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さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Sal Da Vinci / Samuele Bersani / Sandro Giacobbe / Scialpi / Sergio Borsato / Sergio Caputo / Sergio Endrigo / Simone Cristicchi / Simone Patrizi / Simone (Simone Tomassini) / Stefano Berghella / Stefano Borgia / Stefano Picchi / Stefano Piro / Stefano Rosso / Stefano Sani / Stefano Zarfati

*** canta(u)trice ***
Silvia Mezzanotte / Susanna Parigi

*** gruppo ***
i Salis / Samadhi / i Santo California / i Santoni / Schola Cantorum / 78bit / la Sintesi / Stadio / Stormy Six / Strana Societa' / Subsonica / Sugarfree / Syndone





SAL DA VINCI / UN PO' DI NOI (1996)
 サル・ダ・ヴィンチ(Sal Da Vinci)の、たぶん2nd アルバム。フォーク風、カンツォーネ風、ロック風など、いろんなタイプの曲が入ってますが、基本的にはオーソドックスなシンガーだと思います。
 メロディは美しいですが、イタリアの哀愁というよりは AOR 的な哀愁を感じます。感情表現が大袈裟ではないので、押し付けがましさや暑苦しさといったものがありません。初心者でも聴きやすいのではないでしょうか。(1998.11.03)



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I SALIS / SA VIDA ITA EST (1971)
 多少アート・ロック風味、サイケ風味のある、70年代初頭のポップ・ロックといった感じ。ところどころトラフィック(Traffic)に似た感じも受けます。曲調はそれほどイタリアぽさが強くないのですが、少しかすれたイタリア語ヴォーカルは非常にイタリア的です。今となっては、さすがに古臭く聞こえてしまいますが、ブリティッシュとイタリアン、ポップスとプログレの間に位置する音楽は、自分としては懐かしくもあるし、今でも楽しめる要素があります。いわゆるイタリアン・ポップスやプログレのファンよりも、70年代初頭のブリティッシュ・ポップやサイケ、アート・ロックのファンのほうが、なじみやすいかもしれません。(1999.02.28)

SALIS / DOPO IL BUIO LA LUCE (1978)
 いまとなってはオールド・ファッションドなインストゥルメンタル・シンフォニック・ロックが中心。ヴォーカルパートがほとんどなく、ヴォーカル・ファンの自分としてはちょっと残念です。決してうまくはありませんが、味のあるヴォーカルなので、もう少し唄ってほしかったです。
 長くプログレッシヴ・ロックを聴いてきた耳には馴染みやすいタイプの音楽かと思いますが、新しいファンをつかむのはむずかしいように思います。ところどころで演奏技術が曲に追いついていないところも残念です。
 ベースとなる曲調などは心ひかれるものがあるので、やはりもう少し唄が入っていればなと思います。(1999.02.11)



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SAMADHI / same (1974)
 一応プログレッシヴ・ロックとして知られているSamadhi(サマディ)のこのアルバムですが、プログレッシヴのファンの間での評価は、あまり高くないようです。
 たしかに、この年代の数々の名作イタリアン・プログレッシヴとくらべると、迫力、演奏力、楽曲アレンジなどにおいて見劣りがします。とくにブラスをメインにしたインストゥルメンタルの曲などは、プログレッシヴというよりは中途半端なブラス・ロックで、これだったらアメリカのChase(チェイス)や初期のChicago(シカゴ)あたりを聴いたほうがよいでしょう。また、ヴォーカル入りの曲も、メロディ・ラインがポップでプログレッシヴ・ロック的でないため、プログレッシヴのファンには受け入れられにくいのでしょう。
 ただ、このやわらかなポップ風味、暖かみのあるメロディは、ポップ・ミュージックとしては意外と魅力的ではないでしょうか。なんとなく、古いブリティッシュ・ポップスのエッセンスを上手に取り込んだオーストラリアのポップス・グループというものが存在したら、こんな感じのメロディを聴かせてくれそうに思います。
 ドラムは少しうるさいですが、アコースティック・ギターの音は素朴で、ところどころで入るフルートその他の管楽器もどこかほのぼのとしていて、個人的にはけっして嫌いではありません。どちらかというと、プログレッシヴ・ロックにこだわりのない人に聴いてもらいたいと思います。
 ただ、アルバムの最後を飾る「L'ultima spiaggia」は、プログレッシヴのファンにも納得してもらえそうな佳曲です。ちなみに、この曲のテーマ・メロディがなぜか、1996年にリリースされたカンタウトーレ、Alessandro Errico(アレッサンドロ・エッリコ)のファースト・アルバム『Il mondo dentro me』のなかにもでてくるのですが、クラシックかなにかにもとメロディがあるのでしょうか?(2001.02.18)



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SAMUELE BERSANI / same (1997)
 中部イタリアの観光地として知られているRimini(リミニ)近郊出身のSamuele Bersani(サムエーレ・ベルサーニ)。おとなしそうな兄ちゃんといった感じがジャケットから漂ってきますが、アルバムで聴ける音はその印象のままに、穏やかで優しくおとなしい感じです。
 彼は歌のほかにピアノやキーボードも演奏していますが、曲づくりでも鍵盤を使うのでしょう。鍵盤弾きらしい、なだらかで少しロマンティックな曲が多くあります。声も落ち着きを持ったもので、力強さやはじけるような感じはありませんが、その代わり、文系的な知性を感じさせます。
 曲づくりや展開、アレンジ等にフックとなるような部分が乏しく、そのためメロディがあまり耳に残らない点はウィークポイントといえるでしょう。また、歌声にもそれほど強い個性や特徴といったものがないので、それもインパクト不足の一因といえます。ただ、そういった派手さがない分、何度も聴くことで味わいが深まっていく楽しみは期待できるかもしれません。
 アルバムに収録されている「Crazy Boy」という曲には、2000年のサンレモ音楽祭優勝者のPiccola Orchestra Avion Travel(ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル)が参加し、独特なシアトリカル・ヴォーカルとエキゾティックな演奏を聴かせてくれます。個性に強いAvion Travelが参加すると、Samueleの普通さ、平凡さが一層、目立ってしまうように思います。
 SamueleAvion Travelのメンバーとは古くからの友人同士で、Avion Travelのサンレモ優勝を誰よりも喜んだのはSamueleだったそうです。その際にSamueleは「僕なんかまだ、ぜんぜん彼らにはかなわないさ」とコメントしたと伝えられていますが、このアルバムを聴く限り、適切な自己診断だと感じます。(2000.08.13)



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Sandro Giacobbe / le Piu Belle Canzoni (1990)   alla "Musica"
 サンドロ・ジャコッベ(Sandro Giacobbe) もはじめて聴いたのですが、『le Piu Belle Canzoni』というベスト盤だったせいか、多少印象がまちまちです。
 ただ、基本的にはイタリアらしい美しいメロディを、優しく暖かい声で唄う人のようです。一部の曲などは、まだオーケストラをふんだんに使っていたころのイ・プー(I Pooh)を思わせたりします。
 こんどは是非、オリジナルのアルバムを聴いてみたいですね。(1997.12.27)

SANDRO GIACOBBE / SIGNORA MIA e altri successi (1998)
 Caroselloレーベルからリリースされた、新録によるベスト盤。
 Sandro Giacobbe(サンドロ・ジァコッベ)といえば、繊細で弱々しげなヴォーカルと、はかない美しさを感じさせるメロディが、魅力のカンタウトーレですが、このCDでは、そういった面は後退しています。オーケストラがすっきりとしたキーボードに置き換えられている点も情感を少なくしている理由といえますが、それと同時に彼の声も、むかしとは少し趣を異にします。
 以前は弱々しくはかない感じが強かった彼の歌声ですが、このCDで聴かれる声には力強さがあるのです。といっても、以前の彼にくらべれば、といった程度ですが。
 また、声の質も、昔はもっとクリアな声だったと思うのですが、このCDでは少しかすれた感じになっています。なんとなく、Stefano Borgia(ステファーノ・ボルジァ)のファーストのころの声をもっとマイルドにしたら、こんな感じになるのかもと思いました。
 それらの点で、Sandroならではの個性は薄れて、平均的なカンタウトーレといった印象に近づいているように思いますが、それでも彼の曲の持つメロディの美しさ自体は失われません。明るく軽やかな曲が多いため、全体としての哀愁身はあまり強くありませんが、そんななかでも「Signora mia」「Il giardino proibito」などの古い名曲には、イタリアン叙情派カンタウトーレならではの味わいがあります。
 最近の若いシンガーに「イタリアらしさ」を感じることがだんだん難しくなっている現在の状況下で、昔ながらの「イタリアらしいポップス」を聴きたい人には安心して楽しめるCDだと思います。(2000.12.17)



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I SANTO CALIFORNIA / TORNERO' (1997)
 1970年代のイタリアに腐るほどあったといわれる、大甘なメロディのラヴ・ソングを演奏するポップス・グループのひとつ。
 この種のグループのナンバーワンはやはり、いまも現役で活動中のPooh(プー)でしょう。このi Santo California(イ・サント・カリフォルニア)もいいメロディを持っていますが、当時のPoohとくらべてもやはり、楽曲も演奏も、ダイナミズムに欠けます。
 とはいえ、けっしてクオリティが低いとか、曲や演奏が悪いというわけではありません。Santo Californiaに限らず、Collage(コッラージェ)Homo Sapiens(オモ・サピエンス)などもそうですが、多少こじんまりとはしているものの、いかにも70年代イタリアらしい濃密な美しさが感じられるグループです。
 このCDは多分、彼らのベスト盤でしょう。収録されているのがオリジナル録音なのか、それとも新録なのかはわかりませんが、少なくとも何曲かは、ちょっと時代を感じさせるキーボードや音づくり、それにチープなオーケストラなどが入っているので、オリジナル音源ではないかと思います。
 ひたすらメロディアスで、やさしく、やわらかく、甘く、ときに少し切ない曲想は、人によって好き嫌いがあるでしょうが、自分は素直に「好き」といってしまいましょう。なんだかんだいってもイタリアのアモーレなメロディに自分は弱いんです。
 ちなみにこのCD、Delta Musicというレーベルから出ているドイツ製のものなのですが、マスターテープが延びていたのか、それとも録音中の電圧が安定しないでモーターの回転が一定しなかったのか、数曲でかなり気持ちの悪い音揺れ、回転ムラがあります。それがとても残念です。(2000.12.17)



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I SANTONI / NOI (1972)
ハモンド・オルガンのちょっとくすんだ音が懐かしい感じです。いわゆるオルガン・ロックで、ハードなフルートも入り、いかにも当時のイタリアン・ロック風。ドタバタした感じもイタリアぽくて、個人的には好ましいです。一方でM3「Forse un sogno」では落ち着いた気品を見せ、どことなくProcol Harum(プロコル・ハルム)を思い出しました。
ロックとポップスのあいだあたりにある音楽性で、そこに少しプログレッシヴな味付けがあります。I camaleonti(イ・カマレオンティ)Delirium(デリリウム)、あるいはJethro Tull(ジェスロ・タル)あたりにも通じるところがあるかもしれません。
フルートの導入比率が高いのですが、Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)のようにきれいにならすのではなく、どちらかといえばツバ飛ばし系です。M4「Continuare dimenticando」やM5「La terra del sole」などではサキソフォンも入り、少しだけOsanna(オザンナ)King Crimson(キング・クリムゾン)風味も見せます。
演奏力は高くないし、曲自体にも取り立てて印象的なものはないのですが、1970年代イタリアンの熱い音楽の一部が収録されたアルバムにはまちがいありません。そして自分は、こういったアルバムを嫌いになれないんです。力強いヴォーカルも、表現力は弱いのだけど、やっぱり好ましく聴こえてしまいます。(2003.07.20)



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SCHOLA CANTORUM / LE TRE CAMPANE (1975)   alla "Musica"
 曲や展開に合わせてメイン・ヴォーカルを女性が取ったり男性がとったりすること、コーラスも男性と女性の混声になっていること、そしてそのコーラスが歌メロに対するハーモニーや対位旋律をとるだけでなくオーケストレーション的な役割も果たすことが多いことなどが、彼らの個性を他のコーラス系ソフト・ロック・グループから際立たせています。多くの曲で大胆なコーラスが導入され、やわらかなオーケストラとあいまって、曲に厚みを与えています。といっても重苦しいことはなく、どことなくフラワーな感じ、ラブ&ピースな感じがするところが好ましいです。(2002.12.01)

SCHOLA CANTORUM / GLI ANNI D'ORO (1997)   alla "Musica"
 1970年代中頃に活動をしていた男女混合のコーラス・グループ、Schola Cantorum(スコラ・カントルム)のオリジナル音源を集めたベスト盤。Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチャンテ)Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)などによる有名な曲のカバーで構成されています。
 美しく、どこか神聖にさえ聞こえるコーラスワークが魅力のグループのようです。(1999.05.08)

SCHOLA CANTORUM / IL MEGLIO (1997)
 新録によるベスト盤です。オリジナル録音とくらべると、オーケストレーションにしろコーラスにしろ、圧倒的に薄っぺらくなっています。分厚い、声楽曲的な混声コーラスが大きな魅力のグループだっただけに、デジタリックなキーボード・サウンドが中心になってしまったアレンジは非常に残念です。ある意味、ありきたりな普通のポップスになってしまったように感じます。
 とはいえ、それぞれの曲の持つメロディの美しさは変わりません。Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)の曲など、いくつかのカバー曲が収録されていますが、どれも名曲ばかりです。
 ところで、メイン・ヴォーカルのAlberto Cheli(アルベルト・ケリ)の声って、Procol Harum(プロコル・ハルム)のヴォーカリスト、Gary Brooker(ゲイリー・ブルッカー)の声を少し高く、細くしたらこんな感じになるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。(1999.07.03)

SCHOLA CANTORUM / SCHOLA CANTORUM (2003)   alla "Musica"
いわゆるベスト盤なんですが、すべて新録されています。厚みとあたたかみのあるキーボード・オーケストレーションが、オリジナルの生オーケストラとは違った情感を上手に表現してて、新録ベストものにありがちな「がっかり感」はありません。1997年のD.V.MORE Recordsからの新録ベスト盤は、楽器の音色やアレンジなどの面で、かなりがっかりしたものでしたが、今回は違います。それに、D.V.のときはSchola Cantorum(スコラ・カントルム)名義にはなっていても、実際にはAlberto Cheli(アルベルト・ケリ)のソロ作品みたいな感じでしたが、今回のアルバムでは女性1人を含んだ4人が正式メンバー扱いのようで、Schola Cantorumならではの混声コーラスワークや声質の異なる複数のメイン・ヴォーカルが楽しめます。現代的なすっきり感と、ちょっとゴージャスな感じがあって、でもオリジナルの持っていた感じをそれほど壊さず、上手に今風にしてあると思います。個人的にこれは当たりでした。 (ROSSO DI SERA RECORDS/DELTA DISCHI: RDS 2003-1 / イタリア盤CD) (2004.05.09)



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78bit / CONTRO LA NOIA (2002)
 2002年のサンレモ音楽祭に新人の部で参加した78bit(セッタンタオット・ビット)。サンレモ参加曲の「Fotografia」もそうでしたが、古いブリティッシュ・ポップ風の、どこかノスタルジックな曲調が魅力的です。タイプとしてはLunapop(ルナポップ)に似ているといえるでしょうか。
 派手ではないけれど、なだらかで美しいメロディと素朴なヴォーカルに、ちょっとザリザリしたギターや、あまり厚みのないキーボードがかぶさり、ちょっとチープな音なんだけど楽しいポップ・ロックが聴けます。
 M4のサンレモ参加曲「Fotografia」は古いラジオから聴こえてくるLPレコードのような音で始まり、やわらかなオーケストレーションが情感を高めるミディアム・テンポのノスタルジックなポップス。こういった曲調は1990年代の終わりころに日本でもはやったように思うし、やはりこういった印象を持ったLunapopのデヴューが1999年だから、78bitはちょっと遅いというか、少しばかり「いまさら?」感もあるのですが、そういった流行り廃りとは関係なく、やはり耳になじんでしまいます。
 一方、M5「Piangono i dee jay」などは元気で明るいポップ・ロックになっていて、最近の883(オット・オット・トレ)などに通じるところもありそうです。
 アップ・テンポな曲にしろ、スローな曲にしろ、彼らの曲のよさは、メジャー・キーでつくられる楽曲のなかにあるノスタルジーと哀愁だと思います。その意味では、マイナー・キーでつくられたM7「Chiara si spara」は少し魅力度が低いです。出だしのメロディもEarth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイア)「Fantasy」みたいだし。
 このアルバムはデヴュー・ミニ・アルバムですが、次はフル・レングスのアルバムでどれだけ成長した姿を見せてくれるだろうかと、楽しみに感じさせるグループです。(2002.08.31)



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LA SINTESI / UN CURIOSO CASO (2002)
2002年のサンレモ音楽祭新人部門に参加したグループ。やわらかなメロディを持ったソフトなロックが持ち味のようです。サンレモ参加曲のM2「Ho mangiato la mia ragazza」(彼女を食べちゃった???)はちょっと気の抜けたキーボードのフレーズと少しだけノスタルジックなメロディ、それにオーケストレーションがほどよい哀愁を漂わせるバラードでしたが、他の曲はもう少しストレートで軽やかな感じです。
キーボードのフレーズやギターのカッティングなどに工夫はありますが、ドラムを中心としたリズム隊のアレンジが単調かな。流れるような素直なメロディは美しくて好感が持てます。ただ、あまりに素直すぎて、もう少しなにかひねりがほしい部分もあります。
全体に1980年代から90年代くらいのブリティッシュ・ポップス、ニューロマンティックがはやったころのエレ・ポップなどのテイストがあるような気がします。あそこまでゴージャスな感じではないけれど。
おおまかにいってしまえば最近イタリアではやり(?)のノスタルジック系・せつな系ポップ・ロックを演奏するグループなのでしょうが、こういった音楽がいっぱい出てきているなかでは、ちょっと個性が弱いですね。けして悪くはないのだけど、もう少し突き抜けたものがほしいと思います。
歌メロについても、ひとつひとつのフレーズは悪くないのだけど、1曲のなかでの組み合わせや流れに魅力が薄いんですよ。もう少し、曲としての構成力、歌メロのアレンジ力がついてくると、もっとよくなりそうに思います。
まぁ、今後に期待といったところでしょうか。 (NOYS/COLUMBIA/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: COL507546 2 / イタリア盤CD) (2004.07.25)



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SCIALPI / TRASPARENTE (1990)   alla "Musica"
 Scialpi(シャルピ)は自分でも曲を書くようですが、その作品は、ヴォーカル・スタイルも含めて、カンタウトーレというよりは、いわゆるポップ・ミュージック、さらにいえば歌謡曲に近いと思います。あまり声量はありませんが、甘めで聴きやすい声、やわらかく美しい流れを持った歌メロは魅力的です。
 ただ、イタリアンというよりも英米のポップ・バラード的な要素が強く、展開や構成も、イタリアならではのダイナミックさがありませんし、ヴォーカリストとしても、表情のつけ方やドラマ表現があまりうまくありません。たとえばMango(マンゴ)をずっと平凡にしたらこんな感じになるかと思うのですが、ときどき垣間見せる「イタリアン・ポップスらしい」要素のために、なんとなく楽しめてしまいます。(2001.02.18)



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SERGIO BORSATO / LA STRADA BIANCA (2004)   alla "Musica"
未舗装の砂利道の上に立つブルー・ジーンズに革靴の男の足だけと、その足の横に立てて置かれているブラウン・サンバースト(しかも虎目!)のアコースティック・ギターの写真がジャケットになっているのだけを見ても、このアルバムがどういったジャンル・タイプの音楽か想像できそうですが、まさにそのままの感じでした。アコースティック・ギターのストロークを中心にした弾き語り風のフォーク・ミュージックに、フィザルモニカ(アコーディオン)やフィドル(ヴァイオリン)、ハーモニカなどが彩と、ときに哀愁を添えます。少し枯れた声質の落ち着いたヴォーカルもいい味を出していて、たとえばFrancesco Guccini(フランチェスコ・グッチーニ)だとかLuigi Grechi(ルイジ・グレキ)などに通じるところもあると思います。彼らの音楽、とくに少し古いものが好きなら、Sergioのこのアルバムも楽しめるのではないでしょうか。 (DAIGOMUSIC ITALIA/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: DAI 519415 2 / イタリア盤CD) (2006.02.05)



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SERGIO CAPUTO / EFFETI PERSONALI (1986)
 ソフトでムーディなオーケストレーション入りのスローナンバーで始まるアルバム。続く曲は一転して軽やかなジャズ・ポップスになり、以後は基本的にジャズ・ヴォーカル風な曲が続きます。これがSergio Caputo(セルジォ・カプート)の持ち味なのでしょう。
 ジャズ風味のポップスを歌うシンガーはイタリアにも何人もいますが、たとえばPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)のように地中海や南イタリアの匂いをジャズ風味のなかに効果的に活かすとか、Paolo Conte(パオロ・コンテ)Vinicio Capossela(ヴィニチォ・カポッセラ)のようにヨーロッパ的でクールさを持ったジャズを聴かせるのとは違い、Sergioの曲にはほとんどイタリアやヨーロッパの匂いがしません。ときにイタリア語で歌われている歌詞さえ英語に聞こえてしまいそうなくらい、アメリカのコンテンポラリー・ジャズ的というか、そんな印象がある。
 アレンジは、初期のClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)のアルバムなどでよく知られるToto Torquati(トト・トルクァーティ)。だらかといって、Claudioのアルバムとも、またTotoのソロ・アルバムとも、類似性のようなものは見つけられません。
 そんななかでM9「Flamenco Amorespia」は曲名どおり、スパニッシュで南欧的なエキゾティズムがあり、ちょっとしたアクセントになっています。
 全体的には、明るい陽射しが似合いそうなアダルト・コンテンポラリー・ミュージックといったところでしょうか。(2002.07.21)



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SERGIO ENDRIGO / NELLE MIE NOTTI - All the Best (1996)
 Sergio Endrigo(セルジォ・エンドリゴ)は1960年代から70年代にかけて主に活動していたカンタウトーレで、古くからイタリアン・ポップスを聴いている人には懐かしい名前なのだろうと思います。最近はニュース等で名前を見かけることがほとんどないように思いますが、いまも活動を続けているのでしょうか?
 このCDはBMGレーベルのベスト盤シリーズ「All the Best」の1枚としてリリースされました。収録されているのはたぶん、再録ではなく、オリジナル音源なのだろうと思います。つややかな生のストリングス・オーケストラがふんだんに使われています。
 Sergioは自分で曲を書くので、そういう意味では間違いなくカンタウトーレなのですが、歌われる曲は1970年代以降(というか、Lucio Battisti以降でしょうか?)の「新しいイタリアン・ポップス/フォーク・ミュージック」ではなく、それ以前のいわゆるカンツォーネ、あるいはイタリア歌謡に近いもの。作曲、演奏、歌唱ともに現代のポップ・ミュージックのような技巧はなく、その分メロディや歌声が素直に届きます。音楽が、旋律と和声、リズムのバランスのよい集合体で、年零層にあまり関係なく多くの人が音楽に思いを寄せ、歌声とメロディに酔い、楽しみ、愛していた「幸せな時代」を感じさせます。メロディアスでロマンティックな曲が多く、イタリアらしいメロディがたくさんあります。
 ちょっと収録曲数が多すぎ(CDになってからの悪い習慣だと思います)で、CD全体を通して聴くのは少しダレてしまうところもありますが、「メロディの国イタリア」を存分に感じさせてくれる盤です。(2001.05.20)



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SIMONE CRISTICCHI / FABBRICANTE DI CANZONI (2006)   alla "Musica"
2006年のサンレモ音楽祭でAnna Oxa(アンナ・オクサ)とはまた別の方向に強い個性を振りまいていた新人カンタウトーレのデビュー・アルバムです。奇妙なルックスに気をとられがちですが、曲も非常に個性的で、サンレモ参加時からとても気になっていました。サンレモ参加曲のM1「Che bella gente」はアコーディオンやマンドリンを導入し、古いユーロ・ミュージック的哀愁が感じられます。最近のイタリアン・ポップスにはなかなか聴けない個性的な曲で、今後に非常に期待が持てます。こういった、少し古いユーロ・ミュージックのような妖しく切ない哀愁は、彼の持ち味のひとつのようです。少し丸い感じのやわらかな声も個性的で、不思議な感覚を持ったこの曲との相性もバッチリ。他の曲も全体的に独特の個性と構成・アレンジを持った曲が多く、自分の好みからすると非常に好ましいアルバムです。トータルとしてとても楽しめたし、今後も楽しみなカンタウトーレです。ところどころで歌声が一瞬、Tito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)風に聴こえるところも自分にとってはポイントが高いです。 (SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT: 82876806842 / EU盤CD) (2007.05.27)



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SIMONE PATRIZI / PICCOLI SEGNI (2002)
 落ち着いたヴォーカル、クリアな音づくりの演奏、おだやかな哀愁 ―― あたたかい美しさに包まれたSimone Patrizi(シモーネ・パトリツィ)の、おそらくデヴュー・アルバムです。
 M3の「Se poi mi chiami」は2002年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲です。これはこれでまずまずの曲なのだけど、アルバムの他の曲も同傾向の曲ばかりなので、1枚を通して聴いていると少しばかり退屈です。こういった曲調は流行なのかもしれません。同じ年のGianluca Grignani(ジァンルーカ・グリニャーニ)Marco Morandi(マルコ・モランディ)の参加曲も、似たような感じだった気がします。
 メロディは美しいし、曲の構成も悪くはないのだけど、あっさりとしていて、あまり思い入れが感じられません。その分、むかしのイタリアン・ポップスよりも、ある意味では聴きやすいのかもしれませんが、濃いイタリアン・ポップスを聴いてきた耳にはやはり、ちょっとものたりなく響きます。
 それにSimoneの場合、最近の若いシンガーにしては珍しく詞も曲も自分では書かないようで、収録されている曲はすべてFrancesco Fiumara(フランチェスコ・フィウマーラ)という人の作詞作曲です。このFrancescoSimoneが同一人物とは名前から考えにくいので、やはりSimoneはカンタウトーレ(シンガー・ソングライター)ではなく、他人のつくった曲を歌うだけの、最近ではめずらしいカンタトーレ(シンガー)なのでしょう。自分で曲を書いていないから余計に、曲に対する思い入れがヴォーカルから感じられないのかもしれません。
 とはいえ、やわらかな陽射しの感じられるやさしいフォーク・ロック風の作品で、BGM的に聴くにはほどよい濃さです。ただ、どの曲も同じに聴こえてしまうところがちょっとつらいところ。ヴォーカルのSimoneも、作曲家のFrancescoも、ともにもっと精進してほしいです。(2002.06.22)



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SIMONE / GIORNI (2004)
2004年のサンレモ音楽祭に参加したSimoneことSimone Tomassini(シモーネ・トマッシーニ)のアルバムです。これがデビュー作かな。
う〜ん、普通だ。いわゆるロック・シンガー系の作品なのだけど、これといって特徴がありません。サンレモ参加曲のM2「E' stato tanto tempo fa」やバラードのM7「Ci sara' il sole」などはいくらか魅力的なメロディを持ってもいるのだけど、全体的に歌メロの魅力が薄いですね。あと、アレンジもとくにひねりがなく、平凡。「Ci sara' il sole」なんて、もっとドラマティックに、もっと厚みと奥行きのあるアレンジになっていたら、もっと魅力的なバラードに聞こえただろうに。
「E' stato tanto tempo fa」の出だしの歌メロや、続くM3「Sorridendo」のイントロのギターは、なんかむかしのU2を思い出させますが、全体の印象としてはむかしのGianluca Grignani(ジァンルカ・グリッニャーニ)を薄く小粒にした感じ?
彼は自分で詩も書き曲も書き歌も歌うカンタウトーレですが、そのどれもが「そこそこいい」レベル。どこかで突き抜けて、Simoneならではの魅力といったものを手に入れないと、このままではきついだろうな。いいアレンジャーといいプロデューサーに恵まれて、作詞・作曲能力およびヴォーカルの味わいについての指導や影響を受けて、伸びてくれるといいのだけど。
悪くはないのだけど、「これはいい!」といえる決め手に欠ける平凡な若手ロック・シンガーのアルバムといった感じでした。 (MAKNO MUSIC / EMI MUSIC ITALY: 5714112 / EU盤CD) (2005.04.03)



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STADIO / LA FACCIA DELLE DONNE (1984)   alla "Musica"
いきなりコズミックな印象すら漂わせるエレ・ポップな演奏が聞こえてきて、思わずアルバムを間違えたかと思いました。演奏が非常にうまい、まるでアメリカのグループのような、輪郭がはっきりとしていてカチッと締まった演奏を聴かせてくれるグループなので、エレ・ポップ風の曲も非常にシャープな印象です。演奏はシャープで締まった感じなのですが、ひび割れた声のヴォーカルは非常にパッショネイトで哀愁に満ちていて、すごくイタリアくさい。このヴォーカルの個性は大きな魅力です。 (RCA ITALIANA/BMG RICORDI: 82876624322(1) / EU盤CD) (2006.03.21)

STADIO / STABILIAMO UN CONTATTO (1992)
 たまたま友人に聴かせてもらったバラードが極上だったので、取り合えず1枚、アルバムを買ってみました。
 唄いかたがちょっとグラハム・ボネット(Graham Bonnet)に似てるようにも思いますが、イタリアらしいしわがれ声ヴォーカルは、非常に味があります。演奏には乾いた華やかさがあり、どちらかというとアメリカのグループを思わせます。クリアでタイトなリズム、軽やかな展開を持った曲想は、同じ「美しい音楽」でも、イタリア的なロマンティシズムとは多少、違った方法論を持っているように感じます。
 非常に演奏技術の高いグループですが、かといって演奏面のみを誇示するのではなく、ヴォーカルも含めたトータルな楽曲としてのレヴェルの高さが感じられ、魅力的です。(1999.02.11)



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STORMY SIX / MACCHINA MACCHERONICA (1979)   alla "Musica"
 ジャズ風というか、フリーフォーム風というか、前衛風というか、レコメン系ぽい演奏が多く収められていて、なかなか一筋縄では楽しみにくい、素直に音楽を聴いて楽しませてはくれないような部分があります。ただ、ところどころで聴かれるクラリネットやヴァイオリンの人懐こいフレーズや、ちょっと間の抜けたような微笑ましさがあるヴォーカルに、どことなくカンタベリー・ミュージックにも通じるような、心地よいひねくれ加減があるポピュラー・ミュージックを感じます。前衛的でありながらも、根底にどこかユーモラスであたたかいものが流れているような印象があり、また音の断片の合間に「歌」が感じられるのが、やはりイタリアなのでしょう。(2001.11.18)



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STEFANO BERGHELLA / C.R.I.S.A.L.I.D.E. (1999)   alla "Musica"
 タイプとしては現代のカンタウトーレらしい、いくぶんロック風味を感じさせる、クリアで乾いた空気を持ったものなのですが、そのなかにどこか内省的で、もうひとつ上手に自分を表現できない、一所懸命に社会に溶け込もうとしているのに溶け込めきれない、そんな寂しさ、哀しさを感じてしまいます。(2000.06.17)



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STEFANO BORGIA / la Terra, il Mare, il Cielo (1995)   alla "Musica"
 ステファーノ・ボルジア(Stefano Borgia) の1st アルバム。Baglioni のような、Minghi のような、Ramazzotti のような、良質のイタリアン・ポップス全開です(^^)。(1997.11.16)

FLAVIA FORTUNATO & STEFANO BORGIA / FLAVIA FORTUNATO & STEFANO BORGIA (1996)   alla "Musica"
 D.V.More Recordからリリースされた、なんだかよくわからないCDです。Flavia Fortunato(フラヴィア・フォルチュナート)という人のことはぜんぜん知らないのですが、たぶんStefano Borgia(ステファーノ・ボルジァ)と同じころにD.V.MoreからCDを出しているのでしょう。なんとなく思いつきでふたりの曲を半分ずつ1枚のCDに収録しただけという気がします。
 全12曲収録のうちFlaviaのほうの6曲は、打ち込みを中心にしたひと昔前のデジタリックな演奏に、そこそこに綺麗な声でそこそこに歌もうまい、平凡な女性ポップスです。Stefanoのパートは『La terra, il mare, il cielo』からの曲が大半ですが、2曲だけアルバム未収録曲があります。どちらかというとStefanoのコアなファン向けの、マニアックなCDといえるでしょう。(2001.08.19)

STEFANO BORGIA / CON CHI LO GUARDI QUESTO CIELO (1998)
 ステファーノ・ボルジア(Stefano Borgia)の2枚目になると思うのですが、3枚目かもしれません(確認が取れません)。
 なんか、前より声が悪くなった気がします。もともとダミ声ではあったけど、もう少し伸びがなかったかな。曲調は今までどおりのカンタウトーレらしいもので、最近はやりのザリザリした音になることもなく、適度にポップ、適度にフォークで、哀愁味も忘れられていません。アルバムとしても、それぞれのテイストがバランスよく配置されていて、聴きやすいものになっています。
 あいかわらずちょっと小粒な感じはしますが、イタリアらしいメロディを持った、よいカンタウトーレだと思います。自分は好きです。(1999.04.04)



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STEFANO PICCHI / PENSIERI SOSPESI (2005)   alla "Musica"
2004年のサンレモ音楽祭新人部門に参加したStefano Picchi(ステーファノ・ピッキ)のファースト・アルバムが、音楽祭参加から1年経ってやっとリリースされました。下積み期間がけっこうあったからか、アレンジも含め、丁寧な曲づくりと演奏がされています。彼はピアノ弾きですが、アルバムではキーボードよりもギターの音の美しさが印象に残ります。ちょっと高めの、どこかにひっかかるような少しクセのある歌声は、初期のころのEros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)に感じが似ているかもしれません。こういった、多少なりとも個性を感じさせる歌声は、とても好ましく感じます。 (EXTREMA/HALIDON: H30902 / イタリア盤CD?) (2006.07.22)



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STEFANO PIRO / NOTTURNO ROZZ (2006)   alla "Musica"
2000年のサンレモ音楽祭新人部門に参加して批評家賞を受賞したLythium(リチウム)のリーダーでヴォーカリストだったStefano Piro(ステファノ・ピロ)のデビュー作。Lythiumのサンレモ参加曲「Noel」Piccola Orchestra Avion Travel(ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル)を思わせるような、ちょっとアーティスティックで妖しい魅力を漂わせたラテン/タンゴ・テイストのあるロックといった感じだったと記憶しています。そういった音楽性はリーダーであったStefanoの持ち味だったのか、Stefanoのこのアルバムも、ロックのような、ジャズのような、ラテンのような、タンゴのような、フォークのような、妖しくもアーティスティックなテイストにあふれています。 (WARNER CHAPPELL MUSIC ITALIANA / DELTA DISCHI: STE1 / イタリア盤CD) (2007.12.16)



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STEFANO ROSSO / UNA STORIA DISONESTA (1976)
Stefano Rosso(ステーファノ・ロッソ)の1976年のアルバムです。ジャケットに写ってる、ひげもじゃでタバコをくわえ、つばつきの帽子をかぶったちょっとワイルドな感じのおじさんがStefanoなのでしょうか? このジャケット、表側は帽子のすぐ下、目のところで写真が切れてますが、その続きは裏ジャケット側に上下さかさまに印刷されてます。再発CDでは横開きなので意味不明な写真になっちゃいますが、おそらくオリジナルのLPはタテにジャケットが開いて、表裏の写真が一続きになるかたちだったんだろうな。むかしはそんなようなデザインのLPジャケットって、けっこうありましたよね。
この人のことを自分は知らないのですが、曲の感じからすると、たぶんナポリとかの南イタリア出身なんでしょう。おだやかで素朴な歌声を持っています。アコースティック・ギターを中心に、マンドリンのトレモロやストリングス、ハーモニカなども響き、南イタリアらしい、地中海のきらきらした明るさと暖かさを思わせるような、フォーク・タッチでナポレターナ風の曲が収録されてます。
曲も歌も、それほど個性が強くなく、いってしまえば十人並みな感じではあります。ジャケット写真では、白黒写真の帽子のつばの上に、背中を包丁で刺されて死んでいる男性がカラーイラストで書かれているんですが、このショッキング(?)なジャケットとはあまりイメージが合いません。普通に1970年代の南イタリアン・ポップスといった感じです。でも、普通だからこそ、安心して聴けるともいえるんですよね。 (RCA ITALIANA/BMG ITALY: 74321952332 / イタリア盤CD) (2004.07.25)



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STEFANO SANI / PER UN MINUTO DI POESIA (1997)
 曲にも歌にもこれといった特徴のない、どうといったことのない平均的なシンガー。だけど、平均的ながらもイタリアらしいツボは押さえてあり、これはこれで心地よかったりします。
 やわらかく軽やかな曲は、哀愁度は薄いけれど、英米とは違った美しさを持っていて、やはりイタリアです。たとえばRiccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)を思いっきり薄味にしたら、こんな感じになるかもしれません(ならないかもしれないけど)。
 聴かないとソンをするといったことはありませんが、聴いたらソンをするわけでもありません。たくさんの名盤のあいだにそっと混ぜておいて、ときどき息抜きに聴きたいような、そんなアルバムです。(1999.09.12)



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STEFANO ZARFATI / TUTTI I DESIDERI (1996)
 ブックレットの曲目一覧のページにある、斜めから写っている彼の写真が、吉本興業の藤井隆に似ていて、ちょっと気になってしまうのだけど、曲はいいです。
 ほんの少しだけかすれた声は、ほのかに枯れた哀愁を感じさせます。曲想的には明るく軽やかな感じのものが多いのですが、決して能天気になることなく、イタリアらしいメロディ、そこはかとなくウェットな感触がふんだんにあります。また、アコースティック・ギターの音が非常にふくよかで、楽器の音づくりにも神経を使ったのであろうと感じさせます。
 1970年代イタリアのような濃ゆいイタリアらしさはさすがにありませんが、かといって最近の若手ほどメンタル面が希薄というわけでもなく、今風のポップさと伝統的なイタリアらしさがバランスよく溶け合っているのではないかと思います。
 他のアルバムも聴いてみたくなりました。(1999.10.11)



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SILVIA MEZZANOTTE / IL VIAGGIO (2006)   alla "Musica"
Matia Bazar(マティア・バザール)の三代目歌姫だったSilvia Mezzanotte(シルヴィア・メッツァノッテ)の、待望のソロ・デビュー・アルバムです。どうしてもAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)と比較されてしまうことから逃れられないMatia Bazarの歌姫という立場をはずれたこともあってか、のびのびとリラックスして歌っているのが感じられ、聴いていて気持ちのいいアルバムだと思います。 (MUVIREC / EDEL: 0172722ERE / EU盤CD) (2007.09.09)



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SUSANNA PARIGI / SUSANNA PARIGI (1995)
サード・アルバムの『In differenze』が日本のイタリアン・ポップス・ファンの多くに高い支持を得たSusanna Parigi(スザンナ・パリージ)の、デビュー・アルバムのようです。中古盤屋で安く売ってるのを見つけました。イタリア・リリースのオリジナルはデジパック仕様だったらしいですが、手に入れたのは日本盤で、普通のプラスティック・ケースにびろびろと伸びるライナーがついてました。曲順とかがオリジナルとは違うらしい。
なんていうか、安心して聴ける、とてもイタリアらしいポップスですね。「In punta di piedi」「Donne d'amore」などにはカンツォーネ〜Laura Pausini(ラウラ・パウジーニ)系ストレート・イタリアン・ポップスの匂いがぷんぷんします。でも、そういった曲ばかりというわけではなく、どの曲だったか忘れちゃったけど(「Selina」だったかなぁ)、フレンチ・ポップスを思わせるようなふわふわした浮遊感を持っているものもあったりで、飽きさせません。
サビに大きなメロディを持ってきて、力強く、ドラマティックに盛り上げるというスタイルは、個人的に大好物。また、そういったメロディや構成を歌いきるだけの歌声をSusannaは持っています。デビュー作ということもあってか、ところどころ少し声が緊張気味というか、のびのびと出し切れていないと感じる部分もあるのですが、それでもこれだけ歌えれば充分。『In differenze』ではAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)を思わせるスーパーな歌唱が随所にありましたが、このデビュー作でも、まだかなりおとなしめではあるものの、その片鱗をうかがえます。伸びやかに、力強く、エモーショナルに歌ってくれます。(MIAO / AVANZ RECORDS: SP/CR-31001 / 日本盤CD) (2005.10.10)



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STRANA SOCIETA' / TRIFASE (1992)
 ストラーナ・ソチエタ(Strana Societa')は女性ヴォーカルがメインのポップ・グループ。以前はウンベルト・トッツィ(Umberto Tozzi)が在籍してたこともあるそうです。
 美しく流れるようなメロディがなかなかよいですが、意外と都会風に洗練されたところもあります。インスト曲もあります。
 アルバムは全体が3つのパートに分かれているのですが、2番目のパートはどうやら昔の曲の再録らしいです。ここに収録されている「Pop Corn」という曲は、けっこう有名らしいんですが、自分は知りませんでした。(1998.11.03)



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SUBSONICA / SUBSONICA (1997)
アルバム・デビューは1997年で、これまでにライヴ盤を含めて5枚のアルバムをリリースしているSubsonica(スブソニカ)。そろそろ“若手”ではなく“中堅グループ”になってきた感じがしますね。イタリア本国でも確実にファンをつかみ、アルバムがリリースされるとちゃんとチャートの上位に入ってくるようですし。
ラウドでブンブンいうベースが印象的なロックで、そこにきらびやかなエレ・ポップ風味がまぶされたり、ダンス・ビートやレゲエ風のギター・カッティング、ラップ風のヴォーカルが顔を出したりと、いろいろな音と表情を持ったグループだと思います。このアルバム(デビュー作のようです)ではゲストにヴァイオリニストやチェリストも迎えられていて、時にクラシカルな雰囲気も感じられます。
ジャンルとしては、Bluvertigo(ブルヴェルティゴ)などと同系統でくくられるのかな。こういった音楽は、学生だったころは好んで聴いたこともありましたが、いまの自分はあまり好んでも求めてもいない音。とはいえ人気グループですし、1枚くらいは聴いておきたいなと思い購入したのですが、とりあえず1枚聴いたからいいか、といった感じです。悪くはないけれど、自分の好みからすると、ヴォーカルや演奏がもう少しメロディアスな音楽のほうが好きかなぁ。どちらかというとBluvertigoのほうが印象に残る気がしました。 (MESCAL/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: 508 829 2 / イタリア盤CD) (2006.01.29)



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SUGARFREE / CLEPTO-MANIE (2006)   alla "Musica"
2006年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Solo lei mi da'」を聴いて、彼らも最近多い、ブリティッシュの雰囲気を漂わせたノスタルジックなポップ・ロック系、たとえばModa'(モダー)などと似たタイプかなと思ったのですが、そのとおりでした。グループの結成は2000年で、もともとは50年代のロックン・ロールやリズム&ブルースのカバー・バンドとしてスタートしたそうですが、さすがにそこまで古い雰囲気はないものの、随所に古き良き時代のブリティッシュ・ポップ・ロックを思い出させるメロディやアレンジがあります。 (ATLANTIC / WANER MUSIC ITALIA: 5051011271427 / EU盤CD) (2008.04.20)



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SYNDONE / INCA (1993)   alla "Musica"
 キーボード奏者2人とドラム、ベースによる、キーボード・メインのプログレッシヴ・ロックです。古代インカ帝国をテーマに、ところどころオリエンタルな雰囲気を漂わせつつ、きらびやかでテクニカルなキーボード・プログレッシヴ・ロックを展開しています。(2001.01.21)



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