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SPAIN


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Alameda / Eduardo Bort / Itoiz / Lluis Llach / Medina Azahara / Peio Serbielle / Tarantula




ALAMEDA / MISTERIOSO MANANTIAL (1980)   alla "Musica"
 非常にスパニッシュ・テイストの強いグループです。典型的なスパニッシュ・ギター、フラメンコ独特のヴォーカル・ラインなど、多くの日本人が想像するであろう“スペインのポップ・ロック”がここにあります。
 ガット・ギター以外にエレクトリック・ギターも積極的に使った演奏は洗練されていますが、スパニッシュな雰囲気を強く残しているので、入門向けとしても聴きやすいかもしれません。ヴォーカルも非常にスパニッシュ色が強いですが、唄自体は本場のフラメンコほどアクが強くなく、パワフルでもないので、その点でもポップス/ロックのファンに馴染みやすいでしょう。(2000.11.12)



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EDUARDO BORT / EDUARDO BORT (1974)
スペインのギタリスト/コンポーザー、Eduardo Bort(エデュアルド・ボルト)のファースト・アルバム。メロトロン入りの作品として、古くからプログレ・ファンのあいだで知られてますね。実際、アルバムの後半(LPのB面)ではぶわぁーっと鳴り響くメロトロンが堪能できたりしますが、自分としては「だから、どうだ?」という感じもあります。King Crimson(キング・クリムゾン)をはじめとしたイギリスのグループなどにくらべると、メロトロンの使い方が野暮ったいし、無理やりメロトロンな感じがしないでもありません。
それよりも自分には、どことなく夢見がちで、サイケ・フォークの香りも漂うアコースティック・ギターの音色のほうが心地よく感じられます。とくにアルバム冒頭のアルペジオは、星の瞬く夜に溶け込んでいきそう。ちょっと意識がとんでっちゃってるようなヴォーカルとともに、幻想的です。他の曲でも、アコースティック・ギターの音色が聴こえるパートは、ほんのりサイケデリックな香りを漂わせつつドリーミー&ミステリアスな雰囲気もあり、初期のPink Floyd(ピンク・フロイド)風というか、いろいろな国に発生したPink Floydフォロワー第一世代が奏でるような音楽に似た印象があります。
それ以外のパートは、けっこういなたくてハードな古いブリティッシュ・ロックといった感じでしょうか。オルガン・ロック・グループがたくさんあった頃のイギリスの音に近いように思います。
ちなみに、未確認情報なのですが、彼は日本で演奏したことがあるらしいです。どこかの有名なお寺で、5000人のお客さんがいたとか(あるページに his tours of Japan, playing in the major buddhist temples there to 5,000 people! と書かれてます)。 (FONOMUSIC: CD-1050 / スペイン盤CD) (2007.04.22)



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ITOIZ / EZEKIEL (1980)
 Itoiz(イトイス)はスペインのグループですが、スペインといったときにすぐに思い浮かぶ“フラメンコ風味”はまったくありません。おなじスペインといっても彼らは、フランスとの国境近くで独自の文化を持つといわれるバスク地方の出身だからでしょうか。
 ジプシー音楽に見られる激しい情熱や感情の起伏といったものは感じられませんが、その代わり、質素ながらも信心深い生活を営む人々の姿が思い浮かぶような、穏やかで慈愛に満ちた音楽といえるのではないでしょうか。
 全体的に演奏はあまりうまくありません。唄うようなドラムはなかなか気持ちよいですが、エレクトリック・ギターのフレーズはたどたどしく、その組み合わせがひなびた哀愁を醸しだすのに役立っています。また、Camel(キャメル)Gotic(ゴティック)を思わせる美しく幻想的なフルートの導入や、澄んだ歌声の女性ヴォーカルも入り、静謐なイメージを強めています。
 やわらかな空気と淡い色彩を感じさせる、おだやかな哀愁に満ちたシンフォニック・ロックです。(2000.11.12)



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LLUIS LLACH / CAMPANADES A MORTS (1987)
不安で不吉な感じのオーケストラに、厳かかつやはり不吉な感じで鳴り響く鐘の音で幕を開けるアルバム。深く沈み込んだ、希望の感じられないヴォーカル。重く響くオーケストラ。哀しみを助長するかのような合唱。好きなんです、こういう感じ。
Lluis Llach(ルイス・ラックって読むのでしょうか?)はスペインのシンガー・ソングライターだそうです。いくぶんシャンソン風のメロディは、ちょっとドラマティックさに欠けるけれど、それはそれであまり救いのない感じが強調されて、悪くはありません。
オーケストラを中心にアコースティックな楽器で演奏されているため、派手さはぜんぜんないし、いくぶんサウンドトラック風でもありますが、往年のプログレッシヴなカンタウトーレやシャンソニエと似た香りがぷんぷんします。基本は語り系ヴォーカルだけど、M1「Campanades a morts」の終盤ではなぜかオペラ風に歌うパートがあり、そこからNew Trolls(ニュー・トロルス)「Concerto Grosso」などを思わせるようなヴァイオリン、そして混声合唱へと入って迎えるエンディングは、ちょっと鳥肌ものです。
こういったプログレッシヴ風な部分がもっと全般にあると、さらに自分好みなんですが、基本的には陰鬱なシャンソン作品といった感じのアルバムでした。 (FONOMUSIC/DRO EAST WEST: 5046623172 / EU盤CD) (2004.01.04)



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MEDINA AZAHARA / AIXA (2003)   alla "Musica"
一般的にはスペインのハードロック/ヘヴィメタル・グループという位置付けになるのだろうけど、プログレッシヴ・ロック・ファンのあいだでも愛聴者が多いようです。ドラマティックな展開、キーボード・オーケストレーションの多用、ハードなギターなど、いかにもプログレッシヴ・ファンやブリティッシュ様式美系ロックとかが好きな人にはツボといえるでしょう。とくにこのアルバムでは序盤でオーケストラが大幅に導入されていることもあり、いっそうプログレちっくです。 (AVISPA: ACD-065 / スペイン盤CD) (2004.05.09)



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PEIO SERBIELLE / EUSKADI KANTA LUR (1997)
 Peio Serbielle(なんと読むのでしょう? ペイオ・セルビエユかな)はスペイン・バスク地方のシンガーで、その方面のファンの間では有名な人なのだそうです。オーケストレーションやクワイアが印象的なアルバムと紹介されて入手したのですが、たしかに趣深い作品でした。
 雪におおわれた山あいの小さな町と、そこに住む信心深い人々の顔が浮かんでくるような、静かで清らかな音楽です。ワールド・ミュージックというよりはトラッドやミサ曲に印象が近いように思いますが、ポピュラー・ミュージックとしての柔らかさは失っていません。Enya(エンヤ)などと似た感じともいえますが、Enyaほどポップではありません。それよりはオランダのFlairck(フレアーク)のほうが、音の印象が近いかもしれません。
 Peioは低く落ち着いた声を持ったシンガーで、その彼のおだやかな声にフォルクローレ色の強い女性の唄がかぶさり、さらに曲によっては合唱も追加されます。ギターやストリングス、そしてアコーディオンにハープなどで奏でられる、繊細な音に満ちています。
 神へ捧げるかのごとく、静謐な世界が展開されます。(2000.05.14)



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TARANTULA / TARANTULA (1976)   alla "Musica"
スペインのプログレッシヴ・ロック・グループと聞くと、おもいっきりフラメンコ・ギターが入った熱くて哀愁たっぷりのロックを想像するかもしれません。でもじつは、フラメンコ・テイストたっぷりなスパニッシュ・ロックって、あまり多くないというか、自分はTriana(トリアナ)以外に知りません。Tarantula(タランチュラ)もやっぱりフラメンコ・テイストはありません。でも、とてもとてもスパニッシュな雰囲気を感じさせてくれます。それは、ヴォーカルによるところが大きいのだろうな。あまり大きなビブラートをかけず、圧倒的な声量で、美しくも哀愁のあるメロディを力強く歌います。Tarantulaの特徴は、奥行のあるキーボード群と個性的なヴォーカルにあるといえるでしょう。演奏の土台を固めるリズム隊も力強く、哀愁一辺倒にならない、きちんと「ロック」を感じさせてくれるシンフォニック・プログレッシヴになっています。 (ZAFIRO / SI-WAN RECORDS: SRMC 4002 / 韓国盤CD) (2004.12.25)



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