1: OGNI SERA COSI
2: DOLCE VOLONTA
3: QUANDO SCENDEVI LE SCALE
4: L'ALTRO ME STESSO
5: LE MIE ILLUSIONI
6: IL CIELO E LA TERRA
7: LA GRANDE PIANURA
8: PADRE NOSTRO
9: PER AMORE
イル・ヴォーロ(il Volo。カンタウトーレ風味が愛らしい1st、どこまでも青い空を突き抜けていくかのような昂揚感のある2nd の2枚をだしたイタリアのグループ。機会があったらぜひ聴いてみてください。大好きなグループなんです)のドラマーとして活躍したジャンニ・ダラリオ(Gianni Dallaglio)が、イル・ヴォーロの前に組んでいたグループ。
タイプとしてはイル・ジャルディーノ・デイ・センプリーチ(il Gialdino dei Semplici)やラ・ボッテガ・デッラルテ(la Bottega dell'Arte)などと同列の、甘いラヴソングを美しいオーケストレーションやコーラスで味付けしたもの。
ただ、年代的に彼らより古いためか、音も少しノスタルジック。また、全体の印象も“バンド”っぽい。そういう意味ではイ・カマレオンティ(i Camaleonti)あたりのほうが、音の印象が近いかもしれない。
少しかすれぎみだが、非常に優しい感じのする声で、オーソドックスなイタリアン・メロディを歌っている。唄自体はあまりうまくない。でも聞けてしまうのは、ベタなイタリアン・メロディのせいかな。
ドタバタした感じのドラム、時代を感じさせるオルガン、そしてところどころで聴かれるメロトロンの音が、往年のイタリアン・プログレ・ファンの血を騒がせる。
といっても、決してプログレなアルバムではない。あくまでも唄がメインの、ポップ・ロック/カンタウトーレ系のアルバム。
まだ入門したての若いプログレ・ファン、最近のテクニカルなプログレが好きな人などからすれば、古臭くて劇伴風なカッコ悪い音楽だろう。
いわゆるイタリアン・ポップス・ファンからすれば、おしゃれさがたりない、垢抜けない、演奏がうっとうしいなど、やはりいまひとつな感想を抱くだろう。
なら、このアルバムを楽しめるのは、どんな人か。
やっぱり、古くからのイタリアン・プログレを数多く聴いていて、かつイタリアの曲がもつメロディの美しさを、もっといえば“イタリア”を愛している人、つまり、ある程度年期の入ったイタリアン・ロック・ファンだろう。
それなりの時間をかけてそれなりの数のイタリアン・ミュージックを聴き、それを愛してきた人なら、このアルバムのなかからも、小さいながらもたくさんのきらめきを見つけられるだろう。70年代の数々の宝物のなかに見出せるものの断片に、きっと気づくだろう。
自分にとってはどこかホッとする、愛らしいアルバム。