CLAUDIO MATTONE


SCUGNIZZI (1992年)

   クラウディオ・マットーネ / スクグニッツィ
    (EASY RECORDS ITALIA / RTI ESY11872 / イタリア盤CD)



jacket photo  1: SCETATE SCE'
 2: PERZONE PERZONE
 3: PARLANNO PARLANNO
 4: UNA VOLPE
 5: TEMA DEGLI STRUMENTI
 6: ZOCCOLE
 7: CARCERE 'E MARE
 8: MAGNIFICA GENTE
 9: TEMA DI SALVATORE


Musiche e Testi: Claudio Mattone
Arrangiamenti: Gianni Mazza







 このアルバムは「Scugnizzi」という映画のサントラらしいのですが、映画のストーリーは全然わかりませんし、たぶん日本にも入ってきていないんだろうと思います。
 一応アルバムの名義はClaudio Mattone(クラウディオ・マットーネ)になっていますが、彼は歌っていません。ただしすべての楽曲(詞・曲とも)は彼の作品です。

 彼については、マーキー発行の『イタリアン・ロック集成』(1993)に『Un Uomo Da Buttare Via』という1975年のアルバムが1枚、紹介されていますが、それによると作詞・作曲、アレンジ、唄、キーボード、ギターを自分で担当するマルチタレントらしいです。
 ただ、彼自身が唄っているアルバムはあまり多くないようで、楽曲提供者としてのほうが知名度が高いみたいです。デヴュー当時のEduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)の曲のほとんどは彼の曲だとか。

 サントラ盤というと、あくまでもサウンドトラックの域を出ないもの、映像なしで音だけ聴いても楽しめないものもあったりしますが、このアルバムについては歌もの、カンタウトーレの作品として充分、魅力的にできています。南部イタリア的(歌詞から推察するに、たぶんナポリの言葉で唄われているのではないかと思います)な高揚感と素朴な哀愁を持った曲が中心で、インスト曲は2曲しかありません。

 ヴォーカルはNino Forte(ニーノ・フォルテ)、Sara Basile(サーラ・バジーレ)、Giuseppe Merolla(ジュゼッペ・メロッラ)、Maurizio Capone(マウリツィオ・カポネ)、Ernesto Minopoli(エルネスト・ミノーポリ)、Enzo Garramone(エンツォ・ガッラモーネ)、Tiziana Donati(ティツィアーナ・ドナーティ)、Raffaello Convers(ラッファエッロ・コンベルス)の8人がとっていますが、この人たち、有名な人たちなのでしょうか? 自分は誰も知らない(Tiziana Donatiという名前はどこかで聞いた気がする)のですが。
 なかでもNino Forteの唄は、こもり具合や味わいがいかにもナポリ的で、Fratelli d'Itano(フラテッリ・ディターノ)やNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)に似た肌触りを持っています(彼らよりは薄めですが)。

 全体に、映画音楽というよりは舞台演劇のための音楽のように感じるのですが、もしかしたら演劇をテーマにした映画なのかもしれません。ジャケット写真には舞台に集まっている劇団員(?)、インナーの裏側には噴火する火山(ベスビオ山?)を描いたどん帳の前でスポットを浴びる役者が写されているので、それほど的外れではないでしょう。

 オーソドックスで、最近のロック色の強い音楽を愛好する人には物足りないところもあるかもしれませんが、1970年代のイタリアン・ポップスやカンタウトーレが持っていた、イタリアならではの味わいや美しさに満ちたアルバムではないかと思います。

(1999.06.05)








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