artistic consulting: Art de Rosa
editting: Alessandro Stievano
piano: M.Mestriner, M.Farnese
sax: F.Colocci
voce: Donella Del Monaco, Elvira Cadorin, Marcello Del Monaco, Mario Del Monaco
cello: J.Luisetto
violin: C.Pellizzari
guitar: A.Amato
keyboard: M.Mestriner
Donella Del Monaco(ドネッラ・デル・モナコ)といえば、イタリアン・プログレッシヴ・ロックの至宝ともいえるOpus Avantra(オプス・アヴァントラ)の歌姫。
同じようにソプラノ・シンガーを擁したイタリアン・プログレッシヴといえばPierrot Lunaire(ピエロ・リュネール)などもありますが、伝統と革新、静謐さと詩情などの要素がバランスよく融合したOpus Avantraのファースト・アルバムは、他の追随を許さない完成度の高さを誇っていました。
そのユニークで優れた音楽性にDonellaが寄与した比率はとても高く、ポップス・フィールドにおけるAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)のように、プログレッシヴ・フィールドにおけるある種のカリスマ的女性シンガーといえるのではないかと思います。
思うのですが、Antonellaと違うなと感じるのは、自身の個性が強いAntonellaはMatia Bazar(マティア・バザール)脱退後のソロ・アルバムでも充分にその個性を輝かせ、Matia Bazar時代と同等以上の魅力を発揮しているのに対し、Donellaはソロ・アルバムよりもOpus Avantraのアルバムでのほうが圧倒的に輝かしく感じるということでしょうか。
じつは、Donellaって意外とオーソドックスなソプラノ・シンガーで、ポップな資質は持っているものの、基本的にはオーソドックスな歌い方をしているのではないでしょうか。そのため、歌う曲自体の持つユニークさや質の高さに左右される比重が高いように思うのです。
このアルバムに収められた曲や、Schonberg(シェーンベルグ)のキャバレー音楽を歌った『Schonberg Kabarett』などは、ソプラノ歌手が歌う曲としてはユニークなのかもしれませんが、Opus Avantraの持つ音楽性のユニークさとは別種のものです。
これらのソロ・アルバムで聴かれるクラシカルな楽曲は、ポップス・フィールドでも聴きやすくかつ高尚さも失わないというところにDonellaならではのよさを感じるともいえますが、それ以上のものがあまり伝わってこないようにも思います。
そう考えると、DonellaもまたOpus Avantraを構成する「一要素」にすぎなかったのかもしれません。そのへんが、どんな曲でも自分の曲に指定しまい、自分を曲の中心に持ってこれるAntonellaとは大きく違うなと感じます。
このアルバムは1975年から2002年に収録された短い曲が多く収められています。どれもオーソドックスなシャンソンや大衆歌、宗教歌といった印象がありますが、そのなかに2曲収められているOpus Avantraの曲は、やはり他とは異なった詩情と深み、ふくらみがあり、Donellaのヴォーカルがより生きるように感じられます。
やはり、DonellaにとってはOpus Avantraというグループが必要なのでしょう(もちろん、Opus AvantraにとってもDonellaが必要なのでしょう)。