1: CON TE
2: SIGNORI SI CHIUDE
3: TI AMO ANCORA
4: GIORNI DI NEVE
5: LORO SONO LA
6: E TU COME STAI?
7: UN PO' DI PIU
8: QUANDO E COSI
9: ANCORA LA PIOGGIA CADRA
自分はRCA時代のバッリォーニが好きで、『 Sabato Pomeriggio 』や『 E Tu... 』なんかはよく聴いた(「 E Tu... 」は結婚式のBGMにも使った ^^)。でも、CBSに移ってからのものって、ライブ盤『 Assieme 』『 Ancorassieme 』しか聴いたことがなくて、スタジオ盤としてのCBS作品を聴くのははじめて。
でこれは、CBS移籍後の最初のアルバム。
いやぁ、びっくりしました。違う人のアルバムみたい。いきなりオートパンをかけたキラキラしたギターのイントロが聞こえてきたときは、ついにバッリォーニも血迷ったかと思った(^^;)。
バッリォーニって、いまにも喉から血が吹き出すのではないかというくらい感情が大爆発している唄いかたをするのだけれど、基本的にはひじょうに内省的というか、内向きな印象がRCA時代にはあった。
しかし、このアルバムの1曲目に聞かれる西海岸ぽいというかフュージョンぽいギターの音色は何? こういう乾いた音は、RCA時代にはなかったように思う。
と思っていたら、2曲目は間違いなくRCA時代に通じる感傷的な曲。ただアレンジはずいぶん抑えめにはなっている。
こういう曲でのバッリォーニの声がもつ説得力は誰にも負けない。もっともイタリアくさいカンタンテのひとりとしてのアイデンティティを感じる。
アルバム全体を通しては、なんとなく過渡期にあるのかなという感じがする。
1曲目で見せた明るく乾いた新しい面と、2曲目にあるそれまでのスタイル。これらがまだうまく融合できていず、移行がスムーズにいっていないようで、全体の構成としては少し迷いがあるように感じる。その結果でてきたのが都会的な雰囲気を思わせるおしゃれっぽい曲なのかな?
ところどころ、日本のおしゃれ系ポップスとも印象がだぶる。
それぞれの曲自体は、オーソドックス/ちょっと都会的、バラード系/アップテンポといったスタイルの違いはあるけれど、どれも美しく、イタリアン・ポップス・ファンならばきっと愛せるもの。
ただこの時点では、やはりオーソドックスなバラード系の曲が、曲づくりの面でも唄いかたの点でも、もっともしっくりしているのではないか。
イタリアン・ポップスのアルバムとしてはけっして悪いものではない(よくできてるほうだと思う)が、RCA時代の圧倒的な説得力をもったバッリォーニを知っているので、彼の実力はこの程度ではないはずだ、と思ってしまう。
まぁ、いろいろな可能性を感じさせるアルバム、次へつながるアルバムといったところだろうか。他のスタジオ作品を聴いてみたい気にはさせる。