produzione: Banco del Mutuo Soccorso
produttore esecutivo: David Zard
Rodolfo Faltese: chitarra, tromba, corno francese
Pierluigi Calderoni: batteria, percussioni, timpani
Renato D'Angelo: basso, contrabbasso, chitarra
Gianni Nocenzi: pianoforte, piano elettrico, sintetizzatore, clarino
Vittorio Nocenzi: organo, sintetizzatori, violini, vibrafono
Francesco Di Giacomo: documentazione
Banco del Mutuo Soccorso(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ)のヴォーカリスト、Francesco Di Giacomo(フランチェスコ・ディ・ジァコモ)は、イタリアン・プログレッシヴ・ロック・グループのヴォーカルのなかでも最高のひとりだと自分は思っています。自分がBancoを好きなのは、半分以上はFrancescoのヴォーカルが好きだからというのが理由だろうな、きっと。
しかしこの『Garofano rosso』には、Francescoのヴォーカルは入っていないのです。というか、完全にインストゥルメンタル作品なのです。というか、なんとこのアルバム、『Garofano rosso』という映画のサントラなんだそうです。
というわけで、Bancoのオリジナル・アルバム群からすると少し異端の作品なんだろうと思いますが、しかしそこはさすがBanco。サントラだからとあなどれないのですよ。
あの印象的なFrancescoのヴォーカルがないことで、Banco musicとしての魅力の一部がそがれてしまっていることは否めません。また、サントラという制約のためでしょうか、あるいは制作年代のせいか、ロック・グループとしてのBancoが持っている激しさ、力強さというのも、だいぶ薄められてしまってはいます。彼らの作品のなかでもとくに1stと2ndが好きな自分からすると、かなりおとなしい演奏になっています。
でも、これはまぎれもなくBancoなのです。とくにキーボード群の音づくり、アレンジ、バッキング・リフなどに、いつものBancoの姿がくっきりと浮かび上がってきます。あぁ、ここにFrancescoのヴォーカルがかぶされば、どんなによかったことだろうか。
自分は基本的にヴォーカル志向なので、インスト作品ってあんまり好きじゃないんです。アルバム1枚オール・インストなんてものだと、聴いてて途中で飽きちゃう確率90%て感じです。でも、このアルバムは飽きない。サントラとはいえサントラの枠に収まりきれていない、プログレッシヴ・ロックとしての魅力が存分に感じられます。
たしかにFrancescoのヴォーカルは彼らの音楽の大きな魅力(自分にとっては最大の魅力)ですが、もともと演奏力も作曲力も構成力もめちゃめちゃ高いグループですから、売りのひとつである「ヴォーカル」がなくなったところで、そこらの凡百のインスト・プログレ・グループなど足元にも及ばない、非常にクオリティの高い曲と演奏が聴けます。
うん、やっぱBancoはすごいぞ。