M EFEKT (Modry Efekt)


SVITANIE (1977年)

   エム・エフェクト (モードリー・エフェクト) / スヴィタニー
    (SUPRAPHON / OPUS: 91 2629-2 311 / スロヴァキア盤CD)



jacket photo
  1. VYSOKA STOLICKA, DLHY POPOL
  2. EJ, PADA, PADA ROSENKA
  3. V SOBOTU POPOLUDNI
  4. SVITANIE
  5. GOLEM (bonus)


Radim Hladik: gitary
Fedor Freso: basova gitara, basova mandolina, cokal, perkusie
Oldrich Vesely: klavesove nastroje, spev
Vlado Cech: bicie nastroje, perkusie








Modry Efekt(モードリー・エフェクト)は、チェコを代表するロック・グループ。前身のBlue Effect(ブルー・エフェクト)時代を含め、大半のアルバムを持っていますが、自分が聴いたなかでは1974年のサード・アルバム『Nova Synteza 2』がもっとも熱く、ハードで、ドラマティックかつ哀愁もあり、魅力的に感じられます。このアルバムを聴いたときには本当にユーロ・プログレッシヴのファンでよかったと思いました。

この『Svitanie』は彼らの5枚目のアルバムで、プログレッシヴ・ロック・ファンのあいだでは傑作として知られています。たしかに東欧プログレッシヴとしてかなり完成度の高い作品だと思いますが、自分の好みからすると、熱いパッションが噴き出すようなヘヴィ・シンフォニックの『Nova Synteza 2』のほうがやはり魅力的です。『Svitanie』はずいぶん洗練されちゃったなぁという印象で、それはそれでもちろん悪くないのだけどね。

洗練されたとはいっても、そこはやはり東欧ロック。英米とは違う、独特のひなびた哀愁は漂っています。

M1「Vysoka Stolicka, Dlhy Popol」はインスト曲ですが、どことなくOmega(オメガ)の「Suite」に似た雰囲気を感じます。ほどよくハードでほどよくブルージーなギターを中心に、オルガンその他のキーボードが色を添えます。ゴリゴリと鳴るベースもいい感じです。

M2「Ej, Pada, Pada Rosenka」は、いかにもプログレ風のイントロを持っていますが、ヴォーカル・パートに入ると東欧らしい、シンプルだけど哀愁のメロディになります。チェコ語(なのかな?)の響きも美しい。さらには泣きのギターが入り、クラシカルなオルガンが鳴り、徐々に分厚いシンフォニック・アレンジになっていくなど、プログレ系バラードのひとつの典型といった感じです。ただ、ひとつひとつのフレーズやアレンジのあちらこちらに、なんとなく「どこかで聴いたことがある」感が漂っているのが、ちょっとどうかしら。

M3「V Sobotu Popoludni」は4分程度のインスト曲。M EfektはリーダーのRadim Hladik(ラディム・フラディク... でいいのかしら?)がギタリストということもあってか、ギターが中心で目立つ曲が多いのですが、この曲ではキーボードがリード楽器として活躍します。ハード・プログレ的な要素もありますが、けっこう軽快で明るい印象です。

M4のアルバム・タイトル曲「Svitanie」は、LP時代にはきっとB面全部を使ったのであろう、19分を超える大曲。このアルバムにおける最大の聴かせ場、ハイライトといえるでしょう。たぶん、一般的に。でも自分にとってはもうひとつ、乗り切れないのです。ちょっとミステリアスというかスペーシーな感じで始まるのですが、なんだか、ぼんやりとした印象です。そのうちにブルース・セッション風になっていき、このあたり(だいたい10分を過ぎたあたり)で飽きちゃいました。う〜ん、「Nova Synteza 2」は20分超でも飽きずに、というよりもワクワク・ドキドキして聴けたのだけどなぁ。

M5「Golem」はボーナス・トラックですが、イントロのメロディを聴いた瞬間にちょっと笑いました。あまりにも東欧らしくて。Uriah Heep(ユーライア・ヒープ)風の演奏にチェコ語で歌われる東欧メロディが載っているような印象で、こういった感じは好きです。

初期の頃にあったような圧倒的なパワー、情念の噴出、といった泥臭い部分はかなり薄くなり、より技巧的に、より洗練されたプログレッシヴ・ロックになっていると思います。Yes(イエス)やUriah Heepなどの影が見え隠れするなかに、Omegaなどにも通じる東欧の哀愁もあり、東欧ロックとして完成度の高い作品でしょう。

(2007.09.09)







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