CD1
1: prologo
2: NOTTE DI NOTE, NOTE DI NOTTE
3: IO DAL MARE
4: ACQUA DALLA LUNA
5: POSTER
6: RAGAZZE DELL'EST
7: LA PIANA DEI CAVALLI BRADI
8: IO, LUI E LA CANA FEMMINA
9: STAI SU
10: REGINELLA REGINE'
11: UN MONDO A FORMA DI TE
12: NOI NO
13: TAMBURI LONTANI
14: FOTOGRAFIE
15: FAMMI ANDAR VIA
CD2
1: E ADESSO LA PUBBLICITA'
2: QUANTE VOLTE
3: BOLERO
4: DOMANI MAI
5: AVRAI
6: CAZONIERE DEL TEMPO
QUESTO PICCOLO GRANDE AMORE
AMORE BELLO
E TU
SABATO POMERIGGIO
SOLO
E TU COME STAI
STRADA FACENDO
LA VITA E' ADESSO
7: A DOMANI
8: CUORE DI ALIANTE
9: MILLE GIORNI DI TE E DI ME
10: IO SONO QUI
11: VIA
12: presentazione
13: TITOLI DI CODA
14: finale
realizzato da PAOLO GIANOLIO
arrangiato e diretto da PAOLO GIANOLIO e CLAUDIO BAGLIONI
Giovanni Boscariol: organo, fisarmonica, tastiere
Paolo Costa: basso, contrabbasso
Paolo Gianolio: chitarra classica, elettrica, acustica
Gavin Harrison: batteria, wave drum
Danilo Rea: piano acustico e elettrico
Elio Rivagli: percussioni, tamburi, d-drum
Claudio Baglioni: piano e chitarra acustica
スタジオ・アルバムをリリースしたら、次はライヴ盤というローテーションが、1980年代以降は固まっているClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)。1999年のアルバム『Viaggiatore sulla coda del tempo』に続く今作も、そのローテーションどおり、2枚組のライヴ・アルバムとなりました。
1999年末にリリースされた『Viaggiatore 〜』のツアーは2000年の前半に行なわれましたが、このライヴ盤に収録されているのはそのツアーのあと、2000年の夏からスタートしたアコースティック・セットのライヴ・ツアーです。
アコースティック・ツアーといえば、1986年に『Assolo』というライヴ・アルバムがリリースされています。これは、多少の打ち込み以外はClaudioの弾き語りのみで展開されるという、同名のツアーを収録したもので、とくにアコースティックにこだわったわけではなく、エレクトリック・ギターやキーボード、打ち込みドラムも使われてはいますが、バンド・サウンドとはまったく別の、シンガーとしてのClaudioの素晴らしさを生々しく伝えるアルバムでした。そして、それは同時に、コンポーザーとしての彼の偉大さをも浮き彫りにしていました。
個人的には、カンタウトーレとしての彼の才能を充分に発揮した、彼の最高作だと思っています。
対して、今回のツアー『Sogno di una notte di note』は、演奏は基本的にアコースティック楽器ですが、バンドを引き連れてのコンサート。アコースティック・セットといっても完全なアンプラグドではなく、ベースや一部のギターなどにはエレクトリックが使われています。
ガット・ギターの優しい音や、多少硬めできらびやかなアコースティック・ピアノの音などに包み込まれたClaudioの歌は、いつもどおりの深みと暖かさを持っています。11月半ば過ぎにリリースされたこのアルバムは、ファンにとっては素敵なクリスマス・プレゼントになったことでしょう。
ただ、これはあくまでも個人的な印象ですが、ライヴ・アルバムとして出来がいいかというと、そうでもないように思います。
もちろん、Claudioのアルバムですから、充分なクオリティはあります。それでも、過去のライヴ・アルバムにくらべると、声が出ていないし、シンガーとしての凄み、迫力といったものも弱まっているように感じてしまうのです。
そこには、アコースティック・セットという特質にあわせ、よりリラックスした感じで歌ったということもあるでしょう。しかし、やはり加齢による衰えというのも隠せません。高域の伸びにつらさが感じられるようになったのは何年も前からですが、このライヴでは声量も落ちてきているように思うのです。
ライヴでは、1970年代の初期の曲から99年の最新盤収録曲まで、幅広い年代から選曲がされていますが、緩急の差がはっきりとしていて、高音で張る部分の多い古い曲に、その傾向が強く感じられます。もちろん、わざと抑えて歌っているのかもしれません。
また、自分には絶対音感がないので、ハッキリしたことはいえないのですが、古い曲は全体に音域を下げて演奏されているような気がします。それゆえか、いくぶんベタっとした重さが出ているように思います。
スタジオ作品であれば、その時点でもっとも自分のヴォーカルが映えるような曲をつくり、構成することもできますが、過去のヒット曲も歌わなければならないライヴでは、そうもいきません。とくに本作のような、アンソロジー的な意味合いも持ったライヴでは一層、幅広い年代からの選曲が要求されます。
いかに彼がヴォーカリストとして優れた才能にあふれているとしても、30年前のデヴュー当時と同じように歌えるわけではありません。それは、けっして悪いことではなく、実際彼は常にその時点で最高のパフォーマンスを発揮する曲をつくり、歌い続けてきました。そこには妥協やクオリティの低下はなく、いつも未来を向いて、よりクオリティの高い音楽を発表し続けてきたことを、ファンならみな知っているはずです。
そのすごさを知っているからこそ、今回のライヴ盤には少しばかり、寂しさを感じてしまうのです。普通のカンタウトーレのライヴ盤であるなら充分以上のクオリティですが、Claudioにはもっと高いものを求めてしまうというのは、ファンのエゴでしょうか。
しかし彼は、こういったファンの期待にまだまだ応えていけるだけの才能を持っているはずです。イタリア最高のカンタウトーレのひとり、Claudio Baglioniの魅力を存分に発揮したスタジオ録音の新作が、待ち遠しく感じられます。