1: COME BAMBINI DI SERA
2: IL SEGRETO
3: SPIRALE
4: TUNNEL
5: ABBISSI INFINITI
6: NEBBIA INCANTATA
7: FESSURE DI LUNA
8: MERLINO
9: LA GROTTA DI CRISTALLO
1981年に発表されたときは自主制作の少数プレスだったそうです。
マーキーの『イタリアン・ロック集成』では「70年代の多くの名盤に付け加えたい一枚」と、ずいぶんな持ち上げようだけど、そこまで名盤とは思いません。
位置的に、微妙ですね、こういうアルバム。
唄心はあるけれど、古いカンツォーネの時代を少し引きずっているようなヴォーカル。プログレッシヴ・ロック風なんだけど、中途半端におしゃれな演奏。歌ものグループとしてなら、ホモ・サピエンス(Homo Sapiens)やカマレオンティ(i Camaleonti)などのほうがぜんぜんいいし、プログレッシヴの名バンドとくらべると、あまりにもパワー不足。
演奏の力のなさ、ヴォーカルの情熱のなさなど、ある意味、80年代的なのかもしれません。でも、70年代を引きずってしまったんでしょうね。
その後に出てくるポンプ・ロックほどすっきりとクリアにできず、かといって70年代の熱さは持ちえなかった、70年代と80年代の間のすきまに落ち込んでしまった音楽のように思います。
演奏も楽曲もアレンジも、どれも平均的というか、凡庸というか。
もちろん、はしばしにイタリアらしい美しさは見え隠れしています。決して悪くはないんです。ただ、インパクトがないんですね。
もし強力なヴォーカリストがいたなら、あるいは才能と演奏力に恵まれたキーボーディストがいたなら、もっとメリハリのついたものになっただろうに。
けっきょく、Mellow Records のような再発レーベルでしか、今の時代にはリリースできない程度の作品だと思います。多くのイタリアン・ファンにとって、無理して聴かなくてもいいし、廃盤になって入手困難になったところで哀しむ必要もないでしょう。