SEBASTIAN HARDIE


WINDCHASE (1976年)

   セバスチャン・ハーディー / 風の唄
    (MERCURY / NIPPON PHONOGRAM PHCR-2001 / 日本盤CD)



jacket photo  1: WINDCHASE ── 風の唄 ──
 2: AT THE END
 3: LIFE, LOVE AND MUSIC
 4: HELLO PHIMISTAR
 5: PEACEFUL


SEBASTIAN HARDIE are:
MARIO MILO: guitars, vocals
PETER PLAVSIC: bass
ALEX PLAVSIC: drums, percussion
TOIVO PILT: moog, piano, mellotron, solina, organ

produced and arranged by SEBASTIAN HARDIE







 オーストラリアのシンフォニック・プログレッシヴ・グループとして評価の高いSebastian Hardie(セバスチャン・ハーディー)のセカンド・アルバム。
 最近では、プログレッシヴ・ロックというとDream Theater(ドリーム・シアター)以後のプログレッシヴ・メタルや、あるいはKing Crimson(キング・クリムゾン)やYes(イエス)の流れを汲む、どちらかというとテクニカルで緊張感のあるタイプのものが好まれているように思いますが、以前はこのSebastian Hardieのような音楽も良質のプログレッシヴ・ロックとして愛されていたことを考えると、ちょっと感慨深いものがあります。

 彼らの音楽は、たしかにインストゥルメンタル部分も多く、大曲もありますが、最近の“プログレッシヴ・ロック”という言葉から連想されるようなテクニカルさ、張りつめた感じはありません。オーストラリアという土地柄なのかもしれませんが、非常におだやかで、大らかで、柔らかい陽光に満ちています。
 イタリアや地中海などとはまた違った、甘い果実の匂いが漂ってきそうな明るさと暖かさがあります。そして、なだらかで美しいメロディに満ち溢れているのです。

 ギターもキーボードも、余計なアタッチメントを通さない、素直で透明感のある音色を奏で、広い大地と透き通った星空に意識が引き込まれるかのような感覚を聴き手に与えます。この、広い空間を感じさせるところは、彼らの特色といえるでしょう。

 このアルバムは、ファースト・アルバムにくらべるといくぶん哀愁度は下がっているように思えますが、柔らかな暖かさを持った優しい肌触りのメロディアス・ロックとしてクオリティの高い作品です。
 ただ、いちばんの目玉ともいえる、アルバムのオープニングを飾る大曲「Windchase」のテーマ・メロディが、もうひとつ魅力に欠けるのが残念です。この点で、ファースト・アルバムのほうが出来がいいなと感じます。

(2000.06.17)








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