produzione artistica: Manuel Agnelli
prodotto da Valerio Soave
chitarra: Cristina Dona', Lorenzo Corti, Marco Parente, Domenico Caliri, Thomas Fossati
basso: Marco Ferrara
batteria: Cristian Calcagnile
percussioni: Cristian Calcagnile
hammond: Manuel Agnelli
piano: Cristina Dona', Marco Castoldi, Manuel Agnelli
drum machine: Cristian Calcagnile, Morgan
tastiere: Cristian Calcagnile, Cristina Dona'
1995年のPremio Ciampi(故Piero Ciampiの名を冠したコンテストで、新しい音楽を奏でる若いシンガーを発掘するのが主な目的になっているようです)で優勝し、1997年2月に『Tregua』でアルバム・デビューしたCristina Dona'(クリスティーナ・ドナー)。このときからプロデューサー/アレンジャーとしてAfterhours(アフテルアワーズ)のManuel Agnelli(マヌエル・アニェッリ)が彼女をバックアップしています。
ステレオタイプなイタリアン・ポップスの古いイメージを打ち壊す新鮮なカンタウトリーチェ(女性シンガー・ソングライター)としてすぐに注目を集め、デビュー・アルバムはインディー・チャートのトップ5入り。同年10月にはClub Tenco(故Luigi Tencoの名を冠したコンテストで、多数の音楽ジャーナリストやメディアの投票で優勝者を決めているようです)でベスト・デビュー・アルバム賞を受賞しました。また雑誌『Musica & Dischi』でも1997年のベスト・デビュー・アルバムに選ばれました。
アルバム『Nido』は1999年11月にリリースされたセカンド・アルバムで、今回もManuel Agnelliがプロデュースとアレンジを担当しています。また、プリプロダクションとアレンジにMauro Pagani(マウロ・パガーニ)の名前も見えますが、Mauro色はほとんど感じません。イタリアのステレオタイプな音楽のイメージを一新するという触れ込みどおり、また所属がAfterhoursやBluvertigo(ブルヴェルティゴ)、Fiamma(フィアンマ)、Marco Parente(マルコ・パレンテ)、Massimo Volme(マッシモ・ヴォルメ)、Subsonica(スブソニカ)などと同じMescalということもあってか、いわゆるカンツォーネ的なところはまったくなく、実験的な色彩の強いものになっています。
曲調的にはフォーク風であったりロック風であったりニューウェーヴ風であったりしますが、どれも素直でないアレンジやSE等が加えてあります。Cristinaのヴォーカルも、ときにアンニュイでエロティックになったCarmen Consoli(カルメン・コンソリ)のようであったり、Brigitte Fontaine(ブリジット・フォンテーヌ)イタリア版といった感じであったり、可愛らしくキュートであったりと、変化があって魅惑的です。
M1「Nido」やM4「Cosi cara」などはフリージャズぽいような、ニューウェーヴぽいような、怪しくミステリアスな雰囲気があり、Art Ensemble of Chicago(アート・アンサンブル・オブ・シカゴ)とか、どことなく日本のG-Schmitt(ゲー・シュミット)などを思い出しました。またM6「Volo in deltaplano」はバックがミュージック・コンクレート風ですし、M10「Volevo essere altrove」はとてもフリーな感じ。こういうの、むかしはみんなプログレッシヴ・ロックのひとつの範疇でしたよね。
一方でフォーク風の曲にボレロのリズムを組み込んだM2「Goccia」があったり、独特の浮遊感ただようポップスのM5「Se l'ultima giornata di sole」があったりと、一筋縄ではいきません。M9「Deliziosa abbondanza」などはもっときちんとした演奏にしたらIrene Grandi(イレーネ・グランディ)とかが歌ってもよさそうな、曲としては普通のポップスなのですが、妙にすかすかした演奏ととらえどころのない感じのCristinaの歌声で、やはりちょっと変わったポップスになってしまうところが心地いいです。