produzione e realizzazione: Giancarlo Lucariello
orchestrazione e direzione: Danilo Vaona
Alice: pianoforte
D. Vaona: piano, polymoog, minimoog, organo hammond, eminent, mellotron, campane, hohner, celeste, sistro, clavicembalo, piano fender
M. Fabiano: basso
G. D'Aquila: batteria, timpani, percussioni
M. Luca, L. Lpez, E. Giuffre': chitarre
F. Mancini: armonica
Marlaena Kessick: flauto, ottavino
Alice(アリーチェ)のセカンド・アルバム。以前、ファーストとこのセカンドから半分くらいずつ集めた初期のベスト盤というのがあって(いまもあるのか?)、長い間そこでしかこのセカンド・アルバムからの曲は聴けない=長期にわたって(LPの時代から)消息不明(笑)入手困難だった作品が、日本盤で世界初CD化されました。
Aliceというと、Franco Battiato(フランコ・バッティアート)ファミリーのひとりで、知的なクール・ビューティといったイメージがありますが、ファースト、セカンドのころはたおやかなオーケストラをバックに往年のカンツォーネやイタリア歌謡の流れの上にある曲を歌っています。
Aliceの声はどこか冷たい感じがして(ハートが、ではなく、温度が)、自分にとっては好ましいタイプの女声ヴォーカルです。この声が、あたたかみのあるイタリア王道ポップス・スタイルの演奏にのって流れ出します。
また、アコースティック・ギターによるシンプルで素朴なフォーク・タッチの曲もあり、こういった曲がAliceの落ち着いた歌声で聴くのも、なかなかに魅力的です。
アルバムの冒頭に「Intro」、エンディングに「Reprise intro」という小曲が入っていて、なんとなくコンセプト・アルバム風ですが、これといってアルバム・トータルでのドラマのようなものは感じません。また、この「Intro」が、アルバムのイントロにしてはなんだか妙に明るい感じで、自分の好み的にはいまひとつ。
M2「Un fiore」はスローなポップスですが、アコースティック・ピアノのちょっと硬い音が印象的です。このピアノ、Aliceが自分で弾いているらしい。和音などにちょっと濁ったような印象を受けるところもあるのだけど、力強さの中にほろっとやさしさが垣間見えるような演奏で、なかなかいい感じです。しかし、それをじゃまするかのようなドラムのアレンジがうるさい。
M3「Un'isola」はシンプルでメロディアスな、比較的ゆっくりした静かな曲で、タイプ的にはおだやかにゆったりと聴けるはずなのですが、なぜか聴いていると体力を消耗します(自分だけ?)。どうも、一見シンプル・あっさりに聴こえるけれど、実はそのうしろでオーケストレーションとコーラスがみっちり入っていて、妙に音が厚いのです。音量的には小さいのだけど、やたらと密度が濃い。それを「楽な気分」で聴こうとしたので、からだが密度に対処する準備ができていなくて、疲れてしまったようです。
M5「Chi mi apprezza e chi disprezza」はいかにもイタリア歌謡ぽい曲。アップ・テンポで楽しいのですが、オーケストラのアレンジやメロディそのものには、いまとなってはちょっと古さを感じます。
M6「Io voglio vivere」はファースト・アルバムにも収録されていたものの再録。再録の経緯については日本盤のライナー・ノーツに詳しいので、そちらを読んでください。この曲、おだやかなメロディに分厚いオーケストレーションがかぶさったとてもドラマティックな曲なのですが、あまりにも豊潤すぎます。オーケストラ入りとはいえ甘さの少ないアレンジのものが多いこのアルバムでは、流れを壊しているというか、ちょっと浮いてしまっているように感じます。
M7「Senza l'amore」はシンプルで素直なメロディに厚いコーラスが入る曲。これ、Schola Cantorum(スコラ・カントルム)が歌ってもよさそう。
M10「E respiro」はRiccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)の曲で、なるほど、いかにもRiccardoといった感じです。Riccardoが歌えばきっと伸びやかに甘く歌い上げるのでしょうが、Aliceは歌い上げてもそこに甘さを感じさせないところが素敵です。
しかし、このアルバム、実はすごい量のコーラス/ハーモニーが入っているのですね。小さめの音でかぶせられているので、ぼんやりと聴いているとうっかり聞き漏らしそうな感じですが、ふと気がつくとそこにはコーラス、振り返るとハーモニー、というくらいに「声」がかぶせられています。Schola Cantorumもビックリといった感じです。自分はコーラス(というか、合唱ポップス)ファンなので、こういうのはどちらかというと好ましいのですが、リマスターで音がクリアになりすぎたのか、ときにこのアルバムでのコーラスはうるさいというか、鬱陶しいというか、そんな印象を持ちました。きっと、こんなにクリアに聴こえちゃいけないコーラスなんじゃないかと感じます。
あと、ドラムのアレンジがなぁ。低音系のタムタムをけっこう頻繁に使う曲がいくつかあるのですが、うるさい。せっかく素敵なメロディを魅力的な声でAliceが歌っているのですから、余計なことをしないでおとなしくしていなさい、と思いました。