1: introduzione
2: COSI' SEI TU
3: IL VERO AMORE
4: DISTRATTA POESIA
5: PICCOLA SPINA
6: LA NOTTE PIU' LUNGA DEL MONDO
7: intermezzo
8: UNA IDEA
9: CERTE COSE
10: ANITA
11: CERCATORI D'ORO
12: MERRY CHRISTMAS (ancora tornera' Natale)
13: ripresa finale
musiche di AMEDEO MINGHI
testi: A. Minghi, P. Audino, S. Borgia
arrangiamenti: A. MINGHI e M. ZANNINI QUIRINI
programmazione, tastiere, direzione d'orchestra e cori: M. ZANNINI QUIRINI
chitarre: M. FUMANTI
cori: M. SANTORO
20世紀最後の年の11月にリリースされたこのアルバムは、ゆったりとした曲想に暖かいオーケストレーションがかぶるタイプの、いつものAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)らしさにあふれた、おだやかな作品になりました。
20世紀も大詰めになってからのリリースですし、なにか新しい方向性を見せるかという期待もあったのですが、とくに新しいこともなく、またこれまでの集大成的な力の入り方もなく、そういう意味ではちょっと肩透かしかもしれません。
でも、そういった力の入らなさ、マイペースなところもまた、彼の魅力ではあります。
1988年の『Le nuvole e la rosa』あたりからキーボード・オーケストレーションを中心としたシンフォニックな音楽をつくり続けている彼ですが、その方法論でもっとも密度の高い作品は1992年の『I ricordi del cuore』でしょう。個人的にはこのアルバムこそ彼の最高作と思っていますが、音づくりが重いため、一般のポップス・ファンにとっては、けっして聴きやすいタイプの音楽ではなかったはずです。
それを反省してか、その後は同じ方法論のまま、よりあたりの柔らかい方向へとすすみ、1996年の『Cantare e' d'Amore』ではかなりリラックスした感じになりました。スペイン語版もリリースされたこのアルバムは、それなりに売れたようですが、『I ricordi del cuore』のクオリティを知っている自分にとっては、あまりにもリラックスしすぎで、不満に思ったのも事実です。
しかし1998年の次作『Decenni』では、方法論は変えずに少し重みを取り戻しました。なかでも法王ヨハネ・パウロII世に捧げられた曲「Un uomo venuto da lontano」では混声合唱も使い、ドラマティックかつ神聖な世界を表現しました。Amedeoのここ数年の音楽にはもともと、どこか神聖な感じのするものが少なくなかったのですが、ヴィデオも収録されたこの曲は、信心深さと喜びと悲しみの入り混じった、心揺さぶられるものでした。
そして今作『Anita』は、『Cantare e' d'Amore』から『Decenni』へと続いた流れの延長上にあるといえるでしょう。
前作『Decenni』では世俗的なポップさとリラックス感といったものがまだ強く残っていましたが、今作では、ポップな親しみやすさ、やわらかさは残しながらも、アルバム全体が、よりおだやかで、敬虔な気持ちと愛情にあふれています。感じとしては前作に収録された「Un uomo venuto da lontano」をもう少しリラックスさせたような曲が多く収録されています。
『Decenni』以上に混声合唱がふんだんに導入され、過ぎ行く20世紀をいとおしみ、来たりくる新しい世紀をに感謝を捧げる、素朴だけど愛情と希望を忘れない家族といった光景が浮かんできそうです。
クリスマス前のリリースということもあり、ある種「クリスマス・アルバム」的な性格も持たせたかったのでしょう。実際「Merry Christmas (ancora tornera' Natale)」という、そのままなタイトルの曲もあります。また、それゆえに、アルバム全体にどことなく敬虔な感じが漂ってもいるのだと思います。
アルバムのオープニングではコーラス、中間部とエンディングではオーケストレーションによるインスト曲が配置され、それが一層、このアルバムに落ち着きとロマンティックな感じを与えています。ろうそくや暖炉の炎のような暖かさがあります。
ただ、これはこのアルバムに限ったことではないのですが、ドラム、ベースといったリズム・セクションが打ち込みなため、音楽にうねりや生身の人間の持つやわらかさが感じられないのが、少し残念です。キーボードのオーケストレーションも、Amedeoの歌声も、そしてメロディにも豊かなやわらかさがあるので、全体として無機質な感じは一切ありませんが、これでリズム・セクションが打ち込み出なければ、より奥行きのある味わい深いものになったでしょう。
1980年代の中ごろまでは生身のリズム隊を使っていた彼ですが、打ち込みを使ってひとりで演奏してしまうほうが楽なのかな。