1: LA DANZA
2: IL CANTO DELL'AMORE
3: CORALE CANTICO
4: LA FILASTROCCA
5: FARE, FARE
6: IL TEMPO CHE VERRA'
7: IN THE NAME OF LOVE
8: NOUVA TERRA
9: IN VOLO
10: LA FABBRICA
11: IL VIAGGIO
12: STELLA MIA
prodotto e arrangiato da ROBERTO COLOMBO
prodottore esecutivo: ALBERTO PUGNETTI
元Matia Bazar(マティア・バザール)の歌姫、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)のソロ第1作目です。Matia Bazar時代に、ともに優れたアルバムを制作したRoberto Colombo(ロベルト・コロムボ)をプロデュースと作曲に迎え、Matia Bazar時代と変わらぬ、素晴らしい歌声を聴かせてくれます。
ちなみに作詞は、自身もRoberto Colomboのプロデュースでなかなか味わいの深いアルバムをリリースしたことのあるDaniele Fossati(ダニエーレ・フォッサーティ)です。
Matia Bazarは、初期の柔らかいポップスからテクノ・ミュージック風の時代を経て、後年はスタイリッシュかつアーティスティックなポップスへと、表面的な曲の肌触りは変わりましたが、いつの時代も常に“イタリアの輝き”を感じさせるグループでした。そのなかでも、ひときわ強い個性と輝きを持っていたのがAntonellaです。個人的には、Matia Bazar=Antonellaといってもいいのではないかとも思います。
そんな彼女の初のソロ作が悪いはずがありません。楽曲的には中近東やアフリカ、さらに東洋を感じさせるものもありますが、それでいて、どれもがMatia Bazar時代のような、イタリアらしい輝きに満ちています。
また、Matia Bazar時代の個性のひとつだったアクロバティック・ヴォーカル(誰が名づけたのかは知りませんが、Antonellaのヴォーカル・スタイルを的確に表わした表現だと思います)はなくなり、全体的にたおやかな、流れるようなメロディ・ラインになっていますが、天空の高みにまで突き抜けるような、遠く地平線・水平線の果てにまで届くような、力強く、それでいて澄んだ歌声は健在で、このアルバムでも大きな魅力になっています。
これだけの個性と力強さがありながら、決して押しつけがましくならないあたりに、シンガーとしての真の才能を感じます。
個人的に自分は、女性シンガーが苦手です。どうも自分の聴いたことのある女性シンガーの多くは、根本的に歌が下手、あるいは、歌はうまいけれど「歌心」や魅きつけるものがない、もしくは、うまいし歌心もあるのだけど押しつけがましい──といったタイプのどれかにあてはまることが多く、素直に「いい!」と感じることが非常に少ないからです。
しかし、Antonellaに関しては、その歌声を聴いているだけで、素直に「いい!」と思えてしまいます。ポップスでありながらアーティスティック、力強くありながら繊細、大人の女性のようでありながら少女のようでもある──表現者としての高い力量と資質が伝わってくるのです。
そして、このアルバムは、そんなAntonellaの、シンガーとしての素晴らしさを充分に感じさせてくれるものとなっています。1975年から続いたMatia Bazarというグループに必然的にできてしまった枠から解放され、自由に、のびやかに歌を楽しむAntonellaの姿が、目に浮かぶようです。