか、パートによってはヴォーカルがバックの音に埋没気味だとかいったことはありますが、それでもNicolaの歌は存在感を失いません。声量があるとか歌唱力があるといったタイプのヴォーカルではなく、個性と存在感で聴かせるシンガーという意味では、Mauro Pelosi(マウロ・ペロシ)Alan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)、Tito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)などに通じるものがありそうですが、彼らよりはポップな感触があるのが最近のシンガーらしくて好ましいです。
重厚かつ親しみやすいシンフォニック・ロックになっているこのアルバムもなかなか楽しめるのですが、個人的な希望をいえば、次作ではまたソロに戻って、プログレッシヴなカンタウトーレ作品を聴かせてほしいなと思います。 (ELECTROMANTIC MUSIC: ART411 / イタリア盤CD) (2004.03.13)

RANDONE / RICORDO (2004)   alla "Musica"
ときにドラマティックに、ときにリリカルに響くキーボード群。もちろんメロトロンも入ってます。ギターはハードかつエモーショナル。こういうふうにギターとキーボードのバランスがいい作品って好みです。ちょっとギターのほうが目立ってるかなというところが、さらに自分好みのバランス。そしてもちろん、個性的で魅力的なNicola Randone(ニコラ・ランドーネ)のヴォーカル。曲によってはコーラスも入り、Nicolaの歌声を上手にサポートしています。グループ名義になっての最初の作品だった前作にくらべると、より“バンド”としてのまとまりが感じられる音になっています。ある種のいびつさや、前作では少し残っていたプログレッシヴ・カンタウトーレ的な雰囲気がなくなった分、すっきりとして、引っかかりも減っちゃったなぁという気もしますが、演奏力や楽曲自体のクオリティは、より高くなっているでしょう。あまり「イタリア!」という感じはしませんが、往年のブリティッシュ・プログレッシヴだけでなく、西欧から東欧までのさまざまな優れたプログレッシヴ・ロックの要素が見え隠れし、まさしくユーロ・プログレッシヴといった印象を受けます。 (ELECTROMANTIC: ART414 / イタリア盤CD) (2004.12.25)

RANDONE / HYBLA ATTO 1 - A BAROCK OPERA (2005)   alla "Musica"
およそ3500年ほど前につくられたHybla(イブラ)という町を舞台にしたトータル・コンセプト・アルバムのようです。3分前後の曲が全部で25曲、切れ目なく演奏される組曲形式になっています。複雑な構成、鳴り響くメロトロン(サンプリングだと思いますが)、テクニカルな演奏、効果的に導入される男女のオペラ・ヴォイス、そしてあいかわらず個性的なヴォーカル。王道のシンフォニック・プログレッシヴだと思います。 (ELECTROMANTIC MUSIC/MaRaCASH RECORDS: ART416 / イタリア盤CD) (2006.03.21)



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RIDILLO / RIDILLOVE (1998)   alla "Musica"
全体にソウルフルなポップスになっています。ワウワウのかかったギターやファンキーなベース、さらにはメンバーにトランペット吹きまでいることもあり、派手でゴージャスな演奏が楽しめます。ソウルっぽいコーラスも多用されます。曲にいわゆる「イタリアらしさ」はほとんど感じませんが、歌詞がイタリア語なこともあってか、それなりにメロディアス。母音の強いイタリア語を上手にリズムに乗せていると思います。イタリアらしいイタリアン・ポップスとはいいにくいけれど、洋楽ポップスとしてはなかなかいいんじゃないでしょうか。 (BEST SOUND/POLYGRAM: 557 034-2 / イタリア盤CD?) (2006.07.22)



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RITMO TRIBALE / MANTRA (1994)
名前は以前から知っていたのだけど、音を聴いたことがなかったRitmo Tribale(リトモ・トリバーレ)。古いアルバムが安く売っていたので、買ってみました。
ヘヴィ・ロックだ。ミディアム・テンポの曲が多いですね。重くて粘っこいディストーション・ギターのリフが、なんだか懐かしいです。学生のころ、こういうギター好きだったな。ヘヴィ・メタルではなく、ロックなのが自分には好ましいです。演奏してて楽しいだろうな、こういう感じの曲。
ただ、聴いてて楽しいかというと、そうでもない。演奏はハード・ドライヴィンなロックでいいのだけど、楽曲にあまり魅力がないんですよねぇ。歌がつまらない。ヴォーカルもあんまり表現力があるように思えないし、メロディ自体も単調で平凡。だからぜんぜん印象に残りません。断片的には「おっ!?」と感じるところもあるのだけどなぁ。
そんなわけでして、だんだん聴いていて飽きてきちゃいました。ガチャガチャとうるさいだけに聴こえてきてしまった。若くて体力があった頃は、こういう音も全身で受けとめられたのだったっけなぁ。いまの自分には、ちょっとしんどいです。 (PHONOGRAM/POLYGRAM ITALIA: 518 932-2 / イタリア盤CD) (2006.01.29)



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I ROMANS / UN MOMENTO DI PIU' (2002)   alla "Musica"
 Pooh(プー)Collage(コッラージェ)、Homo Sapiens(オモ・サピエンス)などと同様の、日本ではいわゆるラヴ・ロックと呼ばれるタイプのグループのひとつです。ただ、曲のタイプとしてはPoohなどと同系統なのですが、Poohのようなドラマティックなオーケストラは入っておらず、キーボードで代用されています(お金がなかったのでしょう)。その分、スケール感が小さくなってしまうのですが、それはそれでサッパリとした感じがして、よいともいえます。使用量は多いのだけどアレンジのためあまり強い哀愁を感じさせないコーラスといい、全体的にほどよい濃さの味つけになっています。(2002.04.21)



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ROSALUNA / INCROCIO (2002)
 フィザルモニカ(アコーディオン)によるノスタルジックな「Prelude」から始まるアルバム。Rosaluna(ローザルーナ)というグループ名を聞くのははじめてですが、新人なのでしょうか。トラッドの香りを強く宿したロック/ニューウェーヴ系のグループのようです。
 たとえば1980年代のブリティッシュ・ニューウェーヴやプログレッシヴ・ロック、あるいはNWOBHMなどを聴いて育った耳には、とてもなじみやすい音楽ではないでしょうか。透明なアコースティック・ギターのストロークがミステリアスな空気を醸し出し、フィザルモニカがヨーロッパらしい哀愁を加え、抑揚の少ないヴォーカルが陰鬱な時の流れを与え、重いリズムが曲を暑くします。曲によっては女性ヴォーカルも加わり、閉じた世界のなかに淡い光を差し込ませます。
 曲の感じやタイプは違いますが、自分はこのアルバムを聴いていて、NWOBHMの頃のイギリスのロック・バンド、Diamond Head(ダイアモンド・ヘッド)のアルバム『Canterbury』や、XTC、Public Image Limited(パブリック・イメージ・リミテッド。PIL)のアルバムなどを好んで聴いていたころを思い出しました。
 基本的にニューウェーヴ風のロックが多いのですが、M5「Vigilia di festa」のアコースティック・ギターと語りや、M6「Mata e Grifone」の古い舞曲っぽいブンチャ・ブンチャというリズムなど、ヨーロッパらしい味わいもふんだんにあって楽しめます。ただ、M2「Incroci」ではマンドリンやフィドルの軽快な3連リズムにドラムがついてきていません。こういった軽やかな曲ではドラムのリズムがべたっとした感じで、曲を重くしてしまっているのが残念です。(2003.01.26)



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