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さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Umberto Balsamo / Umberto Bindi / Umberto Tozzi






Umberto Balsamo / Natali (1975)   alla "Musica"
 ウンベルト・バルサモ(Umberto Balsamo)の代表作のひとつ。地味だけれども、優しさと落ち着きを持った、美しいメロディ満載のよいアルバムです。(1998.08.29)

UMBERTO BALSAMO / MAI PIU' (1982)   alla "Musica"
Umberto Balsamo(ウンベルト・バルサモ)はシチリア出身のカンタウトーレ。1942年生まれだそうですから、この『Mai piu'』は40歳のときの作品ですね。地味な作風の人ですが、Umbertoの歌にはとても「イタリア」を感じます。素直なメロディ。やさしくあたたかい歌声。甘くなりすぎない、ほどよい哀愁。派手さやドラマティックさはないけれど、こうした奇をてらわない展開・構成は、Umbertoのヴォーカル・スタイルによくあっています。ちょっと似通った曲想が多いですが、どれも親しみやすく、懐が深く、おだやかであたたかい愛情に包まれるような、聴いていてとてもリラックスできる曲ばかり。ストリングスによるオーケストレーションもけっしてでしゃばることなく、要所で効果的に雰囲気を盛り上げます。いくつか収録されているリズミックな曲はもさっとしててもうひとつな感じですが、バラード系の曲の魅力は高いです。とくにアルバムのタイトル曲となっている「Mai piu'」などは、優れたイタリアン・ポップスの1曲だと思います。 (FONIT CETRA / KING RECORD: K22P 370 / 日本盤LP) (2004.12.25)

UMBERTO BALSAMO / UN PUNGO NELLA NOTE (1992)
 1970年代の頃のような哀愁は、さすがにあまり期待できませんが、大人の優しさと落ち着きを感じさせるヴォーカルは健在のUmberto Balsamo(ウンベルト・バルサモ)。叙情派カンタウトーレの印象が強い彼ですが、意外とリゾート風な軽やかな曲想も特徴だったりします。このアルバムでも前半は軽やかでリラックスした感じの曲を聴かせてくれます。
 しかし、彼の声の魅力を引き出すのは、アルバムの後半で聴かれるような、やはり美しいメロディを持った、ちょっとセンチメンタルで叙情的な曲でしょう。最近の音楽的流行の流れとはまったく違うところにあるので、売れないでしょうが。(1999.06.05)

UMBERTO BALSAMO / ...VORREI APRIRE IL CIELO SABATO SERA A SPINA DI ROSA (2003)   alla "Musica"
前作『Un pungo nella notte』(1992年)以来、およそ11年ぶりのニューアルバムです。前作ではずいぶんポップというか、軽い感じが強かったのですが、今回の新作はUmberto Balsamo(ウンベルト・バルサモ)らしい、やさしさとあたたかさにあふれた曲が大半を占めてます。
一部、現代的なエレクトリック・ポップふうのアレンジも入りますが、それが前面に出ることはなく、あくまでも味付け程度。全体におだやかで控えめなオーケストレーションが入り、『Mai piu'』(1982年)のころの作風に近いように思います。ジャケットも女性の顔で、そのへんも『Mai piu'』に通じるところを感じます。(L'ANGELO AZZURRO / A DISCHI: LA-CD 101 / イタリア盤CD) (2003.09.07)



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UMBERTO BINDI / DI CORAGGIO NON SI MUORE (1996)   alla "Musica"
 もともと映画音楽のような、オーケストラを使った奥行きの深いアレンジの音楽が持ち味のカンタウトーレ。このアルバムでも、持ち味であるゆったりとした奥行きのあるアレンジとともに、まさにイタリア的なシンフォニック・ポップスを聴くことのできる作品になっています。
 どことなく印象がRenato Zero(レナート・ゼロ)の名盤『Amore Dopo Amore』に似ているように思います。(1999.12.05)

UMBERTO BINDI / LA VOCI DELLA SERA (1996)
 全8曲中、半分の4曲がインストのアルバム。もともと映画のサントラのような、奥行きがあってゆったりとした、映像的な曲調が持ち味のウンベルト・ビンディ(Umberto Bindi)ですが、このアルバムは緊張感に乏しく、イージーリスニング的になってしまっているのが残念です。
 ヴォーカル曲はそれでも、彼のちょっとクセのある柔らかい声で表情がつくのですが、インスト曲はもう少しアレンジに力を入れてほしかったです。BGMとして聴くのにはいいのですが。(1999.01.03)

UMBERTO BINDI / CONCERTO D'AMORE (2000)
 1960年代のオリジナル録音を集めたUmberto Bindi(ウンベルト・ビンディ)のベスト盤。Umbertoは1996年にNew Trolls(ニュー・トロルス)とともにサンレモ音楽祭に出場し、参加曲「Letti」を含むアルバム『Di coraggio non si muore』をリリースしましたが、その後の活動は伝わってきません。
 現時点での最新スタジオ盤となる『Di coraggio 〜』Renato Zero(レナート・ゼロ)の協力を得て、Renatoの名作『Amore dopo amore』にも通じるところのあるなかなかの好盤でした。しかし彼のアルバムは、オリジナルな形でのCD再発を含め、CD自体があまりリリースされていないようで、とくに古い録音は聴くのが難しいようです。
 そんな状況のなかでリリースされたこの『Concerto d'amore』は、ある意味で貴重なのかもしれません。60年代の録音ということで、さすがにオーケストラのアレンジや楽器の音色、録音などに古さは隠せないし、Umbertoのヴォーカルもまだ青く、『Di coraggio 〜』で聴かせたような深みはありません。でも、古いながらも映画音楽的なふくよかさに満ちていて、よりカンツォーネ的な曲想と歌い方も、あのころのイタリアン・ポピュラーが好きなら愛せるはずです。
 50's、60'sの英米のムードポップスの影を引きずりながらも、豊かで美しいメロディと叙情にあふれた、古き良き時代のおだやかで大らかなイタリアン・ミュージックが聴けます。(2000.08.13)



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UMBERTO TOZZI / DONNA AMANTE MIA (1976)   alla "Musica"
Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)といえば初期の大ヒット曲に「Gloria」があるように、英米のポップスにも通じる華やかなポップ・センスを持っている人で、彼のアルバムにはそういった軽やかな印象を受ける曲を多く見つけられるように思うのですが、デビュー作であるこのアルバムでは、いかにもイタリア的な情緒に満ちた曲が大半を占めています。M1のアルバム・タイトル曲「Donna amante mia」で一気につかまれてしまいます。やわらかくおとなしいパートから、サビでは多人数による美しいコーラスをかぶせてぐわっと盛り上がる。こういった構成のドラマティックさはイタリアン・ポップ・ミュージックの真髄ですね。彼のアルバムは何枚か持っていますが、手持ちのなかではこのアルバムがいちばん自分は好きかもしれません。 (CGD: 9031 70652-2 / イタリア盤CD) (2005.10.10)

UMBERTO TOZZI / GLORIA (1979)   alla "Musica"
1982年にニューヨーク出身の新人歌手、Laura Branigan(ローラ・ブラニガン。2004年8月に亡くなったそうです)がカバーし全米ナンバー1ヒットとなった「Gloria」の原曲を収録した、Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)の4枚目(だったかな)のアルバム。タイトル曲のインパクトが強い分、他の曲がいくぶんおとなしめに聴こえてしまいますが、それぞれに味わいのある曲が収録されています。 (CGD: CDS 6060 / フランス盤CD) (2008.04.20)

UMBERTO TOZZI / NOTTE ROSA (1981)
 Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)ってもともと英米っぽいポップ・センスを持った人だと思うのですが、このアルバムでもそういった面が強く現われています。ちょっとスペイシーなアレンジにMango(マンゴ)を思わせるようなファルセットを使ったM1「Notte rosa」も、イタリアという枠よりはユーロ・ポップスですし、続くM2「Barbara」やM5「Per Angela」などもUmbertoの大ヒット曲「Gloria」に通じるものを感じます。
 俗っぽいキーボードの音色とアレンジや軽薄っぽいギターのカッティング(どちらも悪い意味で使っているのではありません)などが、ポップスとしてのわかりやすさ、なじみやすさを表現するのに役立っているかもしれません。
 M3「Please」はスローなバラードで、なだらかなメロディや徐々に盛り上がる展開がいい感じなのですが、イタリアのバラードというよりは北米系のバラードといった感じを受けます。強引さや激しい感情の起伏といったような、いわゆるラテンぽさがあまり感じられないからでしょうか。そういった、ある種の「薄さ」が「北米ぽい」と感じられるのかもしれません。
 それはそれで楽しめるのですが、M4「Amantenova」やM6「Super Lady」のような、いかにもアメリカン・ロックを意識しました風の曲はもうひとつです。英米っぽくもイタリアンというUmbertoの個性が薄れてしまっているように感じます。
 やさしい響きのピアノから入り、明るいポップスへとなっていくM7「Roma nord」とM8「Amico pianoforte」は、やわらかなポップ・センスにヨーロッパを感じ、どことなくオランダのKayak(カヤック)を思い出しました。(2003.04.20)

UMBERTO TOZZI / ARIA & CIELO (1997)
 古くは「Grolia」のヒットに見られるように、もともとUmberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)はライトでアメリカンな感覚を持っているのでしょう。このアルバムにも、そうした軽やかさ、さわやかさがあります。とはいえ、「Grolia」のころにくらべると声がかすれ、それがイタリアらしい情感を醸し出すようになっていますし、ヴォーカリストとしても円熟し、ふくよかな世界を表現しています。
 全体的にはそれほどイタリア的ではありませんが、メロディのはしばしには「やっぱりイタリア」な感じがあり、ベテランらしい落ち着きとともに、いい味を出しています。曲によっては古いブリティッシュ・ポップを思わせるものもあり、なんか微笑ましいです。(1999.09.12)

UMBERTO TOZZI / UT - BAGAGLIO A MANO (1999)
Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)の再録ベスト盤というか、セルフ・カヴァー・アルバム。
自分はそんなにUmberto Tozziが好きというわけではないのですが、彼のCDって中古でけっこう安く見つけられることが多く、そんなわけで5枚くらいは持っていたりします。というか、5枚しか持っていないわけですが、このアルバムに収録された曲の大半は知っている or 聴いたことがある(ように思える)ものばかり。彼自身のアルバム以外にも、イタリアン・ポップスのコンピレーション盤とかに収録されているものもあるからか、それとも、本当は聴いたことがないのだけど、彼独特のメロディと歌声が「聴いたことあるなぁ」と思わせるのか、そのあたりは定かではありません。
でも、「Gli altri siamo noi」とか「Tu」とか「Ti amo」とか「Gloria」とか「Notte rosa」とか「Io camminero'」とか「Donna amante mia」とか、比較的古い曲は間違いなく「おなじみ」の曲です。そして、こういった古い曲から新しい曲までが、新しいアレンジで、派手に、ファットに、ゴージャスに(笑)演奏されています。
おそらく古い曲と最新の曲のあいだには20年近い年代差があると思うのですが、こうやって聴くと、それを感じさせませんね。華やかで、軽やかで、美しい彼のメロディは、普遍的なものなのかもしれません。そして、味わい深い、哀愁のある、べったり甘くなったり暑苦しくなったりはしない程度に情熱的な歌声。1980年代から90年代くらいのイタリアン・ポップスの、ひとつの典型的なスタイルのように思います。こういうスタイル、好きだわぁ。 (CGD EAST WEST/WARNER MUSIC: 3948-27855-2 / ドイツ盤CD) (2006.01.29)



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