CLAUDIO ROCCHI


A FUOCO (1977年)

   クラウディオ・ロッキ / ア・フォーコ
    (MERCURY / POLYGRAM ITALIA: 522 566-2 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. HO GIRATO ANCORA
  2. RESPONSIBILITA'
  3. UNA FOTOGRAFIA
  4. GUARDANDO
  5. L'ORIZZONTE A MILANO
  6. NON E' STATO DIVERSO
  7. FESTA


produzione: Claudio Rocchi
testi e musiche: Claudio Rocchi
direzione d'orchestra: Franco Orlandini








Claudio Rocchi(クライディオ・ロッキ)というと、どうしても初期のころの、サイケデリックで、幻想的で、ちょっと呪術的・神秘的な印象を持った曲を思い浮かべてしまうのだけど、このアルバムにはそういった印象が希薄です。ほんの少しだけ代表曲「Volo magico」を感じさせるような東洋的神秘ふうの音もなくはないのですが、それが音楽のなかでうまく消化されているかというと、そうではない感じです。そんなこともあって、このころ(というか、初期以外)の作品って、あまり評価が高くないのでしょう。

実際、初期のころの濃密な音楽を知っていると、このアルバムで聴かれる音楽はかなり薄いし、ある意味で「普通」です。でも、だからといって悪い作品かというと決してそんなことはなく、あくまでも「Claudio Rocchiの作品としては」という条件がついたうえでの「普通」です。

いわゆる叙情系のカンタウトーレ作品としては充分以上のクオリティがあります。いくぶん神経質なヴォーカルはここでもPeter Hamill(ピーター・ハミル)を思わすような独特の存在感と個性がありますし、ほどよくシンフォニックな演奏も、いかにもプログレッシヴ・カンタウトーレといった感じです。

初期のころのような剥き出しの感性というか、剥き出しになってしまう感性の強さといったものは弱まり、その弱まった分を演奏その他でカバーしているような、そのためClaudioらしい感性がちょっとオブラートに包まれているような、そんな印象は受けます。でもそれが逆に、初期のころのアクの強さ、個性の強さを薄めていて、ある意味で「聴きやすさ」になっているように思います。なかなかにドラマティックで、ほどよく哀愁もあり、奥行きや深みも感じさせてくれる作品だと思います。

初期の作品を知らずに、あるいはClaudio Rocchiという先入観を持たずに聴いたほうが、そのよさに気づきやすいアルバムかもしれません。

(2003.09.06)







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