ALAN SORRENTI


COME UN VECCHIO INCENSIERE ALL'ALBA DI UN VILLAGGIO DESERTO (1973年)

   アラン・ソッレンティ / コメ・ウン・ヴェッキォ・インセンスィエーレ・アッラルバ・ディ・ウン・ヴィラッジョ・デゼルト
    (EMI ITALIANA / MELLOW RECORDS: MMP 192 / イタリア盤CD)



jacket photo
  1. ANGELO
  2. SERENESSE
  3. UNA LUCE SI ACCENDE
  4. ORATORE
  5. A TE CHE DORMI
  6. COME UN VECCHIO INCENSIERE ALL'ALBA DI UN VILLAGGIO DESERTO


Alan Sorrenti: voce, chitarra, vcs 3
Antonio Esposito: percussioni, batteria, piatti, campanacci
Ron Mathienson: contrabbasso
Toni Marcus: violino, viola
Victor Bell: violoncello
Dave Jackson: flauto
Francis Monkman: vcs 3, piano, chitarra
Mario D'Amora: piano








Alan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)といえば、最近では一般的に、明るく都会的で軽やかなポップ・ソングを歌うシンガーといったイメージのようです。あるいはディスコ・ミュージックとして彼の名前を知っている人もいるかもしれません。実際、アメリカに渡ってからの彼の音楽は、アメリカナイズされた軽快なポップスが多いようで、また、そういった音楽を歌っている期間のほうが、いまとなっては長くなりました。

でも、プログレッシヴ・ロックの方面からイタリアン・ミュージックに入ってきたファンにとってのAlan Sorrentiは、繊細で不安定な世界を独特の浮遊感にのせて表現する、Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)にも通じる稀有なカンタウトーレといった印象でしょう。そして『Come un vecchio incensiere all'alba di un villaggio deserto』と名づけられたこのアルバムはAlanのセカンドで、彼がアメリカに渡る前の、危うい音世界が存分に堪能できる作品です。

音程があるようなないような、空間に無造作に放り出されるような歌は、どことなくシャーマニックです。静かな呪術儀式を思わせるような太鼓。ときに美しい旋律を奏で、ときに不安感をかきたてるようなヴァイオリン。不用意に触ったら崩れて壊れてしまいそうな歌声をそっと支えるコントラバス。シンセサイザーの奏でる穏やかなカオス。ふわふわと空間をさまよう不安定な精神。

サイケデリック・フォークの香りを色濃くまとい、独特の浮遊感と不安定感のなかを放浪するAlan Sorrenti。しかし、そこに暗い影は感じられず、意外と明るい、体の中から外へと出て行こうという意識が見え隠れするように思うのは、気のせいでしょうか。その点が、より内向的、内省的な印象の強いClaudio Rocchiとは違うように感じます。

ちなみに参加ミュージシャンには、パーカッションにAntonio(Toni) Esposito(トニ・エスポジト)、フルートにDave Jackson(デイヴ・ジャクソン)、キーボードにFrancis Monkman(フランシス・モンクマン)といった、プログレッシヴ・ロック・ファンにはなじみのある人たちの名前が見えます。

(2008.2.17)







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