1: LA VITA MIA
2: ST. MICHEL
3: QUNADO L'ESTATE VERRA'
4: CUORE DI PACE
5: ANNI '60
6: LE VERDI CATTEDRALI DELLA MEMORIA
7: SERENATA
8: 1950
9: CANZONI
10: ROSA
11: L'IMMENSO
12: RIVEDRCI E GRAZIE
registrato dal vivo al Teatro Piccolo Eliseo di Roma
pianoforte e voce: Amedeo Minghi
ライヴ盤というと、たとえばClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)やGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)、i Pooh(イ・プー)などのような、観客とアーティストが一体化し、大観衆の合唱が感動的な彩りを演出するものを思い浮かべてしまいますが、Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)のこのライヴ盤には、そういった印象がまったくありません。彼の弾くエレクトリック・ピアノとオーケストレーションのみによる演奏に、落ち着いた歌しかないライヴだからでしょうか。
Claudio Baglioniにも『Assolo』という、全編を彼の弾き語りで歌いきった2枚組のライヴ盤(名盤!)がありますが、同じ弾き語りでも、Claudioのものは観客とアーティストの一体感を感じさせる“ライヴ”であるのに対し、Amedeoのものはむしろクラシックの“演奏会”に近い気がします。
もともとAmedeoの曲は情緒的に歌い上げるようなタイプではなく、奥行きのあるオーケストレーションに包まれた、地味で落ち着いた感じのものが多いので、こういったアレンジに違和感はまったくありません。むしろ、曲によってはスタジオ録音より落ち着いたものとなっていて、より印象的だったりします。
1990年代以降の彼の音楽は、壮大なキーボード・オーケストレーションがドラマティックで重厚な世界を演出していますが、歌メロの重要度は少し下がっているように思います。彼の低めで優しい声はもちろん魅力のひとつですが、独立したヴォーカル・メロディというよりは、アンサンブルの一部のような感じがするんです。
でも、このライヴに収められているのはそれ以前の、カンタウトーレらしい柔らかさや暖かさが歌メロ自体に残っていた時期の曲です。だから余計に、こういったアレンジによって曲や歌メロのよさが引き出されたのでしょう。
1980年代のスタジオ作品でときどき聴かれた、中途半端で薄っぺらいデジタル・アレンジが排され、抑えたキーボード・オーケストレーションに置き換えられたため、全体的に落ち着きと優しさが支配するライヴになっています。こういうアレンジが可能なのは、もともとの曲が持つメロディが素直で美しいからだといえるでしょう。
オリジナルでは生オーケストラの入っていたものがキーボードのオーケストレーションに置き換えられていますが、それにより音が薄くなるようなことはありません。また、打ち込みのドラムは多少、入っていますが、それが穏やかな空気をぶち壊すようなこともありません。
ライヴではあるけれど、たおやかでロマンティックな、優しさと暖かさにあふれたアルバムだと思います。