AMEDEO MINGHI


SERENATA (1987年)

   アメデオ・ミンギ / セレナータ
    (EMI / L'IMMENSO 8 21197 2 / イタリア盤CD)



minghi2.jpg   1: SERENATA
  2: HALLO HALLO
  3: LA BRECCIA
  4: MISSISSIPPI
  5: ANNI '60
  6: NELL'INVERNO
  7: TEMA D'AMORE
  8: MIA VITA







 1970年代から活動しているアメデオの、80年代のアルバムが、やっとCDで再発になった。ライブ盤やベスト盤でしかいままで聴くことができなかった、まだあまりデジタル・テイストでない美しい曲が、オリジナルなかたちで聴けるのが嬉しい。

 基本的にアメデオの曲というのは地味なものが多いようだけれど、このアルバムにも派手さはない。ただ、90年代のアルバムと比べて、オーケストレーションが人間的な音色をもっているのと、ドラムが打ち込みでないため、生命感がある。
 また、このアルバムでは“明るい印象”をもった曲が多く、美しいオーケストレーションとあいまって、暖かくやわらかい感じをアルバム全体にもたせている。

 アルバムは、これからのドラマを予感させてくれるような、美しく、ゆったりとした「Serenata」で幕を開けるが、その後につづく曲の軽やかさは、ある意味で予想を裏切る。アメデオって、こんな曲も歌うんだ、と思ってしまった自分は、まだまだアメデオ初心者なんだろう。

 全体的に、90年代の曲に比べて、はっきりとしたメロディがあることも、特徴といえるかもしれない。比較的オーソドックスな曲づくりがされていると思う。
 90年代のアルバムを聴いて、アメデオってあまり曲づくりは上手ではないなと思っていたのだけれど、じつはメロディアスな曲(唄メロ)も書けるんですね。

 3曲目「la Breccia」と5曲目「Anni '60」の曲のクレジットに G.Chiocchio という名前がみえるが、やはりこれはピエロ・リュネール(Pierot Lunaire)のガイオ・キョッキョ(Gaio Chiocchio)のことなんだろうな。アメデオってもともと、ピエロ・リュネールと同じ it レーベルのアーティストだし、このアルバムの次に出た『le Nuvole e la Rosa』ではやはりピエロ・リュネールのアルトゥーロ・スタルテリ(Arturo Stalteri)が参加しているので、レーベル内での交流があったんだろう。

 とても美しくロマンティックな「Serenata」で始まり、その後のアルバム前半は軽やかで明るい感じの曲がつづくが、エンディングに向かうにつれて少しずつロマンティックな感じが戻ってきだし、7曲目のピアノを中心にしたインストゥルメンタルから最後の「Mia Vita」へとつなぐっていくあたりは、非常にドラマティック。

 「Mia Vita」といえば、生オーケストラと合唱が美しい2枚組ライブ盤『Dallo Stadio Olimpico di Roma』で、曲の終わりのほうでフェードインしてきてそのまますぐ終わってしまい、非常に気になっていた曲。ほんのちょっとしか聴けないその曲の美しさに、なんとか全曲をオリジナルなかたちで聴きたいと思っていた。
 今回はじめて全曲を聴いたが、期待を裏切ることなく素晴らしい曲だった。だんだんと壮大に盛り上がっていくさまは、凡百のシンフォニック・プログレなど足元にも及ばないかもしれない(でも、プログレではないよ)。アルバム・オープニングの「Serenata」で始まったドラマを締めくくるにふさわしい、感動のエンディングが待っている。

 こうなってくると、他の80年代のアルバム、さらには70年代のアルバムが非常に気にかかる。
 今回の再発は、アメデオのオフィシャル・ホームページを管理している(?) L'immenso レーベル(最近のアルバムもここから出ている)からだが、もしかしたら他のアルバムの権利も買い取るつもりなのかもしれない。このアルバムがたくさん売れて、他の古いアルバムも再発されるといいな。

(1998.01.31)








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