BUNGARO


L'ATTESA (2004年)

   ブンガロ / ラッテーサ
    (EMI MUSIC-ALIANTE / DELTA DISCHI: AL 501 / イタリア盤CD)



jacket photo
  1. OCCHI BELLI
  2. L'INFEDELE
  3. GUARDASTELLE
  4. LE DONNE D'AUTUNNO
  5. AGISCE
  6. PRELUDIO
  7. MOTI LUNARI
  8. L'ELENCO DELLE COSE
  9. IL REGISTA
  10. FARE E DISFARE
  11. NOTTAMBULA


produzione artistica: Bungaro e Gianluca Di Furia
arrangiamenti e direzione d'orchestra: Aidam Zammit

batteria: Agostino Marangolo, Cristiano Micalizzi
basso: Lorenzo Feliciati
piano: Aidan Zammit
tastiere: Aidan Zammit
programmazioni: Aidan Zammit
fisarmonica: Fabio Ceccarelli, Aidan Zammit
chitarre: Michele Ascolese, Bungaro
contrabasso: Franesco Puglisi
violoncello: Ugo Jervolino
tromba: Aldo Bassi
voce: Aldo Mazzoni








Bungaro(ブンガロ)って、10年くらい前のアルバムを1枚聴いたことがあるのだけど、ポップで明るい作品だったような記憶しか残ってません。たしか、中古だか在庫品セールだかのときにまとめて安くイタリアン・ポップスのCDを買ったときに入ってた1枚で、Bungaro自身についての知識も興味もないなかで手に入れたんだったな。で、聴いてみたら可もなく不可もなくたいした特徴もなくって感じだったので、その後すっかり彼のことなんて忘れてました。なので2004年のサンレモ音楽祭参加者に名前を見つけたときの最初の印象は「まだいたんだ」。ファンのみなさん、すみません……。

というわけで、このアルバムは2004年のサンレモ参加曲「Guarda stelle」を含む、Bungaroひさしぶりのニューアルバム、しかもベスト盤じゃなくてオリジナル作品です。サンレモ曲もそうでしたが、アコースティック・ピアノとオーケストラによる演奏を中心にしたバラード系の作品になっています。以前に聴いたことのある彼の作品とはぜんぜん印象が違います。

少しひび割れ気味の声は、おだやかにうたうときのLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)とかにちょっと似てるかな。聴いててEduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)をちらちら思い出してしまうのは、やわらかでほんのり哀愁を帯びたメロディがEduardoに少し似てるからでしょうか。

やわらかく、やさしく、ほどよい甘さと哀愁をまとったスローな曲が続きます。曲によって、ストレートなバラード、ほんのりボサノバ、なんとなくスロー・ジャズといった味付けはあるけれど、とくに大きな違いや変化ではないので、アルバムをずっと聴いてると飽きてきちゃうというか、なんだかみんあおんなじに聴こえてきてしまうのが、個人的にはちょっとどうかなという感じです。曲自体も、素直で美しいメロディで上手につくられているのだけど、展開や構成もあまりに素直で、ぐっとひきつけられるところがないんだよなぁ。

自分は、1970年代くらいのイタリアのポップスやロックが持っていた、なんていうのかなぁ、瞬発力? ある一瞬で一気に感情を昂らせることのできる爆発力? そういったものが好きです。美しくおだやかで哀愁があるだけじゃなくて、ここぞ!というときに一気に畳み掛ける、突然に大げさに盛り上がる、しかもメロディは美しいまま、リズム隊の力で盛り上げるのではなくメロディと構成と「歌」の力で盛り上げる、そういうことをふつうな顔してできるのって、イタリアくらいじゃないかと思ってます。

そういった、ある種いびつなドラマティックさが好きで、たくさんのイタリアのポピュラー・ミュージックを聴いてきたのだけど、最近はそういうタイプの音楽になかなか出会えません。英米のヒップホップやロックの影響が強く、しかしそれを「イタリアのアイデンティティ」のなかで上手にイタリアのヒップホップ/ロックに昇華するまではいかず、なんか中途半端な曲が多いように思います。

その点からするとBungaroのこの作品は、イタリアらしい哀愁には満ちていると思います。メロディも、アレンジも、オールド・スタイルといってしまえばそれまでですが、「メロディの国イタリア」を思い出させるに充分だといえるでしょう。美しく、ロマンティック。だけど、ドラマティックじゃない。コンポーザーとして、あるいはシンガーとして、瞬発力や爆発力に富んだ人ではないんだろうな。おだやかな気分で楽しんで聴ける作品ではあるけれど、作品のなかに引き込まれるほどの力は、少なくとも自分に対しては持っていません。秋から冬にかけての夜のBGMとしてはよさそうなんだけどね。

(2004.12.25)







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