BANCO DEL MUTUO SOCCORSO


LIVE (1993年)

   バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ / ライヴ
    (MELLOW RECORDS: MMP 150 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. POLIFONIA
  2. R.I.P.
  3. IL GIARDINO DEL MAGO
  4. METAMORFOSI


liriche di Vittorio Nocenzi e Francesco Di Giacomo
musiche di Vittorio Nocenzi

registrazione dal vivo effettuato a Modena il 27/12/70

Vittorio Nocenzi: tastiere, faluto e voce
Gianni Nocenzi: tastiere e voce
Marcello Todaro: chitarra e voce
Renato D'Angelo: basso
Pier Luigi Calderoni: batteria
Francesco Di Giacomo: voce solista







 イタリアン・プログレッシヴのトップ・グループ、Banco del Mutuo Soccorso(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ)の発掘音源ライヴ。これはスゴイです。

 まず、演奏がスゴイ。

 このライヴが録音されたのは1970年12月と、アルバム・デヴューの前ですが、すでに圧倒的な演奏力を持っています。のちにファースト・アルバムに収録される3曲と未発表曲1曲の全4曲で70分超と、どれも長尺の曲ばかりですが、途中でだれることも破綻することもなく、とてもデヴュー前のアマチュア・グループとは思えません。
 ロックとしての凄まじいエナジー、イタリアならではのパッション、そして激しい緩急によるドラマとリリカルなフレーズ。どれをとっても1970年代イタリアン・プログレッシヴの魅力に満ち溢れています。

 そして、録音がスゴイ。

 いかにもむかしの海賊盤ぽいぐちゃぐちゃな音。各楽器音の輪郭も定位も分離もあったものではありません。ダイナミックレンジも狭く、すべての音がひとかたまりになって、スピーカーからちからまかせに投げつけられているような、そんな録音です。ステージの前に小型のカセットデッキをひとつ置いて一発録りしましたといった感じで、録音クオリティはまったく望めません。
 一方で、それがかえって演奏のパワフルさと熱さを伝えているともいえます。また、録音が悪く音がひとかたまりになっているとはいっても、その塊のなかでのそれぞれの楽器の音量バランスはよく、たとえばベースしか聴こえないとか、逆に特定の楽器の音が聴こえないといったこともなく、おおよそ全体の音が聴こえます。

 ただ、演奏の圧倒的なパワーの渦に、ヴォーカルが埋没ぎみなのが残念。これは、Francesco Di Giacomo(フランチェスコ・ディ・ジァコモ)の声に力がないのではなく、電気的に音量を直接増幅できる電子楽器と、生の声をマイクでひろって間接的に音量を増幅することしかできない人間の声の、もともとの音源が持つ音量の特性の違いなので、しかたがありません。とはいえ、個人的にFrancescoのヴォーカルはBancoの音楽が持つ魅力のなかでも高い比重を占めると思っているので、もっとクリアな音で、この凄まじいパワーにあふれた演奏に乗る彼の声を聴きたかったです。
 しかし、この録音の悪さによる「遠いところから聴こえてくるようなヴォーカル」が、たとえば「R.I.P.」の中間部におけるスロー・パートなどではかえって、まるで天から響いてくる福音のように、聴き手をやさしく、やわらかく、曖昧に包み込むといった効果を見せたりもするのですが。

 Bancoのコアなファン向けのアルバムですが、初期のBancoが持つ生々しい姿が感じられる好盤だと思います。

(2001.10.20)







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