旧ソ連・ベラルーシのロック・グループ、Песняры(ペスニァーリ。英語表記はPesniary)の、1974年のアルバムだそうです。自分が持っているCDは、このアルバムと1978年の 『Перепёлочка (Perepelochka)』の2枚が収録された2in1なのですが、今日はとりあえず『Олеся (Olesya)』のほうだけ聴きました。
Pesniaryといえば1980年の『ГУСЛЯР (Gusliar)』が混声合唱入りシンフォニック・プログレッシヴ・ロックのとんでもない名作としてコアなファンのあいだでは有名なのですが、このグループ自体はどちらかというとプログレッシヴ・グループではなくコーラス系のポップス・グループのようです。
この1974年のアルバムも、プログレッシヴというよりはコーラス系ポップス作品といった印象があります。イタリアの、日本でいうところのいわゆるラヴ・ロック系の作品に近い感じを強く受けます。ところどころでビート・ロック風になったりサイケデリック風なニュアンスがあったりするところも、1960年代後半から70年代にかけて出てきたイタリアン・ラヴ・ロック・グループの初期のころの姿となんだか重なります。
といっても、そこは旧ソ連。イタリアとは違ったもの悲しさを存分にまとった哀愁がたまりません。また、曲のメロディはポップス風でも、そこに重ねるコーラスが妙にクラシックぽい合唱スタイルなので、ヨーロッパの古い歴史を感じさせる奥行きと深みと趣が醸しだされます。もちろん、オーケストラも入っています。
M1はNew Trolls(ニュー・トロルス)の「Concerto Grosso II」を思わせるような雰囲気の曲で、そのままクラシカルな方向へ突っ走るかと思いきや、その後はもっと世俗っぽいコーラス・ポップスになりますが、なぜかM5のメロディはナポレターナぽかったり、M6ではアラビア風のイントロがエスニック感満載だったり、だけど全体には東欧らしいひなびた哀愁が薄いヴェールのようにかかっていたりと、なかなか味わい深い作品です。録音状態があまりよくなく、ときどき音がひび割れたりするところも、かえって雰囲気を出すのに役立っているように思います。
うん。いいグループだな、Pesniary。カップリングされているもう1枚のほうも聴くのが楽しみです。