Octavio Stampalia: teclados
Marcelo Ezcurra: voz
Pablo Robotti: guitarra
Marcelo Vaccaro: bajo
Christian Colaizzo: bateria
プログレッシヴ・ロックの専門店、Garden Shedで「キーボードによるオーケストレーションを中心に、フルート、ヴァイオリン、混声合唱団をダイナミックに導入したクラシカル・ロック・アレンジが、ドラマチックに高らかに鳴り響く」「シンフォニック・ロック、超力作」と紹介されていたアルゼンチンのグループ。
混声合唱でクラシカルでドラマチックでシンフォニックな超力作ですよ。気になるキーワードのオンパレードです。これを見て、頭の中ではLatte e miele(ラッテ・エ・ミエーレ)とかPesniary(ペスニエリ)とかが鳴り響いてたわけです。わくわく。
しかし...
これ、普通にハード・ロックじゃん。合唱は使ってるけど、ほとんどたんなるコーラスの域を出てない。これといってひねりのない曲構成、単調なリズム、平凡なアレンジ。メロディアスなハード・ロックのコーラス・パートに合唱団を入れたらなんとなくプログレ・ファンにも喜んでもらえそうな感じのものに仕上がりましたってだけのような印象です。この程度でプログレッシヴ・ロックを名乗るなって感じ。これよりか、デス・メタルとかヘヴィ・メタルとかを名乗っているグループ、たとえばTherion(セリオン)とかBlind Guardian(ブラインド・ガーディアン)などのほうがよっぽどプログレッシヴ・ロックのテイストを持ってると思うぞ。
なんだかねぇ、シンフォニック・ロックとしてはオーケストレーションが中途半端。2000年の作品らしいけれど、そのわりにはオーケストレーションの中心となるキーボードの音が妙に薄っぺらくて安っぽい。クラシカル・アレンジも、M4「Floreces, tiemblas y te vas」はNew Trolls(ニュー・トロルス)の「Concerto Grosso II」をいくぶん髣髴させるところはあるけれど、それ以外はことさらクラシカルという感じはないし、ドラマチックに鳴り響いているとも思えない。合唱団も添え物っぽいし。
かといって、メロディアス・ハード・ロックとしてもねぇ、微妙。そもそも曲自体が平凡でドラマ性に欠けているのもつらいのだけど、それよりもなによりも、ロックとしての躍動感というか力強さというか、聴いていてわくわく・どきどきする感じがないのがきつい。
う〜ん。けっきょく、プログレとしてもハード・ロックとしても「心に訴えてくる」ものを自分はこのアルバムから感じられないのです。なんとなくシンフォニック・アレンジを施してきれいにまとめてみましたっていう以外の印象がないなぁ。悪くはないけど、まぁこんな程度でしょうか、という感じのアルバムでした。