BANCO DEL MUTUO SOCCORSO


CANTO DI PRIMAVERA (1978年)

   バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ / 春の唄
    (VIRGIN DISCHI 7866092 / イタリア盤CD)



jacket photo  1: CICLO
 2: CANTO DI PRIMAVERA
 3: SONO LA BESTIA
 4: NIENTE
 5: E MI VIENE DA PENSARE
 6: INTERNO CITTA'
 7: LUNGO IL MARGINE
 8: CIRCOBANDA


produzione: Luigi Mantovani e Banco del Mutuo Soccorso
musiche: Vittorio Nocenzi e Gianni Nocenzi
testi: Francesco Di Giacomo e Vittorio Nocenzi







 初期のBanco del Mutuo Soccorso(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ)の音は骨太で重量感があり、いくぶんハードな演奏にスケール感のあるFrancesco Di Giacomo(フランチェスコ・ディ・ジァコモ)のヴォーカルが乗ることで、強固なアーティシズムを感じさせ、それが大きな魅力のひとつになっていたと思います。とくにセカンド・アルバムの『Darwin!』は、そういったパワーが最大限に発揮された名作でした。
 その後、骨太な部分はソフィスティケイトされていき、よりなめらかなドラマティシズム、ロマンティシズムが前面に出てくるようになったのではないかと思いますが、荒削りなパワーといったものがなくなった分、楽器のアレンジ、アンサンブルはより緻密になりました。

 『春の歌』と題されたこのアルバムは彼らの8作目になるわけですが、ここにはかつて『Darwin!』で聴かせたようなラジカルさはありません。音色もアンサンブルも非常に軽やかで、初期のようなくすんだ情感はなく、明るい陽射しに満ちています。
 インストゥルメンタルによるオープニングから、地中海音楽的なおだやかさ、さわやかに香る海風が感じられます。楽曲を支える演奏も非常にタイトで乾いた感じがし、テクニカルで音数が多いのに暑苦しさ、重さを感じさせません。このあたりは改めてメンバー個々の技量の高さを再認識します。
 ただ、音色、音づくりの面では、さすがにいま聴くとチープさ、古さを感じてしまいます。

 キングレコードのユーロロック・コレクションのシリーズで国内発売された初期の3枚と『Come in un'ultima cena』はどれもクラシカル・シンフォニックな色合いを強くたたえていましたが、このアルバムにはそういったおもむきはなく、地中海音楽のエッセンスを少し持ち込んだクオリティの高いポップスといった感じになっています。
 のちにリリースされる、Francescoのソロ的色彩の強い彼らのアルバム『Non mettere le dita nel naso』や、ギタリストのRodolfo Maltese(ロドルフォ・マルテーゼ)らが結成することになるIndaco(インダコ)で聴かれる音楽性のスタート地点は、もしかしたらこのアルバムなのかもしれません。

 ただ、Francescoにはもっとスケール感のあるドラマティックな曲で、その美声を聴かせてもらいたいとも思います。そういった曲のほうが、彼の唄はより生きるのではないかと思うのです。

(2000.09.16)








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