1: UNO
2: VIA
3: I VECCHI
4: DUE
5: NOTTI
6: RAGAZZE DELL'EST
7: STRADA FACENDO
8: TRE
9: FOTOGRAFIE
10: ORA CHE HO TE
11: QUATTRO
12: BUONA FORTUNA
arrangiato e prodotto da GEOFF WESTLEY
Claudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)の場合、基本的にどのアルバムを聴いてもハズレはないのだけれど、そんななかでも、このアルバムと1985年の『La Vita e' Adesso』は、CBSレーベル移籍後の作品のなかでも、とくに完成度が高いと思います。
RCAレーベル時代はどこか内省的で、若さゆえに感情をうまくコントロールできず、若者の愛と哀しみを痛々しいまでに吐き出しながらも、アーティスティックな感性に優れたアルバムをリリースし続けてきたBaglioni。
CBSに移ってからは、最初の『E Tu Come Stai?』こそ方向性にふらつきがあったものの、その後のアルバムは感情の吐露をうまくコントロールし、より懐の深い愛を表現するカンタウトーレになったと思います。RCA時代のような、若さゆえの強い想い、ひとりの女性にすべてをかけるような熱さに代わって、より幅の広い視野を持ち、前向きに人生を楽しんでいく術を見つけたかのようです。
それゆえ、CBS移籍後のアルバムはRCA時代にくらべ、いくぶん軽くポップなものに感じられるところもありますが、彼がもともと持っているアーティスティックな感性は失われていません。
そういった意味で、CBS時代の表現方法とRCA時代の表現方法がうまく混ざり合い、双方のよさが相乗効果となってアルバムに高い完成度を与えることに成功したのが、この『Strada Facendo』であり、その次の作品である『La Vita e' Adesso』ではないかと思います。
このアルバムには、アップテンポのポップ・ナンバーからスローなバラードまで、いろいろなタイプの曲が収録されていますが、そのどれもが、こちらに手を差し伸べるような親しみに満ちています。たとえば、明るい太陽の下でともに青春時代を過ごした友人に、ある程度の年齢になったときに久しぶりに会ったなら、このような気分を感じられるのではないでしょうか。
美しいメロディと奥行きのある歌唱はもちろん健在で、ありきたりなポップスほどに軽くはならず、かといってリスナーを選ぶほどには重くもならないバランス感覚はさすがです。
間に小曲をはさみながら、アップテンポな曲で始まりロマンティックなバラードで終わるこのアルバムは、収録曲それぞれが完成度の高い名曲ぞろいです。同時にアルバムとしても、曲調のバランス、配列ともによく考えられていて、1枚を通してドラマを感じられる名盤だと思います。