COS


BABEL (1978年)

   コス / バベル
    (GEE BEE DEE: 08-1719 / ドイツ盤LP)



jacket photo

side 1:

  1. BABEL
  2. GOOD WIND
  3. CHA CHA CHA
  4. MEIN MASCHINE IST SCHOEN

side 2:

  1. SORS TON PETARD, JOHNNY
  2. OOSTEND, OOSTEND
  3. GREENELDO


all compositions by Daniel Schell

Pascale Son: vocals, oboe
Alain Goutier: bass
Daniel Schell: guitar, flutes, devices
Philippe Allaert: drums, percussions
Marc Hollander: organ, sax, mein maschine
Marc Moulin: organ
Francois Cahen: grand piano
Dirk Bogaert: flute, vocals, artistic supervisor
Alain Pierre: sounds








自分は細々ながらもけっこう長くプログレッシヴ・ロックのファンをやっていて、ウェブ上や友人間での会話などでもプログレッシヴ・ロックについて書いたりしゃべったりすることもときどきあるわけですが、けっこう困るのが、プログレッシヴ・ロックを知らない(聴いたことがない)人に「プログレッシヴ・ロックってどんな音楽?」と聞かれることだったりします。プログレッシヴ・ロックの黎明期のころなんかだと「クラシック・ミュージックのアイデアやスタイルをロックに取り入れ、歌詞にも思想性などを持たせた、芸術的なロック」とか、いま考えるとワケのわかんない説明ですが、それでもなんとなくそんな感じで表現できたのだけど、その後「プログレッシヴ・ロック」はどんどんスタイルを多様化させていってしまい、もうひとことでは説明できなくなっちゃいました。

で、ベルギーのグループ、Cos(コス)なんですが、こういうグループがいるから一層、「プログレッシヴ・ロックってどんな音楽なんだ?」という質問に答えにくくなってしまいます。ここには、いわゆるイギリスのメジャー・プログレッシヴ、たとえばKing Crimson(キング・クリムゾン)だとかYes(イエス)だとかPink Floyd(ピンク・フロイド)だとかGenesis(ジェネシス)だとかEmerson, Lake & Palmer(エマーソン・レイク&パーマー)だとかThe Moody Blues(ムーディ・ブルース)だとかに聴かれるような要素は、ほとんど皆無だといっていいでしょう。

軽やかで、ユーモラスで、ジャズ風味があって、どこかふざけたような、人を馬鹿にしたような演奏。意味のない音の羅列でしかないヴォーカル。冗談なのか本気なのかよくわからない曲。でも、これも「プログレッシヴ・ロックなの?」と聞かれれば、「プログレッシヴ・ロック……だと思うよ」と答えるしかなさそうです。だって、「プログレッシヴ・ロック」に含める以外に、こういう曲は、いったいどういうジャンルに入れればいいんでしょうか。

そうです。既存のロック・ジャンルに含めるのが「なんだかなぁ」というロックはみんな「プログレッシヴ・ロックの一形態」なんですよ。そして、そういった「はみだしちゃったからプログレッシヴ・ロック」の最右翼グループのひとつがCosなのかなと思うわけです。

プログレッシヴ・ロックをそれなりに聴いている人には、いわゆるカンタベリー系のヴァリエーションのようなもの、といったほうがわかりやすいでしょうね。ユーモアと軽やかさを感じさせるジャジーなポップ・ロック、といってしまったらそれですんでしまいますが、本家イギリスのカンタベリー系よりも、さらにふざけた感じで、かつ力が抜けているように思います。なんだか楽しげです。

こういうグループもプログレッシヴ・ロックに含めてしまうから、プログレッシヴ・ロックの世界はおもしろいし、深いし、厚みがあるし、だけどワケがわからんのだよなぁ。そういったもろもろの意味も含めて、なかなか魅力のある作品だと思います。

(2004.12.25)







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