1: IL CANTICO DELLE CREATURE
2: IL SULTANO DI BABILONIA E LA PROSTITUTA
3: IL LUPO DI GUBBIO
4: AUDITE POVERELLE
5: DIVINA COMMEDIA, PARADISO, CANTO XI
6: IL TRATTATO DEI MIRACOLI
7: NELLE PALUDI DI VENEZIA FRANCESCO SI FERMO' PER PREGARE E TUTTO TACQUE
8: LA REGOLA
9: LA PREDICA DELLA PERFETTA LETIZIA
10: LA MORTE DI FRANCESCO
11: SALMO
... le vie del pellegrinaggio
11 canzoni su testi tratti dalle Fonti Francescane
con la partecipazione straordinaria di:
Franco Battiato
Madredeus
Ennio Morricone
Nuova Compagnia di Canto Popolare
Muvrini
La Viola
Angelo Branduardi: violino, chitarre, chitarra sintetizzatore, flauto di Pan, dulcimer, percussioni
Daniele Bogni: violoncello
Carlo Gargioni: programmazione, tastiere, pianoforte, organo Hammond, piano elettrico
Davide Ragazzoni: batteria etnica Remo "Mondo"
arrangiato da Angelo Branduardi, Carlo Gargioni e Gian Franco Lombardi
prodotto e diretto da Angelo Branduardi
1970年代からコンスタントにアルバムをリリースし続けてきているAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)ですが、自分は1986年の『Canta Yeats』以降の作品を聴いていなかったので、個人的には14年ぶりの新しいアルバムになります。
しかし、彼の歌の本質は、むかしとまったく変わっていないようです。
もともとファンタジックで、妖精の住む中世ヨーロッパの神秘の森の奥深くから聞こえてくるような音楽を、あたたかい歌声で人々に伝え広めていくような彼の作風は、カンタウトーレというよりは吟遊詩人的な趣きがあります。それがAngeloの持ち味であり、大きな魅力でもあるのですが、そういった感覚はこのアルバムにも、しっかりと息づいています。
1970年代の作品にくらべると、リズム面やアレンジ面で現代的な空気があり、その分、以前ほどのファンタジックさ、夢見る感じは薄れて、より現実世界に近づいた音楽になっているようには感じますが、彼本来の魅力を崩すものではありません。
Angeloは歌とギター以外にも、パンフルートやヴァイオリンも演奏します。
イタリアン・ポップス/ロック界でヴァイオリニストというと、Mauro Pagani(マウロ・パガーニ)やLucio Fabbri(ルーチォ・ファッブリ)が有名に思いますが、彼らのヴァイオリンがどちらかというと技術指向で強さや厚さを感じさせるのに対し、Angeloの奏でるヴァイオリンはあくまでも、あたたかく柔らかいものです。中世指向、民族音楽志向の強い演奏といえるでしょう。その点がまた、吟遊詩人を感じさせます。
以前の彼の作風の特徴には、中近東風味というのもありました。遠く東洋から砂漠を渡ってヨーロッパにたどり着いたような感じが一層、吟遊詩人を思わせました。
しかしこのアルバムには中近東風味がなく、中世ヨーロッパ的な感性で埋め尽くされています。それは、この作品のテーマが、キリスト教の聖人、聖フランチェスコの生涯だからでしょうか。
アッシジの聖フランチェスコとしてよく名前を聞くことのあるこのイタリア人について、自分は知識を持ち合わせていませんが、たしか、清貧思想を持った人物ではなかったでしょうか。そして、彼の思想を支持する者たちが、のちにキリスト教のフランチェスコ会派となったのだと思います。
フランチェスコ会派は「主キリストはすべてを与え、自分ではなにひとつ所有しなかった。したがって、キリストに仕える者は、地上での所有権を有しない。あるのは使用権だけである」とし、権益の美酒をむさぼっていた当時の教皇派と激しく対立していた──といったことが、Umberto Eco(ウンベルト・エーコ)の小説『薔薇の名前』に書かれていました。
そのような会派の祖となった聖人を思い浮かべながら聴くと、また違った味わいがあるでしょう。なんとなく、教皇派とフランチェスコ会派との話し合いに立ち会うため、凍てつくイタリアの大地を歩む元異端審問官でヴェネディクト会派の修道士、バスカヴィルのウィリアム(映画ではショーン・コネリーが演じました)とその弟子の姿が目の前によみがえってきます。
かといって、宗教音楽的なところはまったくありません。素朴で、手に持てるものを多くは持っていないけれど、心に持てるものをたくさん持っている、まさに清貧にピッタリな音楽ではないでしょうか。
清い思いを胸に、中世ヨーロッパのそれぞれの土地を旅して歩いているような、そんな気持ちにさせてくれます。