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V


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Vasco Rossi / Vincenzo Monti / Vincenzo Spampinato / Vinicio Capossela / Vito Marletta / Vittorio De Scalzi

*** gruppo ***
Vernice / Le Vibrazioni / Vibrazioni Productions





VASCO ROSSI / REWIND (1999)   alla "Musica"
 2枚組のライヴ盤です。Vasco Rossi(ヴァスコ・ロッシ)は基本的にロック・シンガーで、当然その曲もロック的なものが多いのですが、メロディ・センスのよさがそこここに光っているため、ただのパワフルなだけのロックにはならず、楽曲として魅力が感じられる部分が多くあります。そして、そのメロディのよさは、スローな曲ではより一層、輝きをまします。
 こういったメロディ・センスは、やはりイタリア的だと感じます。
 曲調的にロックの比率が高いので、完全にポップス系の音楽ファンには多少きつい面もあるかもしれませんが、いわゆる洋楽ロックも楽しめるイタリアン・ファンなら、素直に「よい」といえるのではないでしょうか。
 ちなみに自分は、CD1のM8「...Stupendo」からM9「Medley acustico」の流れに『Wish You Were Here』『The Wall』のころのPink Floyd(ピンク・フロイド)を思い出しました。ほかにも、あちらこちらでスケールの大きいドラマティックなメロディが聴けます。(2000.12.17)



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VERNICE / same (1993)
 1995年のFestivalbar(フェスティヴァルバール)のCDに収録されていたバラード「Solo un brivido」がとても美しく、ロックとしての質感もあり、非常に気に入ったので、アルバムも聴いてみることにしました。Festivalbarの曲からは、なんとなくイタリアン・テイストなBon Jovi(ボン・ジョヴィ)もしくはDef Leppard(デフ・レパード)のような感じかと想像していたのですが、実際はこれらのグループよりもはるかにアメリカン・テイストの強いグループでした。
 このアルバムはファーストのようですが、そのせいか、曲づくりやアレンジなどの詰めが甘いように思います。ひとつひとつのフレーズにはよいものもあるのだけど、それを構成し展開していく技術という点で、なんとなく経験不足を感じさせます。Festivalbarでの曲は非常にドラマティックでありながらもポップかつキャッチーさを失わず、演奏も厚みのあるものだっただけに、このアルバムでのすかすかした音づくりは残念なところです。
 Vernice(ヴェルニーチェ)は、一時はイタリアでけっこう人気のあるグループだったようですが、少なくともこのアルバムの時点では、イタリア的な味わい、ヨーロッパ的な哀愁といったものに乏しく、イタリアン・アーティストとしてのアピール度は弱いといえます。なので、イタリアのポップスやロックのファンよりも、英米のポップスやロックが好きな人のほうが楽しめるのではないでしょうか。
 のちにヴォーカリストのStefano D'Orazio(ステファーノ・ドラツィオ)はソロ・シンガーとなり、何枚かのアルバムをリリースしています。もちろん、Pooh(プー)Stefanoとは同名異人です。(2000.06.17)



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LE VIBRAZIONI / LE VIBRAZIONI (2003)
たぶんこれがデビューアルバムの、新人ロック・グループ。タイプとしては比較的シンプルでストレートなロック・ミュージックを演奏していると思います。ただ、メロディがポップでキャッチーなうえ、明るいなかにほどよい哀愁があるので、ポップスのファンにも楽しみやすいでしょう。Lunapop(ルナポップ)をずっとロック寄りにしたような感じでしょうか(ぜんぜん違うかも)。
特徴のある粘っこいヴォーカルや、ガチャガチャしたエレキ・ギターのストロークの合間に聞こえてくるクリーン・トーンの美しいアルペジオ、優しげなコーラスなど、けっこうツボを押さえています。いわゆるイタリアらしさはそれほど感じられないかもしれませんが、かといって英米のメロディアス・ポップ・ロックとは少し違った肌触りです。
ちょっと似通った曲が多くてバラエティ感に欠けるのと、アルバムとしての構成にもうひとつドラマ感が足りないかなという気はしますが、そのあたりは今後のキャリアで身につけていくんでしょうね。
なお、M15「Il compositore di nuvole」のあとに、シタールが怪しく響くシークレット・トラックがあります。なんとなく、Kingston Wall(キングストン・ウォール)の曲かなにかでこんな感じのがあったような気が。 (2004.01.04)



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VIBRAZIONI PRODUCTIONS / NUOVA PROSPETTIVA (1996)
 いわゆるクラブ系の音楽というんでしょうか。ソウル、R&Bをベースに、ちょっとジャズ風味の混ざったおしゃれな音楽です。
 ミラノ出身のグループらしいですが、歌詞はぜんぶ英語です。1曲だけイタリア語のラップがあります。
 いわゆる「イタリアらしいポップス」というのとは違うと思いますが、メロディはきれいですし、こういったジャンルにしてはくどくも暑苦しくもない女性ヴォーカルは、ちょっと魅力的です。こういうタイプの音楽は興味のない自分ですが、それでも途中で飽きたり、嫌になったりすることなく、最後まで聴けたのは、ヴォーカルの魅力のせいかもしれません。少なくとも、Irene Lamedica(イレーネ・ラメディカ)よりは聴きやすくて好きです。(1999.10.11)



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Vincenzo Monti / Oceanima (1998)
 ミラノ出身(だったと思う)のヴィンチェンツォ・モンティ(Vincenzo Monti)は、タイプとしてはアコースティック・ロッカーになるかと思いますが、ビアジオ・アントナッチ(Biagio Antonacci)よりも硬質、ジャンルカ・グリニャーニ(Gianluca Grignani)よりもパンキッシュな印象があります。彼らはロックのなかにも甘いメロディを持っていますが、ヴィンチェンツォにはほとんどありません。というか、イタリア臭があまりない人です。
 彼はギター弾きのようで、良くも悪くもアコースティック・ギターでつくった曲という感じがします。コンクリートに囲まれた都会、治安がもうひとつな地下鉄が似合いそうに思いました。(1998.12.06)



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VINCENZO SPAMPINATO / L'AMORE NUOVO (1992)
 やわらかく暖かい陽射しを思わせる曲がたくさん入っています。全体的に明るい感じですが、ベテランらしい落ち着きがあって、心が和みます。とくにどうということもない曲ばかりのように感じますが、じつは楽曲の細部にまで意識が行き届いていて、大事につくり育てあげたのだろうなということが伝わってきます。大仰なドラマはありませんが、素朴ななかに太陽のキラメキを感じさせる音楽です。
 ちなみにVincenzo Spampinato(ヴィンチェンツォ・スパンピナート)は、Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)などに楽曲提供をしていたりします。(1999.07.03)

VINCENZO SPAMPINATO / JUDAS (1995)
 地味ながらも心暖まる、優しいポップスを聴かせてくれる、ヴェテラン・カンタウトーレ。明るく軽やかながらも、イタリアらしい優美な旋律が特色です。
 このアルバムは、そんな彼の作品としては珍しく、トラッド色が強いものとなっています。南欧の哀愁を強く感じさせる女性コーラスや、マンドリン、ブズーキ、アコーディオンといった楽器が要所要所で使われ、明るい太陽とその下で生活する人々を思わせます。もちろん、完全なトラッドではなく、あくまでもポップスなのだけれど、そこに取り入れられているトラッド風味にわざとらしさがないあたりは、さすがヴェテランといえます。
 イタリアの音楽“も”好きなポップス・ファンではなく、イタリアのポップス“が”好きなファンに聴いてもらいたいアルバムだし、カンタウトーレです。(1999.12.05)

Vincenzo Spampinato / il Raccolto (1997)   alla "Musica"
 簡単に聞き流したときは、とくに特徴のない、標準的でオーソドックスなシンガーだと思ったヴィンチェンツォ・スパンピナート(VINCENZO SPAMPINATO)。今回じっくり聴いたところ、聴けば聴くほど味のあるシンガーでした。地味で淡々としていますが、曲のすみずみまで注意の行き届いた、プロの曲を聞かせてくれます。(1998.10.04)

VINCENZO SPAMPINATO / E' SERA (1997)   alla "Musica"
 たぶん古い曲を集めてリリースされたベスト盤だと思います。近年の作品よりも多分にフォーク的な要素が強いこのアルバムでは、声もまだ若く、やわらかい感じで、その歌を聴いていると、明るく暖かい春を思わせるような、甘い若草の匂いが風に運ばれてくる草原にいるような、おだやかで幸福な風景が浮かびます。アルバムのタイトル曲は1978年のFestivalbar(フェスティヴァルバール)参加曲で、第2位に輝いたものです。(2000.09.16)

VINCENZO SPAMPINATO / KOKALOS.3 (2000)   alla "Musica"
 前作『Judas』は、彼の作品のなかでは珍しくトラッド色が感じられるアルバムでしたが、本作では、よりトラッド色が強くなっています。以前とは多少、感じが違ってきていますが、静かな曲、落ち着いた曲でのやわらかな美しさはまったく衰えておらず、聴くほどに味を感じさせるヴォーカルは健在です。また、曲によっては初期のAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)のような優しさ、暖かさも感じられます。(2001.03.18)

VINCENZO SPAMPINATO / I DIRITTI DELL'UOMO (E UNA CANZONE D'AMORE) (2002)   alla "Musica"
 トップとエンディングが同じ「Tuttidiritti loop」という曲で、曲名どおりループ状になっています。イタリア語がわからないので想像するしかないのですが、おそらく前作『Kokalos.3』と同じように、なんらかのテーマを持ったある種のコンセプトアルバムではないかと思います。曲中や曲間にちりばめられたSEや、デジタル楽器の多様など、これまでのVincenzo Spampinato(ヴィンチェンツォ・スパンピナート)のアルバムにはあまりなかった要素が多く詰まった、なかなかの意欲作です。Vincenzoにしては実験的な作風ですが、しかし持ち味であるなめらかさは失っていません。最初に聴いたときは「どうしたんだろう?」と思いましたが、聴き進めるにつれて音世界がなじんできます。よい作品だと思います。(2003.01.26)



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VINICIO CAPOSSELA / MODI (1991)
 ヴィニチオ・カポッセラ(Vinicio Capossela)は、パオロ・コンテ(Paolo Conte)などにタイプの近い、どちらかというとジャズ系のシンガーなのかもしれません。ピアノのみをバックにしたシャンソン風のものや、暖かくて気候のよいリゾートを思わせる曲もありますが、大部分は彼の少しかすれて落ち着いた声を生かしたスロージャズ風のものです。
 なお、ウッドベースでアレス・タヴォラッチ(Ares Tavolazzi)という人が参加してますが、アレア(Area)のメンバーだった人かな?(1999.01.03)



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VITO MARLETTA / INNAMORARSI E' (1997)   alla "Musica"
 歌にも曲にも、これといって個性はないのだけど、ほんのりと甘くロマンティックな感じが魅力といえそうです。あたたかみのあるやわらかな声をしていて、どことなくナポリを思わせる歌いまわしが心地よいです(南部出身なのでしょうか?)。全体に、もう少し曲の構成や展開にドラマ性がほしい感じです。そのあたりが平凡なので、アルバムとして平凡に響きます。ただ、平凡なのも悪くないなとも感じます。(2002.12.01)



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VITTORIO DE SCALZI / LA STORIA DEI NEW TROLLS - CONCERTO GROSSO LIVE (2001)   alla "Musica"
 一部のプログレッシヴ・ロック・ファンのあいだで大評判のアルバム。New Trolls(ニュー・トロルス)のリーダー、Vittorio De Scalzi(ヴィットリオ・デ・スカルツィ)率いるLa Storia dei New Trolls(ラ・ストーリア・デイ・ニュー・トロルス)というプロジェクトが、名作と名高いNew Trolls「Concerto grosso n.1」「Concerto grosso n.2」を、トリノ・フィルハーモニック・オーケストラ(Orchestra filarmonica di Torino)を従えて演奏したコンサートを収録してあり、アルバムの感動を完全に再現した ―― と、あちらこちらで高い評価を得ています。
 演奏、録音ともクリアで、音色もスッキリしていて、はじめて「Concerto grosso」を聴く人や、むかしのもっさりした音が好きでない人などにとっては、「Concerto grosso」という楽曲のよさをアピールするに充分なライヴだと思います。(2001.12.24)

VITTORIO DE SCALZI / LA STORIA DEI NEW TROLLS (2001)   alla "Musica"
New Trolls(ニュー・トロルス)の中心メンバーであるVittorio De Scalzi(ヴィットリオ・デ・スカルツィ)によるNew Trollsのコピー・バンド(?)、La storia dei New Trolls(ラ・ストーリア・デイ・ニュー・トロルス)のライヴ盤です。もう1枚出ているライヴ盤『Concerto Grosso Live』は「プログレ期のNew Trolls」を再現したものですが、こちらのライヴはNew Trolls本来の姿である「ポップス期」の再現になっています。そして、New Trollsの持つイタリアらしいメロディの美しさ、ヴォーカリゼーションの素晴らしさを存分に楽しめるのは、『Concerto Grosso Live』のほうではなく、間違いなくこちらのライヴ盤だと思います。(2003.06.15)



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