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U.S.A.


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Dream Theater / Druid / Happy The Man / Ilu'vatar / Manowar / New England / Orion The Hunter / Savatage




DREAM THEATER / FALLING INTO INFINITY (1997)
Dream Theater(ドリーム・シアター)がデヴューして以降、一般的なロック・ファンにとって「プログレッシヴ・ロック」というのはDream Theaterのようなプログレッシヴ・メタルをさしているような印象を受けます。同じ「プログレッシヴ・ロック」という言葉を使っていても、Dream Theaterよりも前の世代のそれとは、ちょっと違う気がするのです。
そういう意味では自分は旧世代(?)のプログレッシヴ・ロック・ファンで、新世代のプログレッシヴ・メタルには、それほど興味や思い入れがありません。ヘヴィ・メタル自体は嫌いではないので、ドラマティックな要素を持ったプログレッシヴ・メタルも嫌いではないけど、プログレッシヴ・メタルよりは「プログレッシヴ」という形容詞のつかないドラマティック・ヘヴィ・メタルのほうが好きかもしれません。
1989年にリリースされたDream Theaterのデヴュー作『When Dream and Day Unite』は、プログレッシヴのファンのあいだでずいぶん話題になったけれど、自分はあまり興味を持てませんでした。1992年のセカンド『Images and Words』はよりドラマティックになりましたが、でもやはり往年のプログレッシヴ・ロックや、あるいはメロディック・スピード・メタルのようなワクワク感は感じませんでした。その後ずっと彼らのアルバムは聴かずにいて、ひさしぶりに聴いたのがこの『Falling into Infinity』です。
ひさしぶりに聴いた印象は、やっぱりDream Theaterってヘヴィ・メタルなんだなというものでした。重い音やテクニカルなアレンジなど、いわゆる「ドリシア系」音楽の本家なのですが、正直にいって自分は「ドリシア系」の音楽に心を動かされた記憶がないんです。演奏はうまいし、曲もよくできているし、なんとなくドラマティックだったりメロディアスだったりもするのですが、何度も聴きたいという思いが起こりません。
Queensrych(クィーンズライク)などもそうなのですが、自分はこういったプログレッシヴ・メタルとの相性が悪いのかもしれません。それよりも、Angra(アングラ)Savatage(サヴァタージ)などのほうが感動的に心に響くのだなぁ。(2003.06.15)



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DRUID / TOWARD THE SUN (1975)
 透明感のあるクリアなヴォイスとアンサンブル、素朴で牧歌的な英国の風景を思わせる曲想、それにシンフォニックなアレンジが魅力のグループ。
 ギターの音色はGenesis(ジェネシス)時代のSteve Hackett(スティーヴ・ハケット)を思い出させますが、彼ほど情緒的ではありません。また、ヴォイスはYes(イエス)Jon Anderson(ジョン・アンダーソン)を思わせますが、彼よりも世俗的です。
 タイプとしてはGenesis + Yes × 1/2といった感じですが、これらのグループよりもとても身近で、田舎でおくる日々の生活にマッチするようなグループじゃないかと思います。明るく柔らかい日差しのなかで聴きたいシンフォニック・プログレッシヴ・ロックです。(1999.09.12)



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HAPPY THE MAN / CRAFTY HANDS (1978)   alla "Musica"
軽やかでテクニカルな、ジャズやクロスオーヴァーなどとの類似性を持ったタイプのシンフォニック・ロック。いわゆるCamel(キャメル)タイプというのかしら。でも、CamelよりかはGotic(ゴティック)のほうが印象が似ている気がするのは、ギターの比重があまり高くないからでしょうか。アルバム全編でたっぷりとキーボード郡が響き渡ります。コンパクトな曲の中に、テクニカル・シンフォらしいスリリングさや美旋律、美アンサンブルがあり、エモーショナルな部分もあったりするあたり、なかなかな職人芸だと思います。 (ARISTA RECORDS/BMG FUNHOUSE: BVCM-37616 / 日本盤CD) (2006.02.25)



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ILU'VATAR / ILU'VATAR (1993)
アメリカのバルチモア出身のプログレッシヴ・ロック・グループ。これはデヴュー作のようですが、その後も活動を続け、何枚かのアルバムをリリースしています。
アメリカらしい明るさとさわやかさを持ったシンフォニック・プログレッシヴが聴けます。ポンプ・ロック風なところも少し感じられますが、薄っぺらさや軽さはそれほどなく、それなりによくできた作品だといえるでしょう。カナダのRush(ラッシュ)をアメリカン・ポップス寄りにして、さらにダイナミズムと力強さを少し落とし、そこにシンフォニックな味付けをしたうえで、こじんまりとまとめたら、こんなふうになるかもなぁといった印象を受けたのですが、褒めてるのだかけなしてるのだかわかりませんね。
おおらかで広がりのある曲構成とアレンジは魅力的です。緩急の対比といったものがあまりなく、終始メロディアスなところが大陸っぽいかもしれません。哀愁よりも華やかな美しさに彩られているところもアメリカ的かも。
最近ではDream Theater(ドリーム・シアター)の影響か、プログレッシヴ・ロックというとヘヴィ・メタルの一形態みたいな印象が強くなっているように感じますが、Ilu'vatar(イルーヴェイタ)の演奏するプログレッシヴ・ロックはハード・ロックの流れのなかにあって、そこが個人的には好ましいです。ギターの音色もきれいで、ときにドリーミーに、ときにメロディアスに、だけど常に明るい響きを持っているのも好感が持てます。ヴォーカルが、メロディ的にも歌唱力の点でも弱い感じはしますが、まずまずの作品といえるでしょう。(2003.06.15)



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MANOWAR / KINGS OF METAL (1988)
暑苦しいっ! ひさしぶりに聴いたんですが、アルバム冒頭でバイクのエンジンの爆音からスピーディなリフに入るところからして、マッチョで革ジャンな男の汗臭さがむんむん漂ってきそうな暑苦しさ全開です。
むかし、まだへヴィ・メタルをたくさん聴いていたころは、Manowar(マノウォー)って暑苦しさのなかにブリティッシュ様式美メタルの要素を盛り込んだヘヴィでドラマティックで分厚いロックというイメージを持っていたような気がするのですが、いま改めて聴いてみると、たしかにヘヴィで分厚いんだけど、それほどドラマティックじゃないですね。
曲によってはほんのりクワイアっぽい男声コーラスも入るし、なんとなく大仰なバラードやスローな曲もあるんだけど、歌メロや構成がどれも単調で盛り上がりに欠けるため、ドラマティックになりません。なんか、見掛け倒しというか、張りぼてっぽいドラマティックさ。メロディメーカーとしての力量が少し低いのかな。スローな曲ではメロディが際立ってしまいますから、いいメロディが書けないと厳しいです。彼らは、スローな曲はあまり得意じゃないみたいですね。
スピーディな曲に関しては、ぶんぶんうなるベースや空間をぼってりと塗りつぶすディストーション・ギターが疾走して、ヘヴィ・メタルとしてかっこいいんじゃないかと思います。シャウト・ヴォーカルもいい感じに耳に突き刺さります。最近の自分はヘヴィ・メタルをほとんど聴かないから、聴いててちょっと体力的に疲れるところはありますが、若いころはこのくらいのパワーと熱さが心地よかったんだろうな。
しかし、歌詞はくだらないですねぇ。こんなこと、歌ってたんですねぇ。M7「Pleasure Slave」なんて間違いなく女性人権団体とかから抗議・非難をやまほど浴びそうです。あまりのばかばかしい歌詞に脱力です。ヘヴィ・メタルって、歌詞を聞いちゃいけないんですね、きっと。 (ATLANTIC RECORDS / EAST WEST JAPAN: AMCY-702 / 日本盤CD) (2004.12.25)



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NEW ENGLAND / EXPLORER SUITE (1980)   alla "Musica"
 ポップでキャッチーなアメリカン・テイストにあふれたなかに、ヨーロッパ的なドラマティックさと奥行きを感じさせるグループ。さわやかなメロディや和声の背後に、ブリティッシュ・ポップのエッセンスが、しばしば感じられます。よき時代のアメリカン・メロディアス・ロックの典型といえるでしょう。(2000.10.15)



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ORION THE HUNTER / same (1984)   alla "Musica"
 Boston(ボストン)のセカンド・ギタリスト、Barry Goudreau(バリー・ゴードリュー)が結成した産業ロック・グループ。いかにもアメリカンな、ポップでメロウなメロディを持ったこのグループからは、難しいことは考えず、ともかく楽しく、そして少しロマンティックにロックしようという気持ちが感じられます。(2000.10.15)



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SAVATAGE / GUTTER BALLET (1989)
 アメリカのヘヴィメタル・グループなのだけれど、非常にユーロピアン・テイストの強い音楽性が持ち味です。ミディアム・テンポの曲を中心に、メロディアスでドラマティックな展開をします。
 キーボード・オーケストレーションや生ピアノ、アコースティック・ギターなども導入し、一部でオペラ的な構成も見せるこのアルバムは、まさにドラマティック・メタル。ヨーロッパの持つ重さと湿り気が好きな自分には、とてもフィットする音楽です。ヘヴィメタルといっても、彼らの曲には流れるようなメロディがあります。
 ただ、そのドラマティックさがアルバム全体にまで行き渡っていないのが残念ではあります。(1999.05.08)

SAVATAGE / SAVATAGE / EDGE OF THORNS (1993)   alla "Musica"
透明でリリカルなアコースティック・ピアノのアルペジオ。そこにかぶさってくる厚く重いギター・リフ。ドラマティックなハード・ロック/ヘヴィ・メタルが好きな自分をめちゃめちゃ期待させる導入部です。ただ、アルバム全体にそれが行き渡りきらないのは、やはりアメリカのグループだからか、ドラマティックとはいえ素性はけっこう普通のHR/HMグループだからなのか。もっと1曲のなかでピアノが効果的に使われる、1曲のなかでのドラマティックな構成がある、というふうになると、より自分好みなのですが、そうするとHR/HMからだんだん離れてプログレッシヴ・ロックに近づいちゃうんでしょうね。 (ATLANTIC RECORDING CORPORATION: 82488-2 / アメリカ盤CD) (2005.10.10)



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