letras, musicas e orquestracoes por Marcus Viana
ブラジリアン・シンフォニック・ロックのトップ・グループのひとつですね。エレクトリック・ヴァイオリンの美旋律を中心に、しなやかで流れるようなシンフォニック・ロックが展開されます。ところどころフルートも加わり、ときにはPFMを思わせるようなきらびやかなアコースティック・ギターのアレンジなどもあり、聴きどころの多いアルバムといえるでしょう。
けっこう演奏はテクニカルなんだけど、あまりそれを感じさせず、おおらかで暖かい印象を受けるのは、ブラジルだからなんでしょうか。ほどよく哀愁もあるのだけど、それがあまりシリアスな感じにならないのも、ヨーロッパとはちょっと違った肌触り。ヴォーカルなどはイギリスのファンタジックなシンフォニック・ロックに似た印象を受けるのだけど、そのファンタジーの世界には妖精も魔物も棲んでいない感じ。
メロディや演奏、アレンジ自体は厚みもあるし深みもあるし広がりも充分以上に感じられる。音楽に対する愛情や暖かい気持ちもしっかり伝わってくる。それだけで充分魅力的なのだけど、その背景にある種の暗さとか重さとか湿りけといったもの、光と影の強いコントラストが感じられないところがヨーロッパのシンフォニック・ロックとは違う、ブラジリアン・シンフォニックの味わいなんでしょうね。
これはこれで聴いていて気持ちのいいものなのだけど、自分の好みとしてはやはりヨーロッパ的なコントラストがほしいなと思ってしまいます。ついでにいえば、エレクトリック・ヴァイオリンの音色にもっとつややかさを、ヴォーカルにもっと情熱を、とか思ってしまうのだけど、それはこのグループのめざすところとは違うのでしょう。
個人的な好みを別にすれば、とても完成されたシンフォニック・ロック・アルバムだと思います。