prodotto e realizzato da VINCE TEMPERA e CRISTIANO DE ANDRE'
co-prodotto da MASSIMO BUBOLA
batteria: Ellade Bandini, Walter Calloni
basso: Ares Tavolazzi, Paolo Costa
chitarra: Massimo Luca, Fabrizio Consoli, Cristiano De Andre'
hammond: Vince Tempera
piano: Vince Tempera
tastiere: Vince Tempera, Sergio Conforti
archi: Vince Tempera
violino: Cristiano De Andre'
tromba: Demo Morselli
sax: Amedeo Bianchi
かつて日本盤もリリースされたことのあるアルバム。日本ではこれがCristiano De Andre'(クリスティアーノ・デ・アンドレ)のデヴュー・アルバムと紹介されることが多いのですが、イタリアのサイトを見ると1987年の『Cristiano De Andre'』がソロデヴュー・アルバムで、これはセカンド・アルバムのようです。
ちなみにCristianoはもともと1982年にシングル・デヴューしたTempi Duri(テンピ・ドゥーリ)というグループのメンバーで、1985年にソロに転向しています。1987年にファースト・アルバム『Cristiano De Andre'』、1992年にセカンド・アルバム『Canzoni con il naso lungo』をリリース。そして1993年にサンレモ音楽祭に参加し「Dietro la porta」で2位を獲得、この曲を追加して『Canzoni con il naso lungo』がタイトルを『Cristiano De Andre'』変えて1993年に再リリースされていることから、ファーストからサードまでのアルバム・タイトルがごちゃごちゃになっていてわかりにくいです。
このアルバムが日本で紹介されたときはたしか、地中海音楽の好盤といったような評価だったと記憶していますが、実際にアルバムを聴いての自分の印象は、地中海音楽というよりはフォークソングかなという感じです。それも、アメリカの古きよき時代を思わせるような、やさしく暖かなフォークソング。
プロデュースはVince Tempera(ヴィンチェ・テンペラ)とCristiano本人ですが、コ・プロデュースにMassimo Bubola(マッシモ・ブボラ)の名前があります。Massimoは曲づくりにも協力していて、アルバム後半の曲はほとんどMassimoのものです。そのためか、後半になるとMassimo風の泥臭いフォークソングが中心になってきます。
ではなぜ日本に紹介されたときに「地中海音楽」という言葉が使われたのかというと、おそらくアルバム前半に収録された曲の印象にあるのでしょう。前半の曲ではMauro Pagani(マウロ・パガーニ)が曲づくりに協力しているためか、フォークソングを基本としながらも、どことなく地中海のキラキラした光の輝きが感じられます。とくにM1「Non mi so fermare」やM4「Mille come me」あたりはそういった印象が強いです。
なお、MauroもMassimoも、曲づくりには協力していても、このアルバムでの演奏には参加していません。演奏にはヴァイオリンも導入されていますが、これはMauroではなくCristiano自身が引いています。しかし、曲づくりに協力しているアーティストたちの個性が強すぎるためか、このアルバムからはあまりCristiano本人の個性が感じられない気がします。Mauroが協力した曲はMauro風(地中海風)、Massimoが協力した曲はMassimo風(泥臭フォーク風)で、全体にはコ・プロデュースのMassimo風味がちりばめられているかなという印象を受けます。
フォーク・ミュージックのアルバムとして愛らしい作品ではありますが、全編に地中海音楽を求めたり、あるいは「地中海」と「De Andre'」というキーワードから父であるFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)の影を期待したりするのは、間違いでしょう。