ALESSANDRO ERRICO


ESISTE CHE (1997年)

   アレッサンドロ・エッリコ / エジステ・ケ
    (SUGAR / UNIVERSAL MUSIC SGR D 77802 / イタリア盤CD)




errico2.jpg   1: INTRO
  2: PERSEMPRE
  3: E PENSERO' AL TUO VISO
  4: L'UOMO DEI SOGNI
  5: DOV'E'
  6: ESISTE CHE
  7: INTERMEZZO
  8: L'ODORE DEI PIANTO
  9: IN SILENZIO (13/5/86)
 10: MIA DOLCE REGINA
 11: TAGLIANDO IL CUORE
 12: BOCCA DI FUOCO
 13: CUORE DI CRISTALLO
  i: CUORE DI CRISTALLO
  ii: PRELUDIO
  iii: FUGA
  iv: TRA PARADISO E INFERNO
  v: CODA







 レコードのスクラッチ・ノイズから始まるアレッサンドロの2nd アルバムは、前作以上に瑞々しく、ドラマティックなアルバムになりました。

 まだ若く、多少未熟ながらも才能を感じさせるアルバムでデヴューしたアレッサンドロですが、このアルバムではきちんと成長しています。
 前作に見られた「なんか、どこかで聴いたことのあるメロディなんだよな(実際そっくりなフレーズもあったし)」といった面は、今回はありません。そういう意味では、オリジナリティにも問題はないといえます。

 元気に一所懸命唄うスタイルは変わりありませんが、そこにも余裕が感じられます。力強く唄うところと抑え気味に唄うところ、感情を露わにするところとさらりと唄うところなどのコントロールも上手になっています。
 だからといって、若者が持つ瑞々しさはまったく失われていないんです。

 そう、アレッサンドロの魅力って、若者らしい繊細さと瑞々しさなんですね。ある意味、青春シンガーなのかもしれません(カッコ悪い ^^;)。

 サウンド面では、ドラマティック・メタル風味のギターの音は健在ではありますが、それ以上に、このアルバムではアコースティックな音が印象に残ります。
 アコースティック・ギターの音、アコースティック・ピアノの音が全体を通して聞こえていて、それが一段と透き通った瑞々しさ、傷つきやすい青年の心を感じさせるんです。そして、そこにかぶさるディストーション・ギターの艶やかなメロディ、暖かみのあるオーケストレーションが、いっそうの切なさを演出します。

 そうなんです。なんか、とても壊れやすい心、切ない想いが、アルバム全体を支配しているように感じるんです。
 アレッサンドロのホームページを個人で開設している Sara という女性(イタリア人)からもらったメールに、「彼の2nd は本当に素晴らしいのよ。まさに詩的というしかないわ」と書いてあったのですが、非常に的確な表現だと思います。

 ドラマティックかつリリカル、だけど押し付けがましいところはありません。アルバム・トータルの流れも破綻がなく、曲にバラエティはあっても浮いた感じのものはありません。ある意味、プログレッシヴ・ロックのアルバムに通ずるところもあるかもしれません(1st もそうでしたね)。

 1st よりかはいくぶん地味目だけれど、完成度はこちらのほうが上でしょう。曲自体の広がり、アレンジの深み、そして彼のヴォーカルとも、まちがいなく進歩していると思います。とてもよくできたアルバムです。

(1998.07.18)








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