produzione esecutiva: Diego Calvetti
produzione artistica: Giovanni Sala e Diego Calvetti
arrangiamenti: Giovanni Sala e Alessio Caraturo
Alessio Caraturo: voci, chitarre
Giovanni Sala: tastiere, programmazione, synth, piano
Roberto De Angeli: chitarre
Matteo Sala: batteria, percussioni
Enzo Fiorentino: basso
Lello Pareti: contrabasso
Alessandro Aulisio: trombone
Peppe Colucci: sax
Nicola Coppola: tromba, flicorno
N.E.W.S quartet: archi
Dona Pellegrini: voce
なんとなくジャケ買いしたアルバム。おそらく日本でこの人のアルバムをわざわざ買って聴いている酔狂な人なんて、ほとんどいないでしょう。
Alessio Caraturo(アレッシォ・カラトゥーロ)。1972年5月11日生まれ。ナポリ出身。若いころはSex Pistols(セックス・ピストルズ)とかMetallica(メタリカ)とかPublic Image Limited(パブリック・イメージ・リミテッド)とかが好きだったそうです。その後、イタリアの有名なカンタウトーレたち、Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)やFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)、Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)、Franco Battiato(フランコ・バッティアート)、そしてもちろんなポリのスター、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)などに傾倒していくようになったのだとか。パンク&ヘヴィ・メタルからカンタウトーレへ。劇的(笑)な好みの変化です。
で、このアルバム。どうやらデビュー作のようなのですが、なかなかの拾い物でした。歌声にあまり個性や特徴がないという弱点はあるのだけど、曲とアレンジがかなりいい。もちろん曲の大半はAlessio自身が書いているわけですが、Giovanni Sala(ジォヴァンニ・サーラ)という人と一緒にアレンジもほとんど自分で手がけているようで、才能を感じます。
印象的なのは、Alessio自身が弾くアコースティック・ギターの音色の美しさ。スチールとガットの両方を弾くのですが、どちらもとてもいい音で鳴っているし、いい音で録れている。そしてアルペジオとストロークの使い方も上手で、あらためてアコースティック・ギターの魅力を感じます。
そして、彼のギターとヴォーカルを美しく、ドラマティックに支える弦楽クァルテットとキーボード・オーケストレーション。厚みがあるのだけれどスッキリしていて、充分にドラマ性を盛り上げるけれど劇伴くさくはならない。抑えるところではきちんと抑えのきいたオーケストレーションが心地よく響きます。
カンタウトーレ作品らしい淡々としたロマンティックな曲あり、厚いオーケストラでドラマティックに盛り上がる曲あり、Avion Travel(アヴィオン・トラヴェル)に通じるようなロマンティシズムを感じさせるスロー・ジャズ風な曲あり、エレキ・ギターをバックに配したスケール感のあるロック・バラードあり、暖かい感じのフォーク・ソングあり、Pino DanieleやNino Buonocore(ニーノ・ブォノコーレ)などがやりそうなボサノバ&ジャズ風味の心地よい曲ありと、全体におだやかながらも曲にヴァリエーションがあります。歌声に「Alessioならでは」といったものは希薄ですが、ときどきFranco Battiato風に聴こえる少し頼りなげな声質もこういった曲に合っています。
うん、いい買い物をしたな。
ちなみにM14に、Vince Tempera(ヴィンチェ・テンペラ)とMassimo Luca(マッシモ・ルーカ)が作曲した「Goldrake」という曲が収録されているのですが、これ、1970年代の日本のアニメ「UFOロボ グレンダイザー」がイタリアで放送されたときのテーマ曲のカバーなんだそうです。このカバー、2004年11月にシングルでリリースされて、すぐに2万5000枚の大ヒットになり、ゴールド・ディスク(Disco d'oro)を獲得したのだとか。だからか、Googleで彼の名前を検索すると1万4000件以上もヒットします。日本ではまったく無名だろうし、イタリアでもけっしてメイン・ストリームではないシンガーでしょうが、知っている人は知っている、知られているところでは充分に知られている、そんな人(曲)なのかな。