DELIRIUM


III - VIAGGIO NEGLI ARCIPELAGHI DEL TEMPO (1974年)

   デリリウム / トレ - ヴィアッジォ・ネッリ・アルチペラーギ・デル・テンポ
    (FONIT CETRA CDLP 421 / イタリア盤CD)



jacket photo  1: IL DONO
 2: VIAGGIO NEGLI ARCIPELAGHI DEL TEMPO
 3: FUGA N.1
 4: DIO DEL SILENZIO
 5: LA BATTAGLIA DEGLI ETERNI PIANI
 6: UN UOMO
 7: VIAGGIO N.2
 8: ANCORA UN'ALBA


PINO DI SANTO: batteria, percussioni, voce
MARTIN FREDERICK GRICE: flauto, saxes, tastiere, voce
MARCELLO REALE: chitarra basso, voce
ETTORE VIGO: piano, vibrafono, mellotron, voce
MIMMO DI MARTINO: chitarra, voce

direzione sezione d'archi: ROMANO FARINATTI
tecnico del suono: DANILO GIRADI







 いまでこそポップでアモ〜レ〜なイタリアン・ミュージックばかり聴いている自分ですが、もともとはプログレッシヴ・ロックのファンで、なかでもイタリアン・プログレッシブが大好きでした。イタリアのプログレッシヴを聴いているうちにイタリアのメロディの虜になり、そこからポップスの世界にも手を出すようになったのです。
 なので、当時そろえたイタリアン・プログレッシヴのアルバムたちは、いまでも自分の大切なコレクションです。

 Delirium(デリリウム)はプログレッシヴ・ロックのグループですが、初期のころのメンバーに、いまではすっかり大物カンタウトーレとなったIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)がいたことで、プログレッシヴのファン以外の、イタリアン・ポップスのファンにも、少しは名前が知られているかもしれません。
 Ivanoが参加していたのはファースト・アルバムだけのようですが、この『III - VIAGGIO NEGLI ARCIPELAGHI DEL TEMPO』はタイトルどおり、Deliriumのサード・アルバムにあたります。

 Fonit Cetraレーベルからリリースされているにもかかわらず、日本でユーロ・ロックのアルバムが大量に再発された時期に、なぜか日本盤が1枚も出なかったため、往年のイタリアン・プログレッシヴ・グループのなかでもいまひとつ、音の認知度が低いように感じるDeliriumですが、そのクオリティは日本盤が出た他のグループに劣ることなく、充分にイタリアン・ロックらしい音楽を聴かせてくれます。
 このアルバムではストリングスも入っており、その点では彼らの作品のなかでも、よりシンフォニック・プログレッシヴらしいアルバムといえるでしょう。また、イタリアの情熱を感じさせるヴォーカルも、1970年代のイタリアン・プログレッシヴを愛していた人には胸にしみるはずです。

 ギターとサックスによる、Osanna(オザンナ)やKing Crimson(キング・クリムゾン)を思わせるジャジーなインストゥルメンタル部分や、ストリングス・オーケストラとフルートによる、Camel(キャメル)やスペインのGotic(ゴティック)を思わせるクラシカル・パートなど、聴きどころもたくさんあります。
 録音があまりよくないのと、往年の大物グループにくらべると派手さ、オーラ的なものに少し欠けるため、なんとなくこじんまりした感がなくはありませんが、1970年代イタリアン・プログレッシヴらしい美しさとパワーにあふれた作品です。

 思えば、こういったイタリア独特のメロディ・ラインと曲の展開、そしてパッショネイトな唄に引き込まれて、広くイタリアン・ポップスを聴くようになったのですが、最近のイタリアン・ポップスには、こういったイタリアらしさって、あまりなくなってしまいましたね。

(2000.10.15)








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