CLAUDIO ROCCHI


CLAUDIO ROCCHI (1994年)

   クラウディオ・ロッキ
    (MERCURY / POLYGRAM ITALIA 522 883-2 / イタリア盤CD)



jacket photo   1: TUTTO PASSA (Volo magico No.3)
  2: L'UMANA NOSTALGIA
  3: LA MUSICA
  4: PROVIAMO UN PO' A SCIOGLIERCI
  5: BUONA FORTUNA
  6: TERRA, TERRA
  7: STO CON ME
  8: E' COME E'
  9: IMAGAZZINI DELLA VITA
 10: FUOCO
 11: E' COME E' (Ripresa strumentale)


testi e musiche di CLAUDIO ROCCHI
prodotto da LUCIO FABBRI

Claudio Rocchi: chitarra, tasitere, marimba, zufolo doppio, serpentone, voci
Lucio Fabbri: chitara, violino, pianoforte, hammond, mandolino, basso, shakuachi, sarangi, archi
Walter Calloni: batteria, campane tibetane
Paolo Costa: basso
Paolo Tofani: chitarra
Alberto Camerini: chitarra
Walter Maioli: nai, sil sil, aculei filippini, rombo volante, arco a bocca, conchiglia a tromba, cocco
Paolo Pirato: tabla, darbouka, flauto
Diego Valtorta: chitarra
Paolo Panigada: basso, sax, cori
Alice: voci
Eugenio Finardi: voce, cori
Terra di Benedetto: voci
Vittorio Cosma: pianoforte
Vincenzo Zitello: arpa
Fabio Treves: armonica
Mauro Pagani: flauti
Donatella Bardi, Radio Verocnica, Fiovanna Mantegazza, Marco Priori, Manuela Mantegazza, Ciayanna Rocchi, Barbara Boffelli: cori







 このアルバムのタイトル、便宜上『same (Claudio Rocchi)』としてしまいましたが、本当はアルバム独自のタイトルがついているのだと思います。
 というのは、アルバムのジャケットおよび背に、それらしい文字(のようなもの)が見られるのです。でも、それがすごい筆記体で書かれていて、読み取ることができません。

 Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)といえば、どうしても初期の、幻想的で、繊細で、あやうい精神状態の上にかろうじて乗っているような、うかつに触れると壊れてしまいそうな、そんな音楽性を思い浮かべてしまいます。それは、若さゆえの弱さ、不安定さが、芸術として非常によいかたちで表現されていたものであったように思います。
 それがあまりに強い印象を持ち、かつポピュラー・ミュージックとして非常に高いアーティシズムを備えていたというのは、彼にとってはある意味、不幸なことだったのかもしれません。なぜなら、若さゆえの不安定なバランスの上に形成された芸術性は、年齢を重ね若さを失っていくにつれ、消滅していってしまうものだからです。

 1994年にリリースされたこのアルバムは、Claudio Rocchiの場合もやはり、それを避けることができなかったことを明らかにしてしまいました。

 アルバム1曲目の「Tutto passa」には、「Volo Magico No.3」というサブタイトルがついています。
 「Volo Magico」といえば、1971年にリリースされたセカンド・アルバムのタイトルが『Volo Magico No.1』であり、収録されたアルバム・タイトル曲はカンタウトーレ作品として異例の19分という大作でした。また1972年にリリースされたサード・アルバム『La norma del cielo』には、収録曲に「Volo Magico」はありませんでしたが、アルバム自体のサブタイトルとして『Volo Magico No.2』がつけられていました。
 つまり「Volo Magico」とは、初期の彼の、浮遊感に満ちた特異な音楽性を端的に表わす言葉なのです。

 No.2から22年経って発表された「Volo Magico」のNo.3がどのようになったのか、初期のClaudioを知っている人なら、やはり気になるところでしょう。
 しかし、ここに聴かれる音楽には、不安もあやうさもありません。落ち着いて、おだやかなものになっています。エンディングの部分であのフレーズが聴こえてきますが、以前の「Volo Magico」を知っている人が期待するであろう、深い精神性は感じられません。社会や、自分が生きていくことに対して不安や恐怖を感じていた若者も、年齢を重ねるうちに、世の中との折り合いのつけ方を覚え、精神状態も安定したものになったようです。
 それはそれで悪くはないのですが、若さゆえに持ちえた強力な個性を過去に置いてきた彼は、それに代わるに充分な力を持った新たな個性を手に入れることは、できなかったようです。とはいっても、やはり若い時代に強烈な個性を置き去りにしてきたAlan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)よりは、はるかに個性を持ったカンタウトーレではあると思いますが。

 この作品をつくったのがClaudio Rocchiであることを考えなければ、なかなかなのクオリティを持ったアルバムだといえるでしょう。妖精の住む森の奥に広がる、色とりどりの花に囲まれた草原で、おだやかな風に吹かれているような、安らかで少し神秘的なフォーク・ミュージックです。
 全曲にLucio Fabbri(ルーチォ・ファッブリ)が参加しています。またゲストとして、Alice(アリーチェ)とEugenio Finardi(エウジェニオ・フィナルディ)がヴォーカルで、Mauro Pagani(マウロ・パガーニ)がフルートで、そしてポップスを奏でるユニークなハーブ奏者のVincenzo Zitello(ヴィンチェンツォ・ジテッロ)が、数曲に参加しています。

(2000.11.12)








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