DALLAGLIO


SERA-MATTINA (1972年)

   ダラリオ / セラ・マッティーナ
    (MELLOW RECORDS MMP 233 / イタリア盤CD)



dallaglio1   1: OGNI SERA COSI
  2: DOLCE VOLONTA
  3: QUANDO SCENDEVI LE SCALE
  4: L'ALTRO ME STESSO
  5: LE MIE ILLUSIONI
  6: IL CIELO E LA TERRA
  7: LA GRANDE PIANURA
  8: PADRE NOSTRO
  9: PER AMORE







 イル・ヴォーロ(il Volo。カンタウトーレ風味が愛らしい1st、どこまでも青い空を突き抜けていくかのような昂揚感のある2nd の2枚をだしたイタリアのグループ。機会があったらぜひ聴いてみてください。大好きなグループなんです)のドラマーとして活躍したジャンニ・ダラリオ(Gianni Dallaglio)が、イル・ヴォーロの前に組んでいたグループ。

 タイプとしてはイル・ジャルディーノ・デイ・センプリーチ(il Gialdino dei Semplici)やラ・ボッテガ・デッラルテ(la Bottega dell'Arte)などと同列の、甘いラヴソングを美しいオーケストレーションやコーラスで味付けしたもの。
 ただ、年代的に彼らより古いためか、音も少しノスタルジック。また、全体の印象も“バンド”っぽい。そういう意味ではイ・カマレオンティ(i Camaleonti)あたりのほうが、音の印象が近いかもしれない。

 少しかすれぎみだが、非常に優しい感じのする声で、オーソドックスなイタリアン・メロディを歌っている。唄自体はあまりうまくない。でも聞けてしまうのは、ベタなイタリアン・メロディのせいかな。

 ドタバタした感じのドラム、時代を感じさせるオルガン、そしてところどころで聴かれるメロトロンの音が、往年のイタリアン・プログレ・ファンの血を騒がせる。
 といっても、決してプログレなアルバムではない。あくまでも唄がメインの、ポップ・ロック/カンタウトーレ系のアルバム。

 まだ入門したての若いプログレ・ファン、最近のテクニカルなプログレが好きな人などからすれば、古臭くて劇伴風なカッコ悪い音楽だろう。
 いわゆるイタリアン・ポップス・ファンからすれば、おしゃれさがたりない、垢抜けない、演奏がうっとうしいなど、やはりいまひとつな感想を抱くだろう。

 なら、このアルバムを楽しめるのは、どんな人か。
 やっぱり、古くからのイタリアン・プログレを数多く聴いていて、かつイタリアの曲がもつメロディの美しさを、もっといえば“イタリア”を愛している人、つまり、ある程度年期の入ったイタリアン・ロック・ファンだろう。

 それなりの時間をかけてそれなりの数のイタリアン・ミュージックを聴き、それを愛してきた人なら、このアルバムのなかからも、小さいながらもたくさんのきらめきを見つけられるだろう。70年代の数々の宝物のなかに見出せるものの断片に、きっと気づくだろう。

 自分にとってはどこかホッとする、愛らしいアルバム。

(1998.02.22)








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